家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~ 作:R0
並盛中央病院の多目的ホール
雲雀の名を使って貸し切りにしたそこにいたのは、獄寺、山本、了平、クローム、雲雀……の代理の草壁、炎真をはじめとするシモンファミリー、骸をはじめとする黒曜メンバー、バジル、コロネロ、チェッカーフェイス、尾道だった。
彼らは今、ある人物たちを待っていた。
すると、
バンッ
勢いよく扉が開かれた。そこにいた人物たちは中へと入ってきた。
「ゔぉおおおおい!!邪魔するぜえー!!」
「失礼するわよ~ん!」
「ちっ、うるさい連中だ…」
「ハハン、全くですね」
「すまない、遅れてしまった!」
「動けないこいつを連れてくるのに手間取ってな…」
「………」
入ってきたのは、
ボンゴレ独立暗殺部隊《ヴァリアー》の《雨》の守護者、
同じく、《晴》の守護者、ルッスーリア。
ミルフィオーレファミリー、6弔花の《電光》のγ。
同じく、
キャバッローネファミリーの10代目ボスでツナの兄弟子、《跳ね馬》ディーノ。
同じく、ディーノの部下、ロマーリオ。
スクアーロとルッスーリアはバジルとコロネロと同様、怪我をしていた。ただでさえボロボロな状態のイェーガーはさらにボロボロになっていて、ディーノとロマーリオの肩を借りなきゃ、動けそうになかった。まぁ、イェーガーたち
「おっ!スクアーロ、久しぶりなのな♪」
「ゔぉおおおおい!!山本!!テメエ、腕は鈍っていないだろうなぁ!」
「あはは、勿論なのな♪」
剣士2人はそんな会話をしていた。
全員が席に座ると
「これで全員揃ったね」
チェッカーフェイスがそう言うと
「おい、チェッカーフェイス!今何が起きているのか本当に話すのだろうな!?さっきは『全員揃ってから話す』って言って逃げやがって…!!」
「クフフ、そうですよ。僕なんて昨日から待たされているのですから」
獄寺と骸の言うとおり、チェッカーフェイスはこの事態の詳細をまだ誰にも言っていないのだ。
「勿論だよ」
と言ってチェッカーフェイスは周りを見渡した。
「それなら、色々聞きたいことがあると思うが、まずは私の身に起こったことを話そうか。あれは…」
とチェッカーフェイスは話し出した。
それはいつも通りの日だった。虹の代理戦争で
ドカンッ
突如、爆発が起きた。
チェッカーフェイスは驚いて爆発したほうを見た。するとそこにいたのは
「………お前が、チェッカーフェイスだな…」
黒い髪に黒いコート、黒いズボン、黒いネクタイ、そして黒い石がはまっている指輪、全体的に黒く、唯一血のように真っ赤なワイシャツを着ていた170㎝後半の20代後半の男だった。彼の右手は何かを掴んでいた…。
「!尾道!!」
そうチェッカーフェイスの部下の尾道だった。彼はぐったりとした様子で男に首を掴まれていた。
「彼を放したまえ!!」
「ああ、いいぞ」
チェッカーフェイスが男に言うと、男は尾道をチェッカーフェイスに投げつけた。チェッカーフェイスは尾道の様子を見た。尾道は気を失っていたが、命に別状はなかった。チェッカーフェイスは安堵すると、男に向かって言った。
「君はいったい何者なんだ?どうして、ここがわかった?私に何の用だ?」
「いっぺんに聞くな。1つずつ聞け。まずは俺が何者かだっけ?俺は《ロヴィーノ教団》の者だ」
「!?《ロヴィーノ》だと!?」
チェッカーフェイスはその名に聞き覚えがあった。
「それと…」
そう言うと
シュッ
ツー
男は自分の指を切って、血を1滴垂らした。そして、それを…
ビュンッ
ベチャッ
チェッカーフェイスに向けて飛ばして、彼の頬に当てた。チェッカーフェイスはその血に何かを感じた。
「!!?馬鹿な!!?なぜ……!!?」
チェッカーフェイスが驚いているのをよそに男は続けた。
「次にどうしてここがわかった、だっけ?」
そう、チェッカーフェイスには気配を遮断することができる《ヘルリング》の《
「まぁ、それに関してはお前が思っている通りだ」
「馬鹿な…。ありえん…」
チェッカーフェイスは信じられない、という顔をしていた。
「そして、最後の質問だが、それは…」
男はそう言うと目を鋭くして言った。
「お前を動けないようにすることだ」
「くっ…!やはり、そうか…!!」
チェッカーフェイスは尾道を安全な場所へと移動させて、身構えた。
そして、2人の戦闘が始まった。
「……はっ」
チェッカーフェイスは虹の代理戦争で見せた《死ぬ気の到達点》状態のツナの数十倍の炎よりも威力のある炎を前方に放った。
それを男は
シュンッ
その場から消えてかわした。
「!!」
チェッカーフェイスは驚いた。かわしたこともそうだがそれよりも気になることがあった。
「君、バミューダ君たちと
そう、男はバミューダたち
「ああ、そうだ。この炎を使って、こうやって……」
と男はまた消えて、
「お前の背後をとることができる」
とチェッカーフェイスの真後ろから声をかけた。
「ぐっ…!!
