天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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夏休みの宿題として『操瑞雲棍の全て~瑞雲だけで狩りは出来る~』を読んで、読書感想文を書きました。(大嘘)
そして著者に憧れて真似して瑞雲だけを使ってアカムトルムを狩りに行きました。
結果?……まぁ時間がもったいなかったとだけ言っておこう。




天龍ちゃんとストロベリー2

 

 

 

 

 

結局あの後、潮風丸に太刀を学ぶことになったオレは骨を片手に中庭で待機していた。

 

「それでは今から指導を行っていくゼヨ。指導を受けるにあたって、訓練中はワシのことは師匠と呼ぶがいいゼヨ。」

 

「はい、師匠!」

 

「師匠……いい響きゼヨ。」

 

どうやら今まで弟子がいなかったため、師匠と呼ばれることに感動しているらしい。

……そんなことはいいから早く進めてくんねぇかな?

 

 

 

 

 

「それじゃあ早速太刀の扱い方のレッスンを始めるゼヨ。剣レン丸、カモ~ンゼヨ!」

 

剣レン丸?誰だそれ?

 

するとすぐさま中庭の出口から荷物を抱えた連装砲ちゃんが走り寄ってきた。

 

「船長、オ待タセシタゼヨ。」

 

やって来たのは微妙に形が崩れたちょんまげを頭に乗せた、袴姿の連装砲ちゃん。

ひょっとしてコイツが師匠のオトモ……じゃなくて弟子1号の連装砲ちゃん?

 

「船長ノ太刀ヲ持ッテキタゼヨ!」

 

レン丸が師匠に渡したのは青い鞘に青い柄を持ち、これまた青い鍔を持つ、何から何まで青い太刀。きっと刀身も青いんだろう。

 

「やっぱりこれがないと始まらないゼヨ。これがワシの愛刀、南蛮刀ゼヨ。」

 

「ソシテコッチガ今回ノ訓練ニ使ウ的ゼヨ。」

 

続いてレン丸が用意したのはイ級の絵が描かれた木の板。

的って言ってたし、これを本物のイ級だと思って訓練するのか?

 

「上出来ゼヨ。せっかくだから紹介しておくゼヨ。こいつは剣レン丸、ワシの1番弟子ゼヨ。そしてオヌシの兄弟子に当たるゼヨ。レン丸、コイツは天龍ゼヨ。今日からオヌシの弟弟子、いや妹弟子?とにかくオヌシの後輩になったゼヨ。」

 

「ヨロシクゼヨ、ワシガ剣レン丸ゼヨ。ボク……ジャナクテワシニ後輩ガ出来ルナンテ夢ノヨウゼヨ~。弟弟子ナンダカラ、ワシノコトハオ兄チャント呼ンデクレテモ構ワナイゼヨ?」

 

「いや、それは遠慮しておく。」

 

「ソウゼヨカ、ショボーンゼヨ。」

 

がっかりするレン丸。だけど流石に連装砲ちゃんをお兄ちゃんと呼ぶのは抵抗があるだろ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではまず最初に狩猟スタイルについて教えるゼヨ。」

 

「教エルゼヨー。」

 

「よろしくお願いしまーす。」

 

「狩猟スタイルというのは、分かり易く言えば武術の型みたいなものゼヨ。スタイル毎にそれぞれ特徴があって、少しずつ違う型で立ち回るゼヨ。」

 

「必殺技ガイッパイ使エタリ、敵ノ攻撃ヲ躱シタリト色々ナ狩猟スタイルガアルカラ、自分ノ戦法ニ合ッタモノヲ選ブゼヨ。」

 

へぇ~。変な連中だと思っていたけど、意外と真面目に教えるじゃん。

てっきり1日に感謝しながら太刀を1万回も振り回したりするのかと思ったぜ。

 

「今回教えるのはギルドスタイルゼヨ。ギルドスタイルは基礎中の基礎。最終的にどのスタイルを選ぶにせよ、まずはこれを学ぶことから始めるゼヨ。」

 

