天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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改造厨はひとつ小生に教えてくれた。タブーは破る為にあるとな!(違います)


良い子のみんなはルールとマナーを守って楽しく狩猟(ハント)しよう!!



天龍ちゃんとオトモ連装砲2

 

 

 

 

 

う~ん、戦いが嫌いな平和主義のオトモかぁ。本当に役に立つのかなぁ?

 

「天龍ちゃん、この子じゃ頼りにならないと思っているんじゃないかしらぁ?」

 

オレがやる気の感じられないマサムネの態度に不安を感じたことに気付いたのか、龍田が声を掛けてきた。やっぱコイツオレの心読んでるだろ?

 

「そうね、確かに宝探しのオトモは戦闘ではアテにならないわ。でもね、一流の狩娘になりたいならなるべくオトモには頼らない方がいいのよぉ。いつもオトモに頼ってばかりいるとオトモ無しでの狩りが上手くいかなくなっちゃうわ。それじゃあどっちがオトモか分からないでしょう?それに狩娘の運用が始まった当時はオトモという概念自体が無くて、みんなオトモ無しで狩りに行っていたのよぉ。そう考えればオトモがいるだけでもありがたいでしょう?もしオトモを実戦に連れて行く気が無いのなら交易に行かせればいいのよ。」

 

なーるほど、言われてみりゃその通りだな。龍田だって普段はオトモを連れて行ってないみたいだし、最強の狩娘を目指すオレが連装砲におんぶに抱っこじゃカッコが付かないもんな。

 

「じゃあマサムネ、お前は採集する時とかには着いてきてもらうけど普段は交易や自主トレをしてもらうことになるぜ。それでもいいか?」

 

「イイヨイイヨー!ココデイッパイ鍛エタリ勉強シテ、トレンソウサンヤレント様ミタイナ1人前ノトレジャーレンターニナルゾー!」

 

了解してもらったのはいいんだけど、なりたいのは1人前のトレジャーハンター……じゃなくてトレジャーレンターなんだな、まぁいいけどよ。

つーかトレンソウさんにレント様って誰?ホウレンソウの親戚か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「話はまとまったかしら、じゃあ最後にこの契約書に目を通してね。契約内容に同意してサインをしたら手続きは終了よ。」

 

そう言われて天津風から契約書を手渡される。

契約書も書かなきゃいかんのか、面倒臭いな。えーと、どれどれ……。

 

 

 

 

 

『オトモとなった連装砲はあなたの所有物として扱われます。』

 

『オトモの責任は雇い主の責任となりますのでご注意下さい。』

 

『オトモとして働く経験そのものが報酬となるので基本的に給料は不要です。』

 

『連装砲はドングリと連装マタタビを好みます。給料代わりにそれらをご褒美として与えるとやる気と懐き度が上がります。』

 

『やる気と懐き度が高い程、連装砲のパフォーマンスは上がります。』

 

『連装砲は働き続けるとやる気が下がりますので、適度に休息を与えましょう。』

 

『彼らも生き物であり感情があります。あまりにも不当な扱いを行った場合には憲兵に通報されます。ご注意ください。』

 

『専門家の許可なくオトモを改造した場合にはいかなる理由があろうとも犯罪となり、重い罰則が科せられます。』

 

 

 

 

 

ふーん、なんかペットを飼うときの契約書みたいだな。

それにしても連装砲の改修は特に重い罰則が科せられるのか……。とはいえ普通の連装砲ならともかく、この島の連装砲ちゃん達は生きているんだし勝手に改修すんのはダメだよな。あれ?改修じゃなくて改造か?何がどう違うんだ?

 

「どう、納得してくれたかしら?」

 

「まぁ大体分かったけどよ、このオトモの改造って何なのさ?」

 

「ああそれね。まぁ健全な鎮守府なら大丈夫だと思うけど、このオトモの改造っていうのはクエストの捏造や装備の不正改造と並ぶ禁忌中の禁忌よ。これらを破った狩娘は解体処分になるし、提督なら資格の剥奪と懲役刑に処されるわよ。だから絶対にこれらの規則は破らないようにね。」

 

禁忌中の禁忌!?……ゴクリ。クエストの捏造ってのは何となく分かるけど装備の不正改造ってのは何だよ?

