「種火……終わったのぅ……」
「えぇ。おかげで、レベルが99になったわよ」
「エウリュアレが最強だし!」
「これは……もはや信仰の域なんだけど……」
「神としては嬉しいんじゃないのか?」
「このレベルは流石に……そもそも、私を前線に出す信徒とか、嫌に決まってるでしょ?」
「はぅぁ! エウリュアレに嫌われてた……」
「……別に、嫌ってるわけではないのだけど……」
「マスターも、性格悪いのぅ……」
「……冗談で言ってるように見えないのよね……」
当然の如く種火を大量に投下されるエウリュアレ。
だが、それでもレベルマックスにならなかったのは、やはり壁が高い、という事だろう。
「それにしても……最近、ノッブの攻撃力が落ちてる気がしてきたわ」
「……儂の攻撃力、変わっとらんのじゃが。それは煽りとして受け取ってよいのか?」
「そうねぇ……じゃあ、あれよ。久しぶりにちょっと戦いましょうよ」
「ほぅ? ついに儂に挑戦してくるまでになったか……ふむふむ。儂も舐められたものじゃ……」
「ふふふ……今回こそ勝ってあげるわ」
「ふん。儂が負けるわけなかろう?」
「二人とも、死なない程度にね?」
二人は不敵に笑いながら小屋を出て行った、
だが、この島に運動場は無い。まさか、枯山水で戦闘をするわけじゃあるまいな……と思いつつも、今更見に行く勇気は無いオオガミ。
そして、一人になったために何をしようかと悩んだ時だった。
「マスター!! バラキーと来たわよー!」
「なんだその呼称は! 茨木童子と呼ばぬか!」
「えぇ~? だって、バラキーはバラキーよ?」
「む、むぅ……? ば、バラキーとは一体……?」
「まぁ、深く考える必要は無いわ。それよりもマスター! スイカシャーベットっていうのを作ったって聞いたんだけど!!」
「どこからそんな情報仕入れてきたの……?」
玉藻に頼んで密かに作ったにも関わらず、やはりどこからか情報が漏れてしまったのだろう。少なくとも、この二人は知っているようだった。
「ふむふむ。で、それを聞いて、どうするの?」
「当然、私のもくれるのよね!?」
「吾は否応でも貰うがな?」
「あはは……二人とも、落ち着いてよ。というか、二人だけに食べさせるわけにはいかないからね?」
「そんなっ……!!」
「なん……じゃと……!?」
驚愕の表情をするナーサリーと茨木。
「まだ試作品だし、最初に食べるのは玉藻だからね? 一応、手伝ってくれたし」
「むぅ~! なら、私が手伝うわ! それなら文句ないでしょう!?」
「吾はただ喰らうのみよ……さて、『すいかしゃーべっと』とやらはどこじゃ……」
「こら。行かせはしないよ。食べたいのならナーサリーみたいに手伝いなさい」
「ぐぬぬ……そも、何を手伝えと言うのだ!」
「スイカを取ってきてくれないかな。バラキーなら速いから、その分だけ早く作れると思うんだけど」
「任せるが良い!」
そう言うと、茨木は驚くほどの速度で走って行ってしまった。
それを顔だけ出して見送ったオオガミは、すぐに顔を引っ込め、
「行動が早いなぁ……まぁ、あんな働きされたらこっちも応えるしかなくなるよね」
「えぇ。それでこそマスターよ」
「うん。じゃあ、準備をしようか」
「分かったわ! 任せなさい!」
その後、茨木の取ってきたスイカを受け取ったあたりでボロボロになって帰って来たノッブとエウリュアレが、同じようにスイカを取りに走って行ったのは、ここだけの話である。
ついにレベル99。しかし、ここまで来てもノッブの神殺しに勝てるのかどうか……宝具バスターバスターで一撃で倒されそうな予感……