「ギルドスタイルハ繰リ出セル基本技ノ数ガ1番多イゼヨ。ココカラ派生シテイクコトデ他ノスタイルニツナガッテイクカラコソ、基礎中ノ基礎ト呼バレテイルゼヨ。他ノスタイルニ比ベルト尖ッタ部分ハ少ナイケド、ソノ代ワリ状況ヲ選ブコトナク常ニ安定シテ戦ウコトガ出来ルノガ強ミゼヨ。マァスタイルニ囚ワレナイ連装砲ニハ、アマリ関係ノ無イ話ゼヨ。」

 

そう言うと師匠とレン丸は背負った太刀を抜き、イ級の的の前に立った。

やっぱり師匠の太刀は刀身も青かった、予想通りだな。

それに対してレン丸はミニサイズの太刀を鞘から抜くことなく、そのまま鞘ごと構える。

ひょっとして鞘っぽく刃を持つ見える太刀なのか?それとも装飾過多な木刀か?

 

 

 

「ヌンッゼヨ!」

 

「ゼヨ!」

 

 

 

師匠が的に向けて連続して太刀を振るう。

それの動きはオレが前回ドスイ級に振るった太刀筋に比べ遥かに洗練されており、木製の的はあっという斬り裂かれて間にバラバラになってしまった。

 

一方でレン丸の太刀は……リーチが短いせいか的に届いてすらいない。

そもそも振り方自体滅茶苦茶じゃねぇか、お前本当に1番弟子なのか?

 

「今のが太刀の基本的な動きゼヨ。さぁオヌシもやってみるゼヨ。」

 

「よっしゃ、やってやるぜ!」

 

見よう見まねで太刀を振るう。

これでも記憶力には自信があるんでね、それに運動神経だっていい方だと自負してる。

 

オレの動きは師匠の動きをトレースしたかのようにバッチリ決まった。

あっという間に斬り刻まれるイ級の的。どんなもんだい?

 

「オオッ、オヌシ中々にスジがいいゼヨ。これなら次のステップにいっても問題無いゼヨ。」

 

「スゴイゼヨ、ワシモ兄弟子トシテ鼻ガ高イゼヨ。」

 

連装砲ちゃんに鼻なんてあったっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次に教えるのは狩技ゼヨ。」

 

「狩技って?」

 

「アア!」

 

ああ!……じゃねーよ、真面目に答えろよ。

 

「狩技とは簡単に言えば必殺技のことゼヨ。とはいえ攻めるだけでなく守りの技もあるゼヨ。そして狩技も大きく2種類に分けられるゼヨ。1つはどんな武器でも繰り出すことが出来る汎用狩技ゼヨ。これは武器を選ばない反面、攻撃の補助や守りに使うものゼヨ。もう一方は武器種固有の狩技ゼヨ。こっちは武器種毎に繰り出せる狩技が違うゼヨ。太刀なら太刀の、狩猟笛なら狩猟笛の狩技があるゼヨ。武器毎に使える狩技は違うけど、その代わりどれも強力な技が多いゼヨ。一気に攻め込んだり、ピンチを切り抜けるのにはもってこいゼヨ。」

 

「自分ノ狩猟スタイルニヨッテ、1度ニ使エル狩技ノ数モ違ウゼヨ。ギルドスタイルナラ1度ニ使エル狩技ハ2ツゼヨ。」

 

「ただし狩技は飽くまで必殺技、いつでも使えるわけではないゼヨ。狩技を使うには深海棲艦と戦って、闘気を身に溜める必要があるゼヨ。」

 

「闘気を身に溜める?わりぃ師匠、ちょっと何言ってるのか分かんねぇんだけど。」

 

前にドスイ級と戦った時にはそんなもん無かったぞ?

そもそも闘気なんてどうやって溜めりゃあいいんだ?亀印の師匠の下で修行でもするのか?

 

「フッフッフッ、だゼヨ。闘気の溜め方、それはとっても簡単ゼヨ。まずは使いたい狩技を事前に決めておくゼヨ。すると戦っているうちに、いつの間にか闘気が溜まってくるゼヨ。闘気がどのくらい溜まったかは、慣れれば体感で分かるゼヨ。今なら狩技が出せそうっ……と思えたのならそれが闘気が溜まったという証拠ゼヨ。ちなみにクエスト中は狩技の変更は出来ないゼヨ、だから狩りに行く前に使いたい狩技を決めておく必要があるゼヨ。何で変えられないかは不明ゼヨ、不思議ゼヨ!」

 

「格ゲーノパワーゲージノヨウナモノゼヨ。戦エバ溜マルゼヨ。」

 

つまりドスイ級と戦った時は、オレが使いたい狩技を決めていなかった……っていうかそもそも狩技の存在を知らなかったから、その闘気とやらが溜まらなかったってワケか?

