家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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~追憶~ 復讐者VS人類至上サイキョウの人間

チェッカーフェイスの話を聞いて、皆開いた口がふさがらなかった。

 

一番最初に口を開いたのは炎真だった。

 

「《人類至上サイキョウの人間》……!?」

 

「そいつが結局、あのナンバー2の男よりも強い男か……」

 

「チェッカーフェイス……。あなたがボンゴレ9代目に連絡をいれたのは、通信機の会話にルシフェルたちが『並盛に向かう』という言葉を聞いたからかしら?」

 

「クフフ、あのルシフェルという男が『並盛だけじゃない』という言葉を聞いたからこそ、あなたは『VG(ボンゴレギア)が狙われる』と報告したのですね。確かにVG(ボンゴレギア)の1つは黒曜にいる僕が持っていますからね」

 

アーデルと骸がチェッカーフェイスにそう聞いた。

 

「ああ、その通りだよ。沢田綱吉君やリボーン君たちまで狙われていたとは予想外だったけどね…」

 

すると獄寺が急に立ち上がって言った。

 

「おい!!チェッカーフェイス!!テメー、あいつらの何知ってんだ!!あいつらは何者なんだ!!?復讐って何なんだ!!?」

 

「獄寺、落ち着けって!!」

 

「落ち着くんだ、タコヘッド!!」

 

そんな獄寺を山本と了平が落ち着かせた。そして、チェッカーフェイスは言った。

 

「落ち着きたまえ、獄寺隼人君。君の言いたいこともわかるが、とりあえず今は自分たちに起きたことを共有しなければならない。実を言うと《ロヴィーノ教団》に関して、私にもわからないことが多いからね…」

 

「……ちっ……」

 

チェッカーフェイスの言葉に獄寺は舌打ちをしながら渋々と席についた。

 

「さて、次なのだが私を襲ったあの男はいったい、あの後、どこへ向かったんだろうか?」

 

「……恐らく、俺たちだろう……」

 

チェッカーフェイスの疑問に答えたのはここに来てからずっと黙ってたイェーガーだった。

 

「そっか……、それなら、そっちに何があったか教えてくれないだろうか?」

 

「………お前の指図に乗るのは癪だがいいだろう……」

 

そう言ってイェーガーは話し出した。

 

 

 

 

 

虹の代理戦争で憎きチェッカーフェイスから(トゥリニセッテ)の命運を奪ったバミューダ・フォン・ヴェッケンシュタイン率いる復讐者(ヴィンディチェ)たち。その日もいつも通り、バミューダは(トゥリニセッテ)を機能させるために《夜》の炎を灯し続けて、イェーガーたちはマフィア界の法の番人の仕事をしていた。すると、

 

ボウッ

 

『!!?』

 

急に自分たちが使っている炎と同じワープホールが出てきた。バミューダたちは警戒した。ワープホールから出てきたのは血のように真っ赤なシャツを除いて全身黒づくめの男だった。

 

「君はいったい何者なんだい?」

 

バミューダがそう聞くと男はチェッカーフェイスのときと同じように答えた。

 

「俺は《ロヴィーノ教団》の者だ」

 

「《ロヴィーノ教団》?聞いたことのない組織だね。君の名前は?」

 

バミューダの質問に男は顔をしかめて言った。

 

「………名乗る名前など無い」

 

「………そう。それなら、君の目的は何かな?」

 

「俺の目的はお前とそれらだ」

 

と男が指を指したのはバミューダと(トゥリニセッテ)の器だった。

 

「ふーん、何となく予想はしていたけど、ここに来たのが運の尽きだよ。いくら、君が僕たちと同じ炎を持っているからと言ってもね……」

 

バサッ

 

バミューダがそう言うとイェーガーたち7人の復讐者(ヴィンディチェ)は包帯とローブを脱いだ。

 

男の復讐者(ヴィンディチェ)と女の復讐者(ヴィンディチェ)が地面に鎖を仕込み、男の足下に現れて、男の四肢を縛った。2人は高くジャンプした。それにつられて男も空中へと移動させられた。そして、2人は着地して男を地面に叩きつけようとした。しかし、男は空中で体勢を直して、自分も上手く着地し、縛られた鎖を逆に利用して振り回して2人を壁に叩きつけた。

