家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~ 作:R0
それと、前回で残り2話と言いましたが、思った以上に文字数が多くなって、分割することにしました。
ツナたちは全員で協力して、《
『……………ハァッ……………ハァッ……………ハァッ…………………』
最後の攻撃に参加していた者たちは多少の誤差は有れど、全員が荒く、息をついていた。《
ドサッ……………
「10代目!!!?」
「ツナ!!!?」
強大な力を使っていたツナのほうが負担が大きかった。ツナは戦いが終わった途端に外套やブーツが解けて、《
「…………ハァッ………ハァッ…………ハァッ………ハァッ…………ハァッ…………」
ツナは他の皆よりも荒く息をついていた。
「……………大丈夫か?沢田綱吉」
それを見て、輝夜は駆け寄っていないが一応、ツナの身を案じて声をかけた。
「………ハァッ…………ハァッ…………うん………指1本すら、まともに動かせないけど何とかね………。輝夜は…………?ロヴィーノに貫かれたけど………?」
息が切れながらも、ツナはそう返事した。それを聞いて、周りの皆は心配したが、ツナの身体を診ていたリボーンや風がとりあえず大丈夫だという言葉にほっとした。もちろん、明聖たちが《晴》や《光》の炎を使って、手当てをしていた。そして、ツナはさらに輝夜の状態を聞いた。
「…………万全とは言えないが、立って歩くぐらいならできる(《闇夜》で少し防いだとはいえ、あいつの攻撃、見た目に比べて、そこまでダメージを負っていないんだよな………。明聖の《光》の炎ですぐ治療できたし。難点があるなら、時々、立ちくらみがすることぐらいか………)」
「?………まぁ、無事なら良かったよ………」
輝夜はロヴィーノの《白睡蓮》を受けた時のことを思い出して、そんなことを考えていた。それを見て、ツナは内心、首を傾げたが無事ならいいやとそう返した。
「本当に大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫だ」
しかし、それでも心配だった明聖が輝夜に尋ねて、輝夜は明聖の頭を撫でながら、そう返した。そして、明聖にそう言うと、輝夜はロヴィーノのほうに視線を移した。ツナたちに敗れたロヴィーノは触手や四肢が失って、腰まであった長い髪も首筋ぐらいまで短くなって、服もボロボロになって、仰向けになって、気を失っていた。どうやら、死んではいなさそうだった。ついでに言うと、ロヴィーノが気を失ったせいか、昨日から空中に浮かんでいた画面が消えていた。この様子なら、ロヴィーノの封印も容易にできるだろう。
(………故意か偶然か知らないが、本当に弱らせる程度に留めやがった)
輝夜はロヴィーノを見て、ツナに半分呆れ、半分感心したような気持ちになった。
「それよりも………、ロヴィーノを倒したぞーーーーーーーー!!!!」
すると、了平が両手を腕に上げて、大声で叫んだ。
「うるせぇぞ、芝生!!!!」
「まぁまぁ、先輩の言うとおりだぜ」
「そうだね!!!あのロヴィーノを倒したんだよ!!!!」
それに対して、獄寺が怒鳴り、山本が宥めて、炎真が皆の気持ちを代弁した。ロヴィーノを倒したことで世界を滅ぼされることが無くなったのだ。喜ばずにはいられないのだろう。大なり小なり、皆が喜んでいた。
「………ツナ」
そんな中、未だに呪解姿だったリボーンがツナに近づいた。
「あ………」
ツナはリボーンが近づいてくるのを見て、声をかけようとしたが、その前にリボーンの体が縮み始めた。他の呪解したアルコバレーノたちも同様に体が縮み始めた。ヴェルデの発明品の効果が切れたのだろう。リボーンたちは赤ん坊の姿に戻った。
「よく、やったな」
そして、そのまま、ツナに労いの言葉をかけた。それに対して、ツナは…………
「えーーーーーーーーーーー!!!?あの滅茶苦茶強い人がリボーンになったーーーーー!!!?」
『………………』ガクッ
呪解した姿をリボーンに気づいていなかったツナが大声で叫び、それを聞いた皆は全員、ガクッとなった。
「ツナ……気づいていなかったのか、コラ………」