 

 

 

 

 

「本来なら闘気は戦うことでしか溜まらないけど、今回はこの狩技ドリンクを飲んで闘気を溜めるゼヨ。これは飲むと戦わずして闘気が溜まるスゴい代物ゼヨ。」

 

師匠が取り出したのは赤くてドロリとした、見るからに怪しげなドリンク。

さっきのフルフルの実の件で、師匠の出した飲食物って信用ならねぇんだけど本当に飲んでも大丈夫か?

 

「さぁて、これをイッキ飲みするゼヨ!」

 

そう言いながら狩技ドリンクを飲み干す師匠。

毒見……じゃなかった。師匠が飲んだんなら、オレが飲んでも大丈夫か?

 

「!?………………ゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨぜヨゼヲゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼヨゼEゼヨゼヨ!!」

 

うわっ、師匠がおかしくなった!?

いや、おかしいのは最初からか?とにかくやっぱり毒だったんじゃ……?

 

「船長ーーーッ!?大丈夫ゼヨ?」

 

「ゼヨゼヨッ…………大丈夫ゼヨ、ただちょっとむせただけゼヨ。」

 

むせただけって……普通の人はむせた時にゼヨなんて言わねぇよ。

それにえらく余裕あるな、実は大したことなかったんじゃ?

 

「サスガ船長ダゼヨ。ムセタ時スラ、カッコイイ言葉遣イヲ忘レテナイゼヨ。マダマダ見習ウベキコトガ多イゼヨ。」

 

お前はお前でどこをどう見習うってんだ?

やっぱりコイツらから太刀を学ぶの不安になってきたな……。

この辺でコッソリ帰った方がいいような気がしてきた。

 

「ゴホンッ、それではオヌシにも狩技ドリンクを渡すゼヨ。イッキにグビッと飲むゼヨ。ついでに剣レン丸にもあげるゼヨ。剣レン丸もグビッと飲むといいゼヨ。」

 

「あ、ありがとう師匠。」

 

「船長アリガトウゼヨ。狩技ノ概念ガ無イ連装砲ニスラ狩技ドリンクヲクレルナンテ、船長ハヤッパリカッコイイゼヨ!」

 

「フッフッフッ、だゼヨ。そんなに褒めてもフルフルの実くらいしか出せないゼヨ。」

 

「ア、ソレハイラナイゼヨ。」

 

「ガッカリゼヨ。」

 

 

 

 

 

「それでは改めて飲むといいゼヨ。イッキに飲むのが作法ゼヨ。」

 

かなり不安だが、まごついていても仕方がねぇ、天龍いっきまーーーす!

 

 

 

 

 

グビッ!!

 

 

 

 

 

「…………ウプッ。」

 

「どうゼヨ、美味いゼヨ?」

 

うっっくっ~、何も言えねぇ~。

無茶苦茶甘い、甘過ぎる。苺シロップにハチミツと砂糖を混ぜて煮詰めたような味だ。

こんな甘いのをイッキ飲みとか、むせるに決まってんだろ!?

逆流して鼻の穴から出てきそうだ。

 

「ンー、量ガ多クテイッキニ飲メンゼヨ。ヤッパリ船長ニハマダマダ敵ワナイゼヨ。」

 

そしてお前は何の勝負をしているんだ?

そりゃ狩娘用の飲料なんだから連装砲ちゃんには多いだろ。

 

「すんげぇ甘いんだけど、これの原料って何だよ?」

 

「狩技ドリンクの原料ゼヨ?獰猛化した深海棲艦のエキスに、にが虫とハチミツで作った増強剤を混ぜたものゼヨ。獰猛エキスには深海棲艦の闘気が込められているから、飲むだけで簡単に狩技が使えるようになるゼヨ。」

 

「ブフォ!!!???」

 

おっげぇ~~~~~!!!深海棲艦のエキス!?ふざきんな!!111……じゃなくてふざけるな!!!!!

深海棲艦のエキスっていうのは猟虫が吸うものじゃなかったのかよ!?獰猛化っていうのは何だか知らねぇが、ハチミツ以外にオレの予想当たってねぇじゃねぇか!?

