「うおっ!」
団員が艦内で滑ったらしい。焦ったような声が上がる。
「大丈夫かよ?」
「な、なんか重力おかしくね?」
「ああ?・・・うお!」
エイハブリアクターはまだ生きているのか、重力が発生しているようだ。本来の重力と合わさって、不自然な重力が発生している。リアクターが発生させている重力の向きを調整するなりオフするなりしなければ、拠点として使えないだろう。
「ダンテ、リアクターの調整頼めるか?」
「ああ」
「頼んだぜ」
ダンテに重力をどうにかしてもらうことにする。彼に任せていれば大丈夫だろう。
「ダンテたちを待って、あいつらが来次第格納庫に全員集合だ!あそこが一番広い。手狭になるが、まぁ何とかなるだろう」
「うす!」
「はい」
「了解です!」
次の支持を出した。すると、丁度重力がオフになったのか、格段に動きやすくなる。それから数分後、ダンテとそのサポートメンバーが戻ってきた。オルガ達は格納庫へ移動する。
「ん?バルバトスが・・・」
「レクスじゃない!」
「どういう事だ・・・?」
何故か格納庫にあったバルバトスーーもう団員たちは矛盾にあまり頓着しなくなったようだーーは、現在のバルバトスルプスレクスではなく、以前のバルバトスルプスだった。グシオンはリベイクではない。フルシティだ。他には数機の獅電、ランドマン・ロディ、流星号(4代目)や雷電号が格納されていた。ヤマギが流星号を見て、顔を歪ませた。シノが生きていることを改めて実感して涙が出そうになったのだろう、袖で目元を擦っている。
「よし、お前らよく集まってくれた」
鉄華団が勢ぞろいしている。
「ちなみに俺は一度死んだ」
「っ」
「は?」
ライドやチャド以外のメンバーは疑問符を浮かべているが、それを説明している時間はない。次にシノに目をやる。
「シノも死んだハズだ。でも今生きてここにいる。なんでこうなったかは分からねぇ。だが、今こうして俺が喋って、シノが聞いているのは確かだ。死んだはずの人間が生き返った。タカキもうちを辞めたはずなのに、ここにいる」
ざわつく団員たち。そこにオルガは、ここに来るまでに考えていたことを打ち明ける。
「蒔苗のじーさんをエドモントンに送り届けて事業を拡大したあとの状況にそっくりだと思わねぇか、お前ら」
「ああ、そういえば」
「たしかに、その時ならシノさんは生きてたし、団長も当然そうだ。MSの状態も・・・」
シノとオルガが生きていて、タカキがまだ鉄華団にいて、バルバトスはルプス、グシオンはフルシティの状態。これはまさしくエドモントンに蒔苗を送り届け、事業を拡大した当時の状態だった。ビスケットがいないのもそれに当てはまる。
「生き返り」に一定の規則性があることは確かなようだ。ひとまずこの謎について悩む必要はあまりないだろう。まだ問題は山積みだが、きっとこいつらとなら乗り越えられる。
オルガは生前の後悔を、この第2の一生に活かすことを決意するのだった。
探索 2は後で・・・。
次はシュヴァルツェスマーケンの世界の説明回になりそうです。原作にオルフェンズキャラを絡ませていく方向に決めました。