天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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歴戦王テオ・テスカトルに野良で参加して連敗中。
おかしいなぁ?歴戦王の中でも強化の度合いは低いし、明らかにベヒんもスの方が強いハズなんだが……?

みんな油断死してんのかなぁ?





天龍ちゃんとうーちゃんさん1

 

 

 

 

 

「……ということが、あって……現在の鎮守府に至ります……。」

 

「へぇ~、バルバレ鎮守府ではそんなことがあったのか……。」

 

問題児だらけの鎮守府が偶然の積み重ねによって出会った新しい提督のお陰で、しっかりとした鎮守府に生まれ変わったのか。

まさに運命の出会いをしたってワケだ!

 

えっ、提督と山城の衝撃的な出会い?何のこったよ?そんな話は聞いた覚えがねぇな……。

 

「しかし本当に凄い提督なんだな。丸腰で深海棲艦を追い払うし、素人だったにもかかわらず滅茶苦茶だった鎮守府の改革を成功させちまうなんて。オレ達の提督と取り換えて欲しいくらいだぜ。」

 

「あっ、そういえばうーちゃん提督の写真を持ってるっぴょん!見たい~?」

 

「あるのか!?見たい見たい!」

 

これ程の功績を出したんだ、そりゃどんなヤツか気になるってもんだろ?

それにまつ毛に下着姿って何度も言われりゃ、どんな容姿なのか気になって当然だ。

何よりソイツモテるんだろ?やっぱりイケメンなのかな?まつ毛の件は別だとしても顔を見てみたいと思わないか?

 

「これがその写真っぴょん。つい最近撮ったばかりの撮れたてピチピチ、とっても新鮮な画像だっぴょん!」

 

卯月が取り出したのはピンク色をしたスマホ。

隅にはウサギの顔のシールが貼ってあって卯月のイメージにピッタリな可愛らしいデザインだな。

おっと、いかんいかん。オレが見たいのはスマホのデザインじゃなくて中の写真だったな。

 

スマホのモニターに映っているその写真には4人の狩娘と2人の男性が写っている。

写真の一番右端でドヤ顔ダブルピースをしている狩娘が睦月だな。

その睦月の後ろに立っているテンガロンハットの爺さん、この爺さんが団長って人だろう。

睦月の隣に立っているのは金剛。吹雪型じゃなくてちゃんと金剛型の服を着ているな、あれから新しく装備を作ったのか……。

写真の左側にいる緑色をした独特の制服を着て、眼鏡を掛けた狩娘が香取か。へぇ、本当にカエルのポーチを付けてるんだな。

そんでもって一番左端で少し不機嫌そうな顔をして写っているのが山城……なのかな?

立ち位置が端っこ過ぎて顔が見切れて半分になっているせいでよく分からん。

とはいえ写真越しでもにじみ出る、この不幸なオーラのお陰で初見でもこれが山城だと理解出来るのが何ともコメントに困るな……。

そんでもって最後に香取と金剛の二人に腕を組まれながら中央に立っている男性こそが……えっ?

 

 

 

 

 

えーっと、こいつがバルバレの提督……でいいのか?ハッキリ言って変態にしか見えない。

 

そう、その外見は珍妙の一言に尽きた。

まず目に付くのはガイコツのような気味の悪いマスク。これを被っているお陰で素顔が全く分からない。まつ毛とかそれ以前の問題だ。

続いて目立つのは身に着けている黒いメッシュ状の変な服、網目の隙間から素肌が見えるという非常にキモ……斬新なデザイン。

そんでもって腰に巻いているのはまるでチャンピオンベルトのような、作った人のセンスを疑うゴツい緑色のクソデカギザギザベルト。

もはやダサいとかそういうレベルを超越してる、こんな格好していて恥ずかしくないのか?

そもそもなんで写真撮るときにマスクを被ったままなんだよコイツは?

 

「こ、個性的な提督なんだな……。な、何というか話で聞いていたイメージと全然違っていて驚いた……です、ハイ……。えーっと、勇気のあるブレイブとかいう装備は?」

 

あまりの衝撃にしどろもどろになりながらも質問してみる。

正直言ってこんなものを目にして平然としているなんてオレには無理だ。

やっぱ提督は取り換えなくていいです……。

 

「ブレイブ?あの装備は装備ボックスの奥に仕舞ってあるっぴょん。あれは防御力がペラペラだから見た目と違って頼りにならないぴょん。」

 

いや、見た目の犠牲が大き過ぎるだろ……。

オレは腕のダンゴムシやパンツ丸出しの下半身に滅茶苦茶抵抗があるんだけど、この提督はこんな冒涜的な姿を何とも思わないのか?

