家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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本日、2話目です。


別れと終焉

ロヴィーノに言われて、上のほうを見てみると、空全体を覆いかねない巨大な隕石があることに驚愕するツナたち。しかも、いつの間にか、その隕石のせいで島全体は影で覆われていた。

 

「何だあの隕石は!!!?」

 

「さっきのよりも何倍の大きさだぞ!!!!」

 

「何で、こんなバカでかいもの、今まで気がつかなかったんだ!!!?」

 

全員、今の状況に混乱した。そして、ネタバレするかのようにロヴィーノが話しかけた。

 

「クックックッ。あの隕石は私が《霧》や《砂漠》、《色欲の炎》の力で存在を隠して、さっきのと同じで《大地》の重力で引っ張ってきたものさ。あの大きさは月より少し大きいよ。だから、あんなのがここに衝突すれば、間違いなく、地球は滅ぶね。まだ、ちょっと、時間はかかりそうだけどね」

 

ロヴィーノはそう言って、笑い始めた。

 

「お前………最初からこれを狙っていたのか………!!!この戦いでどんな結果になっても、地球を滅ぼすことを!!!」

 

「クックックッ。地球にはこんな言葉があるよね。『勝負に負けて試合に勝つ』というのがさ。私は沢田綱吉とダークネスの勝負に負けても、試合に勝ちたい(地球を破滅させたい)からね。ちなみに《怠惰の炎》を使ったのも、時間を守るためだからよ。こう見えて、私は自分の言ったことは守るからね」

 

ロヴィーノは愉快そうに言った。

 

「お前を倒せば、地球の滅亡は阻止される筈じゃなかったのか?」

 

輝夜はロヴィーノを睨み付けながら、そう言った。確かに昨日の予告でロヴィーノは自分を倒せば、地球の滅亡は阻止されると言っていた。そして、ロヴィーノはツナたちに倒された。もともと、ロヴィーノのことを信じている者はいなかったが、これは契約違反だった。しかし、ロヴィーノは悪びれもせずにこう言った。

 

「別に嘘を言った覚えはないよ。あの時の『私を倒す』というのは、イコール『私を殺すか封印する』ってことだからね。そうすれば、私の力は失って、隕石は地球に衝突することなんて、起きないよ。まぁ、ここまで来たら、もう手遅れだけどね」

 

つまり、貴様らの解釈違いだとロヴィーノは言いたいようだ。皆、歯を噛み締めて、ロヴィーノを睨んでいると、ロヴィーノは補足するかのように、言った。

 

「あぁ。それと言っておくけど、あの隕石を破壊するなら、しても構わないよ。…………まぁ、無理だけどね」

 

ロヴィーノがそう言うと、隕石を破壊しようと考えていたメンバーはなぜ、そんなことが言えるのだとロヴィーノを睨み付けた。それに対して、ロヴィーノは説明した。

 

「あの隕石には私の白き炎が膨大に纏っている。当然、《闇》の無効化の力もある。あれを破壊するには、少なくとも《光》の炎が必要だということだよ」

 

隕石を破壊するには《光》の炎が必要。《光》の炎を使えるのは、ツナと輝夜、明聖の3人だった。つまり、彼ら3人がやらなければいけないということだった。

 

「しかし、あの隕石に纏っている炎は私のもともとの大半を使っている。……まぁ、それが私の敗因の1つでもあるが、それは置いといて、それを破壊するには、それと同等の炎圧でなければいけない。だけど、全快の貴様らの全ての炎を使っても足りない」

 

ロヴィーノはそう言うと、事態の深刻さに悩んでいるメンバーの中から、ツナと輝夜のほうを見た。

 

「そもそも、沢田綱吉は見てのとおり、私と同じように、動けない体であるから不可能で、そして、ダークネスは私の《白睡蓮》を受けたから無理なのさ」

 

「………どういうことだ?」

 

ロヴィーノの言った意味がわからず、輝夜は尋ねた。それに対して、説明を始めた。

 

「《白睡蓮》は私の技の中でも特殊でね。これをくらった者は私が念じたものを自由に扱うことができる」

 

「自由にだと………?」

 

「そう。例えば、沢田綱吉なら超直感、白蘭なら並行世界(パラレルワールド)の記憶の共有、ユニなら予知能力を奪ったり、2度と使えなくすることができるのさ」

 

『!!!?』

 

ロヴィーノの《白睡蓮》に全員が驚愕した。そして、ロヴィーノの説明は続いた。

 

「そして、先程、ダークネスにしたものは《光》の炎の波動さ!!!それにより、ダークネスは《光》の炎をほとんど、使えなくなっているのさ!!!」

 

『!!!?』

 

(そういうことか………。このよく起きる立ちくらみの原因はそれだったのか………!!!)