 

 

 

 

 

「この際だから他の禁忌についても一緒に教えておくわ。まずクエストの捏造だけど、これは嘘のクエストをでっち上げることで不当に報酬を得ようとするものよ。言うまでもなく犯罪だけど、これに知らずに着いて行った狩娘も責任を問われることがあるから個人の問題だけでは済まないの。中には自分でクエストの資料を捏造する技術が無いから、他所の鎮守府の狩娘に捏造したクエストの資料をねだるといった問題行動も見られるわ。当然そんなクエストを渡すのも貰うのもれっきとした犯罪よ。仮にあげると言われても絶対に貰わないようにしてね。」

 

「天龍ちゃんは騙され易いところがあるから、チケットを納品するだけでお金も素材もたっぷり貰えるお得なクエストがあるとか言われたらきっと着いて行っちゃうでしょ?今言われたように着いて聞くだけでも犯罪になるから着いて行っちゃ駄目よぉ。明らかに変なクエストを見掛けたら憲兵さんに通報してねぇ。」

 

誰が騙され易いってんだ!?オレは退却命令とかなら無視するかもしれねぇが、基本的に熱く燃え上がる正義の魂を持つ女だぜ?不正は絶対に見逃さねーっての!

 

 

 

 

 

「次に装備の不正改造についてだけど、まず知ってると思うけど武具の生産や強化が出来るのは竜人妖精さんだけよ。そして妖精さんは自分の仕事に誇りを持ってるし、いい子揃いだから決して適当な仕事はしないわ。だけど妖精さんを脅したり、非合法な機材を使って武器や防具、場合によっては本来強化改造が出来ないお守りすら改造しようとした事例もあったのよ。正規の方法で作られていない装備は異常なまでの性能を誇るし、お守りも有用なスキルが簡単に発動するようなものばかりよ。」

 

あれ?それだけ聞くといいこと尽くめじゃん。妖精さんを脅して働かせるってのは良くねぇけど、強力な装備が作れるのならむしろ積極的に使った方がいいんじゃねぇのか?

 

……そう思っているとまたしてもジト目の龍田が声を掛けてきた。

 

「天龍ちゃん、不正な装備を使ってみたいとか考えてるでしょう?当然駄目よぉ。知っての通りこの海域ではアタリハンテイ力の影響を受けているでしょう。そして竜人妖精さんが正規の方法で作り上げた装備がアタリハンテイ力に対応しているというのも既に知っているわよねぇ?そんな中にそんな怪しい方法で作られた装備なんかを持ち込んだら何が起こるか分かったものじゃないわ。実際にそんな装備を使っていた狩娘がいたのだけれど、徐々に情緒不安定になって異常な行動が見られるようになったの。そして最期はクエスト中に突如として音信不通になって、そのまま行方知れずになってしまったそうよぉ。」

 

怖ェ~、錯乱した挙句に神隠しに遭うのかよ。もはや力学でも何でもないじゃん、ズルした悪者への天罰か?

戦いの果てに倒れるんなら望むところだが、頭がおかしくなっていくえ不明で早くも終了とかちょとsYレにならんしょこれは……?

 

「他にも狩りの最中に装備の性能が0になった事例もあるわ。これじゃあ当然深海棲艦に勝てるはずもなく返り討ちにされるだけよ。これで装備の不正改造の危険性は理解出来たでしょう?当然こんな装備の狩娘を見掛けた場合も一緒に狩りに行ったりせずに落ち着いて憲兵に連絡するといいわよ。」

 

狩娘と互角以上に渡り合う提督ツエーって思っていたけど、不正改造した装備を身に着けた狩娘すら取り押さえる憲兵もすげぇな。提督と一緒に憲兵が深海棲艦と戦えばいいのに……本当に狩娘って必要なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ最後に本題のオトモの改造について教えてあげるわ。ここの島の連装砲ちゃん達は狩娘から独立して生きているとはいえ、艤装だった頃と体の作りが大きく変わったわけではないから理論的には改造やパーツの組み換えは出来るわ。だけどアタリハンテイ力によって連装砲ちゃんを改修してもそれは強化にはつながらないの。それにここの連装砲ちゃんは鍛えて強くなる、つまり成長するわ。だからこの諸島では一般の艤装も含め連装砲ちゃんの改修は基本的にやってないわ。その代わり連装砲ちゃんは狩りに出て経験を積んだりトレーニングをしているっていうワケ。」

 

