天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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本当は先月投稿する予定だったけど、操作ミスで完成間際の文章全ロスト。

なので全部書き直し、ぴえん。





天龍ちゃんとアイスがボーン!5

 

 

 

『ギャアアァァァァ!!!』

 

 

 

『バラララララララ!!!』

 

 

 

 

 

凍て付いた海の上にて、互いに敵意剥き出しで咆え合う凍魚と化け鮫。

魚類に酷似した二体のモンスターの放つ咆哮は大気を震わせ、天龍と川内の鼓膜も容赦なく揺らしていく。

 

「うう~ッ、うっさい!!」

 

「なんつー馬鹿デカい声だ!そもそも魚が咆えんじゃねぇ!!」

 

前後からステレオで浴びせられた咆哮のシンフォニーに反射的に耳を塞いだ天龍と川内。

二体のモンスターは息を合わせたかのように、隙を晒した二人目掛けて突進を開始する。

 

「やべっ!これ挟み撃ちじゃん!」

 

「そんなこと言ってる場合!?避けるよ!」

 

天龍と川内はその場から飛び退くが二体のモンスターは構うことなく突進を続け、氷の海の中央で激突する。

 

『バルググゥゥ!!』

 

『ギャアアァァァ!!』

 

凍魚は化け鮫の鼻先に噛み付き牙を深く突き立て、化け鮫はそれを振り払うべく全身を激しく振り回す。

激しい動きに付いてこられなくなった凍魚はやがて振りほどかれ、振り回された勢いで氷の大地に叩き付けられた。

 

「縄張り争いね……。」

 

「縄張り争い?」

 

「知らないの?モンスターは種類によっては敵対していることがあって、そういったモンスターはお互いの縄張りを守るために激しく争い合うことがある、それが縄張り争い。深海棲艦にも同じような習性があって、ターゲットの深海棲艦の縄張りに他の深海棲艦を誘導することで縄張り争いを誘発させて狩りを有利に進めることが出来るんだよ。」

 

「つまり凍魚と化け鮫は敵対関係にあるから、オレ達そっちのけで争ってるってわけだな?」

 

「そういうこと。」

 

「あいつらを戦わせることでオレ達が漁夫の利を得る、あるものは全て使えとはそういうことか……。」

 

このまま凍魚を化け鮫と戦わせ続け、弱ったところを一網打尽にしようと目論む天龍。

しかし現実はそう甘くはない。

 

『バルラッ!!』

 

『ギュアッ!?』

 

凍魚は今度は化け鮫の脇腹に食らい付くと、先程とは逆に化け鮫を振り回す。

その際に天龍は凍魚と目が合った気がした。

やがて振り回しに勢いが付いて来ると凍魚は化け鮫を投げ飛ばす、投げた方向は天龍達がいる場所。

 

「うわっ、こっちに飛んで来た!?」

 

「あ、あいつ!?オレ達を狙って!?」

 

飛んできた化け鮫を避けるべく天龍と川内が身構えた、次の瞬間……。

 

 

 

 

 

ブオオオォォォォォ!!!

 

 

 

 

 

「化け鮫が巨大化したァ!?」

 

「目測が狂った!このままじゃ避けられない!?わあぁ!!」

 

「ぐええぇぇ!!」

 

化け鮫は空中で大きく膨張し、巨大なボールのような姿へと変貌した。

元々大きかった化け鮫の身体、それが更に巨大化したことで天龍と川内は逃げ場を失い、化け鮫の膨らんだ腹部に押し潰される。

 

『ギュオォ!ギュアッ!ギュアッ!』

 

天龍達を巻き込んで氷上に落下した化け鮫だが、落下のダメージなど全く意に介した様子はなく、見た目通りボールのように転がって再び凍魚へと向かっていく。

 

「いってぇ……。オイ、無事か?」

 

「うん、このくらいなら耐えられる……。」

 

化け鮫の腹に押し潰された天龍と川内だったが、思ったより軽傷で済んでいた。

 

「着地の衝撃を和らげるために膨らんだんだね。お腹が柔らかかったお陰で潰された割にダメージが少なく済んだみたい……。」

 

「あんの魚野郎、オレ達を狙って投げやがったな!」

 

「やっぱりあれはわざと?」

 

「目が合ったんだ、間違いねぇ!凍魚は化け鮫とオレ達をまとめて倒そうと考えたんだ!」

 

最初は化け鮫という強敵が現れたことで、狩娘という格下を忘れて戦い始めたのかと思ったが、それは天龍達の勝手な思い込み。

凍魚は化け鮫も天龍達もどちらも倒すべき敵だと考えて行動していたのだ、そしてそれは化け鮫も同じだろう。

化け鮫も凍魚と戦いつつも、いつでも天龍達を攻撃する用意は整っていたのだ。

 

