天龍「とうとうタイトルからもハブられたぞ、どうなってんの!?」
弥生「出番が無いから……仕方ない。」
今日はエイプリルフールなので初投稿です。
新しい提督と共に新たな一歩を踏み出したバルバレ鎮守府。
正規の提督が加入したことにより戦力は向上し、更に建造の許可が下りたことで新しい狩娘も増えてきて鎮守府も徐々に賑やかになってきました。
今まで苦労を続けてきた鎮守府は生まれ変わり、全ては順調になるかと思われたのですが……。
「提督!どういうことなのですか!?またしても苦情が届きましたよ!」
「うるさいかとり いまいそがしい ででけ。」
どうやらこのゆうた提督、提督としてのイロハが無いどころか、人間的にもまだまだ幼いようで、至るところで問題ばかり起こします。
他所の鎮守府に一方的に資材をねだり、禁止されている改造クストや改造装備を求める。
挙句の果てには連装砲ちゃんの改造にまで手を出そうとしました。
もっとも技術と知識が足りなくて、改造どころか分解すら出来なかったみたいですが。
しかもどうやらそれが悪いことだと思っていないようなのです。
彼は本当に軍の育成機関を卒業したのでしょうか?
ゆうた提督が提督らしいことをしている場面なんて見たことがありません。
執務室はゆうた提督に占領されて子供部屋と化してしまい、仕方なく物置を整理して新たな執務室として使っているのが現状です。
子供相手に何を期待しているんだ?って思われる方もいるかもしれませんが、提督というのは責任のある立場なんです。
子供だからといって何をやっても許されるなんてことはありません、責任が取れないのならそもそも提督になるべきではないのです!
「ヘックション!?我輩としたことが風邪でもひいたか?それにしても神通め。『いい歳した大人が他人に迷惑を掛けないで下さい。』とは失礼なヤツだ。我輩は迷惑を掛けるどころか美味いビールを作って世の狩娘どもに貢献しているというのにな、ヌハハハハ!」
ゆうた提督は無口なのではなく、必要があるときにしか喋りません。
喋るときにはたどたどしく聞き取り難い話し方をします、そして指示が通るまでオウムのように何度も同じ言葉を繰り返すのです。
また彼はちょっとでも気に入らないことがあると癇癪を起して喚き散らします。
諭してもまるで聞き入れず、反省の色も見えません。
ここはいつから託児所になったのでしょうか?
「しつこいとかいたいする はやくでてけ いわれたとおりしろ ひしょかんのやくめでしょ。」
こうなってしまうともう手の付けようがありません、流石の私も解体されたくはありませんしね。
「ハァ、団長……。あなたは今どこにいるのでしょう?」
団長がいたときはこうではありませんでした。
確かに戦いは苦しかったし、鎮守府も人が少なくガランとしていました。
でもみんなで協力して、お互いの為に頑張って来たのです。
山城さんも未だに姿を見せないどころか連絡すらありません、団長は本当に声を掛けたのでしょうか?
「ギャー!?洗濯が終わって裏庭で干そうとしていたパンツを目の前でガブラスに盗られたぁ!?急降下して咥えて持っていくだなんて、何考えてるの!?返しなさいッ、それは食べ物じゃないのよ!………………あぁ、逃げられちゃった。ハァ、もうどうなってるのかしら。一昨日には靴を片っぽ無くすし、団長から貰った鎮守府の連絡先のメモもトイレに落として流しちゃうし。まだどこの鎮守府なのか確認していなかったっていうのに~!あぁ姉さま~、早くドンドルマ鎮守府にいらして下さい。山城はもう一杯一杯です。あぁ何て不幸なのかしら……。」
「あーっ、香取お姉ちゃんだ。チョリーッス!なぁ~んちゃって♪」
廊下の向こう側から現れたのは、最近鎮守府に着任した卯月さんです。
「今日も他の鎮守府の狩娘からハチミツを貰ってきたぴょーん!改造クエストっていうのはまだ持っている人は見たことが無いけど楽に稼げるっていうから、そっちの方も絶対に探して貰ってくるっぴょん!」
彼女もまた私の頭痛の種の一つです。
楽しそうな本人を見る限りきっと悪気は無いのでしょう、ですが狩娘としての非常識な行動はとても目に余ります。
そもそも普通の狩娘は改造クエストなんて持っているハズがないと思うのですが、そういう発想には至らないのでしょうか?