 

ロヴィーノの説明に全員が驚愕して、輝夜は納得した。ツナや輝夜のように《光》の炎によって蘇生された者は《光》の炎の波動が生命線といっても過言ではない。それを失ったら、その者は死んでしまう。輝夜はロヴィーノの攻撃を受けた際に炎の波動の大半を失ってしまったのだ。不幸中の幸いは輝夜《闇夜》のワープホールでロヴィーノの攻撃の威力を半減したことだった。これにより、炎の波動が全て奪われることは無く、一命を取り留めることができたのだ。

 

「炎を十分に持っているのは光城明聖だけ。だけど、それでも、あの隕石を破壊するには全然、足りないね。まぁ、どうするかは貴様らに任せるよ」

 

ロヴィーノはそう言って、黙って、ツナたちのほうを見つめた。

 

『…………………』

 

ロヴィーノの説明に全員が黙った。隕石が落ちてくるまで、もう時間が無い。しかし、だからといって、それに対抗する手段が見つからなかった。もう、ここまでなのかと、諦めた時だった。

 

「…………俺に任せてくれないか?」

 

「お兄ちゃん?」

 

輝夜がそう呟いた。それが聞こえて、全員、輝夜のほうを向いた。

 

「何か、考えでもあるのか?」

 

リボーンが輝夜に尋ねた。

 

「そうでなくては言わない」

 

「?(どうしたんだろう?)」

 

それに対して、輝夜は肯定したが、輝夜の顔は何かを思い詰めているようだった。もう後が無い今の状況なら、輝夜に頼んだ方がいいのはわかっているが、ツナは何だか、嫌な予感がした。

 

「沢田綱吉」

 

すると、輝夜はツナに声をかけた。

 

「頼みがあるんだが」

 

それを聞いて、ツナはなおさら、嫌な予感が高まった。

 

()()()()()()()()()()()()()?」

 

『!!!?』

 

「え!!?ちょっと、お兄ちゃん!!!どういうことなの!!?」

 

輝夜の言葉に皆、動揺して、特に明聖が動揺して輝夜に問い詰めた。

 

「……………」

 

しかし、輝夜は目を伏せて、何も言わなかった。

 

「!!?(まさか!!?)」

 

その嫌な予感の正体がわかったツナは輝夜に尋ねた。

 

「まさか………輝夜。お前、()()()なのか?」

 

『!!!?』

 

「えっ!!?そ、そんなの、嘘だよね………?」

 

「……………」

 

ツナの言葉に皆、驚いて、明聖が輝夜に尋ねたが、輝夜は相変わらず黙ったままだった。

 

「ね、ねぇ……。何か、言ってよ………。お兄ちゃんは死なないよね!!!?」

 

「……………すまない」

 

ようやく出てきた輝夜の言葉はたった一言の謝罪の言葉だった。

 

「!!?い、嫌だよ………。私、そんな………聞きたくない…………」

 

輝夜の言葉を聞いて、明聖は茫然自失してしまった。

 

「お前、死ぬつもりは無かったじゃないのか?」

 

リボーンが昨晩、輝夜に尋ねたことをもう一度、尋ねた。

 

「あの時とは、状況が変わった。ここで誰かがやらなければ、地球が滅ぶ。それに俺はロヴィーノに刷り込みされたとはいえ、地球滅亡に手を貸した罪人だ。罪を償わなければならない」

 

「だからって、お前が死んだら、明聖が悲しむだろ!!!!」

 

輝夜が淡々と答えるのに対して、ツナが地面に寝転びながらも叫んだ。

 

「お前がロヴィーノに刷り込みされたときも、明聖がどれだけ心配していたのか、わかっているのか!!!?」

 

ツナが輝夜にそう叫ぶと、輝夜は小さく呟き始めた。

 

「…………わかっているさ。明聖がどれだけ心配してくれたことを………、俺がやろうとしていることは独り善がりで自分勝手だということもな…………」

 

「なら――――――!!!」

 

「それでも!!!!」

 

ツナが再び叫ぼうとすると、輝夜が遮った。そして、大声で叫んだ。

 

「俺は、()()()()()この地球を滅ぼしたくないんだ!!!!」

 

「ッ!!?」

 