「奇遇だな!オレもお前らと同じこと考えてたんだ、お前ら二匹ともまとめてブッ飛ばす方法ってのをな!もちろん川内もいけるよな!?」

 

「当然!それに長門は一人で大戦果を挙げたってのに、私達はモンスターが共倒れになるまで待ってるってのはカッコが付かないでしょ?」

 

「よーし、その意気だ!そこでだ、ちょいと耳を貸せ。オレにいい考えがあるぜ!」

 

「いい考えねぇ……そのセリフって失敗フラグってヤツじゃないの?」

 

「うるせぇ!いいから黙ってオレの話を聞け!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うしゃあぁぁぁぁ!!」

 

「らあーーーっ!」

 

互いに威嚇し合う凍魚と化け鮫、その隙を逃さず天龍は凍魚に、川内は化け鮫へそれぞれ横合いから攻撃を仕掛ける。

 

『ッ!?バルルルルッ!!』

 

凍魚はいきなり横合いから攻撃されたこともあって怒り狂い、鼻息を荒しながら天龍へと角を振り下ろす。

それを読んでいた天龍は身軽にかわし、狙いを外した角は勢い余って足元の氷に叩き付けられた。

大鉈のように硬くて鋭い角、そこに凍魚の怪力が加われば硬い氷にすらヒビが入る。

そんなものが当たればひとたまりもない、しかし天龍はそれを理解した上で敢えて凍魚を挑発する。

 

「よし、いい調子だ!いいか、相手はオレだ!化け鮫じゃない、オレを狙って攻撃してこい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ!?こ、この手ごたえは!」

 

一方で化け鮫に戦いを挑んだ川内は苦戦を強いられていた。

 

「これってアレじゃん!なんちゃらの拳っていうマンガに出てくる、拳法殺しの肉体ってやつ!」

 

風船のように膨らんだ柔軟な腹部は狩猟笛の打撃の衝撃を分散してしまう。

川内は負けじと何度も殴りつけるものの、やはり効いた様子はない。

 

「手数を増やしてもダメか。マンガでは連続で攻撃し続けて肉の壁をかき分けていたけど、現実はマンガのようにはいかないね。」

 

『ギャッギャッギャッギャッ!!』

 

化け鮫は川内の攻撃が自分には通用しないと理解しているのか、あざ笑うような声を上げるだけで攻撃をしないという余裕すら見せている。

この柔らかい肉体を攻略するのであれば、斬撃武器を持っている天龍と役割を交代してもらうのが一番手っ取り早い。

しかし肝心の天龍は既に凍魚と交戦中である、それに打撃が効かないくらいで川内は諦めない。

私は拳法家じゃないんだけどなと愚痴りながらも、改めて狩猟笛を構える。

 

「マンガの拳法殺しも結局は拳法で倒されたんでしょ?同じように狩猟笛にも打撃が効きにくい相手を攻略するやり方っていうのはあるからね!」

 

川内は狩猟笛を大きく振り回し、最後に蹴り上げることで気合を入れる。

 

 

 

 

 

「ハアッ!狩技・アニマートハイ!!」

 

 

 

 

 

「殴りごたえはなかったけど、何度も殴らせてくれたお陰で旋律も狩技の力も溜まってんの!狩猟笛の真骨頂を見せてあげるッ!」

 

『カンカンカカコカン♪カカカカココココカンコンカン♪』

 

化け鮫の前で演奏を開始する川内。

 

『ギャアァァ!!』

 

演奏の音色は相対してるモンスターの神経を逆撫でる。

先程まで余裕を見せていた化け鮫も演奏によって攻撃的になり、積極的に川内に攻撃を始めた。

 

「遅いよっ!」

 

勢いを付けて飛び上がり、膨らんだ腹部でのしかかり攻撃を仕掛ける化け鮫。

しかしその程度で川内の演奏は止まらない、演奏をしながらも流れるように回避する。

 

『カンカンカカコカン♪カカカカココココカンコンカン♪』

 

続いて化け鮫はゴロゴロと転がり、膨張した全身を使って川内を押し潰そうと試みる。

 

「だから遅いっての!」

 

しかしそれも当たらない。

先程の焼き直しのように川内は演奏を続けたままヒラリと回避する。

 

「アニマートハイは演奏中に回避行動をとれるようになる狩技!そんな大振りな攻撃じゃ避けて下さいって言ってるようなもんだよ!そしてこの那珂ちゃんマイクの旋律効果は……。」

 

演奏を終えた川内は演奏前と同じように化け鮫の膨らんだ腹部へと狩猟笛を叩き込む。

 

 

 

 

 

ズドムッ!!

