天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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ライズのレアアイテム三銃士を連れて来たよ。


レアな上に入手の機会がない、ガーグァの金の卵。

ドロップ率がシブいシブ柿を超えたシブ柿こと、シビシビ柿。

女王のフェロモンよりも何故かレア、兵隊のフェロモン


異論は認める。




天龍ちゃんと炭鉱夫1

 

 

 

 

 

神通の依頼をこなしたことで無事ハンターランク3に到達した天龍。

ランクが上がったことで今まで挑めなかったより難しいクエストに挑戦出来るようになった。

そんな天龍が今回挑んでいるクエストは……。

 

「ハァ~、何でオレがこんなことやんなきゃなんないんだよ?」

 

「天龍ちゃん頑張って!」

 

ピッケルで海上に突き出ている採掘ポイントを掘っていく天龍と龍田。

そう、天龍が挑んでいるのは採集クエストである。

何故天龍が採集クエストを受けているのか、その理由は出撃前まで遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?今受けられる狩猟クエストがないって?」

 

「はい、ランク3どころかランク1も2にも狩猟クエストは一つもありません。」

 

クロオビ鎮守府の執務室、そこで天龍は神通に詰め寄っていた。

 

「せっかくランク3になったっていうのに?」

 

「別に意地悪で言ってるわけじゃないんですよ。タイミングがいいのか悪いのか、現在特に狩れるような相手が発見されていないんです。戦いというのは相手がいて初めて成立するものです、なのでその相手がいなければ狩猟クエストの依頼は出しようがないんです。」

 

納得のいかない天龍だが、神通に優しく諭される。

 

「たまにはこういう日だってありますよ。」

 

「そんなこと言われたってなぁ……。」

 

新たな敵との戦いを心待ちにしていたにもかかわらず、出鼻を挫かれたことでテンションは下がりに下がる。

 

「天龍ちゃん探したわよぉ。」

 

「あっ、龍田!」

 

そこへやって来たのは皆さんご存じ天龍の妹こと龍田。

 

「やっぱりね、どうせそんなことになってると思ってたわぁ。」

 

「どうせって……。」

 

「狩猟クエストがなくてやる気が出ないんでしょう?ワガママねぇ。」

 

「うぐっ……。だって仕方ないじゃんかよ!せっかくランク3に上がったんだぜ?どんな相手と戦えるか気にならないか?それに自分で言うのもなんだけど、天龍って艦娘としてはお世辞にも強いとは言えないじゃん。天龍改二とか腹立つことに改二の軽巡で最弱って言われてるんだぜ?数少ない長所は燃費の良さだけど、そのせいでお呼びがかかるのは遠征要員ばっかりだ。だけど狩娘だったら性能は関係ない、戦艦だろうが駆逐艦だろうが能力は全員横並び。それにやられたって轟沈しない。だからオレはここで建造されたことに感謝してるんだぜ、ここでなら思いっきり戦えるってな。」

 

「つまり気兼ねなく戦える環境下にあるのに戦えないのが嫌なんでしょ。」

 

「そゆこと。」

 

「ふぅん。でも神通さんの言うように敵がいなきゃ戦えないわよ?それに狩猟クエストは無くても採集クエストがあるじゃない。採集クエストなら敵がいなくても受けられるし、むしろ邪魔してくる敵がいないから普段より楽チンよ。」

 

「えぇ~採集クエスト?採集クエストってチマチマとアイテム集めるだけのつまんないクエストじゃん!そんなのオレの趣味に合わねーぞ。」

 

「それがワガママだって言うの。狩娘は艦娘よりも軍隊っぽさは少ないし、狩娘の自主性も重視されてはいるけどそれでも好き勝手していいわけじゃないのよぉ。それにクエストに貴賎はないわ。アイテムを集めてくるのだって大事なクエスト、必要だからこそ依頼があるの。そして本物の一流狩娘は受けるクエストを選ばない、好き嫌いしているようじゃ最高の狩娘なんて夢のまた夢よ。」

 

「龍田さんの言い方はちょっと大げさですが、狩猟クエストがないからってだらけてもらっては困ります。今日は休日ではないのですから。それにランク3にならないと出撃許可が下りない海域もあって、そこでしか採集出来ない素材だってあります。そういうものを集めて次回の狩りに備えるというのも大切なことですよ。」

 

「そうそう、それに新しい海域の下見にもなるしね。初めての海で深海棲艦を探し回って迷子になるのはイヤでしょ?」

 

「ハァ、わーったよ!じゃあこの燃石炭の納品ってやつにするよ。」

 

「ふふっ、じゃあ今回は私も付いて行ってあげるわね。新しい海域だし困ることもあるでしょ?」

 

こうして天龍は龍田と一緒に採集クエストに出ることになったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新しい海域ってことでワクワクしてたんだけど、そこまで代わり映えしねぇなぁ……。」

 

「そりゃそうでしょ。今までの海域から一つ隣の海域に移っただけで、極端に離れてはいないもの。でもね、ここの海域の方が貴重な資源が多いし、それを狙って強力な深海棲艦も集まってくるのよ。」

