「あ、おにいさ…………殺します」
「待って待って今のは悪くなくない!?」
相手の言い間違えで殺されかけるオオガミ。
ただエウリュアレと一緒に歩いているときに偶然アナに会っただけであった。
そして、当然その場に居るエウリュアレはと言えば、
「……ねぇアナ? どう間違えたらそう言う呼び名になるの?」
「聞きたい気持ちは分かるけど、とりあえず助けて!?」
「防げてるんだから止める必要もないでしょ」
「一般人に無理言いますね!?」
立て掛けてあったモップで必死にアナの攻撃を防ぐも、英霊の攻撃に先にモップが壊れそうだった。
エウリュアレはため息を吐くと、
「アナ。質問に答えて?」
「……上姉様がそう呼ぶようにしなさい、とおっしゃっていたので。呼ぶつもりはなかったのですが、何度も言われたので自然と出てしまったので証拠隠滅です」
「殺伐! そして完全に被害者じゃないのこれ!?」
「
「あ、聞いてないんですねエウリュアレ様は!?」
直後モップが叩き割られたが、同時にアナの攻撃も止む。
あまりにも理不尽に襲われたオオガミはエウリュアレの陰に隠れつつ、
「で、なんでお兄さん?」
「よく分かりませんが、『外堀から埋めてしまいましょう』とだけ。その第一弾だとか……」
「……え、それ、本当にステンノが言ってたの?」
「はい。確かに」
「ちょっと、どういう意味よそれ」
「いやぁ……たぶんステンノには弟って呼ばれそうだなぁって思いまして」
「はぁ? どうしたらそうなる……え、正気?」
言っている途中で何かに気付いたのか、頬を引きつらせるエウリュアレ。
アナは嫌そうな顔をしながら、
「私だって止めました。でも、『絶対その方が面白いわ』なんて言われたら、あぁ、これ絶対に曲げてくれないなって思いますよ。目も本気でしたから」
「な、なるほど……というか、その包囲網が完成したらすなわち死では? もはや誰に殺されるかわかんないけど」
「私は安全そうね。殺される要素ないもの」
「ギリシャ理論だと?」
「……島の外は野蛮が過ぎていけないわ」
カルデアにも危険思想は何人か居たわね。なんて呟きながら、ステンノの所業に頭を抱えるエウリュアレ。見てないところでやるな、等と言おうものなら正面からやって来るのだろう事は想像に難くない。
「それで、アナ。ステンノはどこにいるの?」
「それは……私にもわかりません。ここにいるのは分かっているんですけど、どこにいるかまでは」
「そうか……よし。探しにいこう」
「そうね。さっさと見つけて止めないと」
「頑張ってください」
アナに見送られ、二人はステンノを探しにいくのだった。
ステンノ様は暴走を続ける……なんとなく外堀を埋めよう計画を思い付くと同時に行動するのはステンノ様クオリティ。
なんだかんだ外堀から埋めようとしている時点でステンノ様的にOK出ているのでは?
メルトの場合、外堀を埋める前に本人が動く。たぶん。きっと。おそらく。確実に。
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