「どこまで、鈍い男なんだ………」
コロネロとラルが呆れたように呟いた。
「あの人って………リボーンが呪解した姿だったんだ………」
「綱吉さん………気づいていなかったのですか?」
「まったく、ダメツナが………」
そう呟くツナに明聖が戸惑いがちにそう言った。リボーンも額に手を当てて、そう言った。
「赤ん坊の姿のリボーンの
輝夜も呆れたようにそう呟いた。しかし、ツナはそれよりも輝夜の言葉の中で気になることがあったので思わず、訊いてみた。
「えっ!!?輝夜はリボーンのあの変装、見破れるの!!!?」
ツナはなぜか自分以外の人たちにはばれないリボーンの変装に輝夜が気づいていることに驚いた。
「は?普通に見破れるだろ。ってか、ロヴィーノからこいつの変装した姿の写真を見せて貰って、ロヴィーノ教団、全員すぐに気づいたからな。あんな、リボ山とかパオパオ老師とかの粗末で低レベルな―――――」
『変装』と輝夜が言おうとしたら…………
「グフッ!!!?」
リボーンがツナの腹をジャンプ台にして、輝夜に跳び蹴りした。
スカッ………
「変装。………ってか、仮にも重傷者2人に攻撃を仕掛けるなよ………」
しかし、それを輝夜はかわして、続きを言った。そして、今のリボーンの行動に呆れて、そう言った。ちなみに今の輝夜の言葉でリボーンの変装に気づいていなかったメンバーは驚いていた。特に了平は「パオパオ老師はリボーンだっただとーーー!!!?」と叫んでいた。
「うるせぇ。オメーは俺に喧嘩を売っているのか?」
「まさか。俺は事実を言っただけであって、喧嘩を売った覚えはないぞ」
「それが喧嘩を売っているってことに繋がっているんだぞ。それに俺の変装はツナ以外にはばれていねぇんだぞ」
「それなら、そいつらは全員、目が節穴だってことか?」
(この人、盛大に喧嘩を売ったーーーーーー!!!!)
輝夜の言葉を聞いて、ツナは心の中で叫んだ。実際、『目が節穴』という毒舌をかました輝夜に今までリボーンの変装に気づいていなかったメンバーはもの凄く睨んでいた。しかし、輝夜はそれに気づいているにも関わらず、どこ吹く風のような態度だった。
「パ……じゃなくて、
明聖が慌てて、輝夜に注意すると、謝る必要も無いのに、皆に頭を下げた。しかし、輝夜たちはそれよりも気になったことがあった。
「明聖………今、俺のこと、『お兄ちゃん』って言ったか………?」
輝夜は明聖が『パパ』から『お兄ちゃん』とわざわざ言い替えてまで言ったことが気になって、尋ねた。
「え?あ、うん。お兄ちゃん。さっき、私のことを『俺の妹』って、言ったよね?」
「…………そう言えば、言ったな」
輝夜は明聖がリボーンに叩かれたことで悪態をついた際にそれを言ったことを思い出した。
「うん。その言葉を聞いてから、ずっと考えていたんだけど、お兄ちゃんは私の本当のパパやママのことを気にしていたんだと思ったの」
「…………………」
輝夜は明聖の言葉に特に返答はしなかった。それは明聖の言うとおりだったからだ。輝夜は聖輝と明夜に頼まれて、明聖の親代わりをしていたが2人から明聖の親という立場を奪ったのではないかと気にしていたのだ。
「だから、私はこれからお兄ちゃんのことを『パパ』じゃなくて『お兄ちゃん』って、呼ぶことにしたの。それなら、お兄ちゃんはパパとママのことを気にしなくていいからね。それにパパでもお兄ちゃんでもお兄ちゃんは私の家族に変わらないからね♪」
明聖はそう言って、笑顔を見せた。
「……………そうか」
それに対して、輝夜は一瞬、呆然としていたがすぐに微笑み返した。きっと、内心では明聖の気遣いに嬉しく思ったのだろう。
そんな和やかな気分になっているときだった。
「うっ………!!?」
『!!?』
ロヴィーノがいるところから呻き声が聞こえた。それを聞いて、全員が警戒した。動けないツナも皆と同様にロヴィーノのほうを警戒した。
「うっ………これはいったい…………?」
どうやら、ロヴィーノが目を覚ましたようだ。それを見て、全員、さらに警戒した。
「…………そうか、私は負けたのか………。………初めて、戦闘で負けたよ。クックックッ」