 

 

 

 

 

『ギャアッ!?』

 

今まで全く効果がなかった打撃、それが身体の芯にまで響く重い一撃に変わる。

思いもよらないダメージを受けた化け鮫は困惑の色を隠せない。

 

「那珂ちゃんマイクの旋律効果は攻撃力と防御力の強化、ついでにあらゆる狩猟笛共通の旋律として移動速度も強化されるからね。今までと同じだと思ってると痛い目を見るよ?」

 

先程までとは比較にならないスピードで化け鮫の巨体に強化された打撃を矢継ぎ早にお見舞いしていく川内。

膨らんだ化け鮫の腹部はもはや攻撃を受け止めるクッションではなく、大きいだけのサンドバッグと化していた。

 

『ギシャアアァァ……。』

 

「うっ!?」

 

身体が肥大化し動きが鈍くなっている膨張状態では不利だと判断した化け鮫は、全身から冷たい空気を放出して元の大きさへと戻っていく。

至近距離で冷気を浴びせられたことにより、旋律で強化された川内も流石に怯んで攻撃の手が緩む。

 

 

 

ピシッ……ピシリピシリ……。

 

 

 

川内が離れたその隙に化け鮫の表皮から体液が染み出してくる。

化け鮫の分泌する特殊な体液は、低温に晒されるとすぐに凍結する性質があるのだ。

 

 

 

バキンッ!!

 

 

 

やがて硬質な音と共に体液は完全に凍り付き、化け鮫の全身に氷の装甲が形成された。

敵を引き裂く鋭い矛、攻撃を受け止める頑丈な盾、攻防一体の氷の装甲を身にまとった姿。

これこそが化け鮫の本気である氷纏い状態だ。

 

『ギャアアァァァ!!!』

 

本気を出した化け鮫は氷の大地に頭から突っ込むとドリルのように身をよじらせる。

化け鮫の体液で作られた氷は天然の氷よりも硬度が高いようで、あっという間に氷に穴を開けると化け鮫の巨体はまるで吸い込まれるように氷の中へと消えていく。

唯一氷の中から飛び出ているのは青白い装甲をまとった背ビレ。

その背ビレは足元の氷をバターのように切り裂きながら、文字通りサメ映画を彷彿とさせる動きで川内へと迫ってくる。

 

「やっぱり……。最初に氷の中から現れたからそうじゃないかとは思っていたけど、氷の中を潜行する能力を持ってたんだ!」

 

氷を切り裂きながら近付いて来る背ビレ、それに触れれば同じように切り裂かれてしまうだろう。

川内は敢えて大袈裟に回避してみた、すると背ビレも同じように大きく旋回し、川内を追い掛けてくる。

 

「ふーん。どうやって氷の下からこっちのことを認識してるかは分かんないけど、とにかく私のことを追い掛けてくるつもりなんだ。それなら、もうちょっとだけ鬼ごっこに付き合ってもらおっか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身軽にステップを踏み続けることで、己を叩き潰そうとする凍魚の猛攻をかわしていく天龍。

スタミナの許す限り走ることで、氷の下から自分を狙う化け鮫の追跡から逃げ続ける川内。

しかし回避というのは体力以上に神経を削っていく。

徐々に動きは精彩を欠いていき、防戦の末に二人は氷の中央で背中合わせとなった。

しかし二人の表情は追い詰められたものが浮かべる絶望に染まったものではない。

その真逆のしてやったりと言わんばかりの不敵な笑み。

 

『バララララ……。』

 

『ギャアァァァ……。』

 

二体のモンスターに挟まれた二人は背中合わせのまま肩越しに会話する。

 

「こっちの仕込みは万全だぜ。そんでそっちの首尾は?」

 

「こっちも上々、いつでもいけるよ!」

 

「うしっ、そんじゃ仕上げといくか!」

 

「了解っ!」

 

二人は同時に駆け出して、それぞれモンスターの横をすり抜ける。

 

『『ッ!?』』

 

モンスターはまさかクタクタになるまで追い詰めたはずの敵が元気に駆け出すとは思っておらず、止める間もなく素通りさせてしまった。

それもそのはず、二人の動きが徐々に鈍くなっていったように見えたのは相手を油断させるためのフェイク。

モンスター達はまんまとそれに引っ掛かったのだ。

 

「お前らがマヌケで助かったぜ!お礼に天龍様からのプレゼントだ!!」

 

「仕掛けるよ!大盤振る舞いだあっ!」

 

二人は氷上を走り回りながらポーチから大きなタルを取り出して、放り捨てるように次々とあちこちへ置いていく。

もちろんそれらはただのタルではない。

大タル魚雷と呼ばれている内部に大量の爆薬が仕込まれた特別製のタルである。

やがて氷上には6個の大タル魚雷と4個の大タル魚雷G、合わせて10個もの魚雷が置かれた。

本能的にそれらの危険性が分かるのだろう、大量の魚雷を前にして流石のモンスターもたじろぐ。

 

「待たせたな、それじゃ綺麗な花火を上げさせてもらうぜ!」

 

