天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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天龍じゃなくて他の艦娘が主役の外伝を書いてたけど、外伝の方が筆が進む。
主人公が初心者じゃないから解説フェイズが少なくて済むから書き易い。

やっぱり初心者ってクソだわ。(自分の文章力を棚に上げながら)




天龍ちゃんと初めての緊急クエスト3

 

 

 

 

 

『そこに大きな岩礁で囲まれたエリアが見えるでしょ、海図でも確認出来たかしらぁ?そこに向かって進めばイ級の住処に着くわよ~。』

 

龍田のナビゲートのお陰で迷うことなく目的地の前まで到着した天龍一行。

いよいよドスイ級との対決である。

 

「よぅし!いいかお前ら、いよいよ対決の時だ!覚悟は出来たか?」

 

「……ノブヒコハヤル気バッチリダヨー!」

 

「マサムネモ応援ノ準備ハ出来テルゾー。物陰ニ隠レナガライッパイエールヲ送ルカラ楽シミニシテルンダゾー!」

 

うーん、マサムネが戦えないっていうのは雇った時点で分かっていたとはいえ、こうもハッキリと言われるとちょっとガッカリするな……。

 

「そんじゃ、これからあのエリアに入るぞ!もう後戻りは出来ねぇからな、行くぞっ!」

 

ドスイ級程度にどれだけ慎重になってんだ……って思うかも知れねーが、オレにとっちゃ初めての緊急クエストだし、何より1度は勝てなかった相手だ。臆病になるつもりはねーが、慎重になって損はねぇだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは岩礁で作られた天然の闘技場。

ある程度の広さはあるが、壁のように囲まれた岩礁により逃げ場は少ない。

 

『まるで孤島のエリア6がそのまま海になったみたいねぇ。』

 

「そうだな、まるで孤島のエリア6が……孤島のエリア6?」

 

今度は何の話だよ?いい加減オレの知らない話をするのはやめてくれ。

 

『狩娘初心者の天龍ちゃんにとっては、知ってる話の方が少ないわよぉ~。』

 

「言われてみればそうだった。あぁもう、何で艦娘としての知識は最初からあるのに狩娘としての知識はインプットされてねぇのかなぁ?」

 

『それは当然よぉ。だって狩娘っていうのも結果的にそう呼んでいるだけで、実際のところは艤装を武器に持ち替えただけの艦娘だもの。最初から狩娘として作られてない以上、狩娘としての知識なんか持ってるハズがないわぁ。』

 

……そうですかい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イーッ!」「イーッ!」「イーッ!」

 

「「「イイーーーッ!!」」」

 

岩礁地帯内部、そこはイ級の巣窟となっており、そこかしこから姿を現すイ級。

そして岩場の一番奥にそいつは姿を現した。

 

 

 

BGM:孤島の簒奪者たち

 

 

 

「イイイーーーッ!!!」

 

周りのイ級に比べ遥かに大きな身体、そして普通のイ級には見られないブレード状の角……間違いねぇ!あいつが今回のターゲット、ドスイ級だ!

それにこれは勘だが、あのドスイ級は前日にオレを叩きのめした奴に間違いねぇ。ハッキリ言って証拠は無いが、オレの戦闘者としての本能がそう告げてるんだ!こりゃ正真正銘のリベンジってわけだな、燃えてきたぜ!

 

「よしっ、ちょっとばかし危ねぇがこのまま突入するぞ!」

 

「「ラジャー!!」」

 

骨を片手に岩礁地帯の中心に勢いよく突っ込む。

周りのイ級共は唐突なオレの出現に戸惑っているらしく動く気配が無い。

よっしゃ、このまま先手を打たせてもらうぜ!

 

「うおりゃああぁぁ!」

 

ズバァァァン!!

 

「イ゙ッ!?」

 

オレが振り下ろした骨の一撃は寸分の狂いもなくドスイ級の眉間に命中した。

ドスイ級の反応からしても間違いなく効いている……が、やはりドスイ級に目立った傷は見られない。このままでは前回の焼き直しだな。

 

「ギイッ!」

 

「おっと!」

 

ドスイ級は頭突きで反撃をしてくるが、その前に横に跳んで避ける。

前回はここで吹っ飛ばされたからな、同じ轍を踏むオレじゃあないぜ。

 

「イッイッイーーーッ!!」

 

「「「イイーッ!」」」

 

体勢を立て直したドスイ級の咆え声によって動き出した3体のイ級が、オレの周りを取り囲むように泳ぎ出す。数で攻めるつもりか?だが今回はオレだって1人じゃないんだぜ?

