家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~ 作:R0
ツナの《超収束
「よっしゃ!!!ロヴィーノ全員に一撃を与えたぞ!!!」
「それにしても、こんな作戦を考えていたとは…………」
「僕とツナ君で
「沢田さんの説明を聞いたときには驚きました」
岩山の上にいるメンバーたちはそれぞれ、そう話していた。輝夜が《死ぬ気の到達点》を使っている間にツナはロヴィーノたちに聞こえないように皆に説明したのだ。大げさに驚くものもいたが幸い、ロヴィーノたちは何十人にも増えた輝夜と戦っていたために聞こえなかったようだ。そして、事情を知ったバミューダがツナを運んだのだ。
「全く、ダメツナが慣れない演技なんかしやがって………」
リボーンが呆れたように呟いた。ツナと輝夜はロヴィーノに作戦がばれないように演技をしていたのだ。さらに輝夜は注意がツナに向かないようにわざと挑発した。愉快犯のところがあるロヴィーノはまんまとその挑発に乗ってくれた。ちなみにツナがしばらく明聖たちにまで演技を続けていたのは(リボーンや何人かは気づいていたみたいだが)、輝夜が炎のドームの中で『敵を騙すならまずは味方からだ』と言っていたからだ。
ドサッ………ドササッ…………
ツナの《超収束
シュンッ!!!!
輝夜がショートワープを使って、ツナとバミューダの近くまで移動してきた。血涙は服で拭ったようだ。
「ったく、無茶のしすぎだ!!!」
ツナは真っ先に輝夜にそう言った。脳がオーバーヒートするぐらい酷使したことに怒っているのだろう。
「無茶の1つや2つ、仕方ないだろ。そうでもしなければ、
しかし、輝夜はあっけらかんと言った。
「ッ!!?それでお前が傷ついたら、明聖が悲しむんだぞ!!!」
それを聞いて、ツナはさらに怒鳴った。
「そんなことはわかっている。………だが、死んだら元も子もない」
「ッ………」
輝夜の言葉にツナは言葉が詰まった。
「そんなことよりも、気を引き締めろ。これぐらいでくたばるやつじゃない」
「!!!」
「バミューダも下がれ。ここからは俺と沢田綱吉の戦いだ」
「わかったよ」
輝夜に言われて、バミューダはショートワープを使って、リボーンたちのところに戻った。それを確認すると、2人はロヴィーノのほうを見た。ロヴィーノは7人中6人が霧となって消えていて、残りの1人も《
「……………」
すると、ロヴィーノはゆっくりと立ち上がった。よく見てみると、ロヴィーノの胴体はツナの《超収束
「「…………」」
2人が立ち上がったロヴィーノに警戒した。次はいったい何をする気なのか、見当もつかなかったからだ。
「………クッ………ククッ………クククッ…………アーーハッハッハッハッ、ハハハハハハッ!!!!」
すると、ロヴィーノはいきなり笑い出した。そのことにツナも輝夜も岩山の上にいるメンバーも戸惑った。そして、しばらく経つと、ロヴィーノの笑いが治まり始めた。
「ハハハハハハッ…………ハーッハッ………。いや~………。まさか、私の《
「それは、どうも」
ロヴィーノの言葉に輝夜は素っ気なく返した。しかし、ロヴィーノは気にせずに話した。
「クックックッ。このような奇想天外な作戦を思いつき、それを実行して、そして、成功させるとは、やはり、私が認めた人間とその人間を倒しただけのことはあるね」
ロヴィーノはそう言った。それに対して、輝夜は内心、『さりげなく自画自賛するな』と思ったが口には出さなかった。今はロヴィーノに警戒することのほうが大事だからだ。ツナも同様を警戒していた。
「そこまで、やってくれるなら私も久しぶりに
ロヴィーノがそう言うと、右手にいつもの白い《闇》の炎を灯した。
「?………何か、変わったか?」
それを見て、ツナがそう呟いた。
「クックックッ。気が早いよ」
ロヴィーノがそう言うと、背中から15本の触手を出した。その触手の先にはそれぞれ、《大空》、《嵐》、《雨》、《雲》、《晴》、《雷》、《霧》、《大地》、《氷河》、《森》、《山》、《沼》、《川》、《砂漠》、《夜》の炎が纏っていた。
「なぜ、私の《闇》の炎が白いのか知っているかい?」
すると、急にロヴィーノがツナと輝夜にそう訊いてきた。
「お前の《闇》の炎が白い理由?」
「そうさ。ダークネスの《闇》の炎は漆黒の色をしているのに対して、私は白。この違いは何だと思う?」
「知るか。人それぞれじゃないのか?」
輝夜がそう言ったが、ロヴィーノは首を横に振った。
「残念ながら、違うね。私の《闇》の炎も最初はダークネス、お前と同じ漆黒の色だったのさ」
