マム・タロトにバブみを感じてオギャっていたので執筆が遅れました。(屑)
ほんで~かれこれ~ま2週間くらい、狩ったんですけども。
当たり武器は、雷弓も麻痺スラアクも拡散4ガンスも射撃ライトも……出ませんでした……。
一体何がダメだったんでしょうかねぇ~?不思議ですねぇ……。
水棍や賊ヘビィに狙撃ライトに追撃ライトは複数ずつあるっていうのが何とも……。
「撃て撃てぇい!敵を近付けるんじゃねぇぞ!残弾のことは気にするな、ここでやられちゃ意味がねぇ!」
船長の指示により、超大型深海棲艦に向かって砲撃を続ける船員達。
だが深海棲艦は動きを止めることなく、どんどん船に接近してくる。
「信じられん、こいつぁドスニ級か?」
とうとう船の後方100メートル近くまで迫って来た、その深海棲艦の正体はドスニ級だった。
提督であれば誰でも知っている、イ級と並んでカリュード諸島ではよく見かける駆逐ニ級。
俺も今までの提督生活において、本土でもカリュード諸島でも何度か見たことのある駆逐艦型深海棲艦、その大型種であるドスバージョン。
しかしここまで巨大化したヤツを見るのは初めてだ。
ニ級っていうのはイ級の親戚みたいなもんで、カリュード諸島では睡眠液を吐いてくることで有名なヤツだ。
ボスのドスニ級は腕の生えた後期型の姿で、上顎にはミツクリザメを思わせる一本の角が生えていいる。
主に中規模の群れを作って活動をしており、手下のニ級を従えて睡眠液を吐きまくる厄介な深海棲艦として認識されている。
だがコイツは一体何なんだ?
その姿は先程も言った通り、確かにドス二級だ。
深海棲艦特有の白と黒の二色の肌、白く短い腕、下顎の無い顔、そんな不気味な顔の中央で緑色に光る一つ目、鼻先から伸びた太く長い角。
どこからどう見てもドスニ級そのものだ。だが、そのサイズは桁外れといったレベルじゃない。
ニ級のサイズは一般的に2メートルから3メートル程、そしてドスニ級が8メートルから10メートル程とされており、カリュード諸島に現れる駆逐艦型深海棲艦の中でも大型種と言われている。
だが目の前のドスニ級は船長の目測通り100メートルを超えており、とてもじゃないが同じ生物とは思えない。
それどころか大きな身体をしている種の多い鬼級や姫級の戦艦や空母の深海棲艦ですら、ここまで巨大な種類は確認されていない。
間違いなく現在確認されている深海棲艦の中で最大級の巨体だろう。
また本来の二級の皮膚はツルっとした黒曜石のような見た目をしており耐久力はそれ程でもないが、このニ級の皮膚はまるで岩盤のように厚く、そして硬くゴツゴツとした質感をしており、一目見ただけで生半可な攻撃は通用しないということが分かる。荒波に打たれ続けたことによって皮膚が硬質化したのだろう。
コイツはまさしく大海原を泳ぐ山だ、猛々しい豪山だ。
こんな規格外の豪山を前にして、船長の言葉で一度は奮い立った船員達も再び恐怖がぶり返してきたらしく、明らかに砲撃の頻度が落ちている。
並みの深海棲艦が相手なら船長の巧みな操舵技術であっという間に振り切っており、そうでなくてもこれ程の弾幕を受けて無事な深海棲艦はいないハズだ。
しかし巨大な二級はその速度を落とすどころか明らかに速度を増しており、追い付かれるのも時間の問題といったところだ。
「クッソタレェ!!明らかに火力が足りてねぇ、あの岩のような装甲を撃ち抜くにはこんな兵器じゃ火力が足りん!やはりアタリハンテイ力に適応出来ないオレらじゃ駄目なのか!?せめてもっとデカくて威力のある武器があれば!」
船長は歯ぎしりをしつつ吐き捨てる。
相手は初めて確認された超大型深海棲艦だ、戦闘データどころか存在自体が想定されていなかったのだから、有効な大型兵器なんてあるハズがない。
それでも船長や船員達がアタリハンテイ力に適応出来ていれば巨大な二級が相手でも、もう少しはマシなダメージを与えられたかもしれない。
そんな気持ちは俺にもよく分かる。俺が何度狩娘達に負担を強いていることを不甲斐なく思ったことか、俺がアタリハンテイ力に適応さえ出来ていれば……とな。
だが今のあいつらなら……俺という重石の消えたあいつらなら!!
