たった一つの望み   作:#1106

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お久しぶりです。就職に伴って地元を離れて一人暮らししています。まだ練習みたいなもんで本格的ではないですが。
待ってくれた人達に感謝を。

前話で次話BETAvs第666&鉄華団みたいにてたのにできませんでした。ごめんなさい。


急変(仮サブタイ)

BETA。英語で「人類に敵対的な地球外起源種」という文の頭文字を取った生命体。

中国新疆ウイグル自治区カシュガルに降着したユニット「ハイヴ」から無限に湧き出てくるその生命体は、あっという間に人類の生存圏を狭めていった。圧倒的な物量、死を恐れず緩むことのない攻勢、個々の特性。

それらを組み合わせ、数年で総人口を冗談のように減らした生命体。

人類は絶滅の危機に瀕し、それに対処するべく行動した。それが今の世界情勢であり、技術として現在に受け継がれいる。今この瞬間も最前線の国・地域は戦術機とそれを操る兵士である衛士やその他の軍人・武装組織が自らを人類の盾として、人類の滅亡の瞬間を遠ざけよう、BETAに負けてなるものかと死に物狂いで戦っている。

それは東ドイツも例外ではない。

いつもなら、BETAの攻勢を感知した東ドイツ軍は即座に戦闘態勢に移行するだろう。対BETA最前線の国として、その動きに淀みも迷いもない。

前線の要塞陣地群で戦闘準備が進められる中、そこから離れた戦術機基地も、戦術機の出撃準備が進められている筈だ。

しかし、今は状況が違った。原因不明のレーダー・振動センサーからの通信途絶と各基地との無線連絡が使用不可になっているのだ。その為に精鋭第666戦術機中隊を含む戦術機部隊を原因究明のため向かわせている最中だ。各要塞陣地のオペレーターもそのせいでBETA出現を通達することが出来ずにいた。

 

 

 

 

そんな要塞陣地群から遠く離れた地点で、この世界の軍人、第666戦術機中隊の面々と、火星から来たと言う「鉄華団」なる集団。

そのうちの一人である三日月・オーガスが、BETAの接近を勘で感知していた。切った貼ったの世界で磨かれてきた第六感は、極めて高い精度を誇る。

「な、間違いないのか!?ミカ!?」

「ああ」

「くっ、戦闘準備だ!」

オルガが素早く指示を下す。長年一緒にいた2人の信頼関係は高い。すぐさま部下達に戦闘準備をさせる。

団員たちも異存はない。自分達をここまで引っ張って来た信頼のおける団長の言葉に即座に反応する。軍人であるアイリスディーナ達から見てもその動きはよく訓練されたといえるだろう、統率の取れた素早い動き。

「・・・まさか」

その不穏な挙動を見、何もせずにいる愚鈍な指揮官ではないアイリスディーナは半信半疑ながらも確認することにした。

簡単だ。戦術機にはコックピットに伝わる振動を打ち消す機能がある。それをオフにする。

BETAは必ず大軍でやってくる。奴らの進軍による振動は、距離にもよるが地面に接していて感じられないような小さいものではない。

「この振動・・・BETAか」

苦い顔をするアイリスディーナ。こちらは謎の集団の取った戦闘準備でもしやと思いこうしたが、他の部隊はどうだろう。十中八九そんなことはしないだろう。直にBETA接近を感じることが出来るということは、身をもって自分達を害そうとする者の接近を体で感じるということだ。勿論目視やセンサーで探知するのとは違った緊張や恐怖があるだろう。振動がコックピットにいる衛士の操作に与える影響も無視出来ない。操縦桿の操作を誤ったり、フットペダルを踏む力にムラが出たりすれば、危うい状況になるのは誰でもわかるだろう。

「現在も要塞陣地への通信は不可能・・・。彼らはBETA接近を知らないようだな」

空を見上げればすぐに分かる。航空機やミサイル、砲弾を飛行中や着弾前に撃墜・迎撃する光線級への対策として、戦術機部隊の援護の為に撃ち出されるAL砲弾が見当たらないからだ。ここは人の住む地域ではないので、協議中のため射撃していないという可能性はない。

通信障害のため音紋解析やレーダー、移動速度による種別の解析は不可能。これは要塞陣地も各戦術機部隊も変わらない。通常なら

要塞陣地がBETAの接近を探知→各要塞陣地・各部隊に通告→各要塞陣地・各部隊が交戦

という段取りで動くが、それが出来ない。通信もできず、AL砲弾による援護と光線級による迎撃がされていないため、光線級がいるかどうかも不明。

極めて難しい状況だ。

「仕方ない。これより我々はBETA群に接近し、その種別を確認する。」

淀みなくアイリスディーナが説明。

「なるべく交戦を避けてBETA群の奥へ進入し、漏れが無いように、な。もし光線級が存在すればそれが分かった時点で1機を要塞陣地へと報告に向かわせる」

「「「「「了解」」」」」

と、その大事な場面で声が掛けられた。鉄華団なる集団の1人からだ。

「通信障害とかなんとか言ってたけど、それの原因俺たちかも知れません」

同志中尉の目が釣り上がる。それは当然だろう。自分たちが危機的な状況に置かれたのは自分たちのせいですと言われれば誰だって似たような反応をするに違いない。

そんな政治将校殿を遮り、副官のファム中尉が尋ねた。

「どういう事?」

その質問に、すぐさま答えるリーダー格らしき青年の声。こちらの切羽詰まった事情を察してか、簡単な説明を早口でしてくれる。

「俺たちの使ってるモビルスーツ・・・人形のでかいヤツの動力は、ほかの電子機器に影響を及ぼすんだ。あんたらの無線やレーダーが使えないのもそのせいだろう」

説明し終えると同時に振り向き、モビルスーツを操縦している部下に言った。

「モビルスーツに乗ってるやつは今すぐ動力を切れ!その後1分数えたらまた起動だ!」

「おう」「わかった」「ええ・・・?おう、分かったよ」

と様々な答え。数秒後、機械の巨人は動きを止める。それと同時に通信、データリンクが回復。遠く離れた要塞陣地と司令部は、いきなり元通りに機能するレーダースクリーンや音紋探知機に表示された輝点と急になり始めた警報音にしばし呆然となるがすぐさま行動を開始。前述の手順とは異なるが、BETAの接近を感知したならすべきことはひとつ。

「緊急!BETAだ!BETA群が迫って来ている!進出中の各部隊は交戦を開始してくれ!!」

オペレーターからの報告を聞いた司令官は、次のように続けた。

「光線級の存在は確認されていないが、砲爆撃をするには時間がいる!遅滞戦闘を・・・!」

突然の事態に戸惑う者もいたが、そこは軍人。戸惑いながらも上の指示に従って交戦を開始した。幸いにも光線級の存在は確認されていない。これならミサイルや砲弾・爆撃による効率的かつ効果的な排除が可能だ。もっとも準備に時間がかかる。

戦術機部隊を前に出していたのは不幸中の幸いだった。彼らなら歩兵や戦車よりも効果的に戦える。

 

 

 

 

第666戦術機中隊と鉄華団は、共にBETAと戦うことになった。




なんか説明が我ながらくどいような気がする

2018/3/31 08:05 誤字訂正。報告ありがとうございます。

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