天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

28 / 106


MHWのPV見てたら登場人物が普通に日本語話しててカルチャーショック!
モンハン世界人が地球の言葉話すと違和感が凄まじいね……。




天龍ちゃんと演習1

 

 

 

 

 

「お見事ゼヨ、これで太刀の動作は一通り覚えきったゼヨ!」

 

「モット時間掛カルト思ッテタゼヨ。」

 

結局あの後更に追加で狩技ドリンクを飲まされたオレは無事に気刃斬りもマスターした。

もう今日は昼ご飯どころか晩ご飯もいらねぇわ。

お腹いっぱいで、胃が受け付けないぜ。

 

「それじゃあ最後は実際の戦いの中でも使いこなせるかどうかのテストゼヨ。これをクリアできれば晴れて合格ゼヨ。」

 

「練習デ出来テモ、本番デ出来ナキャ意味ガナイゼヨ。」

 

確かにその通りだ、実戦で使えてこそナンボ。

初めてドスイ級と遭遇した時に、焦って応急薬を持っていることすら忘れてそのままやられてしまったのは未だに記憶に新しい。

慌てていざって時に技が出せなきゃ合格とはいえないもんな。

ようするに最後は実践訓練ってわけか。

 

「とはいえまだ海に出て深海棲艦相手に試すのは早いゼヨ。だから最終試験は試験をするのにピッタリの場所でやるゼヨ。着いてくるゼヨ。」

 

ピッタリの場所?ここの中庭じゃダメなのか?

今日は狩りに出ないって龍田が言ってたから、海に出ないのは分かるけどさ。

色々と疑問もあるが、とりあえず師匠に着いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたゼヨ。」

 

思ったよりも近かった……というか鎮守府の外に出るどころか、鎮守府の敷地の奥にどんどん入って行ったような?

 

「ここの鎮守府の提督は元教官ゼヨ。それに秘書官の神通も教官気質の狩娘ゼヨ。だからここの鎮守府には余所の鎮守府には無い特別な施設があるゼヨ。」

 

オレ達がたどり着いたのは鎮守府には似つかわしくない古めかしい雰囲気の大きな建物だった。

物々しい鋼鉄製の巨大な門、ローマのコロッセオを彷彿とさせる頑丈そうな壁が目を引く。

その施設というのがこれなのか?

 

「その名も訓練所ゼヨ。提督が教官だった頃の経験を活かして造られた施設で、ここの鎮守府の狩娘はみんなこの施設で腕を磨いているゼヨ。」

 

訓練所……なるほど、確かに仕上がりを見るにはピッタリな場所だな。

 

「オヌシにはここで演習を受けてもらうゼヨ!」

 

演習?へぇ、狩娘にも艦娘と同じように演習があるのか。

確かに演習なら実戦みたいに轟沈は出ないもんな……ってそもそも狩娘に轟沈はないんだっけ?

まぁ万が一があるかもしれないし、それに演習なら問答無用の実戦と違ってルールも決められて安心だしな。

 

演習っていうのは艦娘の場合だと互いに陣形を組んで最大6対6戦うんだが、演習のチームがオレ1人の場合だと演習相手が単艦放置でもなきゃ6対1で袋叩きにされて終わりだよな?

そういや狩娘は艦娘と違って4人縛りのルールがあったな。

相手が4人ならオレ1人でも勝ち目はあるか?いやいや、4対1でも無理なもんは無理だ。戦いは数だって言うしな。

そもそも4人縛りなら3対1になるのか?いかん、混乱してきた……。

 

とにかく今回はオレの仕上がりを見るのが目的なんだから、普通に考えれば演習はオレ1人で受けるもんだよな。

なら相手も単艦ってことになるか?じゃないと仕上がりを見る前にハメ殺しに遭って負けちまうぜ。

そんでもって相手が単艦だとして、身近なところにいる暇そうな狩娘っていったら師匠しかいないよな?ということはオレと師匠が1対1の決闘形式で戦うのか?

それなら中庭でやってもいいと思うんだが、中庭で暴れるとやっぱり周りの迷惑になんのかね?芝生が荒れるとか、騒音が出るとかさ……。

 

 

 

 

 

「それじゃあワシはオヌシの代わりに演習の手続きをしておくから、オヌシは更衣室で着替えておくゼヨ。」

 

「えっ?着替える必要があんの?」

 

何でだよ?オレが変な格好してるのが悪いのか!?