天龍はポーチから片手サイズの小さなタルを取り出すと、タルの蓋から出ている導火線に火を付ける。

当然こちらも単なるタルではない、小タル魚雷という片手で扱える小さなサイズのタル魚雷である。

 

「そんじゃ行ってこい!」

 

天龍はI字バランスのように片足を天高く上げ、そして足を勢いよく振り下ろすと同時に火の着いた小タルを思い切り投げる。

まるで野球漫画のように綺麗な投球フォームで投げられた小タルは、風を切って一つの大タルへと直撃した。

 

 

 

 

 

次の瞬間、氷海地帯は灼熱と閃光に包まれた。

計10個の大タル魚雷による爆発は莫大な光と煙、そして爆音を発生させ、その場にいる者全ての視覚と聴覚を奪う。

しかし飽くまでそれは一時的なもの。煙が晴れ、目は光を取り戻し、耳鳴りは去っていく。

やがてモンスター達は気付く、あれ程の爆発にも関わらず自分達にはそれ程ダメージがないということに……。

 

「ダメージが少ないことを不思議に思ってんな、そりゃそうだ。魚雷はそこら中にばら撒いたんだ。お前らの近くでまとめて起爆したわけじゃない。だがそれでいいんだ、オレの狙いはお前らを爆破することじゃないからな。」

 

 

 

ピシリ……。

 

 

 

どこからか硬いものにヒビが入る音が聞こえてきた。

 

 

 

ピシピシ……ピキピキピキピキ……。

 

 

 

やがて同じような音があちこちから響き、音自体も少しずつ大きくなっていく。

突然の事態に困惑し周囲を見渡していたモンスター達は、足場となっている氷の大地に次々と亀裂が入りつつあることに気が付いた。

 

「今頃気付いてももう遅い!オレ達が意味もなく逃げ回ってるとでも思ったか?オレ達の目的はお前らにワザと足元を攻撃させることで、氷全体を脆くすることだったんだよ!この大タル魚雷の爆発はその仕上げってわけだ。そういうことで仲良く一緒に落ちようぜ!」

 

 

 

バキバキバキバキ……バギンッ!!

 

 

 

一段と大きい音を立て、遂に氷の大地は完全に砕け散る。

砕けた氷では上に乗る者の体重を支えることは出来ず、それに伴い天龍も川内も、そしてモンスター達も冷たい海へ放り出された。

 

「よっと!」

 

天龍と川内は危なげなく海の上へと降り立った。

周囲にはみぞれ状になった氷が海に浮いており、ここまで細かく砕けていては再び上に乗るのは不可能だろう。

 

「さて、モンスターどもは……やっぱりな。」

 

海に落ちた二頭のモンスター、しかし彼らは寒冷地に棲む魚型のモンスターである。

溺れることも凍えることもなく、背中と背ビレを露出させた形で海に浮いている。

しかしいきなり足場を崩されて海に落とされたショックで動揺しているのか、二頭ともゆっくりと泳いでいるだけで大きな動きは見られない。

 

「見た目で予想はしてたけど、魚型をしているだけあってお前らは海でも活動可能なんだろ?だから海に落とされても大してダメージは受けない。とはいえどんなに泳ぎが上手くたって、オレ達と同じように水の上を陸と同じように歩くのは無理だろ?だからこんな風に背中が無防備になる!」

 

天龍はポーチからロープを取り出すと、手早くカウボーイのような投げ縄を作り、それを凍魚目掛けて投げ付けた。

ロープの輪はまるで輪投げのように上手く背ビレを捉える。

 

「ビンゴ、背ビレに引っ掛かった!胴体が沈んでくれたお陰で背中に乗りやすいぜ!」

 

天龍はロープを手繰り寄せながら凍魚の背中に飛び乗ると、更にロープを固く背ビレに巻き付ける。

背に乗られたことでようやく再起動を果たした凍魚は身をよじって暴れるが、天龍は足を踏ん張り、ロープを握ることで離れない。

川内も天龍と同じように化け鮫の背ビレにロープを取り付け、背中に乗り込む。

 

「ツタの葉とクモの巣とネンチャク草を寄り合わせて作った特製のロープだ、ちょっとやそっとじゃ外れないし千切れないぜ!これで即席の手綱の完成だ、それじゃ思いっきり泳いでもらおうか!」

 

左手にロープ、右手に太刀を握った天龍は、凍魚の背中に太刀をグサリと突き立てた。

 

『バララララッ!?』

 

巨大な爆破に巻き込まれる、氷を砕かれて海に落とされる、背ビレに手綱を取り付けられて背中に乗り込まれる。

一連の出来事はいずれも凍魚の冷静な判断力を奪うのに充分なものであり、それを立て続けに起こされた挙句、トドメと言わんばかりに背中に太刀を突き立てられた凍魚は完全にパニックを起こして滅茶苦茶に泳ぎ出した。