基本、他のことには興味を持たない輝夜が全力で戦う唯一の理由、それは明聖だった。輝夜は明聖を守るためなら、どんな手段も使う。矛盾しているが、その代償で多くの犠牲や世界が滅ぶことになっても、別に構わないと本気で思っている。それが、明聖の望むことではなくて、独り善がりの行動だったとわかっていてもだ。そして、今、輝夜は自分の命を代償に地球を、いや、明聖を守ろうとしているのだ。

 

「………明聖」

 

「!?」

 

すると輝夜はいまだに茫然自失だった明聖に近づいて、しゃがみ、抱きしめた。

 

「明聖。俺はお前を泣かせてばかりのダメ兄貴だ。だけど、そんな俺でもお前にはっきりと言えることがある」

 

そう言うと、輝夜は優しく、微笑んで、静かに囁いた。

 

「俺はお前のことを愛している。初めて、会ったあの日から」

 

「!?お兄ちゃん………」

 

そう言われて、茫然自失だった明聖は正気に戻って、明聖の目から涙が流れた。そして、明聖も輝夜に抱きついた。

 

「酷いよ………。いつも、いつも、大事なことには私を置いていって…………」

 

「……………あぁ」

 

「私………ずっと、………そんなの………嫌だったのよ………」

 

「……………あぁ」

 

「ずっと、ずっと、………悲しかったのよ………」

 

「……………あぁ」

 

「それなのに、そんなこと言われたら、嫌いになれないよ…………」

 

「……………」

 

「私も大好きだよ…………、お兄ちゃん…………」

 

「…………あぁ」

 

明聖が話し掛けて、輝夜は相槌をうった。

 

「どうしても、いっちゃうの?」

 

「あぁ、()()をできるのはもう俺だけだからな」

 

「お兄ちゃんって、頑固だからね…………。………でも、悔しいよ………。私はオリジナルの《光》の炎を持っているのに………。何もできないなんて…………!!!」

 

「……………」

 

「がんばって………」

 

「あぁ………」

 

輝夜と明聖の話し合いが終わると、2人は離れて、輝夜は立ち上がり、明聖に背を向けた。

 

「輝夜…………」

 

まだ、納得のできない、ツナが言葉をかけようとしたが、リボーンが止めた。

 

「諦めろ、ツナ。こいつの覚悟は固い。明聖で止められなかったなら、俺らには無理だぞ」

 

「でも!!!」

 

どうしても、諦めきれないツナに輝夜が声をかけた。

 

「1度、お前を殺した男によく気にかけてくれるな」

 

「そんなことは関係ないよ!!!輝夜!!!お前が死んだら――――――!!!」

 

「そんなお前なら明聖を任せられる。俺はそう思ったんだ」

 

「…………えっ?」

 

輝夜の言葉にツナは間抜けな声が出た。

 

「お前を殺した俺をお前は気にかけてくれている。そんな器のでかいお前なら、明聖を守ってくれる」

 

「そんな!!!俺はダメツナだし………」

 

輝夜がいきなり安心しきっている顔でそう言われて、ツナは輝夜を説得することも忘れて自分を卑下するようなことを言い始めた。

 

「お前は自分のことを過小評価しすぎだ。お前はマフィアのボスになりたくないみたいだが、お前ならこの腐った世界をいい方向に変えられる。俺は本気でそう思っている」

 

輝夜の言葉に対して、輝夜は純粋にそう考えていた。これには、『もし、沢田綱吉がベネスタンテ星を取り仕切っていたら、どれだけ、良かったのだろうか』という輝夜の願いもあった。ロヴィーノ教団が警戒していた《ツナの人徳》。これに輝夜も魅了されたようだった。

 

「輝夜………」

 

輝夜が自分のことをそこまで評価してくれていることに、驚いていた。しかし、そのせいで余計に輝夜を犠牲にさせたくなかった。

 

「沢田綱吉」

 

もう一度、説得を試みようとしたツナだったが、その前に輝夜がツナのほうに視線を移して、声をかけた。

 

「もう時間が無いから、最後にこれだけ言っておく。俺が言えることじゃないが、明聖を悲しませたら、呪いでも何でも使って、今度こそ、俺の意思でお前を殺す!!!」

 

「ッ!!?」

 

輝夜の言葉にツナは言葉が詰まった。それは、自分を殺すと言ったことではなかった。ツナの見た輝夜の目が絶対の覚悟に満ちあふれていた。この場にいる誰もが気がつかなかったが、その目はかつて、聖輝と明夜がベネスタンテ星を救いたいと輝夜に言った時の目と同じだった。そして、2人のと同じ目を見て、もう説得の余地が無いとツナは思った。