ひょっとして深海棲艦の体液って甘いのか?だから猟虫は深海棲艦のエキスを摂取してるのか?樹液に集まるカブトムシじゃあるまいし、そんなバカげた話があってたまるか!!

あぁもう、吐き出そうにも完全に飲み込んじまったよ。

肌の色が緑色になったりしたらどうしよう?

 

「これで狩技が使えるゼヨ。さて、今からワシが教えるのは練気解放円月斬りと鏡花の構えゼヨ。どっちも太刀固有の狩技で、決まるととってもカッコいいゼヨ。」

 

どこまでもマイペースな師匠。弟子が変な飲み物でお腹壊して病院に運ばれるかもしれないんだぞ!?

 

………………それはともかく練気解放円月斬りと鏡花の構え。確かに名前はカッコいいな。

天龍連続突きといい勝負だぜ。

 

※天龍連続突きとはドスイ級相手に繰り出し、そして簡単に交わされた、何の工夫もない単なる突きの連打のことである。太刀で突き攻撃を何度も繰り出すという、その単調にしてあくびが出るほどスッとろい攻撃の実用性はモンハンのプレイヤーにとっては言うまでもないだろうが、当然お察しである。

 

 

 

 

 

「まずは鏡花の構えを見せるゼヨ。」

 

師匠は太刀を抜いてイ級の的の前に立ち、一方のレン丸は小型の魚雷を担いでイ級の的の後ろに立った。

そして太刀を構える師匠と、今にも魚雷を投げようとしてるレン丸。一体何を始める気なんだ?

 

「それではレン丸、始めるゼヨ!」

 

「了解ゼヨ!」

 

そう言うとレン丸は躊躇することなく小型魚雷を師匠に向かって投げ付けた……ってまじで投げるヤツがあるかぁ~!?

人に向かって魚雷を投げちゃいけませんってママに教わらなかったのか?危ないだろ!!

 

そんな心配を余所にまったく避ける気配の無い師匠と、目と鼻の先にまで迫った魚雷。

あぁもうダメだ、当たる……そう思った瞬間、師匠は飛んできた魚雷を太刀の鎬で受け流し、そのままの勢いでイ級の的と、ついでと言わんばかりに的の後ろにいたレン丸を華麗に両断した……ってレン丸ゥーーー!?

 

「見たかゼヨ、これが鏡花の構えゼヨ。」

 

「いやいや、レン丸斬ったのに何ケロッとしてんの!?」

 

「船長オ見事ゼヨ!」

 

……って、えぇ~~~???

見事に両断されたかと思われたレン丸だったが、こちらも何事も無かったかのようにケロッとした表情で起き上がる。

 

「躱スノニ失敗シタゼヨ、サスガハ船長ノ太刀捌キゼヨ。」

 

なんだ、無事だったのか……。

そういやアタリハンテイ力学があるから武器で斬られても平気なんだっけ?

とはいえ仮にも太刀で斬られたんだぞ?普通もっと他に言うことあるだろ?

 

「鏡花の構えは相手の攻撃に合わせて使う狩技ゼヨ。太刀は大剣やチャージアックスに比べると刃が細くて薄いから、本来なら刀身で相手の攻撃を防ぐのには不向きゼヨ。だけど鏡花の構えは直接防ぐのではなく受け流すことによって、相手の攻撃を防ぐことが出来るゼヨ。更には相手の攻撃の勢いを自分に上乗せすることによって、防御と同時に鋭い反撃を可能とするゼヨ。」

 

そりゃいいぜ、まさに見切りといった感じでカッコいいな。

相手の攻撃をサッと受け流し、返す刀でスパッと斬る。くぅ~、これぞ太刀といった感じだぜ!