状況を察したロヴィーノは何がおかしいのか、愉快そうに笑いながら、そう呟いた。それを見て、皆、少々戸惑った。なぜなら、ロヴィーノは悔しがる様子が全く無くて、むしろ、楽しそうにしていたからだ。その中で輝夜がロヴィーノに話しかけた。
「どうした、ロヴィーノ?急に笑いやがって………。負けて、悔しくないのか?」
話しかけられたロヴィーノは顔を輝夜のほうに向けながら、話しかけた。
「クックックッ。悔しくないのかだって?そんなもの悔しいに決まっているさ。私の産まれて初めての正真正銘の敗北だからね。だが、それよりも私がこれからどう破滅していくのかが気になってね。なぜなら、自分自身の破滅なんて経験は今後、2度と無いからね」
ロヴィーノの言葉に輝夜は顔をしかめた。物事の破滅を生き甲斐とするロヴィーノは自分の命をも破滅させることも考えているようだ。
「…………お前、本当にいかれているな」
「クックックッ。褒め言葉として受けておくさ」
輝夜の言葉にロヴィーノはそう返した。
「あぁ。それと、もうそんなに私に警戒する必要は無いよ。私はもう何もできないからね」
確かに今のロヴィーノは四肢を失って、疲れ切っていて、警戒する必要はなさそうだったが………。チェッカーフェイスが否定した。
「妙なことを言うね。君は私たちの敵だし、君の中からは膨大な炎を感じる。そんな状態で警戒を止めるなんて無理な相談だね」
チェッカーフェイスの言うとおり、ロヴィーノの中にはまだ自分たちを上回る炎が残っていた。その気になれば、四肢をロヴィーノ細胞で復活させて、再び、戦おうとするかもしれない。だから、警戒を止めることができなかった。
「あぁ、確かに炎はお前ら人間と比べたら、膨大にあるが、戦闘に参加するには圧倒的に足りない」
ロヴィーノの言葉を聞いて、どれだけの炎があったんだと皆、畏怖した。
「…………それに沢田綱吉とダークネスの攻撃を受けて、余計に体を動かすことはできなさそうだからね」
「?……どういうことだ?」
ロヴィーノの言葉に疑問を感じて、リボーンが尋ねた。他の皆もどういうことだと思った。
「どうこうも無いさ。沢田綱吉とダークネスの最後の攻撃で私の中にあった封印されたときの《光》の炎が再発したのさ」
「封印されたときの《光》の炎だと?」
「そう。私も先程気づいたが、私と戦っていた生粋の地球人の一族の中には光の一族がいた。そいつらは無自覚に他の炎と融合した《光》の炎があった。ごく少量だったために私も気づかなかったがね………。まぁ、つまり、私にとって、《光》の炎は病原菌みたいなものだから、ろくに動かすことができないのさ」
ロヴィーノはうんざりとした表情でそう言った。過去のチェッカーフェイスたち生粋の地球人たちとロヴィーノの戦いで明聖の先祖でもある当時は《光》の炎の存在を知らなかった光の一族が無意識に他の炎と一緒にごく少量の《光》の炎を使って戦い、その《光》の炎がロヴィーノの体に入り込み、蝕んだのだ。それにより、ロヴィーノはいつもより体の動きが鈍くなり、その隙を突かれて、封印されたのだ。そして、今回もその時の影響が残っていて、ロヴィーノは不完全な状態であることに気づかぬまま、ツナたちと戦闘を行ったのだ。そして、ツナと輝夜の《光》の炎が混ざった攻撃を受けて、過去の《光》の炎が再発したのだ。それにより、ロヴィーノの体は余計に蝕んで、全力を出すことができなかったらしい。
「…………なるほどな。確かに《神々至上
「………そうだね。私も改めて、思い出してみると、以前よりも弱くなっていた気がするよ。………それでも、とんでもない敵に変わりは無かったがね」
ロヴィーノの説明に輝夜とチェッカーフェイスが納得したようにそう言った。
「………だが、どんなに負け惜しみを言っても、お前の負けに変わりない」
そして、輝夜がそう言って、他のメンバーも頷いていた。
「クックックッ。負け惜しみ………、そう捉えたか………。まぁ、あながち間違いではないね。ところで、今は何時何分だい?」
すると、急にロヴィーノがツナたちに時間を尋ねた。それに皆、いきなり何だと思っていると…………
ビーーッ!!!!ビーーッ!!!!
