家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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最終決戦編、スタートです!!この物語も終盤に向かっています。完結に向けて、頑張ります。


最終決戦編
出陣


「ハッ!!!」

 

輝夜はベッドの上で目を覚まして、起き上がった。ここは並盛中央病院の病室だった。

 

「……………夢か」

 

ベッドの上で輝夜は呟いた。皆既月食を窓から見ていて、昔を思い出していたのだが、いつの間にか寝てしまって、昔の夢を見ていたようだ。時計を見てみたら、午前3時だった。まだ夜中だった。予定の時間よりもまだ早い。

 

「スー………、スー………」

 

ふと、横を見てみると明聖が輝夜と同じベッドでグッスリ寝ていた。

 

「……………」

 

輝夜は明聖の頭を撫でながら、地球に来た直後のことを思い出した。ロヴィーノの《夜》のワープホールが閉じきる直前に明聖が飛び込んできた。これには全員が驚いたが特に驚いたのは輝夜だった。すぐにロヴィーノに頼んでベネスタンテ星に戻すように頼んだが、肉体のない魂の状態では2度の何百万光年離れている星への移動はできないと言われた。明聖は必死に自分についていくと言って聞かず、仕方なく連れて行くことにしたのだ。その時、輝夜はロヴィーノの封印が解けたら、明聖をベネスタンテ星に戻すように頼もうと考えていた。その考えも今では無駄となったが……………。

 

「………仲のいいことだな」

 

「!?」

 

輝夜が思い出していたときに誰かが声をかけてきた。それを聞いて、輝夜が声のしたほうを向いた。

 

「リボーン…………」

 

そこにいたのは、リボーンだった。リボーンは輝夜のベッドの側にあった椅子に座って、輝夜と向かい合った。

 

「年寄りは朝が早いって言うがさすがに早すぎないか?」

 

すると、輝夜がリボーンに急にそう言い出した。

 

「オメーの監視で起きていたに決まっているだろ。…………ってか、今まで赤ん坊扱いはされまくったが、この格好で年寄り扱いは初めてだぞ」

 

「ふん。見た目はそうかもしれないが、ユニを除くお前ら、元アルコバレーノの実年齢はそこら辺のじいさんとばあさんと変わらないだろ」

 

リボーンの言葉に輝夜はそう返した。確かにユニの祖母、ルーチェはリボーンたちと同世代だ。ある意味当然かもしれない。

 

「まぁ、否定はしねぇがラルとかには言わねぇほうがいいぞ。鉄拳か銃弾が飛んでくるからな」

 

「その時は受け止めるなり、かわすなりするさ」

 

リボーンの言葉に輝夜はあっけらかんと答えた。

 

(………そういえばラル・ミルチの声って、ガキの頃の俺の声に似ているんだよな。…………まぁ、どうでもいい話だがな)

 

輝夜はふと、そんなことを考えたがすぐにやめたのだった。

 

「それよりもオメー、結構うなされていたがどんな夢を見ていたんだ?」

 

すると、リボーンが輝夜にそう尋ねた。

 

「いつからいたんだ…………?…………別に。昔の嫌な夢を見ていただけだが」

 

「そうか」

 

リボーンは輝夜の言葉を聞いて、それ以上聞いてこなかった。まぁ、聞かれても、輝夜は答えるつもりはなかったのだが…。

 

「で、俺の監視は構わないがお前は寝なくていいのか?」

 

「それはオメーもだろ。時間的に余裕は………ないが、予定の時間にはまだあるだろ?」

 

「俺はすぐにもう一眠りするからな」

 

「それなら、こっちもすぐに代わりの監視員が来るからな。…………逃げようと思うなよ」

 

「しねぇよ。…………まぁ、信用しろとは言わないがな」

 

「ふん」

 

その後、2人は明聖を起こさないようにしながら、少し話をした。そして、時間的にお互い、そろそろ寝なければならないということになったときだった。

 

「………輝夜。最後に1つ訊きたいんだが」

 

「………なんだ?」

 

「お前、死ぬ気じゃないだろうな?」

 

「………まさか。そんなことしたら、こいつが悲しむ」

 

輝夜は地球に行く際の明聖との喧嘩を思い出して、明聖を見ながら、リボーンの質問にそう答えた。

 

「………そうか。なら、いいぞ」

 

リボーンは輝夜の答えを聞いて、特に何も言わないで病室を出ていった。そして、リボーンが出ていったところを見て、輝夜ももう一眠りするのだった。

 

 

 

 

明け方になり、ロヴィーノがいる島の上空に某国のいくつもの戦闘機がやってきた。

 

「戦闘機ね………。現代の表社会の最新技術の結晶か………」

 

玉座に座っていたロヴィーノは飛んでいる戦闘機をまるで鳥のように眺めていた。

 

「ロヴィーノ!!!これでも、くらいやがれ!!!」

 

戦闘機に乗っていたパイロットたちが戦闘機からのたくさんのミサイルを撃ち出した。そのミサイルはまっすぐロヴィーノに向かった。ロヴィーノはそれを見て、一歩も動かなかった。

 

ドカーーーーーーーンッ!!!!