 

「とはいえ今日は深海棲艦いないんだろ?」

 

「まぁね。」

 

天龍の目の前に広がる大海原。

鎮守府を出てすぐの海域より若干岩礁が多いという違いこそあれど目立った差はそのくらいであり、ただただ青く穏やかなだけの海である。

 

「本当に何にもいねぇなぁ。」

 

まだ出撃してほとんど時間が経っていないというのもあるが、敵対的な深海棲艦の姿は全く見られない。

大型の深海棲艦はおろか中型のドス系深海棲艦、それどころかイ級のような小型深海棲艦すら見掛けないのだ。

一応ワ級といった危険度皆無な深海棲艦や野良連装砲ちゃんなどは何度か発見しているので、海に誰もいないなんてことはないが、こちらに敵意を向けてくる相手がいないというだけで気が抜ける。

 

「さぁて、今回のクエストの目的は覚えてる?」

 

「あぁ覚えてるよ、燃石炭の納品だろ?」

 

「そう!そしてその燃石炭を手に入れる方法は……。」

 

龍田はピッケルを取り出し、近くの岩礁にある採掘ポイントを掘っていく。

 

「アハッ、出たぁ♥ホラ、これが燃石炭よぉ♪」

 

龍田が掘り出したのはニワトリの卵ぐらいの大きさをした石炭。

 

「採掘で手に入るのは分かったけど石炭掘っただけで艶っぽい声を出すのはやめろォ!!何が出ただ!オレとそっくりな声でそんなこと言われると背筋がゾクゾクするんだよ!」

 

「もうっ、ちょっとふざけただけなのに……。」

 

「全く、それにしてもオレの知ってる石炭と違うな。」

 

石炭は黒いダイヤモンドの別名で呼ばれることもある、変質した黒い木の化石である。

しかし燃石炭は石炭でありながら色は赤みを帯びており、また仄かに熱を発するという性質によって触るとホカホカと暖かい。

 

「この燃石炭は通常の石炭よりもずっと燃焼効率がいいのよ。マカライトを始めとしたこの地域特有の鉱石は鉄よりも丈夫な代わりに並の熱量では精錬出来ないわ。私達がマカライト製の武器防具を使えるのも燃石炭のお陰なのよ。その代わりにまとまった鉱脈がないからこうやって地道に採掘していくしかないんだけどねぇ。」

 

「石炭の採掘なんて普通に考えたら狩猟の片手間に出来るような気軽な作業じゃないと思うんだけどな……。」

 

天龍もピッケルを取り出すと物は試しと採掘ポイントを掘ってみる。

 

「これか?龍田のと全然違う気がするんだけど?」

 

天龍が掘り出したのは龍田の持つ燃石炭とは比べ物にならないほど赤く、そして高い熱を放つ石。

最初は単に上質な燃石炭かと思ったものの、よく見れば全く別の種類の石であることが分かった。

 

「それって紅蓮石じゃない!」

 

「紅蓮石?」

 

「紅蓮石は産出量の少ない希少な鉱石で、強力な装備を作る際の素材として欠かせないものなのよぉ。」

 

「ふーん。」

 

「もう、本当に希少なんだからねぇ!ビギナーズラックでいきなり採掘した天龍ちゃんには分かりにくいと思うけど、この海域の採掘ポイント全て回っても一回のクエスト中に一個掘れるかどうかってくらい珍しいんだから!」

 

紅蓮石の需要も希少性も分からない天龍は興味なさげにポーチに石を突っ込むと採掘を再開する。

続いて掘れたのは緑色をした鉱石。

 

「これは?」

 

「それはドラグライト鉱石ね、マカライト鋼よりも上質なドラグライト鋼が精錬出来るわ。ドラグライト鉱石は紅蓮石ほどの希少性はないけど、それでもマカライト製よりも強力な装備の素材になるわ。」

 

「へー。」

 

またしても反応の悪い天龍は鉱石を雑にポーチに入れてから採掘の続きを始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから海域中を探索し、目に付いた採掘ポイントを粗方掘り尽くした天龍は思わずつぶやいた。

 

「おかしくね?」

 

「えっ、何が?」

 

「こんだけ採掘したのに未だに燃石炭が一個も出てないんだよ!どう考えてもおかしいだろ!?」

 

そう叫ぶ天龍のポーチの中に燃石炭は一つも入っておらず、その代わりには鉄鉱石やマカライト鉱石、ドラグライト鉱石などの石系素材がたくさん入っていた。

 

「素材がいっぱいでよかったじゃない。」

 

「そうじゃねえよ!このクエストは燃石炭の納品なんだろ?なのにこれじゃ納品出来ねぇぞ!」

 

「心配しなくても私が既に納品に必要なだけの燃石炭を掘ったから天龍ちゃんは気にしなくていいのよ。」

 

本人の言うように龍田のポーチは既に燃石炭でいっぱいであり、これだけあれば納品してもお釣りがくるレベルになっていた。

 