 

「…………わかった」

 

ツナはいろんな意味で了承の言葉を出した。

 

「ふっ………」

 

それを聞いた輝夜は薄く笑うとすぐに顔を引き締めて………

 

「出てこい!!!ドレイク!!!」

 

自分の匣からドレイクを呼び出した。

 

「グオオオォォォーーーーーーー!!!!」

 

ドレイクは凄まじい雄叫びを上げて、輝夜を背中に乗せて、隕石のほうに…………

 

「ん?」

 

行く前にロヴィーノの側まで飛び、輝夜は動けないロヴィーノの胸ぐらを掴み、拾い上げ、今度こそ隕石のほうに向かった。

 

『えっ?』

 

輝夜の行動にツナたちも疑問を浮かべた。

 

「やれやれ、茶番をずっと見せられていたと思ったら、いきなり、何だい?」

 

それはロヴィーノも例外では無く、輝夜に胸ぐらを掴まれながらも尋ねた。それに対して、輝夜はロヴィーノが茶番と言ったことに対して、顔をしかめたが怒りを抑えて、答えた。

 

()()()使()()()、隕石を破壊する」

 

輝夜の言葉を聞いて、ロヴィーノは納得したように、行った。

 

「なるほどね。そういうことか。貴様は私の体内の炎を暴走させて、誘爆を起こして、隕石を破壊する気か」

 

ロヴィーノの推測は当たっていた。ロヴィーノはまだ、膨大な炎が体内に残っていた。《闇》の炎を打ち消す方法は一般的に《光》の炎を使うことだが、その炎を上回る《闇》の炎でも可能である。実際にロヴィーノは輝夜の《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》を打ち破ることができたのだ。輝夜はロヴィーノの炎の爆発で隕石を破壊するという算段だった。

 

「あぁ。そして、お前の炎を爆発させるための起爆剤として、俺の炎を使う」

 

そう言うと、輝夜の《闇》のリングと聖輝と明夜の《光》のリングから炎が灯り出した。そして、その2種類の炎が融合して、()()()()()()()()

 

「!!?……この土壇場で貴様もその炎に至ったのか。沢田綱吉曰く光を受け入れたのか?」

 

「あぁ、そうだ。いい加減、受け入れなければ、あの人たちへの裏切りになると思ったからな」

 

そう言った輝夜の目に迷いは無かった。

 

「クックックッ……。そうか……。まぁ、私もそれに関してはどうでもよくなったよ。それよりも、いいのかな?貴様の考えは確かに成功すれば、地球の破滅は阻止できるよ。だけど、いくらその炎に至ったとしても私の炎を爆発させるための起爆剤としては、炎圧が足りなさすぎる!!!」

 

ロヴィーノはニヤニヤと笑いながら、そう言った。先程の戦いで消耗したために炎が足りないようだ。

 

「…………それはどうだろうな?」

 

しかし、輝夜は動揺した様子はなく、堂々とした様子でそう言い返した。

 

「何?」

 

ロヴィーノはそれがどういうことだと思うとすぐに気づいた。

 

「!!?炎圧がどんどん、膨れ上がっているだと!!?」

 

なんと、残り少ない筈の輝夜の炎圧がどんどん、膨れ上がっているのだ。驚くロヴィーノをよそに輝夜が淡々と説明し始めた。

 

「俺の白い炎は《光》と《闇》でできている。光が強ければ強いほどそれにより生まれる闇は濃くなり、逆に闇が濃くなれば濃くなるほど光はより際立つ。その無限の連鎖によって、この力は増大する!!!沢田綱吉の純白の炎があいつの本質である《大空》の調和による零の炎だとするならば、俺のは終わりなき、無限の炎だ!!!」

 

最後に輝夜がそう言うと、炎はさらに燃え上がり始めた。

 

「……………………」

 

ロヴィーノはそれに声が出ない様子だった。

 

「…………。ドレイク。隕石のすぐ近くまで来たら、俺とロヴィーノを放り投げて、お前は戻れ。沢田綱吉なら、お前のこと見てくれるだろ」

 

そんなロヴィーノを一瞥すると、輝夜はドレイクの身を案じて、そう言った。ツナは《闇》の波動も持つようになった。そんなツナなら大丈夫だと思って、言ったのだ。

 

「グルルッ」

 

それに対して、ドレイクは唸り声を上げた。

 

「!?…………物好きな奴め」

 

