「クレーマー、意外と面倒な相手ね……」
「まぁ、モンスタークレーマーだからね。多少大きくて頑丈でも仕方ないよ」
「多少というか、全部超大型の怪物揃いなのだけど」
読書スペースでぐったりとしているメルトに、苦笑いをするオオガミ。
メルトはそんなオオガミを見て、
「ちょっと。こっちに来なさいよ」
「えっ、なんで……? いや、行くけども」
「……普通、聞いて疑問に思ったら動かないものなんじゃないの?」
「普通ならね。メルトには普通じゃないから」
「……そう。それは殊勝な心がけね」
そう言って、気恥ずかしそうに目を逸らすメルト。
オオガミは少し嬉しそうな顔をしつつメルトの隣に行くと、
「それで、何の用?」
「用ってほどでもないわ。とりあえず、そこに座って」
「はいはい。で、これは?」
オオガミが座ると同時に差し出される一冊の本。
なんてことのない恋愛ものの様で、オオガミが首をかしげていると、
「あまり手を使いたくなくてずっとあの機械を使っていたのだけど、感動が伝わるだけとかかなりナンセンスだったから、紙媒体で読みたかったの。でも、私は不器用とか、そういうレベルじゃないじゃない。だから手が足りてなかったの。休憩中は捲ってくれないかしら」
「またとんでもない要求を……でも良いよ。任せて」
「それでこそ私のマスターね。任せたわよ」
そう言って、楽しそうに笑うメルト。
オオガミはその笑顔に応えられるように覚悟を決めるのだった。
* * *
「なんですかあれ。邪魔すればいいですか?」
「よせBB。融かされて終わりじゃぞ」
突撃しようとしているBBを抑えるノッブ。
既に鎌を構えていつでも突撃できるBBは、ノッブを押しながら、
「退いてくださいノッブ。いい加減見ていてイライラするんです。早くやらせてください」
「だからダメじゃってば。それでお主が殺されると儂の苦労跳ね上がるし利益分配10:0にするがよいか? 良いなさっさとやってこい!」
「ちょ、さりげなく全部持っていかないでくださいよ!? 渡しませんからね!?」
「チッ。我を忘れてなかったか……利権で戻ってくるとは思わなんだ……」
がめついヤツめ。と悪態を吐きながら残念そうにするノッブ。
さりげなく今回の稼ぎを全て持っていこうとするノッブに突っ込みをいれて冷静になったBBは、鎌を消しながら腰に手を当て、
「なんでこう、ノッブはすぐに私の資金を奪おうとするんですか。さりげなさ過ぎて奪われるところでしたよ」
「そのまま奪われてもよいのでは?」
「それはそれ。これはこれです。はぁ……今日のところは撮影をするだけで済ませておきましょう」
BBはそう言って、カメラを取り出すのだった。
用意がいいBBちゃん。
それにしても、モンスタークレーマー、なかなか強い……
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