 

「ソレー、ブーメラン攻撃!」

 

「旦那サンガンバレー!」

 

ノブヒコの投げたブーメランで1体のイ級が怯み、マサムネの応援によって気が逸れたのか、もう1体のイ級の動きも止まる。その隙に残った1体をやらせてもらう!

 

「オラッ、邪魔だテメェ!下っ端はすっ込んでろ!」

 

ザンッ!!

 

「イ゙ッ!」

 

目の前のイ級を斬り捨て、そのままドスイ級を目指す。狙うは本命のみだ!

 

「どうだ、もう1発喰らってみるか?」

 

再びドスイ級に近付き縦斬りをお見舞いすべく骨を振り下ろす……が、ドスイ級は後退して攻撃を躱す。思ったよりも相手が身軽……というよりオレの足が遅くなってる?

 

「クソッ、避けられたか。だったらこれならどうだ!?天龍連続撃ーっ!!このオレ様の速い突きがかわせるかーっ!」

 

後退したドスイ級に走り寄り、連続で突きを繰り出す。

これなら相手が後退しても切っ先は届くハズ……が、またしても躱される。今度は軽快な横ステップだ、こうも連続でオレの攻撃を躱すとはやるじゃねぇか。

流石は群れのボス、雑魚とは格が違うってワケか……。

 

『天龍連続撃?……ってそうじゃない、天龍ちゃんっ移動するときはなるべく武器は背負って!武器を構えたままだと足が遅くなるわよ!』

 

えっ、マジかよ?見てから回避余裕でした状態だったのは、ドスイ級の反射神経がいいからじゃなくて単純にオレの動きが遅かったからなのか。

 

『太刀は大剣やヘビィボウガンに比べれば動きは遥かに軽快だけど、それでも無手に比べればフットワークは落ちるわぁ。状況に応じて抜刀と納刀を使い分けなきゃダメよぉ。』

 

なるほど、なら一旦回避重視で様子見に徹してみるか。そうすりゃ相手の攻撃の癖も見つかって攻め易くなるかもしれねぇしな。

 

 

 

 

 

 

骨を背負い直してドスイ級の様子を窺う……。ドスイ級もオレとの間合いを計っているのか、はたまた俺の隙を窺っているのか俺の周囲を回るように泳ぎ始めた。

 

「イイッ!」

 

俺の背後まで回り込んだドスイ級は隙有りと見たのか、オレの背中目掛けて頭突きを繰り出す。

だがその程度の攻撃には当たらない。後ろに目が付いている訳じゃねぇが、音と気配で分かるんだよ。ワザと背後を取らせたってのが分かんねぇのか?

 

油断してそのまま突っ込んでくるドスイ級を躱し、逆に隙だらけとなったドスイ級の背中にお返しと言わんばかりに抜刀からの一撃をお見舞いだ!

 

「イ゙イ゙ッ!?」

 

まだ頭突きの勢いが残っていてバランスを崩していたのと、オレが放った背後からの攻撃を受けた衝撃でドスイ級は勢いよく前方に吹き飛び倒れた。

 

「やったか!?」

 

「ヤッテナイヨー。」

 

「フラグ乙ダゾ。」

 

オトモの言う通り、ドスイ級は何事も無かったかのように起き上がった。

目に見える傷が現れないっていうのは一応分かっちゃいたが、こうも効いたように見えないと流石に攻撃が通用しているのか不安になるな。まさか不死身ってことはないよな?