『!!!?』
ロヴィーノの言葉にその場にいたメンバー全員が驚いた。そして、同時に疑問に思った。『なぜ、ロヴィーノの《闇》の炎は白いのか?』と。
「クックックッ。どうやら、気になるようだね。それなら、教えてあげるよ」
ロヴィーノがそう言うと、15本の触手の先に纏っていた炎が右手に纏っていた炎に集まり出した。触手の先に纏っていた炎が全て右手に集まった。見た目は何も変わらなかったがその炎には凄まじい炎の感じがした。
「いったい、何だ?」
「光の三原色って、知っているかい?」
それを見て、ツナが呟くと、ロヴィーノがそう訊いてきた。
「赤、緑、青の3色の光を様々な割合で混合すると様々な色になる、あれか。それが、どうし――――ッ!!?そういうことか…………」
「どうやら、ダークネスは気づいたようだね。そうさ!!私の《闇》の炎が白い理由は16属性の死ぬ気の炎が全て融合したからなのさ!!!」
ロヴィーノは高らかにそう言った。
「炎が全て融合すると白くなるのか?」
「………少なくとも、光の三原色の場合は絵の具と違って、全て同じ割合で混ざると白くなるな」
ツナと輝夜はそう話していた。そして、ロヴィーノは話を続けた。
「今も私の《闇》の炎が白いのはその時の名残だからさ。おそらく、2度と元の色に戻ることはないだろうね。まぁ、そんなことは些細なことだから気にしないけどね」
ロヴィーノは本当に気にしてなさそうに言った。
「それで、今度はその炎を使って戦う気か?」
輝夜はロヴィーノにそう尋ねた。
「あぁ、そうさ。この白き炎には特に名前はないが―――――」
ロヴィーノがそう言って、区切ると…………
シュンッ!!!!
ツナと輝夜の間に一瞬で移動してきた。
「えっ?」
「はっ?」
それに気づいたツナと輝夜の口から間抜けな声が出た。そして、次の瞬間…………
ビュンッ!!!!
「ガッ!!!?」
「ぐっ!!!?」
「16属性の特性を使えるうえに通常の死ぬ気の炎の何十倍の効果もあるからね」
ロヴィーノがそう呟きながら、視認できないほどの速さで触手を振り回して、2人を吹き飛ばした。
ドカーーーーーーンッ!!!!
2人はそれぞれ、岩山に激突した。
「な、なんだ、あのスピードとパワーは!!!?」
「全く、見えなかったぞ!!!!」
「お2人はご無事でしょうか………?」
岩山の上にいたメンバーたちはロヴィーノの力に驚いたり、ツナたちを心配したりしていた。
「うっ………」
「くそっ………」
ツナと輝夜は崩れた瓦礫をどかしながら、起き上がった。それを見た明聖たちは安堵した。
「これが白き炎の力さ。《光》と《闇》の炎の特性の1つである融合の最終奥義と言ったところかな?属性の数に問わず完全無欠の融合は炎を白くさせるのさ。…………と言っても、私の知る限り、私以外にできる人物はいなかったがね」
ロヴィーノがツナたちが起き上がるのを見計らって、説明を始めた。
「ちなみにさっきのは説明のために演じただけでこの炎はいつでも出せるからね」
ロヴィーノは右手に白き炎を灯しながら、周りに見せた。
「まぁ、説明はこれぐらいかな?そろそろ、本気で戦うとするか」
ロヴィーノはそう言うと、背中から触手をもう1本出して、合計16本の触手を出して、全ての触手に白き炎を纏わせた。
「それじゃあ、やりますか」
ロヴィーノがそう呟くと、触手を8本ずつ、それぞれツナと輝夜に向けた。
「「ッ!!!?」」
2人とも、何かを察したのか、その場から急いで、離れた。すると……………
ガガガガガガガガガッ!!!!
まるで、ガトリング銃を撃ったかのような攻撃が行われて、岩山の一部が抉られた。
「へぇ~~~。よく、かわしたね」
ロヴィーノが触手をちらつかせながら、そう言った。今のは触手の連続突きの攻撃だった。しかし、先程も言った通り、今までと比べものにならないくらいの速さで行われたのだ。
「速い…………」
「《嫉妬の炎》で強化したっていうレベルじゃないぞ………」
それを見て、ツナと輝夜はそれぞれ、そう呟いた。今のロヴィーノの白き炎で強化した攻撃は2人を畏怖させた。しかし、2人はそれに屈するわけにはいかないと自分の武器を構えた。
(不用意に近づいたら、こっちが危ない………ならば!!!)
輝夜はそう考えると、ショートワープを使って移動しながら、ガンブレードから《闇夜》と《光》の炎の銃弾を放った。しかし、ロヴィーノはそれらを僅かな動きでかわした。
「ハッ!!!」
ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!ビュンッ!!!!