 

「ただし欠点もあるゼヨ。受け流せるのは1度に1回までだから、連続で攻撃されると受け流しきれないゼヨ。それと攻撃を受け流せないと反撃が出来ないゼヨ。攻撃を待ち構えているのに相手が攻撃してこなかったらそれで終わりゼヨ。何より狩技は闘気を消耗するから連発出来ないゼヨ。失敗したからすぐさまもう1発なんてことは無理ゼヨ。使い所を見極めるゼヨ。」

 

 

 

 

 

「次はもう1つの狩技、練気解放円月斬りを見せるゼヨ。これはワシが最も得意とする狩技ゼヨ。」

 

師匠は先程と同じようにイ級の的の前に立つと、今度は太刀を縦に構えて力を溜め始めた。

 

「イヤーーーッ、ゼヨ!」

 

そして十分に力が溜まった瞬間、太刀を素早く一振りする師匠。

これまたズンバラリンと斬り裂かれる的。

 

うーん、さっきの鏡花の構えに比べるとちょっと地味だな。

それに力を溜めての斬撃ってのは分かるが、力を溜める必要があるせいか、ちょっと出も遅い。

 

「練気解放円月斬りのスピードが遅いと思ったゼヨ?だけどこの練気解放円月斬りは一定時間、練気という力を太刀に込め続けることが出来る素晴らしい技ゼヨ。練気が使い放題の太刀は強力ゼヨ。」

 

「錬金?」

 

「錬金じゃなくて練気ゼヨ。錬金術に興味あるゼヨ?最近はレンキンスタイルに押されて、本来の錬金術が廃れてきているゼヨ。ワシが扱っている商品には錬金術のレシピが載った調合書もあるゼヨ。これがあればコゲ燃料に深海棲艦のウ○コを錬金することで生燃料に戻すことも出来るゼヨ。これをもう1回焼いてこんがり燃料にすればちゃんと食べられるようになるゼヨ。」

 

オレの知ってる錬金術と全然違う!?

オレが知ってる錬金術は卑金属から貴金属を製錬する技術のことであって、決してウ○コとコゲ燃料を混ぜるようなアホ技術のことじゃねぇ!!

そりゃ確かにゆで卵が生卵に戻ったら凄ぇと思うし、同じようにコゲ燃料を生燃料に戻せるのも素直に凄いと思う。だけどその材料がウ○コって……、そんでもってそれをこんがり焼き直して食べるとか冗談じゃねぇ!!そんなもんを食べるくらいならオレは餓死を選ぶぞ!!

子供向けの下品な漫画でもそんなことやるもんか!?

最初にその錬金術のレシピを発見したヤツは、何を考えてその組み合わせを試したんだ!?

 

「そもそも深海棲艦ってウ○コすんの?」

 

「さぁ?知らんゼヨ。」

 

「知らんって……。じゃあなんで深海棲艦のウ○コって分かるんだよ?」

 

「深海棲艦の縄張りの海に浮かんでいるどことなく排泄物っぽい物体だから深海棲艦のウ○コと勝手に呼んでいるだけゼヨ。そもそも今まで誰も深海棲艦が用を足すところなんて見たことがないゼヨ。見たらきっと新発見ゼヨ。」

 

新発見……。確かに新発見なんだろうが、なんて嫌な新発見だ。

仮に新発見するとしても雷が言っていたように新種生物の発見とかがいい。

 

「ちなみに普通に混ぜてもウ○コ塗れのコゲ燃料が出来上がるだけゼヨ。錬金するにはこの本が不可欠ゼヨ。どうゼヨ、調合書欲しいゼヨ?」

 

「絶対にいらんっ!!」

 

「残念ゼヨ。」

 

 

 

 

 

「ちっとばかし話が逸れたゼヨ。練気というのは戦闘中に溜まっていく闘気とはまた違う力のことゼヨ。練気は闘気と違って太刀を使っている時のみ太刀の刃の内側に溜まっていく気のようなものゼヨ。溜まるのは太刀を使っている時のみだから、当然太刀以外の武器では使えんゼヨ。この練気が溜まると太刀の威力と斬れ味が高まるゼヨ。練気は普通に戦っていても溜まるけど、攻撃の手を休めたり、大技を繰り出すと減っていくゼヨ。この練気解放円月斬りはそんな練気を一瞬で限界まで溜められるゼヨ、しかも練気がしばらく減らなくなるオマケ付きゼヨ。」

 

つまり練気というのは時間制限付きのパワーアップか。

そういや前回ドスイ級と戦っていた時に、骨の刀身が仄かな熱を持っていたような気がしたんだよな。

てっきり戦闘で気が昂ってるからそう感じただけだと思っていたんだが、ひょっとしてあれが練気だったのか。

 

「しかしこの狩技にも実は1つだけ欠点があるゼヨ。」

 

問題?力の溜め過ぎで自爆するとかか?

