今日のカルデア   作:大神 龍

1055 / 1263
マスターさん。食べてくださいな(アビーお手製クッキーですと?)

「はい、マスターさん。食べてくださいな」

「ありがとうアビー」

 

 そう言って、クッキーの入った袋を受け取るオオガミ。

 すると、隣にいたエウリュアレが手を伸ばし、

 

「私もいただこうかしら」

「ストップエウリュアレ」

 

 即座にオオガミに止められる。

 エウリュアレが不思議そうに首をかしげると、

 

「貰った本人より先に食べるのもどうかと思うよ?」

「……仕方無いわね。おとなしく待つわよ」

「あ、ごめんなさいエウリュアレさん。ちゃんとエウリュアレさんの分もあるの。早く渡さなくてごめんなさいね?」

「……謝る必要なんてないわ。というか、謝られると、まるで私がお菓子に目がないみたいじゃない」

「えっ」

「え?」

 

 オオガミの反応に、思わず首をかしげるエウリュアレ。

 アビゲイルは口を押さえて、私は何も言っていないと態度で表していた。

 

「いや、今までの態度を見ていて疑問に思わない方が無理無い?」

「あら、私はまだ何も言っていないのだけど」

「しまった誘導かっ」

「盛大な自爆よ。でも良いわ。特別に、私への奉仕で許してあげる」

「ふむ……で、何をすれば良いの?」

「久し振りにパフェ食べたいわね。チョコレートのやつ。最後に食べたの何時だったかしら」

「いやぁ、憶えてないね。でもなんとなく覚えてるから作ってこよう。クッキー食べ終わった後で良い?」

「構わないわ。私もいただくし。ありがとうねアビー」

「い、いいえ。どういたしまして。喜んでもらえたなら嬉しいわ」

 

 そう言って、エウリュアレはアビゲイルからクッキーを受け取ると、先にオオガミが食べるのを待ってから食べ始める。

 そして、先に食べたオオガミは、

 

「……うん! うまい! 流石アビーだ!」

「えへへ……! ありがとう、マスターさん」

「えぇ、本当に美味しいわ。でも……どこかで食べたのよねぇ……これ……」

 

 そう言って、考え始めるエウリュアレ。

 すると、アビゲイルは楽しそうな笑顔を浮かべながら、

 

「カーマさんがお手伝いしてくれたの! とっても助かったわ!」

 

 その一言を聞いて、硬直するエウリュアレ。

 そして、ゆっくりとアビゲイルの方へ顔を向けると、

 

「ねぇ、アビー? 作ってる途中で、カーマが何か混ぜ込まなかった?」

「えっと……『秘密の調味料です』と言って、何かを入れていたわ。中身は分からなかったのですけど、でも、美味しくなったからいいやって思って気にしなかったのだけど……ダメだったかしら……」

「いいえ、もう大丈夫よ。貴女は悪くないわ。でもごめんなさい。少し用事が出来てしまったの。少し席を外させてもらうわ」

「え、えぇ……行ってらっしゃい……?」

「えぇ、行ってきます」

 

 そう言って、食堂を出ていくエウリュアレ。

 扉が閉まる直前、弓を展開していた気がするが、気のせいだろうと二人は思うのだった。

 だが、オオガミは念のためと思い、

 

「アビー。他の誰かに配った?」

「いいえ? マスター達が最初よ?」

「よし。じゃあ残っているヤツ貰って良いかな。代わりに一緒に新しいのを作ろう」

「え……でも……」

「大丈夫。損はさせないよ」

「……まぁ、少し失敗してしまったのもあったから、新しく作れるなら……お願いしても良いかしら」

「請け負った。よし、どんどん作っていこう」

 

 そう言って、オオガミは厨房に向かうのだった。




 カーマのお料理教室がただで済むわけもなく。しかし、サーヴァントすら太らせられるアレ。着火材に便利なのですね……そして彼女なら何度でも流用する。確信できる。

次のデート回

  • 王道のエウリュアレ
  • メルトしかあるまい
  • 技術部二人と散歩でもいいのよ
  • いいから全部だ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。