 

「ぐあっ……!?」

 

「ギャッ……!?」

 

2人が立ち上がろうとすると短距離瞬間移動(ショート・ワープ)した男に頭を掴まれ、そのまま地面へと叩きつけられた。

 

「「………」」

 

そして、2人は戦闘不能になった。

 

「これで2人…」

 

次にジャックが竜巻となって襲いかかった。男はぶつかる前にジャンプしてかわした。男の四肢を縛っていた鎖は竜巻に当たり砕けた。

 

「……俺の竜巻を利用するとは……」

 

ジャックはそう言った。違う場所では、

 

「行ってこい。私の可愛い子供たちよ…」

 

アレハンドロが2つの鞄に向かって言った。すると鞄から飛び出した。それは…

 

「「あま~いあま~い ばあっ☆ 」」

 

魔導師の人形(マジシャンズドール)》、ジンジャーブレッドだった。

 

「「あま~いあま~い ばあっ☆ 」」

 

2体は箒から無数の刃を男に向けて放った。男はそれを僅かな動きで全てかわしていた。

 

「ヒャッハー!!」

 

真上から巨大な耳掻き棒みたいな武器、《脳掻き》を持ったスモールギアが襲いかかった。男はジンジャーブレッドの刃を両手の指の間に挟み止め、鉤爪のようにしてスモールギアの脳掻きを受け止めた。

 

「やるじゃねーか」

 

スモールギアは感心した。その後、男はスモールギアを蹴り飛ばし、再び襲ってきたジャックをかわしたり、刃の雨をかわしたり、スモールギアを迎撃したり、と防戦一方だった。

 

イェーガーに守られていたバミューダはこれに疑問に思った。

 

「なぜ、彼は短距離瞬間移動(ショート・ワープ)でかわさないんだ?イェーガー君たちと違って制限があるというわけではないはずなのに……」

 

バミューダがそう思っているのをよそにジャックたちのほうは佳境を迎えていた。

 

ジンジャーブレッドの刃をかわすためにジャックとスモールギアとは離れた場所に飛んで着地した際に男はよろけたのだ。それを見逃す復讐者(ヴィンディチェ)たちではなかった。

 

「ビッグピノ、9時の方向に砲撃だ!!」

 

「ピピ プピピッ」

 

スモールギアの指示にビッグピノは大砲で砲撃しようとした。その時だった。

 

シュンッ

 

ガンッ

 

ドーン

 

『!!!?』

 

男が短距離瞬間移動(ショート・ワープ)でビッグピノの前に移動して大砲を蹴り、向きを変え、そのまま、発射させた。その発射させた方向にはジャックがいた。

 

「なっ…!!?」

 

そして、そのまま……、

 

ドカーーーーン

 

砲撃はジャックに直撃した……。

 

「「ジャック!!?」」

 

男はそこからさらにビッグピノの顎に強烈な蹴りを入れて、脳に振動を与え、戦闘不能にして、ビッグピノが持っていたスモールギアの巨大なマラカスを2つ持ってそれら同士をぶつけ…、

 

ドカーーーーン

 

大爆発を起こした。周りは粉塵で見えなくなった。

 

「あの野郎、俺の武器を勝手に使いやがって……」

 

スモールギアが悪態を吐くと、

 

ザシュッ

 

「ぐぁあっ……!?」

 

後ろから短距離瞬間移動(ショート・ワープ)で移動した男がビッグピノが持っていたスモールギアの斧でスモールギアを斬りつけた。そして、次に2体のジンジャーブレッドの近くに移動した。

 

「「!!?」」

 

これはまた、ビッグピノが持っていた脳掻きで2体の服に引っ掛けて、1ヵ所に集めて、斧で2体一気に斬った。

 

「馬鹿な……!!?」

 

アレハンドロが驚いている間に目の前に男が現れて、斧で斬った。

 

「がっ………!!?」

 

粉塵が晴れるとそこに立っていたのはバミューダとイェーガーと男の3人だけだった。

 

「くっ………。(そういうことだったのか……。この瞬間を狙っていたのか……。彼、状況判断が早い)」

 

バミューダは先程の自分の疑問の答えを知った。

 