とっさに杖を振り、男に攻撃をした。男はまた消えてかわした。この男の今の移動はチェッカーフェイスですらわからなかったのだ。
チェッカーフェイスは思った。
(この男、私より強い…!このまま続けていたら私が負けてしまう…!……仕方ない、私の最速最強の技で倒すしかない…)
チェッカーフェイスは杖を高く上げた。すると、杖に《大空》《嵐》《雨》《雲》《晴》《雷》《霧》の炎が集まった。どうやら、チェッカーフェイスにも大空の七属性全ての波動が通っているみたいだ。
杖に集まっている炎は先程放った炎よりも数十倍の量だった。それが収束し終えると、男に向けて放った。
「《
放った炎は光速を越えて男に向かった。男はそこから一歩も動かなかった。そして、そのまま……、
ドカンッ
大爆発が起きた。
……粉塵のせいで前が見えないがチェッカーフェイスは勝利を確信していた。
「……終わったか……」
チェッカーフェイスがそう呟くと
「誰が終わったって?」
「!!?」
チェッカーフェイスが驚いて、粉塵のほうを見た。粉塵が晴れると、そこには、自分で切った指以外
「馬鹿な…!!?」
チェッカーフェイスは驚愕した、自分の最強の技でダメージ無いことに…。
「……これで終わりか?なら、次は俺の番だ」
そういうと男はコートの懐から漆黒色の匣を取り出した。そして、自分の中指にはめているリングに
ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!?」
チェッカーフェイスを連続で斬りつけたのだ。主に四肢を、そして最後に胴体を袈裟懸けにした。
…………………
「こんなものなのか…」
「ぐっ……!」
血まみれになったチェッカーフェイスに男はそう言った。それに対しチェッカーフェイスは男に言った。
「まさか、ここまでの実力の持ち主だとは……。私が手も足も出ないなんて……」
「念のためにと、俺が出てきたのだが…。杞憂だったか…」
「くっ……!」
「まぁ、いい。計画に支障を来たさないからな」
「……いったい、君たちの目的はなんだ!!」
チェッカーフェイスは男に睨み付けながら叫んだ。すると、男は冷めた表情で言った。
「俺たちの目的?まぁ、強いて言うなら復讐かな?」
「復讐だと……!?」
「そう。そのために必ず邪魔をしてくるだろうお前を先に潰しに来たっていうわけ。まぁ、これ以上詳しくは教えられないがな」
「くっ…、今更……何をするつもりだ……」
とチェッカーフェイスが苦虫を噛み潰したような顔で呟いたとき
ピーッピーッ
「ん?悪い、同僚から連絡が来た。なんだ」
と男は通信機に出た。
『よう。俺だ』
通信機に連絡したのはルシフェルだった。
「お前か。何の用だ?」
『いや、そっちの様子はどうだと思ってな』
「こっちの様子か?それなら……「うっ……!」……といった感じだ」
とチェッカーフェイスのうめき声をルシフェルに聞かせた。
『ふうん。ちゃんと生かしているんだ』
「当然だ。もともと、そういう予定だっただろ。まぁ、四肢はもう使えないからさしづめ九割殺しといったところか」
『ハハッ!!半殺しよりもひどいなそれ!!まぁ、生きていてもう俺たちの邪魔できない状態なら何でもいいや。そいつはギャラリーとして必要だし、計画前に殺しておくやつはたった一人だけだからな』
「まぁな」
『それにしても、そいつを九割殺しまでにするとはさすが《人類至上サイキョウの人間》だな』
とルシフェルが言うと男は眉をひそめて嫌そうな顔で言い返した。
「そんなことはどうでもいい。それよりもお前らのほうはどうなんだ?」
『ああ。俺たちも計画の準備に取り掛かるぜ』
「なら、いい。あれらが無くてはそもそも話にならないからな」
『そうだな。そっちはこれからあの連中のところへ行くのだろ?』
「ああ。お前は確かあいつらと《並盛》か?」
『そこだけじゃないがまぁ確かに主にそこだな』
「そうか。ヘマするなよ」
『ハ!俺がそんなことするかよ』
「……いつも通りの傲慢ッぷりだな。まぁ、いい。じゃ、切るぞ」
『ああ』
ピッ
通信機を切ると男はチェッカーフェイスに声をかけた。
「というわけで、俺はこれから行くところがあるのでな。どうする?俺を止めるか?その使い物にならなくなった四肢で?」
「くっ…」
そう、通信機での会話の中にもあったとおりチェッカーフェイスの四肢は男に戦いで潰され使い物にならなくなっていたのだ。神経を潰され、痛みを感じないがもう二度と動くことはない。
「おまけに俺の《炎》で決定的だしな」
と男は言った。
「ふっ。確かに私ではもう無理だ。しかし、他のものがお前らを止めるはずさ」
「《地球最強の人間》であるお前ですら無理だったのにか?」
「ああ、そうだ」
「ふうん。まっ、確かに生かしておくと面倒なやつはいるが。お前、2つ勘違いしているぞ」
「勘違いだと?」
「そう。1つは別に殺しておきたいやつは最悪生きていても問題無い。そして、もう1つは……」
と男は間を空けるととんでもない事実を言った。
「俺はお前相手に一割程度しか出していないぞ」
「!!!」
チェッカーフェイスは驚愕した。
「そんな…馬鹿な……!?」
「まぁ、お前はそこで俺たちの計画を見ているといいさ」
そう言って、男は反対の方向へと向き直り別れの言葉を言った。
「じゃあな。チェッカーフェイス」
チェッカーフェイスは立ち去っていく男を見ているだけしかできなかった。
その男の右手の中指にはめられていたリングの黒い石は鈍く光っていた。
そして、男が《夜》の炎のワープホールを通っていくのを見て気を失う前にチェッカーフェイスは思った。
そういえば、男が匣を開匣したときに使っていた炎は《夜》の炎とは