天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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モンハンストーリー2の発売日も迫ってきたので、大急ぎでライズを攻略中。

今回も推しモンのドスバギィは出ますかね?
ライズにも出てるんだから続投するよね、いやしろ。(圧力)

前回はドスバギィが最終ステージのセリオン山までオトモンに出来なかったからほとんど一緒に冒険出来ないし、ラスボスとまともに戦えるようにするためのレベル上げも大変だった。
次回も出るなら序盤に出て欲しい。

ちなみに自分のパーティは固定枠のレウスを除くと、全枠ドス鳥竜で固めてるから戦力的にはかなり貧弱。
本編はともかく隠しステージをこのメンツで攻略するのは流石に無理だった。
鳥竜の体色に合わせた属性攻撃の遺伝子もそれぞれ入れたけど、このゲーム何故か水技だけが貧弱だから水枠になったパーティ最古参のドスランポスが一番頼りない。





ユーちゃんとヤーパン4

 

 

 

 

 

「……ぅん、ふぁ~。あれ、暗い?」

 

目覚めたユーは目が覚めたというのに目の前が暗い……いや、黒いということに気が付いた。

少しずつ眼が冴えてくるとそれは黒ではなく、紫っぽい色をした壁であるということが分かった。

目が覚めたら目の前に壁?

そのことを疑問に思いながらも起き上がろうとすると何故か身体が動かない。

 

「身体が動かせない?ユーは昨日何をしてたんだっけ?」

 

温かく柔らかいもので上半身が縛られている?

同じように下半身も動かせない、上半身と同じように両足も暖かく柔らかいもので縛られているようだった。

しかもふくらはぎがやけにくすぐったい、ユーが目覚めたのもこのくすぐったさのせいである。

 

「これは腕?」

 

首だけを動かしてみれば自分を縛るものの正体は腕であり、要するに抱き締められているということに気が付いた。

更によく見て見れば目の前の壁は僅かに前後に動いているということも分かる。

 

「う~ん、むにゃむにゃ……。えへへ~、アマツマガツチ覚悟ぉ~。」

 

そして聞こえてきた妙な寝言。

その声に釣られて顔を上げてみれば、そこにあったのはユクモ鎮守府提督であるトモちゃんのだらしない寝顔。

つまり目の前にあったのは紫色の壁ではなく、ユクモノシリーズを身に着けたトモちゃんの薄い胸だったのだ。

 

「特大サイズのドスマツタケ、大好きなのね~。」

 

足の方に視線を向ければ、どういう寝相なのか逆向きに寝ているイクがユーの両足にしがみ付いてふくらはぎに頬擦りをしている。

くすぐったさの原因は明らかにこれである。

 

「そっか、昨日ユーは嵐に遭って……。」

 

現状を理解したユーはなぜ自分がこのような状況に置かれているのかようやく思い出す。

 

ユーが鎮守府に着任したその日に突然嵐がやって来て、それでみんなシェルターに避難したんだ。

そして寝巻きに着替えることもなく、一つの布団にみんなで団子になって寝たんだった。

寝る時のユーの両隣はトモちゃんとイクで、目が覚めたらこの状態になっていたんだ。

 

「あっ、起きたんですね!」

 

部屋の隅で布団を畳んでいた大鯨はユーが起きたことに気が付くと小走りでやってくる。

 

「ほら、トモちゃんもイクも起きて下さい!ユーが困ってますよ。」

 

「ん~、おはようなのね……。あれ?何でイク逆向きになってるの?」

 

「アマツマガツチ……。こんな色白の女の子だったなんて……思ってたのと違ってかぁいいなぁ……。鎮守府で飼おうよぉ~……ぐぅ……。」

 

大鯨に声を掛けられたイクは手で顔を擦りながら起き上がる。

一方でトモちゃんは未だに目覚める様子はなく、ユーを抱き締めたまま笑みを浮かべる。

 

「トモちゃん起きて下さい!」

 

「トモちゃん起きるのね!」

 

声掛けだけで起きないと判断した大鯨はトモちゃんの身体を揺さぶり、イクはほっぺをムニムニといじる。

 

「うーん……あれ、ここはシェルター?さっきまで戦ってたアマツマガツチは?」

 