「船長!来ましたっ、救援です!三人の狩娘がこちらに向かって来ています!接触までおよそ30秒!!」
間違いない、バルバレ鎮守府の狩娘だ!間に合ったか!
「良かった、まだ連絡船は無事だにゃ!」
ようやく連絡船が見える距離まで近付くことが出来ました。
私は見ての通り眼鏡を掛けているのであまり視力は良くないのですが、それでもそこに船があるかどうかくらいは流石に分かります。
まだ深海棲艦に沈められてはいないようですね、強走薬を飲んで走り続けた甲斐があったというものです。
「Oh、アレはひょっとしてドスニ級ネー?Unbelievable!いくら何でも育ち過ぎだヨー!!」
金剛さんの悲鳴にも近い声に、私も目を凝らします。
大きい、大き過ぎる……。あれは本当にドスニ級なのでしょうか?
明らかに連絡船よりも大きな身体をした深海棲艦が船を追っており、このままでは追い付かれるのも、そして破壊されるのも時間の問題でしょう。
「今から何としてでもあの深海棲艦を食い止めます!私と睦月さんは深海棲艦に直接攻撃を仕掛けます!金剛さんは船の守りに回って下さい!」
「Roger!この大盾でどんな攻撃でも防ぐネー!」
「はーい!進化したガルーヘルちゃんと私のコンビは無敵なのだぞ!」
強気の返事をする二人ですが、やはり不安なのでしょう。まだ交戦前だというのに冷や汗をかいています。当然私だって不安です。
今回の戦いは私達は勿論、全ての狩娘の戦闘の歴史においても史上初となる超大型深海棲艦との戦いになるのですから。
勝てるのか、そもそも勝負になるのか、こちらの攻撃は通用するのか、それすら全く分かりません。ですが全員それを覚悟でここまで来たんです、今更怖気付くワケにはいきません。
一先ず船まで近付くと、ふと懐かしい声が聞こえてきました。
「おーい、こっちだ!」
左手で連絡船の船首の手摺に掴まり、こちらに向かって空いた右手を振りつつ大声を出している赤い帽子をかぶった初老の男性。
見間違えようがありません、どこからどう見ても団長です。
「団長!?この船に乗っていたんですか!?」
「あーっ、団長だぁ!」
「団長!久しぶりネー、会いたかったヨー!」
「よぅお前ら、久しぶりだなァ!色々と積もる話もあるが、今は見ての通り大ピンチなんでな。早いとこ船のみんなを助けてやってくれ!」
団長との唐突な再開に、今が非常事態の真っ最中だということも忘れてしまいそうになります。
「なぁに、お前さん達が来てくれたからには勝ったも同然だ!お前らの実力は、誰よりもこの俺が知っている!そうだとも!お前さん達なら出来る出来る!」
出ました、団長お馴染みの根拠の無い『出来る』発言。しかしこのセリフに私達は幾度となく励まされてきたんです。
「団長の言う通りだにゃ!私達なら出来る出来る!」
「団長が乗っているのなら尚更負けられないネー!この船は絶対に守り通すヨ!」
ほら、もういつも通りの二人が帰ってきましたよ。
確かに私達は今まで幾度となく苦戦を繰り返してきました。ですがそれでも出来なかったことなんてないんです!
無茶は承知の上ですが、それでも無理ではないんですッ!