天龍は背ビレに巻いたロープを巧みに操ることで凍魚の進行方向を制御し、スピードが落ちてくれば再び太刀を刺すことで加速させ、凍魚が海中に潜ろうとすればロープを引き絞ることでそれを阻止する。

その様子はまるで暴れ馬を華麗に乗りこなす天才ジョッキーのようであった。

 

「ハイヨー、シルバー!ロープのお陰でモガの時より乗りやすいな。よぉし、モンスターを乗り回すこの戦法を『ライドオン・天龍ダイナミックステアリング・スペシャル』と名付けよう!」

 

自分で開発したと思い込んでいい気になっている天龍だが、この戦法は遠く離れたカムラ鎮守府において『操竜』という名前で既に広く知られているものであった。

 

「川内!そっちの調子はどうだ!?」

 

「大丈夫、こっちも上手く乗れてるよ!」

 

背中に生えている氷の棘のせいで若干乗りにくそうにはしているものの、川内も天龍と同じように化け鮫をまるで水上バイクさながらに乗り回す。

 

「よし、それじゃあタイミング合わせろ!」

 

「了解!」

 

天龍は凍魚を化け鮫目掛けて猛スピードで泳がせ、川内もそれを迎え撃つように化け鮫を泳がせる。

 

「「いっけえぇぇぇぇぇ!!!!!」」

 

 

 

 

 

ドォォォォォン!!!

 

 

 

 

 

凍魚と化け鮫は真正面から全速力で激突した。

化け鮫は凍魚の鋭い角で氷の装甲ごと顔面を切り裂かれ、しかし凍魚の角も激突の衝撃には耐えられず根元からへし折れる。

 

『バラ……ラ……。』

 

『ギ、ギャ……。』

 

か細い呻き声を最後に完全に動きの止まった凍魚と化け鮫は徐々に沈んでいき、やがて騎手の天龍と川内を海上に残して、暗く冷たい海の底へと完全に沈んでいった。

 

「貴様らには水底がお似合いだ……なんつってな。」

 

天龍と川内はモンスターが沈んでいくのを見届けると岸に上がる。

 

「わざとモンスターの攻撃を誘って、次に脆くなった氷を爆破して、最後はモンスターを乗り回して激突させる。最初に聞かされたときは何て無茶苦茶な作戦を考え付くんだって思ったよ……。」

 

「あるものは全て使え、オレはその言葉通りに行動しただけだぜ。それにお前も結局オレの作戦に乗ったじゃねーか、作戦が成功したのはお前の協力があったからこそだぜ。」

 

「そりゃ我武者羅に攻めるよりは何らかの方針があった方がいいし、一緒に出撃したのはこれが初めてだけど、これでも天龍のことは信頼してるんだからね。」

 

「よせやい、照れるだろ。」

 

「ふふっ、それじゃボワボワの住居に戻ろっか。ちょっと遠いけど私は来た道を覚えているから迷子になったりする心配は……。」

 

 

 

 

 

ドンッ!!!

 

 

 

 

 

天龍と川内が歩き始めたその瞬間、後ろの海から二つの大きな水柱が立った。

水柱の正体はもちろん凍魚と化け鮫。

凍魚と化け鮫は海から勢いよく飛び上がり、先程まで天龍達が立っていた岸に着地する。

 

『バラララララララ!!!』

 

『ギャアアアァァァァァ!!!』

 

「こっ、こいつら!?まだ生きていたのか!?」

 

二頭のモンスターは明らかに致命傷を負っているものの、その闘志に衰えは見られない。

それどころか自身の命がもう長くないことを悟っているのか、刺し違えてでも天龍達を倒そうという意思すら感じられる。

 

「こんなになってまで戦おうとするなんて!?」

 

「もはや意地なんだろうな!川内、油断すんなよ!こいつら手負いの獣を通り越して完全に捨て身だ!捨て身の奴は何をしてくるか分かんねぇから怖いぜ?それにこっちも流石に余裕はない、相手が死ぬ気ならこっちも死ぬ気で掛からなきゃ本当に死ぬぞ!」

 

残された命を全て燃やし尽くしてまで戦おうとするモンスター、それを迎え撃つべく天龍と川内も武器を抜く。

 

「ホットドリンク飲んでるのに何だか肌寒くなってきたな、奴らの決死のプレッシャーのせいか?」

 

急に寒気を感じた天龍は緊張をほぐそうと軽口を叩く。

 

「いや、本当に気温が下がっているみたい。ほら、雪降ってる。」

 

気付けばいつの間にやらチラチラと雪が降り始めていた。

 

「相手がやる気なのに雪に気を取られてちゃダメだよ……って急に雪が強くなってきた!?」

 

初めは粉雪でしかなかったそれが10秒立たずして激しくなり、それに伴い風も強まって吹雪となる。

 

「おいおい、あれ見ろ!異常気象にしたっておかしくないか!?」

 