目覚めたトモちゃんは目をパチクリさせながら顔だけで周囲を見渡し、やがて腕の中のユーと目が合う。

 

「お、おはようございます……。」

 

「…………なーんだ!アマツマガツチいるじゃない、やったー!」

 

「ひゃっ!?」

 

トモちゃんはユーを強く抱きしめると頬擦りを始める。

それは昨日の初対面時のやり取りの焼き直しであった。

 

「ユーはユーだよ、アマツマガツチじゃないよ!」

 

「寝惚けないで下さい、その子はユーちゃんです!」

 

「トモちゃんの中のアマツマガツチってどんななのね?」

 

このやり取りは呆れた大鯨がトモちゃんにゲンコツをするまで続いた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいたたた……久しぶりに大鯨にぶたれたー。」

 

「ほら、起きたのなら外に出ますよ。」

 

頭をさすりながら起き上がるトモちゃん。

温厚な大鯨が叩くというのは滅多にないことであり、ましてや自らの提督に手を上げるなどあり得ない話である。

ユーはある意味レアな場面を目撃したといえよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シェルターの外に出たユー達が見たのは、嵐でボロボロになってしまったユクモ鎮守府。

建物は無惨にも倒壊し、温泉も泥で埋まってしまっており昨日の景色は見る影もない。

 

「わ、私達の鎮守府が……。う、うえぇ……えぐっ、えぐっ……。」

 

「トモちゃん……。」

 

目の前の惨状にショックを隠せないトモちゃんは、その場で立ち尽くしポロポロと涙をこぼす。

そんなトモちゃんの様子を悲痛な面持ちで見守る狩娘達。

 

「うえぇぇぇ……ひぐっ……ぐすっ……ふぅ……………………みんなお腹空いたから朝ごはんにしよっか。朝ご飯は一日の活力、朝ご飯を食べれば今日も一日頑張れるぞー!」

 

「えっ!?」

 

……と思いきや思ったより早く立ち直るトモちゃん。

某柱の男並みの変貌振り、というか切り替えが早過ぎてまるで多重人格である。

 

「ここの鎮守府はいつもこんな感じでち。嵐で建物が壊れるのもいつものことだし、トモちゃんが悲しんですぐさま立ち直るというのもいつものことなんだよね。」

 

「でも誤解しないでほしいのね。トモちゃんはやたらと立ち直るのが早いだけで、別に悲しむフリをしたり、悲劇のヒロインを演じる自分に酔ってるわけでもないのね。」

 

「しおい達にとっても鎮守府が壊れることはそりゃ残念だけど、毎度のことだからいい加減慣れちゃった。でもトモちゃんは毎回本気で悲しんで、そして毎回本気で立ち直っているんだよ。」

 

「そしてその本気は私達狩娘へも向けられているんですよ。出撃する私達の無事を毎回本気で祈って、そして帰投した私達の無事を毎回本気で喜ぶ。トモちゃんは提督としてはお世辞にも優秀とは言えないけど、トモちゃんだからこそ私達はこの人をずっと支えていこうと心に決めたんです。ユーさんは着任していきなりこんなことになったから不安を感じるかもしれないけど、ユクモ鎮守府に来たことに後悔はさせませんよ。」

 

切り替えの早さに驚くユーの内心を察したのか、ゴーヤ達はユーの耳元でそっと囁く。

毎回鎮守府が壊れているというところにはギョッとしたが、言われてみれば建物が妙にハリボテ臭かったのもそのせいなのだと納得がいく。

毎月立て直しを繰り返しているのなら、予算や工期の問題もあり鎮守府の作りが安っぽいというのも仕方がない。

 

「それでは朝ごはんですね、こんなものしかなくて申し訳ないのですが……。」

 

そう言って大鯨が配ったのはご飯を乾燥させた保存食、いわゆる糒。

それとペットボトルに入ったお水だけであり、昨日の豪華な夕食とは比べることすらおこがましい粗食である。

 

「今日が粗末なんじゃなくて、昨日が豪華過ぎたんでち。」

 

「ここの鎮守府はお金がないから普段から貧相なものばかり食べてるのね。昨日久々のご馳走だと言ったのもそのせいなのね。」

 

「物資の不足する台風明けは特に顕著だよ、流石にここまで酷いのは久しぶりだけど……。」

 