 

「これは5倍ナルガとかKBTITという通称で呼ばれている装備で……発動するスキルも素晴らしい……です。スキルの効果で、武器の斬れ味が、上がります。それに回避力も、スゴく上がる……です。まさに攻防一体。初めて披露したときには、照れ隠しで殴りかかってきた、山城さんの攻撃をヒョイヒョイと、避けてました。とってもカッコよかった……です。」

 

「香取お姉ちゃんや金剛お姉ちゃんもそんな提督を見てキャーキャー言ってたぴょん。自分の提督が人気で卯月も鼻が高いっぴょん!」

 

カッコいい……?この装備が?それとも華麗に攻撃を避ける提督がか?

キャーキャー言ってたのはアレだろ、変態的な装備に対する悲鳴だろ?歓声じゃないよな……?

そういや山城は照れ隠しで殴ったっていうけどこれに照れる要素って……いや、これ以上考えるのはよそう。

そもそもナルガとかクボナントカとかって一体何だよ?何が5倍になったんだ???

とにかくバルバレの狩娘って未来に生きてんな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかしバルバレ鎮守府でそんなことがあったっていうのなら、ひょっとしてここクロオビ鎮守府でも何かドラマチックなエピソードがあるんじゃないか?人間は一人一人に違ったドラマがあるっていうし……。」

 

「そんなものあるワケないでしょ。」

 

期待を込めて龍田に聞いてみるが、即座に否定される。

そんなに適当にあしらわなくてもいいじゃんか……。

 

「提督が副業にのめり込んで本業をすっぽかす話がドラマチックだと思う?そんなドラマじゃ視聴率上がらないわよぉ。」

 

た、確かに……言われてみればあの提督にマトモなドラマを期待する方が無駄だった。

 

「それに私を含めたここの狩娘にもそんな大層なエピソードなんてないわぁ。強いて言うなら、まだ新人だった頃の神通さんが朝起きて狩りに行って、朝ご飯食べてポポミルク飲んで狩りに行って、昼ご飯食べてポポミルク飲んで狩りに行って、晩ご飯食べてポポミルク飲んで狩りに行って、お風呂に入って寝るという生活を毎日続けていたらいつの間にかハンターランクを解放してたって話くらいだけどぉ、ただ戦ってただけの変わり映えしない毎日よぉ。むしろ提督の業務を引き継いで、狩りにも行かずにひたすら仕事をしている今の方がよっぽどドラマねぇ……。」

 

は……?何それギャグ?軽く紹介したけどそれってとんでもないコトじゃん!?そのエピソード無茶苦茶興味あるぞ!

それとポポミルクっていうのが何なのか気になるが、とにかくそんなにミルク飲んだらお腹が緩くなるぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っていうか提督の重要性は分かったけど、今の長話ってする必要あったか?」

 

話が長過ぎて忘れていたが、そもそもこの話を始めたキッカケは卯月と狩りに行く理由が関係してるんだったよな。だけど話を聞いても未だに卯月と一緒に行く理由が分かんねぇぞ?

 

「あらぁ、分からなかったかしら?うーん、天龍ちゃんにはちょっと難しかったみたいねぇ。」

 

……イラッ。何だよオレの理解力が足りないみてぇじゃねぇか?

こんだけ長い話を寝ずに最後まで聞いたんだぞ?褒めるところはあっても馬鹿にするところはないだろ?

 

「要点だけ、掻い摘んで言えば……もっと短く簡単に、説明出来た……かも。でも弥生、説明ヘタだから……ゴメンなさい。」

 

あっ、しまった!?落ち度のない駆逐艦に謝らせてしまった。

フフフ、怖いかじゃねーよ!自分よりちっちゃな娘に八つ当たりして怖がらせるとかサイテーじゃねぇか!!

大丈夫大丈夫!怖がらないで。天龍、怒ってなんかないですよ?

 

「プークスクス。」

 

「天龍ちゃんったら……ウフフ。」

 

慌てて弥生をなだめるオレを見て笑う卯月と龍田。お前ら、後で覚えてろよ?

 

 

 

 

 

「あのね、最初に子供提督が着任してバルバレ鎮守府が問題児だらけになったって話があったでしょ?」

 

そうだな、それで後始末に香取達が苦労したんだろ?