天龍達が爆破したことで砕けた氷海、それが目の前で再び凍って固まりつつある。

いくら気温が下がったとはいえ、海水というのはそう簡単に凍るものではない。

凍魚と化け鮫も異変を察知したのか、あれ程までに滾らせていた闘志は消え失せており、それどころか目の前にいる天龍達のことすら忘れたように怯えながら周囲を見渡している。

 

「一体何が、うわっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

吹雪は遂に猛吹雪へと変わる。

それにより発生したホワイトアウトで目の前は完全に真っ白になる。

そもそも凄まじい吹雪によって目を開けていることすら辛いこの状況、それでも天龍は負けじと目を開ける。

せめて目の前で何が起きているか確認するために……。

 

 

 

BGM:壮麗纏いし銀盤の貴人

 

 

 

その時、天龍は見た。

真っ白い吹雪の中に浮かぶ雄々しくも幻想的なシルエットを。

 

「ドラ……ゴン……?」

 

角の生えた頭部、長い首、四肢を持つ巨体、長い尾、二対の翼。

その姿は伝説に語られるドラゴンそのものであった。

 

 

 

 

 

『クアアアァァァァァ!!!』

 

 

 

 

 

ただ恐ろしいだけではなく優雅さを感じさせる、不思議と心に染み渡る龍の咆哮。

その咆哮が聞こえなくなると同時に荒れ狂っていた吹雪は嘘のように止み、清々しいまでの青空が広がっていた。

 

「凍魚と化け鮫が!?嘘でしょ、モンスターは凍ったのに何で私達は無事なの!?」

 

天龍と川内の目の前には氷像のように凍り付いてしまった凍魚と化け鮫がいた。

寒さに強い二体のモンスター、しかしその肉体は心臓まで完全に凍結しているようであり、命の鼓動が全く感じられない。

その一方で不思議なことにあれだけの猛吹雪を浴びた天龍と川内の身体には雪の一つすら付いていなかった。

 

「そうだ、ドラゴンは!?ドラゴンはどこへ行った!?」

 

天龍は慌てて周囲を見渡すが、澄み切った空には鳥一匹見当たらない。

 

「どこにもいない、あれは見間違いだったのか?」

 

『いや、見間違いではナイ。』

 

「ボワボワ!?それにマサムネ!」

 

いつの間にか天龍達のすぐ側にはあの時のボワボワと通訳のマサムネがいた。

 

『キミラの戦いは全て見せて貰ッタ、素晴らしい戦いダッタ。キミラは間違いなく真の戦士ダ。しかも氷の神イヴェルカーナに認められるとは前代未聞の偉業ダ!』

 

「イヴェルカーナ?それってあのドラゴンのことか?」

 

『そうダ、イヴェルカーナはこの島の神ダ。』

 

ボワボワはゆっくりと語る。

 

 

 

 

 

何もない島があった

その島には本当に何もなかった 草も 獣も 水さえも

ある日 海の彼方から氷をまとった龍が島にやって来た

かの者の名は冰龍イヴェルカーナ 冷気を統べる者

イヴェルカーナは何もなかったこの島に雪と氷をもたらした

イヴェルカーナが通った海には氷の道が出来た

多くの生き物が導かれるように氷の道を渡って何もなかった島にやって来た

時が経つにつれ氷の道は解けてなくなった

しかしイヴェルカーナのいる島の氷はいつまでも解けなかった

氷雪島が生命溢れる島となったのはイヴェルカーナのお陰

だからこそイヴェルカーナはこの島の神なのだ

氷の神にして島に生命をもたらした生命の神

イヴェルカーナを敬え 雪と氷を敬え 生命を敬え

おおイヴェルカーナよ 氷雪島の神よ 我らに神の加護のあらんことを

 

 

 

 

 

『これがワレラの一族に古くから伝わるイヴェルカーナの伝説ダ。だがイヴェルカーナが人前に姿を現すことは滅多にナイ。今まで実際に出会った者などワレラの歴史の中でも10人にも満たナイ。だがキミラはイヴェルカーナと出会い、そしてその戦いを認めらレタ。』

 

「戦いを認められた?」

 

『そうダ、イヴェルカーナが認めたからこそキミラは凍らなかったのダ。これはとても名誉なことダ!ボワボワの歴史に刻まれるべき出来事ダ!偉大なる戦士ヨ、イヴェルカーナの戦士ヨ、今までの非礼を許しタマエ!そしてワレラの盟友ヨ、戦士テンリュウと戦士センダイを丁寧に連れて帰るノダ!』

 

突然天龍と川内の両肩は何者かに掴まれる。

そこにいたのはヘビと翼竜を足して2で割ったような姿をした青白い生物。

 

「えっ、えっ?何コレ?」

 

『カレラはコルトス。ウルグと同じくワレラの盟友ダ。カレラがキミラを連れて帰ってくれル。』

 

「連れて帰るって、まさか飛んで帰るっていうのか?こいつらに足で捕まれたままで?」

 

『そうダ。だが心配することはナイ、カレラは決して落としたりしナイ。だから安心してカレラに身を委ねるとイイ。』

 

「いや、そんなこと言われても心の準備ってもんが……うわあああああああああああああ!?