「今日の朝食が質素なのは別に昨日の夕食が豪華だった反動ではないですよ。ユーさんをおもてなししたせいで食材が足りなくなったわけじゃないので気に病んだり下さいね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁて、ご飯も食べたし次は(ぐぅ~~~。)…………あうぅ…………コホン、次は毎度お馴染み鎮守府再建計画を始動しまーす!」

 

朝食後、腹の虫を鳴らしながらも鎮守府再建計画とやらを発表するトモちゃん。

 

「あの、鎮守府再建計画って?」

 

「その名の通り、嵐で壊れた鎮守府を立て直す計画だよー!鎮守府を直すって口で言うのは簡単だけど、実際にやるのは大変だもん。そのためにもしっかりとした計画を立てないとねー!というわけで大鯨何かいい案ない?」

 

「はいはい、今回もいつもと同じですよ。今回からはユーさんが加わるから、いつもより捗るかもしれませんね。今回が初めてのユーさんにも分かるように説明をしますけど、まず何をするにしても資金が必要となります、なのでゴーヤさん達は4人で海へ行き資金稼ぎを。むるれんさんとヒラオカさんには食料集めと再建に必要な資材集めを兼ねて山へ行ってもらいます。私と竜人妖精さんは壊れた鎮守府を片付けつつ、まだ使えそうなものをサルベージする作業に入りますよ。みんなの力を合わせて鎮守府を立て直しましょう!」

 

「……あれ、私の仕事は?」

 

提督のくせに秘書艦の大鯨に案を丸投げし、そして結局自分に何一つ仕事が割り振られていないことに気付いたトモちゃん。

 

「トモちゃんはそこにある大きな石に座って周囲の見張りをしていて下さい。私達の安全はトモちゃんに掛かってますよ。」

 

「見張り?見張りなら得意だから任せといて!学生の頃は何度も遅刻しては廊下に立たされて、暇だったから他に遅刻する人がいないか見張ってたんだよ!私の見張りのお陰で遅刻者は出なかったんだ、凄いでしょ?それで友達に付けられたあだ名はなんと鬼門番!今日の私はユクモの鬼門番、鬼門番として見張りの役目を絶対に果たしてみせるよー!」

 

どう考えても一人だけ明らかに仕事内容がおかしい、そもそもトモちゃんの学生時代のあだ名は天災トモちゃんだったのではとユーは疑問に思う?

ちなみに他に遅刻者が出なかったのはトモちゃん以外に遅刻者がいなかっただけなのだが、本人は自分のお陰と信じて疑わないプラス思考の持ち主なのであった。

 

「こんなこと言いたくないけどトモちゃんにはあんまり仕事をさせない方がいいでち。カナヅチで泳げないから海には着いてこれないし、ブルファンゴ……えっと山でよく見掛けるイノシシにすら大苦戦するから山にも行けないし、片付けを手伝わせようにも不器用過ぎて余計に散らかすでち。周囲の安全を確保するために見張りをしてもらうというのも建前で、ここまで山の動物達がやってくることはないから実質ただ座ってるだけなんでち。」

 

ゴーヤが再びユーにこっそり耳打ちする。

そんな彼女達の内心なんか知る由もないトモちゃんは、フンスフンスとやる気を滾らせながら石の上に腰掛けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、ユーです!ユーはゴーヤとイクとしおいの三人と鎮守府から少し離れたとこにある浜辺までやって来ました、やって来たんですが……。

 

「それでは鎮守府の為、そしてトモちゃんの為、出撃でち!」

 

「腕が鳴るのね!」

 

「えいおーっ!」

 

「あのー……。」

 

「ん?なんでち?」

 

「なんでみんなヘンなもの背負ってるの!?」

 

出撃に向けて気合を入れる三人組だけど、どうしてもこれには突っ込まざるをえません。

ハッ!?これがヤーパンのボケとツッコミという文化!?