「オレが納得しねぇの!戦闘がないのはまだ仕方ないとして、アイテムまでないんじゃここまで来たオレがバカみたいじゃん。せめて一つくらい掘りたいんだよ!」

 

「うーん、アイテムは欲しがれば欲しがるほど出てこないっていうジンクスがあるんだけど……。」

 

「物欲センサーってやつ?オレはそんな迷信信じねぇぞ!」

 

「仕方ないわねぇ、それじゃこの海域最後の採掘ポイントに行きましょ。だけど次が最後なんだから、これで出てこなかったら諦めてね?」

 

「おうよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この海域の一番奥にある一際岩礁に囲まれたエリア、天龍と龍田はそこにやって来た。

 

「ここは本来なら大型の深海棲艦の寝床になっていたり、小型の深海棲艦が群れを成している危険なエリアなの。でもその代わり採掘ポイントの数も多いから、アイテムを集めるなら危険を冒してでも来る価値はあると思うわよ。」

 

「なるほど、確かに戦闘エリアとしては狭くて戦いにくそうだけど、岩礁が多いからこそ採掘には困らないのか。じゃあ早速掘ってみるぜ……チッ、鉄鉱石か。そんで今度は石ころ。でもまだまだ掘れるみたいだし最後まで諦めないぜ!」

 

しかし掘っても掘っても出てくるのは鉱石ばかり。

流石の天龍も諦めムードになってきたが、それでも一縷の望みに賭けて最後の採掘ポイントにピッケルを振り下ろす。

その声に天が答えた……のかどうかは定かではないが、遂に今まで一度も見たことないものが出土する。

 

「わっ、何だこれ?燃石炭じゃないけど、綺麗な小石みたいなものが出てきたぞ!」

 

「あら、それお守りじゃない。」

 

「お守り?お守りって以前雷に貰って、今も装備しているこれのことか?」

 

天龍が取り出したのは本人の言った通り、かつて食堂で雷に貰ったお守り。

お守りには気絶スキルが8ポイント付いており、1つある装飾品スロットには電に貰った耐絶珠が入っている。これによって気絶半減のスキルが発動している。

しかし雷と電には悪いが、見ての通りそれほど価値のあるお守りではない。

雷と電に着任祝いにプレゼントされたからというのもあるが、天龍がこれを装備している一番の理由は他にお守りを一つも所持していないからなのである。

 

「そうそうそれよ。天龍ちゃん覚えてる?雷ちゃんにお守りは採掘してると見つかることがあるっていわれたの。」

 

「あー、そんなことも言ってたっけ?」

 

「もう、適当なんだから。あのね、詳しい理由は分かんないけどお守りは一般的に強い深海棲艦が多い海域で出やすい傾向にあるのよ。鎮守府付近の海域よりこっちの海域の方が危険度が高いことの証明ね。これから天龍ちゃんが危険度の高い海域に行く機会が増えれば、お守りを目にする機会も増えるわよ。」

 

「ふーん。それでこれは何のお守りなんだ?」

 

天龍は掘ったばかりのお守りを日にかざしてみたり海水で洗ってみるが不思議な力は何一つ感じられず、現状ではただ綺麗なだけの石にしか見えない。

 

「残念だけどそれは帰ってみないと分からないわ。」

 

「え、何でだよ?」

 

「掘っただけじゃダメなのよ。ちゃんと磨き直して本来の姿を取り戻してあげなきゃお守りの性能は分からないわ。鎮守府にはお守りを復元してくれる機械があるからそれを使いましょ。」

 

「そっか、だから持って帰らなきゃダメなのか。」

 

「さびた塊を掘り当てた場合も扱いはお守りと同じだからゴミだと思って捨てないようにね。」

 

「さびた塊?」

 

「さびた塊も採掘で手に入るアイテムで、見た目は名前通りさびた金属の塊なんだけど、その正体は現代では解析不能な技術で作られた古代文明の武器よ。こっちを復元するには大量の研磨剤が必要になるから、お守りと同じように気軽に復元とはいかないけど覚えておいて損はないわぁ。」

 

「ふーん。しかし肝心の燃石炭は結局一つも出なかったな。」

 

「そういう日もあるわよ。今回は私の燃石炭を納品して終わりにしましょう?」

 

「チッ、納得いかねー!」

 

「ふふっ、私がいて助かったでしょう?」

 

 

 

 

 

こうして天龍初めてのランク3のクエストはとても平和な終わり方を迎えた。

しかしこの平和なクエストこそが次の騒動の引き金となるなんて、この時点では誰にも予想出来るはずがないのであった……。

 

 







実は上位になるまで疾翔けのZL+ZRの操作を知りませんでした、大胆な告白は猛き炎の特権。
なので寒冷群島エリア9の手記を取るのはプロハンじゃないと無理だと思ってたし、水没林エリア7の手記は滝側から操虫棍でジャンプするという無理矢理な方法で突破しました。

よい子も悪い子も操作説明はちゃんと読もうね!




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