「食堂はいつものメンバーなんだね」
エウリュアレと一緒にアマゾネス・ドットコム内の食堂に来たオオガミは、そこで働いているメンバーを見てそう言う。
すると、それに気付いたらしいエミヤが振り返り、
「あぁ、マスターか。エウリュアレに連れられて、と言うことはようやく休憩と言うことか? 食事は取っていたのだろうな」
「取ってたよ。ユニヴァース製の携行食料とかに興味があったから今回は食べてたんだけど、やっぱり食堂のご飯が一番です」
「ふっ。そう言って貰えると嬉しい限りだ。では期待に応えられるよう、精一杯作らせてもらおうか。さぁ、注文はなんだマスター」
「シェフのおすすめで。エウリュアレは?」
「同じので良いわ。食べさせたいのはこっちだもの」
「了解した。席に座って待っていると良い」
そう言って、冷蔵庫に向かうエミヤ。
二人は手近な席に横並びで座ると、
「平気そうな顔をしてたけど、もう大丈夫な訳?」
「大丈夫大丈夫。折れてるわけじゃないと思うし」
「そう言う問題じゃないと思うけど……まぁいいわ。貴方かそれでいいなら」
「うんうん。本人がオッケーなんだからオッケーなんです。だから気にしないで」
「まぁ、そう言うならいいけど……やせ我慢なら蹴り飛ばすから」
「あ、はい……なんか最近みんな異様に甘やかしてくるんだけどなんで?」
「そういうのは、自分の行いを鑑みてから言ってちょうだい」
そう言われたオオガミは、自分の事を振り返り、
「最近ずっと働き詰めだった以外にあったっけ」
「そこが問題だって言ってるの」
「えぇ!? いやいや、そんなまさか……えぇ~……?」
そんなこと無いでしょ? とでも言いたげなオオガミに、エウリュアレは頭を抱え、
「そもそも、大体の行動原因は貴方よ。自覚していないでしょうけど、その自分を省みない働きをやめて。休憩できるんだからしなさい。良い?」
「はい……なんだかお母さん染みてきたね」
「次言ったらメドゥーサ達を呼ぶわよ」
「はい。ごめんなさい」
素直に謝るオオガミ。
エウリュアレは呆れたようにため息を吐くと、
「で、その大事に抱えている紙は何? また配達依頼?」
「え? あぁ、これはまた別のヤツ。アビー専用だから探してたんだけど……」
「呼んだ方が早いでしょ?」
「呼ばれなくても登場ですっ!」
そう言って、さも当然のごとく現れるアビゲイル。
二人はもう驚きもせず、いつものことだと思い、
「じゃあアビー。これ、お願いね。配達はボディーガードをつけていくんだよ」
「えぇ、分かったわ! ……って、これ、本当に良いの? ダメって言われてたような……」
「良いの良いの。厨房組にも許可を貰ったことは伝えておいてね」
「はい! じゃあ、行ってきます!」
そう言って、アビーはスタスタと走っていくのだった。
それを見ていたエウリュアレは、
「で、あれは?」
「とある食品。発狂間違い無しのデリシャスヤベーヤツ」
「……それが注文されてくるとか、とんでもないわね……」
そう言って少し遠い目をするオオガミとエウリュアレ。
そして、アビゲイルと入れ替わるようにエミヤが食事を持ってくるのだった。
発狂間違い無しのデリシャスヤベーヤツ……一体何焼きなんだ……
それはそれとして、カルデアマスターは働きすぎでは……? 慰安旅行で働くとか正気じゃなくない? スナック感覚で配送業とかおかしくない……? 何でも屋スペックガンガン上がっていくんですが。
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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