 

 

 

 

 

狩娘は艦娘とは違い艤装を使用しない。

そのことについてはユーも鎮守府を出る際に説明されており、納得はしていないが理解はした。

とはいえいくら何でもこの光景は異様である。

ゴーヤは串団子を二本、イクは竹で作った槍とザルのようなもの、そしてしおいは瓢箪をそれぞれ背負っており、とてもではないがこれから出撃する者の装備ではない。

 

 

 

 

 

「そんなに変かな?これってユクモの名産品を武器に転用した、れっきとしたユクモの伝統的な武器なんだよ?この瓢弾は瓢箪の中にライトボウガンの機構を組み込んだ技術の結晶なんだ。」

 

どうして瓢箪に武器を仕込む必要があるんだろう?

ドイツと因縁深いロシアの暗殺者は日用品に暗器を仕込んでいたらしいんだけど、それと同じなのかな?

 

「こっちの竹銃槍【トリオドシ】はユクモの竹林で採れた上質な竹を素材に使用した、風情溢れるガンランスなのね!」

 

ヤーパンではノーミンという低い身分の人も竹槍という武器で乱世の戦国時代を生き抜いたり、大戦中にはなんとあのB-29に竹槍で立ち向かったという話は聞いたことがある。

そんな戦闘民族ヤーパン人なら深海棲艦相手でも竹槍で戦える?

いやいや、いくら何でもそれは無茶です。

 

「そしてこの狩団子【白玉】はユクモ土産として有名な串団子を双剣にしたものだよ!その切っ先は深海棲艦の装甲も穿つでち!」

 

お団子というのはおやつ、食べ物です。そのくらいユーでも知ってる。

その食べ物を武器にして深海棲艦に挑む!?そもそもお団子に切っ先がある?

もう意味が分かりません。

 

我がドイツの技術力は世界一ィィィ………………と言いたいけど、ヤーパンにもヘンタイと呼ばれるほど優れた技術力と発想力があるといいます。

そのヘンタイの手に掛かれば瓢箪も竹もお団子も武器と化すんですね、ヤーパン恐るべし……。

 

「勿論ユーのぶんの武器もあるよ。」

 

ユーの中で誤解と疑念が膨らんでいくが、そんなことを全く知らないゴーヤは随分と古ぼけた木製の弓を手渡す。

あちこちに黒いシミが付いており、巻かれている赤い布もほつれが目立つ古臭い弓。

見るからに使い込まれたお古の装備といった様子である。

 

「それは古ユクモノ弓でち。本当はもっとちゃんとしたものを渡したかったけど、昨日の嵐のせいで武器庫も壊れて、それ以外に使えそうな武器がなかったでち。ごめんね。」

 

「頭下げないで、これはゴーヤのせいじゃないよ!それに貰ったものに文句言うつもりはないし、むしろ貰えて嬉しいよ!」

 

 

 

 

 

実際ユーは武器を貰えたことに感謝しているが、それ以上にヘンテコな武器を渡されなかったことに安堵していた。

本当はリュウノコシカケを渡そうと思っていたのに……というイクのつぶやきが耳に入ったというのもある。

リュウノコシカケ、名前だけではどんな武器なのか流石に判断出来ないが、だとしてもその名前だけであまり装備したくないなぁというのがユーの偽らざる本音であった。

 

 







でち公の装備

武器:狩団子【白玉】
頭:無し
胴:提督指定スク水【上】
腕:無し
腰:提督指定スク水【下】
脚:無し
護石:無し
スキル:採集+1、高速収集

提督指定スク水シリーズの防具は元々胴と腰の部位しか存在しない。
性能的には採集装備であるレザーシリーズの親戚みたいなものだが、二部位でスキルが二つも発動する優秀なスキルポイントを持つので、キメラ装備にすればアイテム集めで活躍するかもしれない。
他の部位が空いているのはオシャレとかではなく単なる予算不足。
防御力は驚愕の各部位1、序盤の採集装備だから仕方ないね。
鎧玉?そんなものは売って資金に変えたでち!

イクとしおいとユーも武器以外は全く同じ装備とスキル構成になっている。
イクとユーはセーラー服の上の部分を着ていないが、外見が違う以外に差はない。

本文にもあるように武器は、イクは竹銃槍、しおいは瓢弾、ユーは古ユクモノ弓を装備している。
このような武器を使っているのは、他所から武器や技術を仕入れてくるよりも、身内の技術で武器を作った方が安上がりだからという切実な理由によるものである。
ユクモ鎮守府は提督も狩娘も、そもそも鎮守府自体も何もかもがビンボーなのだ!




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