 

「それで話の中にも出てきたけど、卯月ちゃんはそんな問題児の一人でねぇ。問題行為を繰り返していたの。最も今は新しい提督のお陰で更生したんだけどねぇ……。」

 

「えへへ~、あの頃のことはワキ毛の至りだっぴょん!」

 

それを言うなら若気の至りだな、そもそもお前まだ若いだろ。それと女の子がワキ毛とか言うんじゃありません!

 

「そんな卯月ちゃんは今までの経験を活かして、これからワザと天龍ちゃんに迷惑行為をしてもらうからよろしくねぇ。」

 

「イタズラは卯月の十八番、腕が鳴るっぴょん!」

 

な~るほど、卯月が来たのはオレに迷惑を掛けるためだったのか……えっ???

 

「ちょっ、どどどういうことだ!?ワザと迷惑を掛けさせるためだけに来るだなんて全然意味分かんねぇぞ!!」

 

迷惑掛けられて喜ぶヤツなんているもんか、いるとしたらソイツは真性のドMだよ!?

 

 

 

 

 

???「迷惑?気にせずに好きなだけ掛けていいからね。いくらでも私に頼っていいのよ!」

 

 

 

 

 

……今、ここにいないハズの狩娘の声が聞こえたような?

まぁ世の中には迷惑を掛けられても平気ってヤツもいるよな……オレは違うけど。

 

「天龍ちゃんにはどういう行動をされると迷惑に感じるか、それを体験してもらうってワケ。実際に体験したら自分もやろうとは思わないでしょう?そのためにも元問題児だった卯月ちゃんの経験と協力が必要なのよぉ。」

 

「いやいや、そんなの口で説明すりゃいいじゃん!?わざわざ足を引っ張られる趣味はねぇっての!」

 

「だっておバカな天龍ちゃんじゃ、口で言っても覚えないもん。それに百聞は一見に如かずって言うでしょ?他にも痛くなければ覚えませんとか、躾に一番効くのは痛みだとか言うじゃない?要は習うより慣れよってね♪」

 

誰がおバカだ!?体罰されなくてもそのくらい覚えるわい!!

 

 

 

 

 

「それじゃあ私は弥生ちゃんと狩りに行ってくるから、卯月ちゃんは天龍ちゃんのことをお願いねぇ。」

 

「ばいばい天龍さん。生きてたら、また……会いましょう。」

 

そのまま弥生を引き連れて退室する龍田。

っていうか弥生、不吉なこと言わないでくれ!何だよ、ひょっとして卯月と一緒に狩りに行くと死ぬのか!?

 

「はいは~い、卯月にお任せっぴょん♪それじゃあ天龍さん、行こっか?」

 

「えっ、ちょっ!?離せっ、襟を掴むな!!」

 

弥生を連れて行った龍田とは逆に、無理矢理卯月に連れていかれるオレ。

そんなに引っ張らなくても自分で歩くって!

自分よりちっちゃい娘に引きずられるとか屈辱の極みだ……。

 

「心配しなくても大丈夫!うーちゃんの妨害テクはバルバレでもトップクラスだから安心するっぴょん!ふん娘の称号は伊達じゃない♪」

 

「ふん娘!?」

 

何、その不名誉な称号?どう聞いても安心できる要素が微塵も感じられないんだが……。

 

「ふん娘っていうのは狩娘のハンの読み方を変えたものっぴょん。実際の年齢じゃなくて、行動がお子ちゃまの狩娘のことをこう呼ぶんだって。あの頃のうーちゃんはお子ちゃまだったから正真正銘のふん娘だったっぴょん。だけど今のうーちゃんは一人前のレディーだから大人の狩娘に生まれ変わったの……なぁ~んちゃって♪」

 

あぁそう、クソみたいなことばっかりする狩娘だから糞娘って呼ぶんだと思ったよ……。

それとお前はまだお子ちゃまだろーが。

 

「今回は天龍さんのためにわざわざ金剛お姉ちゃんに頼んでガンランスも借りてきたっぴょん。もっと感謝してくれてもいいんだよ?ぷっぷくぷ~。」

 

そう言って卯月が自慢気に見せ付けてきたのはライフルと槍を合体させたような不思議な形の武器。

銃火器って時点で嫌な予感しかしないんだが……。妨害のためだけにわざわざ借りてくるだなんて、そんな変な気遣いいらねぇよ!

弥生の言った通りオレって本当に生きて帰れるのかな?