「行きましょう!交戦開始っ!!」
「クッ、いくら攻撃してもまるでスピードが落ちない!」
意気込んだのはいいものの、やはり相手は超巨大な深海棲艦。こちらが攻撃を加え続けているにも関わらず、まるで堪えた様子がありません。
流石に不死身ということはないでしょうが、それでも見た目通りの凄まじい生命力を持っているようです。
ニ級は私達に対してあまり目立った攻撃を仕掛けて来ないので何とか戦い続けることが出来ていますが、相手の矛先は船に向かっているので救いにはなっていません。
「どうしよう、もうすぐ強走薬も無くなっちゃうよ?このままじゃ追い掛けられない!」
ニ級は相変わらず船を追い掛けています。
ニ級と並走を続ける私達ですが、走りながらの戦闘なので当然効率は悪く、強走薬が無くなればそのまま置き去りにされてしまうでしょう。
「Ouch!また鱗が飛んできたヨー!?とても全部は防ぎきれないネ!」
超巨大な二級は普通のニ級のように睡眠液を吐くことはないものの、その代わりに身体を勢いよく屈伸させることで古くなった外皮や鱗を投石機のように飛ばして船を攻撃しています。
普通のニ級の鱗なら片手サイズも無い大きさですが、この超大型ニ級の鱗の大きさは一つ一つが人間の半身以上もあり、その様子はまるで空爆です。
船上に上がった金剛さんは、飛んでくる鱗から船や砲撃を続ける船員達を守る為に攻撃を防ぎ続けています。
ですがいくら大盾を持っているとはいえ一度に防げる数には限界がありますし、防いだ金剛さんにダメージが無いワケではありません。
金剛さんはじわじわと体力を削られているようです。
「金剛、無茶はするな!」
「団長こそ、いつまでもそんなところにいるとそのうちペシャンコネー。ほら、船の中に入った入った!」
「……すまない、無事でいろよ!」
「HAHAHA、誰にものを言っているデース!」
心配する団長に強がってみせる金剛さんですが、私達の中で一番限界が近いのは間違いなく彼女でしょう。
金剛さんも隙を見つけては回復薬を飲んでいるようですが、それも何時まで持つか……。
「マズいっ、もう船との距離が10メートルちょっとくらいしか無いにゃ!」
「これ以上近付けさせるワケにはっ!!」
あれから戦闘を続けることで少しずつニ級の行動パターンや、攻撃の通る箇所が徐々に分かってきました。
急所と思われる頭部は位置が高過ぎて狙えません、なので私達は比較的柔らかい腕の甲殻を集中的に狙うことで、多少なりともダメージを与えて動きを鈍らせる作戦に出ました。
ですが逆にニ級の怒りに触れたのか先程よりもスピードが増し、攻撃も激しさを増してきました。
このままでは追い付かれるのも時間の問題でしょう。せめてあと一人狩娘がいてくれれば……。
「Shit!攻撃の間隔が短くなってる!?だんだん腕が痺れてきたネ……。」
船に接近したことで着弾までの時間が短くなった鱗攻撃。
次々と攻撃を防いでいく金剛さんですが、攻撃の激しさにだんだんと対応が間に合わなくなってきたようです。
「Ah!盾がっ!?」
マズい、とうとう限界が来たのか金剛さんの盾は弾かれて手元から離れていきました。
ですが二級は攻撃の手を緩めることなく、既に次の弾を撃ち上げました。
「逃げて下さいっ、盾も無しにあの攻撃は防げません!」
「でも見捨てることは出来ないネ、こうなったらWhatever!」
しかし金剛さんはそう叫ぶと、逃げるどころか覚悟を決めた顔で鱗の落下地点へと身体を滑り込ませたのでした。
「ぐっ……ふ……船は……無事ネ?……だけど……これ以上は……戦えない……ネ……。」
「「金剛さん!?」」
ゆっくりと甲板に倒れ込む金剛さん。あなた何て無茶なことを……。ですがお陰で船は無事です。
普段ならここでレンタクがすぐに来て金剛さんを救助してくれるのですが、今回のクエストは緊急中の緊急。レンタクの手配なんて出来ていません。金剛さんは船の甲板に倒れたままです。
このまま攻撃を続けられたら船へのダメージを防げないどころか、瀕死の金剛さんへの命にも関わります。これ以上の攻撃を許すわけにはいきません。
ですがここで敵の動きから目を放したのがいけなかったのでしょう。
「香取さん、危ないっ!」
「えっ?……ぐあっ!?」
傷付いた金剛さんに気を取られ、よそ見をしていた私に対して抉り取るかのように突き出される巨大な角。腹部を強打して瞬間的に意識が飛びます。
更に不幸は続くもので、通過した角に服の裾が引っ掛かり離れません。
「ぐっ……持ち上げられるッ!?」
まるでモズの早贄のように私を角に絡めとったまま、下げていた頭の位置を元に戻す超大型ニ級。
何とか角から逃れようとしますが、ダメージが響いているのか腕を上手く動かすことが出来ず、服を剥がすことが出来ません。
ハッキリ言ってお腹に穴が空いていないどころか、身体が寸断されていないのが不思議なくらいです。
「香取さんを離せーっ!!………………ってこんな時に強走薬が!やだっ、ダメ!走って私の足!!後からいくらでも休めるでしょ!?お願い走ってェ!!」
必死に追い縋る睦月さんですが徐々に引き離されて、とうとう豆粒のように小さくなってしまいました。