ロヴィーノが炎の弾丸をかわしている間にツナはグローブに炎をためて、連続で振るい、《光天》の炎の刃を複数、回転させながら飛ばした。しかし、ロヴィーノはそれさえもかわした。
「《
すると、ツナがそう叫ぶと、炎の刃は回転しながら戻ってきてロヴィーノに向かった。
「ふっ………」
バキンッ!!!!バキンッ!!!!バキンッ!!!!バキンッ!!!!
しかし、ロヴィーノは触手を鞭のように振るって、炎の刃を破壊した。
「くっ………!!!?」
ツナは悔しそうに顔を歪めた。
「クックックッ。そんなものなのかい?それなら、次はこちらの番だよ」
ロヴィーノはそう言うと、全ての触手の先に白き炎を収束させて、それらをレーザーのように放った。
「「ッ!!!?」」
ツナたちは攻撃するのを止めて、炎の推進力やショートワープを使って、それを必死にかわした。
「遠距離も悪くないけど、個人的には近距離のほうが好きなんだよね」
シュンッ!!!!
すると、ロヴィーノの攻撃をかわしているツナたちの元に
ドガッ!!!!ドガッ!!!!
「ぐっ!!!?」
「ガッ!!!?」
ロヴィーノの触手の攻撃を受けたツナと輝夜はそのまま、地面に激突した。
「なっ!!!?また、さっきのか!!!?」
「いえ………さっきのも精度の高い有幻覚でしたが、今のはそれ以上のものでした」
それを見て、山本が驚いて言ったが骸がそれを否定して、顔をしかめながら、そう言った。
「2人とも、無事でしょうか……………?」
そして、ユニがツナたちのことを心配していた。
「うっ…………」
「くっ…………」
粉塵が晴れると、2人は無事のようだったが、今の攻撃が効いたようで、起き上がれそうになかった。
「ハァ…………やっぱり、この炎を使ったら、あっさりと終わってしまうか」
1人に戻ったロヴィーノが2人の様子を見て、残念そうに呟いた。
「まぁ、仕方ないか。なかなか楽しかったけど、そろそろ、この戦いも終わらせようか」
ロヴィーノはそう言うとツナのほうへ向いた。
「まず、貴様からだ。沢田綱吉」
「ッ!!!?」
ロヴィーノの言葉に周りに緊張感が高まった。
「あぁ、それと助けに行こうとしても無駄だよ。さすがにとどめを邪魔されるのは嫌だからね。そこから先は結界で入れないよ」
ロヴィーノが岩山の上にいるメンバーたちにそう言った。気がついてみれば、確かに透明な結界が張られていた。おそらく、これも白き炎の力だろう。
「くっ…………!!!?確かにいつの間にか例の結界が張られているせいでショートワープを使えない!!!」
「しかも、この結界は強固で破るのに時間がかかる!!!」
「マジかよ!!!?それじゃあ、10代目たちを助けに行けねえじゃねぇか!!!」
「そんなことを言っている暇はねぇ。この結界を壊すぞ!!!」
バミューダとチェッカーフェイスの言葉に獄寺たちは慌てたが、リボーンの言葉に全員が頷いて、結界に攻撃を仕掛けた。しかし、そんなことをしている間にもロヴィーノは技の準備に入ろうとしていた。
「
ロヴィーノがそう言うと、16本の触手を両手の手刀で全て切り落とした。そして、それらを右腕に捻られた形で纏わり付いて、右手の部分はドリルのように尖っていた。これだけでも、不味いと直感できた。しかし、無慈悲にも右腕はツナに向けられていた。
「行くぞ!!!」
ロヴィーノはそう言って、ツナに向かって飛び出した。
「ぐっ…………」
ツナはそれをかわそうとして何とか立ち上がったが、今のダメージが残っているためにそれ以上動くことができなかった。そして、ロヴィーノの右腕がツナに直撃しそうになったときだった。
シュンッ!!!!
ドンッ!!!!
「ガッ!!?」
急に飛んできた何者かがツナを突き飛ばした。ツナは自分を突き飛ばした者の顔を見て、呟いた。
「輝夜…………」
ツナの言うとおり、その人物は先に動けるまで回復した輝夜だった。輝夜はショートワープを使って、ツナの近くに移動して、突き飛ばした。どうやら、結界の外側から内側に入ることは無理みたいだが、結界内なら自由に使えるようだ。しかし、そのせいでツナがいた場所に輝夜がいるために…………
ドガッ!!!!
「ぐっ………!!!?」
ロヴィーノの右腕が輝夜の胴体に直撃した。それを見て、ロヴィーノが呟いた。
「狙いが違うが………まぁ、いいか。《
ドスッ!!!!
バッ!!!!
「ガハッ!!!!?」
ロヴィーノの右腕は輝夜の胴体を貫き、輝夜の背中に1輪の白い睡蓮が咲いた。そして、輝夜の口から大量の血が吐き出された。
「!!!!?」
「パ、…………パパーーーーーー!!!!?」
それを見て、ツナは信じられないという顔をして、明聖が絹を裂くような悲鳴を上げた。