 

 

 

 

 

「あっ、そうそう大事なこと忘れてたっぴょん!」

 

「うぶっ!?」

 

何か思い出したらしく唐突に立ち止まる卯月。

急に立ち止まられたせいで襟元を掴んだままの拳が思いっきり喉に突き刺さったぞ……痛い。

 

「だ、大事なこと?一体何だ?」

 

「ごほんっ………………ハチミツください。」

 

今までの明るく元気な様子はどこへやら?

突如としてまるで感情の無いプログラムのような、抑揚のない喋り方を始める卯月。

その異様な雰囲気に軽く寒気を覚える。

 

「ハ、ハチミツ?ちょっと待ってろ……。」

 

オレからハチミツを貰うことのどこが大事なのかサッパリ分からないが、それが本当に大事なことなら仕方がない。

丁度いいところに収納ボックスがあるんでそこから取り出す。

えーっと、以前龍田に1つ分けてもらったヤツがあったよな。それをマサムネに交易で少し増やしてもらって前日にようやく帰ってきたんだっけ?

 

「ピッタリ10個あるぞ、これでいいか?」

 

卯月にハチミツを渡す。

苦労して増やしてくれたマサムネには悪いが、お前が増やしたハチミツほんの数秒で半分以下になったぞ。

 

「わーい、ありがとう天龍さん!天龍さんってとってもチョロいんだね!ぷっぷくぷ~。」

 

ハチミツを貰うと機械のような喋り方から、元通りの元気で明るい卯月に戻った。

が、それと同時に何故か罵倒される。人から物を貰っておきながら出てきたセリフがチョロいって酷くない?

 

「あのねー、ハチミツちょうだいって言われてもあげちゃダメなんだよ?」

 

「えっ?でもお前がくれって言ったんじゃ……。」

 

「ぷっぷっぷっ、これだからチョロチョロチョロ~ンな狩娘は困るっぴょん。」

 

小馬鹿にしたように肩を竦めながら鼻で笑う卯月。

チョロチョロチョロ~ン……?

とにかく何でハチミツ渡しただけでここまでボロクソに言われんだよ?

 

「どうしようもない緊急事態ならともかく、自分で簡単に集められるものを人にねだる狩娘なんてロクな娘じゃないっぴょん、非常識の塊っぴょん!こういったアイテムくれくれ行為はふん娘の代表格で、実際にやるともれなく嫌われるからよく覚えておくといいっぴょん。そしてそんな狩娘に言われた通りにアイテムを渡しちゃうのも、私は何も知らないおバカな狩娘ですってアピールしてるようなものっぴょん!よーく覚えておくといいっぴょん。」

 

あぁ、そういうこと。だからチョロいって言われたのね……。

ゴメン、オレ自分でハチミツ採ったことねぇわ。今持ってるのも、元を辿れば龍田に分けてもらったヤツだ。だって海に行ってもハチの巣なんて見当たらねぇんだもん。簡単に集められるなんて今知ったよ……。

 

オレはチョロくておバカでロクデナシの狩娘です、生まれてきてすみません。

 

「まぁまぁ、落ち込むのはまだ早いっぴょん。最初言ったようにかつてのうーちゃんどうしようもないふん娘だったぴょん、お陰で周りにいっぱい迷惑掛けたっぴょん。あの頃のことはクセロシキっぴょん!でも提督が『知らないものは仕方が無いさ、これから覚えていけばいいんだ。僕も提督業については何も知らないからね、これから一緒に頑張って覚えていこう!』って言って頭を撫でてくれたっぴょん。そして一緒にお勉強をして今のステキな卯月になったっぴょん!天龍さんもステキな狩娘を目指して一緒に頑張るっぴょん!」

 

そうだな、オレは艦娘としての知識はあれど狩娘としての知識は少ないんだ。これから頑張ればいいんだ。ありがとな卯月。

それにしても見た目はともかく中身はいい提督だなぁ……。もうドクロ頭でもいいや、ここの提督と代わってくれ。

あとクセロシキじゃなくて黒歴史な……。

 

「あ、このハチミツは授業料として貰っておくっぴょん。これねー、パンに塗ってトーストにするととっても美味しいんだぴょん。ぷっぷくぷ~。」

 

「……えっ?返してくんないの?」

 

「えっ?貰った以上は卯月のものだから返さないっぴょん。変なこと言うんだね、ぷっぷくぷ~。」

 

「えええぇぇぇ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開始早々人を信じる心を裏切られ、早くも心がくじけそうになる天龍なのであった。

 

 

 







ベヒんもス強いなぁ。
FF14は未プレイだけど、ギルガメとかオズマとかヤズマットとかロングイとか実装されたらゾラ・マグダラオスいなくても新大陸が焦土と化すのでは?




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