実はこういった問題行動を起こす狩娘は卯月さんに限ったことではありません。
提督がああいった方ですから、精神年齢の幼い娘が多い駆逐艦の狩娘は彼の影響を強く受けてしまっています。
自分達のトップである提督があのような行動を取るものですから、自然と駆逐艦娘も問題行動ばかりを繰り返すのです。
お陰でここの鎮守府の評判は最悪です。
バルバレ鎮守府所属と名乗った瞬間に、他の鎮守府の狩娘に追い返されるといった話も少しずつ増えてきました。
駆逐艦以外の狩娘達も、提督があのようではまるでやる気も起きないようです。
非常識な提督と駆逐艦に挟まれて、やる気が出る方がおかしいのかもしれませんが……。
もちろん私だって何もせずに見ていたわけではありません。
駆逐艦の狩娘が問題を起こすたびに注意をしてきました。
ですが『提督がいいと言っている。』との一点張りで終わってしまうのです。
私も秘書艦とはいえ、所詮は一介の狩娘に過ぎません。
あんな子供とはいえそれでも提督、私とでは言葉の重みも違うのでしょう。
金剛さんや睦月さんが一緒に出撃するときは問題のある狩娘のフォローに入ってくれますが、それでも彼女達は当然二人しかいません。
鎮守府の全員と出撃しようにも身体は足りませんし、疲労だって溜まります。
金剛さんは目の下にクマが出来ました、睦月ちゃんは髪がボサボサです。
『紅茶飲んでる場合じゃないネー。』
……と力無く笑う金剛さんはもう見てられません。
最初は提督を教育しようとしたのですが、まるで聞く耳を持ちません。
話を聞かないだけならまだしも、逆ギレすらされる始末です。
次に提督を本部に送り返すことを考えましたがそれでは何の解決にもならない上に、戦力の低下にもつながってしまいます。
そもそも私にそんな権限はありません。
もはやここの鎮守府ではまともに戦っている狩娘の方が珍しいです。
ほとんどの狩娘は他の狩娘の狩りに便乗して、自分は何もせずにおこぼれを貰うだけのハイエナのような娘ばかりです。
その数少ないまともな狩娘の負担を更に増やすような真似なんて私には出来ません。
新たな提督との出会いによって確かに私達の運命は大きく変わりました。
ですが誰もこのような運命は望んでいません。
本当にグリーンがラッキーカラーなのでしょうか?私の心も流石に折れる寸前です。
……あぁ誰か鎮守府を救って下さい。
「よう、そこの若い兄さん!元気かい?この連絡船ももう少しでバルバレに到着だ、いやぁ楽しみだなァ。俺は会いたい奴らがいるんだ、あいつら元気にしているかなァ?ところで兄さんは提督か憲兵さんかい?……えっ、この船の船員なのか?それも新人の清掃員?はっは!端正な顔付きにしっかりとした体幹をしてるもんだから、てっきり狩娘の関係者かと思ったよ。……へぇ、兄さんは今から上陸まで休息時間なのかい。そりゃ休もうとしているところを引き留めて悪かったな。袖振り合うも何とやらというし、また会ったら一杯やろうじゃないか。それじゃあな!」
『鎮守府』と打ち込もうとして間違えて、『淫呪符』と打ち込んでしまった。
なんだかスケベな呪いが掛かりそう。
投稿を始めて今日が丁度一周年記念、でも特に何もしません!
ガブラス:みんなご存じ、飛竜種から蛇竜種になった文字通りハイエナみたいな習性のアイツ。
『ハイエナは自分で狩りをするだろ!?』だって?細かいことは気にしない。
カリュード諸島では竜種の目撃情報は非常に少ないため竜はUMA扱いされており、存在を疑問視されている(そもそも恐竜の生存ですら眉唾だったのに、竜という非現実的な生物が存在するという発想自体に至らない。)。
よってガブラスも竜種とは思われておらず、突然変異を起こしたヘビかトカゲの一種だと勘違いされている。
基本的に山に生息しており人里に降りてくることは少ないので、海に出ることの多い狩娘達と関わり合いになることは少ない。
またガブラスにとって海は危険な場所であり、深海棲艦の肉も食用には適さないので狩娘と深海棲艦の戦いに横槍を入れてくることもない。
なのでジャギィ以上に狩娘と遭遇することが少なく、珍しい野生動物の域を出ていない。
人里に降りてくること自体が少ないのにわざわざ鎮守府までやって来て、食えもしない山城のパンツを盗んだ理由?
山城の運が悪かったんじゃない?