そういえばそうだったな。この諸島ではアタリハンテイ力によって艤装の効果が無いから、連装砲ちゃんも艤装の一種だと考えれば改修しても変化が無いということにも納得だ。

そんでもって連装砲ちゃんが鍛えて強くなるっていうのはちょっと納得し辛いが、改修の代わりに戦って強くなるっていうのはそっちの方が分かり易くていいな。

 

「でも最初に誰が考えたのかは知らないけれど通常の改修で性能が上がらないのなら、連装砲ちゃんの身体そのものを改造して戦闘能力を上げようという実験があったのよ。それもちょっとした改造ならまだしも、明らかに連装砲ちゃんへの負担を無視した無茶な改造をね。」

 

身体への負担を無視した改造?確かにそりゃヤバそうだ……。

 

「この改造で連装砲ちゃんの性能は狩娘を遥かに凌駕するようになったわ。更には頭脳回路の改造までして、戦って相手を殺すこと以外考えられない戦闘兵器にしたの。こうして生まれた連装砲ちゃんは我が身も顧みずに戦い続け、敵対する相手を一撃で討ち取る程の強さを見せたわ。その圧倒的な戦績から悪魔連装砲との呼び名も付いたの。」

 

ひえ~っ、リアル仮面ライダーじゃねーか!?しかも脳改造済みだからショッカーライダーじゃん!そんなの海の平和を守る組織がやっていいことじゃねーだろ!

 

「当然その実験は明るみに出て関係者は全員逮捕されたわ。だけど無理な改造が祟ったのか保護された連装砲ちゃんは衰弱が激しく、未だに意識不明の寝たきり続きだそうよ。そして実験の結果は闇に葬られた……ハズなんだけど、どこから情報が漏れたのか未だに悪魔連装砲を作り出そうとする悪徳提督もいるみたいで逮捕者も出ているわ。悲しい話ね……。」

 

そう語る天津風の表情は辛そうだ、やっぱ連装砲ちゃん達のことが大好きなんだな。

 

「だからこそオトモになった連装砲ちゃん達は大切にしてあげてね。ただの艤装じゃなくて狩猟生活における掛け替えのないパートナーなんだから。」

 

「おう、任せとけって。オレがそんな悪いことする奴に見えるか?むしろそんな外道を見掛けたら真っ先にぶっ飛ばしてやるぜ!ほら見ろよ、契約書にもしっかりとサインしたぜ。そんなことは頼まれてもやりませんってな。」

 

「ふふっ、愚問だったわね。それじゃあこれにて手続きは終了よ。マサムネのこと宜しくお願いします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてオレは新たなパートナー、マサムネと出会った。

色々とショッキングな話も聞かされたが、連装砲ちゃんを大切にしたいという天津風の熱い想いも受け取った。

オレは受け取ったその想いを大切にしていきたい、心からそう思う……。

 

「あっ、私も新たに連装砲ちゃん雇っていいかしらぁ?そこの銀色の子が欲しいんだけどぉ?名前はノブヒコにするわぁ。」

 

「毎度ありー!」

 

おいコラ!人が〆に入ってるんだぞ、綺麗に終わらせろよ!?

 

 

 







改造ダメ、絶対。



マサムネ:天龍のオトモとなった長10㎝砲ちゃん。本名はヤンガルくん。
紫色のカラーと黄色の隻眼が特徴的で、争いを好まない平和主義者。
トレンドは宝探しであり、ぶんどりやコレクトではない。戦闘力はお察し。

マサムネの現在の装備

武器:ボーン連装ピック
頭:どんぐり連装ヘルム
胴:どんぐり連装メイル



長10㎝砲ちゃん:みんなご存じ秋月型の艤装。連装砲ちゃんや連装砲くんと同じく、生物として独立している。
基本的には連装砲ちゃんと同じ、というかモンハンでいうアイルーの毛並みの違いのようなもの。アメショやミケのようなものだと思ってOK。
余談だが、カリュード諸島の連装砲ちゃんがアタリハンテイ力の恩恵を受けられなくなったからといって意思が無くなってしまうわけではない。ただし艤装としては使えない。



悪魔連装砲:改造の果てに生まれた連装砲ちゃんのようなナニか。
見敵必殺の殺戮兵器。どんな深海棲艦もイチコロの恐るべきパワーを持つが、敵を殺すこと以外考えられないので部位破壊や深海棲艦の捕獲任務は苦手。手加減ってなんだぁ?



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