 

天龍と川内の生まれて初めてのフライト、それは飛行機でも気球でもなく変な生き物に吊り下げられてのものになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『飲めヤ、歌えヤ!今日は宴ダ!神の戦士の誕生ダ!壮大に祝エ!』

 

ボワボワの住居に戻った天龍と川内を待っていたのは、テンション爆上げなボワボワ達によるお祭りだった。

 

『ミナノモノ、今日からこの日をテンリュウセンダイ記念日とスル!』

 

『『『『『ウオオオォォォ!!!』』』』』

 

「天龍川内記念日ィ?」

 

「私達は調査に来ただけなのに、何だか大変な事になっちゃったね……。」

 

大盛り上がりのボワボワだが、肝心の天龍と川内はそのテンションに着いていけない。

 

『戦士達ヨ、こちらをお食べ下サイ。』

 

「何だこれ?焼いただけの肉か?」

 

居心地悪そうにしている天龍と川内に一人のボワボワが差し出してきたのは、石で作られた皿に乗せられた謎の肉。

一応火が通っているその肉を、天龍と川内は恐る恐る口に運ぶ。

 

「あれ?思ってたより美味いな。こういうのって肉が片面しか焼かれてなかったり、まともに味付けされてないってのが定番なんだが、火はしっかり通ってるし自然の旨味があるから味も気にならない。」

 

「それってどこの定番なの?そんなの聞いたことないよ。それよりこのお肉だけど味はどことなく魚肉っぽいよね?でも生まれて初めて食べる味だ、本当に何の肉なんだろう?」

 

激しい戦いの後でお腹が空いていたこともあり、美味しいと分かるや否や思わず肉を貪る天龍と川内。

石の皿の上にあった肉は二人の手に掛かりあっという間に無くなった。

 

『気に入って貰えたのならワレラも嬉シイ。その肉はキミラが仕留めたモンスターの肉ダ!』

 

「「えっ!?」」

 

ボワボワの住処の奥に目を向けてみると、そこには輪切りにされて炎で炙られている凍魚と化け鮫の変わり果てた姿があった。

 

『自然の恵みダ、巡り巡る命に感謝を捧げるノダ。それが氷雪島で生きるということダ。』

 

「「ブーーーッ!!!」」

 

肉の正体を知った天龍と川内は思わず吹き出す。

 

『自分で狩った獲物の肉は美味いだろウ?まだ食べるカ?おかわりはいくらでもあるゾ。』

 

「わ、私はお腹いっぱいになっちゃって、もういいかな~って……。」

 

「お、オレも……。この肉はお前らが全部食べていいからさ……。」

 

実際は満腹になったのではなく、食欲が失せただけだというのは言うまでもないことである。

 

『聞いたかミナノモノ!自分で仕留めたにも関わらず、神の戦士はこの肉を全てワレタに分け与えてくれるそうダ!流石は神に選ばれただけのことはアル、慈悲深き戦士を崇めヨ!』

 

『『『『『慈悲深き戦士を崇めヨ!』』』』』

 

「ああ、うん……もうそれでいいよ……。」

 

肉を食べ残しただけで何故か高まるボワボワの忠誠心。

天龍と川内は訂正するのも面倒臭くなってしまい、もうどうにでもなれと諦めの境地である。

 

「あっ、そういえばモンスターの写真撮るの忘れてた!」

 

焼かれている二体のモンスターを見て、川内はようやく忘れていた任務の一つを思い出す。

最初にボワボワの集落にお邪魔したときまでは覚えていたのだが、その後ボワボワから試練を与えられたり、ウルグに乗ったりと色々あったせいで、肝心の凍魚と遭遇した頃には写真のことなど綺麗さっぱり忘れていたのだ。。

 

「オイオイ、どうすんだ?」

 

「うーん、どうしよっか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでこれが今回の成果ですか?」

 

額に青筋を浮かべた神通の手の中にある二枚の写真。

そこにはこんがりと焼かれた魚と鮫の切り身が写っていた。

 

「おう!こっちのデカいサーモンステーキみたいなのが凍魚で、こっちのフカヒレっぽいのは化け鮫ってんだ!」

 

「どう、見直した?私達の力があれば大型モンスターが二匹いても、まとめて火に焼いて食べちゃうわ!」

 

「だからって本当に火に焼いて食べるヤツがありますか!!」

 

「「デスヨネー。」」

 

鎮守府に帰った天龍と川内を待っていたのは神通のお叱りであった。

本当は自分達が焼いたわけではないのだが、これ以上言っても火に油を注ぐだけである。

 