輝夜は20年間一緒にいたドレイクの言いたいことを理解していた。それは『俺の相棒は輝夜だけだ』というものだった。輝夜はそれに呆れながらも、内心、嬉しく思っていた。そう思うと、次に別のことを考えた。

 

(悔いはない………って、言ったら、嘘になるな………。明聖のことはもちろん、そうだし………、ルシフェルたちもな………)

 

輝夜はあの後、会っていないルシフェルたちのことが気になった。もう少し、話しておけばよかったと思っていた。しかし、すぐにそれを考えることはやめた。

 

(まぁ、俺の()()は、どいつもこいつも、殺しても死なない連中だし、大丈夫だろ)

 

ルシフェルたちのことを共通の目的を持つ同僚から信頼のできる仲間として、輝夜はそう思ったのだ。

 

「…………いよいよか」

 

そして、とうとう隕石のすぐ近くまで来た。ロヴィーノは特に抵抗していなかった。ひとまず、それに安堵しながら、いろいろと振り返った。

 

産みの親からの虐待。それから逃れるために産みの親の殺害。リヴォルッツィオーネへの入団。仲間の出会い。1度の死。本当に大切な2番目の親の出会い。妹の出会い。その大切な親の死。《死体の大地事件》。様々な者からの逃亡。邪神からの刷り込み。そして、地球での戦い。

 

これらが走馬灯のように流れた。輝夜はそれを噛み締めて、ロヴィーノを掴んでいる手とは反対の手に巨大化させたガンブレードを持った。それの刃には純白の炎を纏わせていた。

 

「行くぞ!!!!」

 

そう言うと、輝夜はロヴィーノを隕石のほうに放り投げた。そして、すぐに、そのまま、ガンブレードを構えた。

 

「(父さん……、母さん……。今、そっちに行くよ……)《龍王の角(コルナ・ディ・レ・ドラゴーネ) 光と闇の奇跡(インフィニート・ミラクロ)》!!!!」

 

輝夜は純白の炎を纏わせたガンブレードをロヴィーノに向かって、突きを入れた。

 

グサッ!!!!

 

ガンブレードの刃はロヴィーノを貫いて、ロヴィーノの後ろの隕石と衝突した。

 

「ぐふっ……!!!?…………クックックッ。本当に……、貴様には驚かせるよ………。………完敗だよ。………ダークネス、いや、光城輝夜……」

 

貫かれたロヴィーノは特に悔しそうな様子も無く、最期の言葉として、そう残した。

 

「ぐっ!!?」

 

それについて、輝夜は返事を返す余裕も無く、隕石の勢いに顔をしかめていた。だから、輝夜はすぐに最後の一撃を入れようとした。

 

(………ルシフェルにロヴィーノ教団の皆、沢田綱吉とその仲間たち、………そして、明聖。………さよなら)

 

輝夜は微笑みを浮かべながら、そう思い、ガンブレードの引き金を引いた。

 

カチッ………

 

ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!

 

すると、ロヴィーノの暴発により隕石は誘爆による大爆発を引き起こし、輝夜とドレイク、ロヴィーノを呑み込んだ。その爆発の余波は世界中に広がって、金色と黒色の光る結晶が降ってきたが、爆発そのものに地球が巻き込まれることは無かった。輝夜の最後の攻撃の向きがそれを防いだようだった。この様子から、地球の滅亡は本当に阻止できたみたいだった。

 

『………………………』

 

その大爆発を明聖やツナたちは静かに見ていた。

 

コンッ……、コンッ………、コロンッ…………

 

すると、空から3つほど、小さい何かが落ちてきた。

 

「……………………」

 

それに気づいた明聖は落ちてきたものに近づいて、拾い上げた。

 

「これ……………」

 

明聖が拾い上げたものは漆黒の石が填まっていたリング1つと金色の石が填まっていたリング2つだった。それは輝夜の右手の指に填めていた《闇》のリングと聖輝と明夜の《光》のリングだった。

 

「……うっ………うっ………」

 

明聖はそれらを見て、目からポロポロと涙がこぼれた。

 

「……うっ………うっ……………うあぁぁぁーーーーーん!!!!」

 

そして、我慢できなくなった明聖は大声で泣き崩れた。そんな明聖の様子をツナたちは静かに見つめていた。

 

こうして、1人の《闇夜》の犠牲によって地球の滅亡は防がれ、後に『ロヴィーノ事件』と呼ばれる大事件は終焉を迎えることになった。




次回、最終回!!!

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