最悪の事態です。金剛さんは戦闘不能、睦月さんは戦線離脱、そして私も拘束されて身動きが取れない。超大型ニ級を止められる存在はいなくなってしまいました。
邪魔者がいなくなったのが分かるのかニ級は更に加速を続け、あっという間に船に追い付きました。
船と並んで泳ぐニ級、その距離は既に10メートルもありません。
『ニ゙イイイイイイィィィィィィィィィ!!!!!』
勝ち誇ったかのように咆哮を上げるニ級。
その巨体に見合った声量はもはや爆音の域、間近で聞かされた私はもはや意識を失う一歩手前です。
船上の船員達もその大声の前に怯み、砲撃の手が止まります。
私達と違って、アタリハンテイ力に適応出来ていない船員達です。船長さんはなんとか歯を食いしばって耐えたようですが、音圧に頭を揺さぶられ気を失う者も出てきました。
倒れていた金剛さんを運んで避難させようとしていた船員もいましたが、そんな彼らもまとめて倒れてしまい船上は死屍累々です。
『ニ゙ィッ!!!』
その場で大きく頭を左右に振るニ級。
角に引っ掛かった私の服は今のスイングの勢いでようやく剥がれました。
「あっ……。」
しかし勢いよく振り回された私の身体は自由と引き換えに宙を舞います。
吹き飛ばされた私が向かうのは船の甲板、このまま落ちれば甲板に叩き付けられてしまいます。
見た目によらず知能の高いニ級のことです。角に引っ掛かったままで邪魔な私を排除するために狙ってやったのでしょう。
せめて受け身を取らなければ………………くっ、駄目ですね。意識が朦朧として身体が思うように動きません。
金剛さんに続いて私も戦闘不能になるとすれば、船を守れる者は全員いなくなったことになります。残念ですが睦月さんは追い付かないでしょう。
せめて囮になって船員と団長を逃すことが出来れば良かったのですが、初めから船を狙っているニ級相手にその作戦は通用しません……。
身体が動かない以上、出来ることはありません。目を閉じて重力に身を委ねます。
すみません団長、私には守ることが出来ませんでした。助けられなくてごめんなさい……。
………………甲板に叩き付けられたハズなのに痛くない?いえそれは奇妙です。受け身も取れずに落ちたのですから、痛みが無いなんてことはありえません。
そもそもこれは本当に甲板なのでしょうか?何やら暖かくて柔らかいものに包まれているような感じがします。
誰かがクッションが敷いてくれたのでしょうか?
いえ、船員はそのほとんどが倒れており、動けるものもそれどころではないハズです。なのでそんなこともありえないでしょう。
ですが助かったことは事実。状況を確認するためにも、そっと目を開きます。
「君、大丈夫かい?」
目に映ったのは、優しげな表情をした茶髪の若い男性の顔……って!?ちっ、近い!顔が近いです!?
恥ずかしさから思わず顔が赤くなります。生まれてこの方、ここまで異性と顔を近付けたことなんてありません!何故この方はここまで私に顔を近付けているのでしょうか?
……落ち着きましょう、そもそも何故落ちたハズの私は無事だったんでしょうか?
赤くなった顔を誤魔化すように彼の顔から目線を逸らし、周囲を確認します。
どうやら私の身体は横抱きにされているようです、この暖かくて柔らかい感触は腕の中にいたからだったんですね。
これは女の子が憧れる、俗に言うお姫様抱っこという抱き方です。私ですか?そりゃあ私だって憧れていますよ、お姫様抱っこ。
女の子なんて歳ではありませんが、私だって女性の端くれ。いつか素敵な男性にやってもらいたいなぁ……なんて思ったことぐらいいくらでもあります。
そもそも私は誰に抱かれているのでしょうか……いえ、そんな分かり切ったことを誤魔化す必要は無いでしょう。
吹き飛ばされた私は目の前の男性に抱き留められることによって助かったんです、だからお互いの顔が近かったんですね。
目の前の彼は自分の危険も顧みずに私のことを救ってくれたのでしょう。そう考えると更に顔が赤くなったような気がします。
「あ、あの……ありがとうございます。その……もう大丈夫です、一人で立てますから……。」
ずっと抱かれているのが恥ずかしくなり、名残惜しさを感じつつも男性の腕から抜け出します。
……あれっ?目の前に立ってようやく気付きましたが、この男性は非常にラフな格好をしていますね。具体的に言うと上半身はタンクトップ一枚です。そして下半身は…………!?
な、ななな何て格好をしているんでしょう!?///
この人トランクスしか穿いていません!?タンクトップにトランクスってどっちも下着じゃないですか!?///
ってことは私はインナー姿の男性に抱きしめられたことに……あわわ///
どうしてしまったのでしょうか?
未だ戦闘中であり、そして恥ずかしいのにも関わらず何故かその男性から目を離すことが出来ません。
この出会いにより、私の心の中に今まで感じたことのない何かが芽生えたのでした。
香取さんチョロイン化、やったぜ。
ちなみにこれがカリュード諸島における初の超大型深海棲艦戦なので撃龍槍なんて気の利いた兵器はありません。