オレだって好きでダンゴムシ持ってたり、パンツにソックススタイルでいるわけじゃないぞ!?

 

「指定された装備で戦うためゼヨ。これは装備の質によって有利不利が出ないように、強さの均一化を図っているからゼヨ。強い装備と弱い装備なら強い装備を使った方が成績がよくなるのは当然ゼヨ。だから全員同じ強さにすることで、改めて自分の技量がはっきりするゼヨ。ついでに言うと持ち込み荷物も支給された物以外は持ち込めないゼヨ。これも理由は同じで、アイテムをいっぱい持っている方が有利になるからそれを防ぐためゼヨ。当然食事の効果も無視されるゼヨ。うっかり有料メニューを食べるとお金を損するゼヨ。」

 

あぁ、そういう理由があるのか……。

それなら納得だ。オレのドレスコードが酷過ぎるからとかじゃなくて良かった。

お前みたいなクソダサコーデの女は出禁だとか言われたら憤死するぞ?

そういや今朝タダ飯を食べたのもこれが理由か。

 

それにしても新入りとはいえここの鎮守府出身のオレよりも他所の鎮守府出身で、交易でたまにしか来ない師匠の方がクロオビ鎮守府の設備に詳しいって少し納得いかねぇ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練所の中に入ると、すぐさま係の連装砲ちゃんが出迎えてくれた。

 

「訓練所ニヨウコソダヨー。天龍サンデ間違イナイネ?ソレジャアココノ更衣室デ着替エテ、ソシテ支給サレタアイテムヲ持ッテイッテネ。準備ガ終ワッタラソノママ出撃口カラ外ニ出レバ訓練ノ始マリダヨー。」

 

そう言って連装砲ちゃんは数ある部屋の中から1つに案内してくれた。

オレの想像していた更衣室と随分違うな。

更衣室っていうもんだから、てっきりロッカー室みたいなところで着替えるもんだと思ってたが、そうじゃなくて個室がたくさんあるパターンなんだな。

 

案内された部屋に入って中を確認すると、狭い部屋の中にロッカー代わりの青いアイテムボックスが1つ置いてあり、部屋につながる廊下の奥には出撃口と書かれた扉があった。

ボックスの中を覗いてみると服と太刀にお守り、そしてアイテムが入っている。今の装備とこれを取り換えろってことか。

 

 

 

 

 

というわけで早速着替えてみるが……。

 

「何だよ、この変な組み合わせは……。」

 

 

 

 

 

天龍ちゃんの現在の装備

 

武器:凍刃【氷華】

頭:ツ級ヘルム

胴:島風スーツ

腕:島風アーム

腰:島風スカート

脚:島風ソックス

護石:城塞の護石

スキル:体術+1、スタミナ急速回復、雑念

スタイル:ブレイヴ

狩技:妖刀羅刹

 

 

 

 

 

何これ?

太刀の方は氷の装飾が素晴らしく、オレの使っている骨と交換したいくらいなんだが、防具の方は見た目が酷い。

考えて見ろよ?頭だけツ級になった島風コスの天龍だぞ?こんなの恥ずかしいにも程がある!!

頭装備も島風だったらいっそのこと開き直れたんだが、これならまだ腕にダンゴムシ着けてる方がマシだ。

 

それに頭だけ違う防具だからスキルも中途半端なことになってるな。

この体術っていうスキルはスキルポイントが12で2余ってるみたいだけど、こっちのスタミナっていうスキルはスキルポイントが1足りてないから発動してないじゃん。

気力回復のスキルは防具のスキルポイントだけだと1足りないから護石で補ってるんみたいだが、その護石に溜め短縮-10付けるって酷くない?

このスキルが発動すると練気が溜まりにくくなるって書いてあるじゃん!

太刀の練習にこのスキルじゃ練習になんねぇよ!?

 

アイテムの方は意外と充実していて、応急薬や携帯燃料、携帯砥石といった基本の他に、生命の粉塵っていう見馴れないものも入っている。

でもこれってよく見たら集団戦で使うものじゃん、1人で使っても旨味が少ないんじゃないか?

 

何よりの問題はブレイヴっていう知らないスタイルと、妖刀羅刹っていうこれまた知らない狩技が指定されていることだ!

ブレイヴって何?練気解放円月斬りと鏡花の構えはどこに行った?