「これでもお二人の働きは認めているんですよ?希少生物ウミウシボウズの超至近距離からの撮影に成功する。原住民であるボワボワを新たに発見するだけでなく、彼らと友好を結ぶ。ボワボワが使役するウルグとコルトスも発見し、彼らに乗ることも許される。新種のヒル状生物を発見する。背ビレの正体を突き止め、更に新種のサメ型生物も発見、そしてその両方を仕留める。最後に島の神といわれるイヴェルカーナの情報を持ち帰る。いずれも大きな功績です。」

 

褒めるところはしっかり褒める神通。

とはいえ神通からは怒気が放たれたままであり、天龍と川内は手放しで喜べない。

 

「し・か・し!だからこそ詰めが甘いのです!!特に姉さん!私が何のためにカメラを託したと思っているのです!姉さんを信じたからこそ私がカメラを直接渡したというのに!今回お二人が撮ってきたのはウミウシボウズとボワボワとウルグとコルトスの写真のみ!」

 

「いや、一応凍魚と化け鮫の写真も「何か言いましたか姉さん?」イイエナニモイッテマセン……。」

 

「話を聞くにヒル状生物とイヴェルカーナの写真を撮れなかったのは仕方ないでしょう。化け鮫とやらの写真もまだ許せます。しかし今回のターゲットであり、出撃前に口酸っぱく任務だと伝えていた凍魚の写真を撮っていないのは単なる怠慢です!任務を何だと思っているんですか!?」

 

「「ひゃあ~~~!?すみませんすみませんすみませんすみません!!」」

 

上司である神通の説教に対してひたすら謝ることしか出来ない神の戦士(笑)の姿がそこにはあった。

 

「ふぅ……。まぁ小言はこのくらいでいいでしょう。お二人は写真がないとはいえ、背ビレの正体を突き止めて情報も持ち帰りました。天龍さん、あなたのランク3への昇格を認めます!」

 

「はいすみません!!」

 

「天龍さん?」

 

「はいすみま……じゃなかった。これでオレもランク3なんだな!?」

 

「その通りです。これからはより難易度の高いクエストも受注出来るようになりますよ。」

 

「よっしゃあああぁぁぁ!!」

 

念願叶って遂にランク3に到達した天龍、より高みを目指す彼女にとって喜びもひとしおである。

 

「じゃあ私は?私も任務達成したんだしご褒美あるよね?おねーちゃん夜戦の出撃許可が欲しいなぁ~。」

 

「は?そんなものありませんけど?」

 

「えっ?」

 

喜ぶ天龍を見た川内は猫撫で声で神通にご褒美をねだってみるものの、あっけなく却下される。

 

「姉さんの夜型生活を直すためにやってるのに夜戦を許可したら元の木阿弥じゃないですか。そもそもカメラを任されていない天龍さんはともかく、カメラを任されておきながら写真を忘れる姉さんにご褒美なんてあるわけないでしょう。」

 

「そんなぁ~~~!?あんなに寒い中で頑張ったのに~~~!!あんまりだぁ~~~!!神通のイジワル~~~!!」

 

「うわぁ……。」

 

執務室の床で子供のように寝転がって駄々をこねる川内。

そのみっともない様子に流石の天龍もドン引きである。

 

「ハァ、仕方ないですね……。姉さん、今度一緒に私と夜戦に行きましょう。」

 

その一言で川内の動きが止まる。

 

「本当?一緒に行ってくれる?」

 

「えぇ、ですが一度きりですよ。その後はまた普通に出撃してもらいます。」

 

「う゛わ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛、神通あ゛り゛か゛ど~、大好き゛~~~!」

 

「はいはい、困った姉さんですねぇ。」

 

ベソをかきながら神通に抱き着く川内、そんな川内を神通は優しく撫でる。

内容が些かしょうもないが、確かな姉妹の絆がそこにはあった。

 

「あの、まだオレがここにいること忘れないでほしいんだけど……。」

 

 

 

 

 

ちなみに今回新たに発見されたモンスターはそれぞれギィギ、ギギネブラ、ブラントドス、ザボアザギルと命名された。

しかし肝心の写真が一枚も無かったので、生態ノートには鎮守府で一番絵心のある龍田のイラストが載せられることになったのだが、肝心の天龍と川内の説明が下手なので何度も書き直すハメになり、これまた二人は何度も叱られたのであった……。

 

 






本日の捏造

膨張状態のザボアザギルの腹部の肉質はどんな武器でも弱点特攻が発動するほど柔らかい。
ババコンガの膨らんだお腹とは大違い。
狩猟笛の一撃を跳ね返すとか極限化でもしない限りは無理!

それと作中では膨らんで柔らかくなったお陰で潰されても軽傷で済んでるけど実際はそんなことはない。
むしろザボアザギルの繰り出す攻撃の中でもかなり痛い。




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