(それに、彼、戦闘のセンスがかなり高い。スモールギア君のあのヘンテコな武器を自由自在に操れるなんて……)

 

バミューダがそう思っているのをよそに男は斧を構えながら言った。

 

「あとはお前らだけだ」

 

「くっ……」

 

「……バミューダ、俺が行く……」

 

「イェーガー君……。わかっていると思うけど……」

 

「あぁ……。早急に終わらせる……」

 

バミューダ以外の復讐者(ヴィンディチェ)はバミューダから送られた《夜》の炎を使って動いている。自分で炎を生成することができないのだ。イェーガーの短距離瞬間移動(ショート・ワープ)も全身で2回だけなのだ。だから、その2回のうちに決めなければならない。

 

「行くぞ……」

 

イェーガーはそう言うと高く飛んだ。そして、自分の四肢を切り離し、男に向かって動く隙を与えないように攻撃させた。男は斧でイェーガーの手刀や蹴りを捌いていた。

 

それが何度か続いた後だった、残りの炎の量も考え、イェーガーが勝負を仕掛けた。

 

シュンッ

 

イェーガーが1回目の短距離瞬間移動(ショート・ワープ)で男の背後に移動して構えた。男は当然、気づいていた。振り向いたと同時に斧をおもいっきり振った。イェーガーはそれを2回目の短距離瞬間移動(ショート・ワープ)でかわしてそのまま再び男の背後に移動して構えた。男はそれなりに大きさのある斧をおもいっきり振ったため体が傾いていた。今から戻すには遅すぎだ。イェーガーはそのまま、男に向かって突きを入れて男の体を貫通した………………………が、手応えが全く無かった。

なぜなら、

 

「「!!!?」」

 

男はイェーガーが突きを入れた場所に《夜》の炎のワープホールを作っていたのだ。それによりイェーガーの突きが男の体をすり抜けたのだ。

 

短距離瞬間移動(ショート・ワープ)を2回したな?こうすればお前はもう動けない」

 

男はイェーガーの腕を掴み、そう言った。

 

「くっ……離せ…!!」

 

男はイェーガーの腕を掴みながら回転して体をすり抜けさせながら腕を出した。そして、そのまま斧で斬りつけた。

 

「ぐぁぁあっっっ!!?」

 

イェーガーはその場に倒れた。意識はまだあったがもう戦える力は残っていないだろう。

 

「あとはお前だけたが……」

 

男はバミューダのほうへ向いてそう言うと……、

 

シュンッ

 

「お前は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()よな?」

 

「くっ……!?」

 

バミューダのすぐそばに移動して、(トゥリニセッテ)の器を指してそう言った。図星だったバミューダは言葉が詰まった。すると、男はコートの懐から何かを取り出した。そして、それを……

 

ブスッ

 

「うっ………!!?」

 

バミューダに刺した。それは注射器だった。注射器の中には青とオレンジが混ざった色の炎だった。

 

「な、何だ……?ち、力が抜ける……?」

 

「………バミューダ…………」

 

バミューダはガクッと落ちた。

 

「あいつから借りた注射器にスロウスの《炎》が入っているからな。これでお前はまともに動けない」

 

男はそう言った。そして、通信機を取り出して、誰かに連絡を入れた。

 

『よう、誰だ』

 

「ルシフェル、俺だ」

 

『おう、お前か。連絡を入れたということは復讐者(ヴィンディチェ)たちは終わったのか?』

 

「ああ。今、終わった。これから、部下どもを呼んで運ぶところだが……、その前にお前らに並盛襲撃の許可を出そうと思ってな」

 

『それは助かるぜ。とりあえず、こっちも黒曜にいる六道骸からVG(ボンゴレギア)を1つ奪ってきたぜ』

 

「そうか」

 

『ああ、これから公園のベンチで寝てやがるスロウスを起こして並盛中学校へ向かうわ』

 

「わかった」

 

………それが気を失う前にイェーガーが聞いた言葉だった。次に目を覚ましたときにはバミューダも男も(トゥリニセッテ)の器もなかった。そこにいたのは自分を含めた倒れた仲間たちだけだった。




次回、《~追憶~ 黒曜VS大空の大罪&霧の大罪》

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