いわゆる、これ以上のチャージは危険だ、溜まり過ぎたエネルギーは君自身の身体を傷付けてしまうぞ……みたいな?

 

「この狩技は刀身に練気を溜めた時点で本来の効果は終わりゼヨ、だから別に相手を斬る必要はないゼヨ。相手を斬り損なっても本来の効果はちゃんと発動するゼヨ。とはいえ空振るとカッコ悪いゼヨ。カッコ悪いというのはとんでもない欠点ゼヨ。」

 

ズコー、だな。思ってたより深刻じゃなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ狩技を試すゼヨ。まずは鏡花の構えからゼヨ。狩技の使い方は簡単ゼヨ、使いたい狩技を心の中で思うだけゼヨ。後は体が自然に動くゼヨ、レッツトライトライトライゼヨ。」

 

「よーし、やってやるぜ!」

 

師匠に言われた通りにイ級の的の前に立ち、太刀を構える。

そして狩技を使おうと心に思う、使う狩技は鏡花の構え……鏡花の構え……鏡花の構え……?

………………あれっ?

 

「言われた通りにしてんのに、全然狩技が出ねぇんだけど……。」

 

「狩技が出ないゼヨ?そんなハズは…………ハッ、技が出ない理由が分かったゼヨ!」

 

「狩技が出ない理由?」

 

もう分かったのか?

変なヤツだと思っていたが、流石に自分のことを師匠と呼ばせるだけはある。

やっぱり狩技に関してならオレより詳しいんだな。

 

「そうゼヨ。そしてその理由は簡単ゼヨ。オヌシに2つの狩技を教えたのはたった今ゼヨ。それに対してオヌシが狩技ドリンクを飲んだのは少し前、狩技ドリンクを飲んだ時には、まだオヌシに狩技を1つも教えていなかったゼヨ。」

 

ここまでくればオレにも分かった。狩技が使えなかった理由、それは……。

 

「狩りに行く前に使う狩技を決めるということは既に教えたゼヨ。つまりドリンクを飲んだ時はまだ使う狩技を決めていなかったから、闘気が溜まらなかったってことゼヨ。」

 

やっぱりぃぃぃ!!!

 

「というワケで狩技ドリンクをもう1回飲むゼヨ。」

 

そう言って再び深海棲艦の体液入りジュースを取り出す師匠。

 

「心配しなくても今度は事前にちゃんと使う狩技を決めているから、闘気が溜まらないなんてことはないゼヨ。安心して飲むといいゼヨ。」

 

安心出来る要素がどこにもねぇ!!

味は甘過ぎて気分が悪くなるし、原料を知れば気分は更に悪くなる。

飲まないで済むっていうのが1番安心出来るぞ!?

 

 

 

 

 

結局狩技ドリンクを飲まされたオレは鏡花の構えを試すものの、見事に失敗してレン丸の投げる魚雷に吹き飛ばされた。

アタリハンテイ力のお陰で痛くないのは武器攻撃だけで、魚雷の爆発は普通に痛いじゃねーか。

これずっと続けたらそのうち爆死しちゃうんじゃねぇの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後天龍は鏡花の構えが成功するまで魚雷に吹き飛ばされ続け、そのたびに回復薬と狩技ドリンクを飲まされた。

そして明日どころか今日の時点でトイレのお世話になることが確定したのであった……。

 

 

 

 






潮風丸「狩技ドリンクは現実世界では2016年にUSJで売ってたゼヨ。正式にはモンハン狩技ドリンクXというゼヨ。苺シロップの味がとっても強烈ゼヨ。それに対してこっちの狩技ドリンクはちゃんと獰猛化エキスを原料にして作ってあるゼヨ。だけどそれだと実際にどんな味がするのか全くもって不明だから、USJのと同じ味にしといたゼヨ。これで駆逐艦みたいな小さな子供でも美味しく飲めるゼヨ。USJがオヌシを呼んでいるゼヨ!」



狩技ドリンクは狩技ゲージが『溜まりやすくなるアイテム』であって、『溜まるアイテム』ではないけど細かいことは気にしない。

狩技ドリンクは1度に3つしか持てないだろというのはもっと気にしない。



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