『綱吉君!!!皆!!!返事して!!!!』
「正一君?」
「え?正ちゃん?」
ツナのヘッドホンから入江の連絡が入ってきた。なぜか、入江は慌てている様子だった。とりあえず、ツナは入江に返事をした。
「正一君、どうしたの?」
『!!!?良かった!!!!
入江の『やっと』という言葉にツナたちは疑問に思った。ツナは別に戦闘の最中、通信を切っていた覚えは無いし、入江たちはツナたちがいる島の近くの海に浮かんでいる船にいる筈だ。それはツナたちの最後の攻撃を島の外側から見ることができるということだ。だから、あれから、そこまで時間が経っていないということもわかっているはずだ。それなのに、入江は『やっと』と言った。
『綱吉君の《
『!!!?』
入江の言葉にツナたちが驚愕した。なぜなら、ツナが《
「ハハハッ!!!!そうか!!!あれから、1時間以上経っているのか!!!!」
入江の言葉が聞こえたロヴィーノは高笑いしながら、そう言った。そして、続きにとんでもないことを言った。
「ということは、今はだいたい
『なっ!!!?』
12時、それはロヴィーノが地球を滅ぼす時間だった。
「おい、入江。今は12時前なのか?」
『うん、そうだよ!!!だから、僕たちはどうなったのか気になったんだけど、連絡も繋がらないし、島に入ろうにも、見えない壁のせいで入れないんだ!!!』
リボーンは入江に確認を取ってみると、入江はそれを肯定した。しかも、見えない壁とか理解できない言葉を含めて………。
「クックックッ。それは私の仕業だね」
それの答えを言うかのように、ロヴィーノは言った。
「他の者たちがこの島に入れないのは、私がこの島に結界を張ったからだ。私が倒れようと倒れなかろうと関係なく張り続けて、壊れても、すぐに修復する結界をな」
ロヴィーノの説明にとりあえず、全員理解した。確かに、結界を張っているのならば、入江たちはこの島に入ることはできないだろう。しかし、まだ、タイムラグが起きている理由がわからなかった。全員、ロヴィーノの仕業だということは予想しているが何をしたのか、わからなかった。しかし、ロヴィーノはその理由も今、答えようとしていた。
「そして、タイムラグが起きている理由だが………。貴様ら、全員が降りてきたときにこの島全体に《怠惰の炎》を纏わせた」
『なっ!!!?』
ロヴィーノの説明に全員が驚愕した。《
「《怠惰の炎》を纏った貴様らは体感時間が遅くなった。貴様らにとっての2、3分が島の外側では何十分も経っていることになるのさ。ちなみに、今はその効果も切れているようだがね」
ロヴィーノの説明に全員、信じられないという表情をしていた。まさか、そんなことをして、時間稼ぎをしていたということに信じられないでいたのだ。おかげで、ロヴィーノが指定したタイムリミットが来てしまったのだ。しかし、ロヴィーノはツナと輝夜との戦闘で動けなくなっていた。これ以上、何かできる筈がない。全員、そう思った。しかし、ロヴィーノは言葉を言い続けた。
「………さて、そろそろ良いかな?貴様ら、上を見てみな」
ロヴィーノの言葉に疑問を感じながらも、全員、上を見た。すると…………
『なっ!!!?』
もう何度目になるかもわからない驚きの声をあげた。なぜなら、上のほうには、何と、
次の話は5分後に投稿します。