これでどうやって戦えばいいんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁいい、ここでウダウダ言ってても始まらねぇ。倒れるときは前のめりだ、行くぜッ!演習がオレを呼んでいるゼヨ……じゃなかった、呼んでいるぜ!」

 

ドアを開けて外に出る、暗い室内から明るい外へ出たせいか日差しが眩しいぜ。

 

ここが訓練所のベースキャンプか、無駄に広いな。

周囲にはベースキャンプらしくベッドも支給品ボックスもちゃんと用意してある。

そして鎮守府には似つかわしくない古代ヨーロッパ風のアーチ型のゲート。あそこをくぐれば演習の始まりだな?

オレが通ってきたドアはいつの間にか閉まっており、オートロック機能もあるらしくカチャンと鍵が掛かる音がした。鍵が掛かって戻れないのなら前進あるのみだ。

念のため支給品ボックスを覗いてみたが何も入っていなかったし、ここにいてもしょうがないな。

迷うことなくゲートをくぐって先に進む。

 

 

 

 

 

ゲートをくぐり抜けた先には一面にプールが広がっていた。プールに障害物らしい障害物は見られず身を隠す場所も無さそうだ。

こりゃ確かに狩娘向けの演習所だ。小細工抜きのぶつかり合いになりそうだな。

 

突然ガシャンという音と共に、俺が通り抜けてきたゲートに鉄格子が降りてきた。

これじゃもう戻れないな。

この施設は提督がまだ真面目に仕事してた時に作ったっていうが、ひょっとしてあいつオートロックが好きなのか?

 

下らないことを考えていると、オレの入って来たゲートの反対側にあるゲートの鉄格子が少しずつ上がり始めた。ゲートの奥には誰かがいるようでほのかに人影が見える。

それでオレの相手は誰だ?やっぱ師匠か?それとも神通か?神通が相手だと下手すると訓練でも殺されそうだ。はたまた他の鎮守府からの刺客でも来てるのか?

勝つなら当然完全勝利Sを目指すぜ、戦術的勝利Bだと勝った気がしないからな。

少なくとも敗北Dだけは絶対に避けたい。敗北Dなんかになったら龍田に何言われるか分かったもんじゃないし、それに今朝に見違えてみせるって大見栄張っちまったしな……。

 

ん……?あの人影デカくない?10メートル以上あるように見えるんだけど……。

あんなにデカい艦娘……じゃなくて狩娘なんていたっけ?

 

オレの疑問を余所にとうとう鉄格子が上がり切り、中から巨大な影が現れた。

さぁて、鬼が出るか蛇が出るか?

 

 

 

 

 

BGM:水上の戦慄

 

 

 

「ウフフ……。」

 

漆黒の巨大な艤装、そこから生える鋭い爪を備えた白い巨腕。

そしてその艤装の上に乗っている……否、生えているのは白髪をポニーテールにした白い肌の女。

そう、その名は装甲空母鬼。

 

「えっ?ええっ?えええ~~~???」

 

どこからどう見てもあれは装甲空母鬼だな、うん。

まだヲ級どころかヌ級にすら会ってないのに装甲空母鬼?

そもそも演習だって聞いていたのに相手は狩娘じゃなくて深海棲艦?それも鬼級?相手ってコレ?

ウソだろ、マジで鬼が出てきやがった!?今日は狩りに行かないって言ってたじゃないですか!やだー!

そもそも何で鎮守府に深海棲艦が?ひょっとして侵入者?

ドスイ級にようやく勝てるレベルのオレじゃ勝てる気がしねぇんだけど?

え~っと逃げるには……あっ、そういやゲートには鉄格子が降りたから出られないんだっけ?

ということは……。

 

「可愛ガッテアゲル……。」

 

オレを見て狂気的な笑みを浮かべる装甲空母鬼。間違いなくオレを襲うつもりだ。

チクショー、このままやられて堪るか!!やられる前にやってやる!!

窮鼠猫を噛むんだぞ!?追い込まれた狐はジャッカルより凶暴だ!!

 

「サア来ナサイ……。」

 

「ウオオオいくぞオオオ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

\ぬわーーっっ!!/

 

 

 

 







装甲空母鬼はセリフが無いから、話し方は全部捏造。仕方ないね。










天龍「まだだ!まだ終わらんよ!」



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。