 

「イイーーーッ!!」

 

「「「イーッ!」」」

 

体勢を立て直したドスイ級が咆える。どこから現れたのか新たにイ級が1匹増援に現れ、再び3匹になる。

そのままオレ達を取り囲むように跳ね回りながら動くイ級。クソッ、この跳ねる動きのせいで狙いが付け辛い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッ、これで最後だ!」

 

骨を振り回し続け、ようやく全てのイ級を片付ける。動き回る相手には振り下ろしや突きよりも、攻撃範囲の広い斬り抜けの方が当て易い。

攻撃範囲の広さが災いしてマサムネに1発、ノブヒコには2発も誤爆したけど、軽く転んだだけで斬撃そのものは効いた様子が無い。ダメージとかは大丈夫なのか?

 

「ワザト当テルノハ駄目ダケド、魚雷ノ攻撃ヲ除イテ狩娘ヤオトモハ同士討チヲシテモダメージハ受ケナイノヨォ……ジャナクテ受ケナイヨー。タダシ周リヲ考エズニブン回スノハダメ、絶対。」

 

「俺ニ構ワズ、俺ゴト敵ヲ斬ルンダ……ッテヤツダゾー。ドラマミタイデカッコイイ!」

 

イ級を仕留めた斬撃も味方にはダメージが無いのか、アタリハンテイ力って本当に謎だな。

でも誤射で味方を轟沈させちまうってことがないのはいいな。誤爆で味方を沈めちまうようなことがあったら後悔してもしきれねぇ。

しかしノブヒコのヤツ、話し方が龍田に似てきたな、ペットは飼い主に似るっていうけどそれと同じか?

 

……ん?そういや提督は神通に殴られて頭にタンコブを作っていたような?

味方同士で斬り合っても怪我しないのに提督は怪我をした……ひょっとしてあの提督は神通から味方扱いされてない!?

 

 

 

 

 

しかし雑魚の掃討と提督のタンコブに気を取られていたオレは今更になって重大なことに気が付いた。

 

「……ん?ああーーーっ!?肝心のドスイ級がどこにもいねぇじゃねーか!どさくさに紛れてどこかに消えやがったな!?」

 

「マダ誰カ残ッテルカー?」

 

「死体ダケダゾー。」

 

マサムネの言った通り、今この場に残っているのはオレ達3人とイ級の死骸だけだ。

 

『そういえばペイントボールのことを教えていなかったわねぇ。』

 

「ペイントボール?それってコンビニや郵便局に置いてあるオレンジ色をした玉のことか?」

 

『それは防犯用カラーボールね、とはいえそれと似たようなものねぇ。ペイントボールっていうのは深海棲艦に投げ付けて使うアイテムで、ボールの中に含まれた特殊な塗料と臭いの成分が深海棲艦に付着することで追跡を容易にするお助けアイテムなのよぉ。支給品ボックスの中にも入っていたでしょ?』

 

「……あ~、言われてみれば確かにそんなものあったな。そうか、そのために入っていたのか。てっきり普通のゴムボールだと思って邪魔だから取らずに置いてきちまった。」

 

『えっ?ちょっと待って、今支給品ボックスの中を見てみるから。……本当に取ってないのねぇ、呆れたわ。神通さんが支給品の用意には契約金を使ってるって言ってたでしょう?契約金っていうのは文字通り契約のお金で、信用の証なのよぉ。そんな大事なお金を使ってまで、おもちゃのボールなんか用意している訳がないでしょう?説明しなかった私も悪いけど、ロクに確認もせずにゴミ扱いするなんて流石に信じられないわよぉ。これは私が預かっておくから、後でちゃんと取りに来てよねぇ。』

 

うわぁ……龍田がめっちゃ怒ってる。こりゃあ後で地獄のお説教コース確定じゃねーか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行方知れずのドスイ級の追跡よりも、その後に控える龍田からの折檻の方に頭を悩ませる迂闊な天龍なのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………コォォォ。」

 

 

 







とはいえ何も知らない初心者がアタフタするっていうコンセプトで始めたのがキッカケだし、それにベテランや廃人が流れ作業のように狩りを続けるだけの内容だと……。



天龍「しゃがみ撃ち部隊、打ち方始め!」バンバンバン!

龍田&雷「「撃て撃てー!」」バンバンバン!

電「電は閃光玉を投げ続けるのです。」ポイッピカッ!ポイッピカッ!

レ級「グエー、何も出来ずに0分針で死んだンゴ。」

天龍「やったぜ。」



……うん、ちっとも面白くないな!(手のひら返し)




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