「ふふっ、これは良い眺めね。
「えぇ、遠くまで見渡せるわ。
「姉様方……危ないのでお止めを……」
楽しそうに笑うステンノとエウリュアレに制止の声をかけるのは、今二人を左右の肩に乗せているゴルゴーンだった。
案の定、原因は後ろでニコニコと笑みを浮かべているオオガミであり、ゴルゴーンが睨み付けるのも無理もないことだろう。
そんなオオガミに、
「マスターも、酷いことをしますね」
「そう? 本当にそう思ってる?」
「……ノーコメントで」
「アナも大概じゃない?」
「そんなことは……無いです。はい。全く。マーリンが胡散臭くなくなるのと同じくらいあり得ないです」
「なるほど。例えが絶妙で好きなのでそういうことにしよう」
「それでよろしいのですかマスター」
アナに対して異様に優しい気がするオオガミに、思わず突っ込むメドゥーサ。
だが、オオガミは良い笑顔で、
「後で俺が酷い目に遭う時の生け贄なので」
「えっ」
「えっ、ちょっと待ってくださいマスター。何があるんですか。何が起こるんですか!?」
「ゴルゴーンとの追いかけっこが始まったらアナがあの二人を引き受けてメドゥーサも犠牲になるということで」
「そ、そういう計画ですか……!? なんて恐ろしい計画……!」
「本当にしたりしませんよね!? 冗談ですよね、マスター!?」
必死の形相で止めようとしてくる二人に、オオガミは儚げな顔で、
「もう、ゴルゴーンに追われることは確定してるから……悲しいことだけど、二人には受け入れて貰うしかないね……」
「そ、そんな……」
「このメンバーな時点で察するべきでした……マスターにはイタズラ心をもう少し抑えていただきたい……」
「時々こういうことをしたくなってしまう瞬間というものはあるんだよ……というか、二人ももう対処は手慣れたものじゃないの?」
「それはそれ、これはこれです、マスター」
「出来るのとやりたいのは違うものなので、やりたくないのですが」
「でももう手遅れなので強制です」
「被害拡大ですよ……!」
「速やかに捕まって大人しく姉様方に散々に言われてください」
「逃げることに関しては英霊にも負けない自信があるよ」
「出来る限りの妨害をしますね」
「優しく捕縛してあげます」
「優しくなんてしませんから」
「う~んこの二人の方が怖いかもしれない」
カルデアに長くいるだけはあり、二人に対する耐性が高いせいで厄介な敵を増やしてしまったのではないかと苦い顔をするオオガミ。
そんなこんなで、配達先にたどり着くのだった。
これがゴルゴーン三姉妹……! オオガミ君は生け贄になるのです……
実際、このパーティーは男性に対して無敵……運用はしないんですけども。ラフムショックで書いてしまった……
次のデート回
-
王道のエウリュアレ
-
メルトしかあるまい
-
技術部二人と散歩でもいいのよ
-
いいから全部だ