「さて、明日からアイアイエー島らしいんですが……不穏な気配しかない」
「アイアイエー島……あぁ、敗北拳の。でも、貴方はそれより大事なことがあるでしょ」
エウリュアレに言われ、棒状の焼き菓子を咥えながらぼんやりと考えるオオガミ。
すると、隣にいたメルトが反対側を咥え、へし折って食べつつ、
「後一週間とちょっとね。日本では三倍返しなんでしょう? とても楽しみね。どんなお返しなのかしら。あれだけ贅を凝らしたんだもの。少しくらい楽しみにしても文句はないでしょ?」
「……婚姻届?」
「ふざけるのも大概にしなさい」
はぁい。とやる気無さそうに言うオオガミ。
だが、メルトの頬が少し赤くなっているのを見逃すエウリュアレではなかった。
しかし、エウリュアレはそこには触れず、
「私には何をくれるのかしら」
「ん~……聖杯?」
「既に9個あるからこれ以上は要らないわ」
「だよねぇ……欲しいものはないの?」
そう聞くオオガミに、二人はニッコリと笑い、
「あら、マスター?」
「私たちが何を望んでいるのか」
「「それを探すのが役目でしょ?」」
「う~ん、圧がスゴい」
そう言って、咥えていた焼き菓子を食べ、
「まぁ、当日までに考えておくよ」
「えぇ、よろしく」
「物によってはお腹に膝、で済まないからね」
「はいはい。任せてよ。お菓子作りに関しては謎の自信があるんだから」
「知ってるわ。美味しいもの」
「毎度進化してるもの。楽しみにしてるわ」
そう言って、楽しそうに微笑む二人。
オオガミはそれを見て何かを思い付いた顔をすると、
「島だし、遊べないかな」
「この真冬に?」
「私は良いけど……凍えたいわけ?」
「なんで海で遊ぶのが前提なんですか女神様?」
「じゃああと何があるのよ」
呆れたように言われ、考えるオオガミ。
考えた末に出したのは、
「キャンプとか?」
「あら……生活力皆無二人を連れてキャンプ?」
「覚悟決まってるわね。設営、食事、寝床全て揃える覚悟があるのね」
「あらかじめ想定してたようなカウンターですね? 完全に怯えてるじゃん」
「バカ言わないでちょうだい。私はメルトと違って不器用じゃないわ。ひたすらにやりたくないの。わかる?」
「えぇそうよ。私はエウリュアレと違ってやりたくない訳じゃないわ。異常なまでに不器用なの。わかってる?」
「なんで半分良くて半分悪いのか……!」
「私はそういう女神だもの。わかっていて愛しているのでしょう?」
「不器用だからって置いていくつもり? じわじわ溶かすわよ?」
「くそぅ面倒くさいなこの二人! そういうところも好きですけどね!?」
そんなことを言いつつ、アイアイエー島で何かが出来ないかと話し合うのだった。
なんかサラッと甘いことしてねぇかコイツら……?
そしてメルト、なんか暴走してない? 気のせい? 言動がおかしくなってる気がするよ……?
とまぁ、なんにしてもアイアイエー島。オデュッセウスのガンダム感ヤバすぎるから欲しいんですが。キュケオーンと一緒に来てくれないですかね?
次のデート回
-
王道のエウリュアレ
-
メルトしかあるまい
-
技術部二人と散歩でもいいのよ
-
いいから全部だ