 

ミサイルは全て、ロヴィーノに直撃した。

 

「よし!!!ミサイルは直撃したぞ!!!これが耐えられるはずは―――――!!!?」

 

パイロットたちは直撃したことに喜んだが、それも一瞬のことだった。粉塵が晴れるとそこには無傷のロヴィーノがいた。しかも、驚くことはそれだけではなかった。なんと、ミサイルの1つを片手で掴んでいたのだ。相手が邪神だということはわかっていたがあまりにも常識はずれの出来事に驚かざるを得なかった。

 

「ハァ………。通常の死ぬ気の炎を使った攻撃ですら効かないのに死ぬ気の炎を纏っていない質量兵器なんか、なおさら私に効くわけないだろ………。……まぁ、沈黙の掟(オメルタ)があるから表社会の連中は死ぬ気の炎について、全く知らないから、仕方ないといえば仕方ないんだけどね」

 

ロヴィーノは興味無さそうに、左手で掴んでいるミサイルを見ながら、そう呟いた。

 

「でも、雑魚に全力で相手するのも馬鹿らしいし、疲れるからな。でも、鬱陶しいんだよね………」

 

ロヴィーノはそう呟いて、前に屈んでミサイルを持っている手とは反対の手でいくつかの小石を拾った。

 

「………ふん!!」

 

ブンッ!!!!

 

ロヴィーノはその小石を座りながら、思いっきり投げた。

 

ドカーーーーンッ!!!!ドカーーーーンッ!!!!ドカーーーーンッ!!!!ドカーーーーンッ!!!!ドカーーーーンッ!!!!ドカーーーーンッ!!!!

 

すると、上空を飛んでいた戦闘機は全て爆発して撃墜された。どうやら、投げた小石が全て戦闘機のエンジンを貫いたようだった。ロヴィーノがいた場所から戦闘機まで上空何百メートルも離れている。それにも関わらず、戦闘機を全滅させたロヴィーノの身体能力には驚かざるを得ない。

 

「人間がハエや蚊を叩き潰す際の気持ちがわかった気がするな………」

 

撃墜した戦闘機が島に落ちてきている中、ロヴィーノは先程まで戦闘機を鳥のように見ていたのが今ではハエや蚊と評価していた。

 

「ハァ…………。このミサイルも捨てなくてはな………。それも有効活用して………」

 

ロヴィーノはそう言うと、目の前に《夜》のワープホールを出した。

 

「………………」

 

ブンッ!!!!

 

ロヴィーノはそのワープホールにめがけて、ミサイルを思いっきり投げた。

 

ドカーーーーーーーーーンッ!!!!

 

すると、ロヴィーノから離れた、しかし、そう遠くない海上で爆発が起きた。

 

「………イージス艦というのも、これで沈んだな」

 

ロヴィーノは爆発した地点をつまらなそうに見ながら呟いた。今、爆発した地点には某国のイージス艦が停まっていたのだ。そのイージス艦にロヴィーノはワープホールを通して、ミサイルを投げつけたのだ。

 

「このことは一応、全世界に報道しているけど、これで人類はより絶望しただろうな」

 

そう言って、ロヴィーノは上空のある一点に視線を向けた。今の戦闘機やイージス艦は世界中に知られている中では最強の兵器だった。それが破られたことで人類はより絶望したのだとロヴィーノは思った。

 

「私へ攻撃できる資格を持っているのは()()()()だけだからな。そいつらが来るまで私は掃除しながら、のんびり待っておこうか」

 

ロヴィーノは周りにある戦闘機の残骸を自分の白い《闇》の炎で燃やしながら、楽しみにしていた。

 

 

 

 

それから、時間が少し経って、並森総合病院の多目的ホール。そこには、ボンゴレ、黒曜、ヴァリアー、ミルフィオーレ、シモン、アルコバレーノ、復讐者(ヴィンディチェ)などの全員が揃っていた。その中には当然、輝夜と明聖もいた。

 

「皆、よく集まってくれた」

 

そんな中、チェッカーフェイスが口火を切り出した。皆、その声を聞いて、チェッカーフェイスに注目した。

 

「君たちも知っているだろうが、明け方、某国の軍隊がロヴィーノに攻め込んだ。しかし、ロヴィーノに傷を負わせることなく、軍隊は全滅した」

 

『……………………』

 

ロヴィーノの話に全員が沈黙した。今朝のニュースでもそのことは報道されていた。どうやら、ロヴィーノが戦闘機やイージス艦を破壊した場面は今も世界中に浮かんでいる画面に映し出されていたのだ。それにより、まだ寝ている人が多い日本はともかく、その時は昼間だったアメリカなどの国はその場面を目撃したのだ。これにより、日本人のほとんどの絶望したのだった。ツナたちは知らないだろうがロヴィーノの予想通りだった。

 

「その国以外の軍隊も突撃したみたいだが、その全てが駄目だったみたいだった…………」

 

「この世界の軍隊の設備は当然、馬鹿にできない」

 

「しかも、最先端の武器を使ったとも聞いたぜ、コラ!!」

 

元軍人のラルとコロネロがそう言った。

 

「あぁ、その通りだ。しかし、それでも、ロヴィーノには通じなかった………」

 

「しかも、ミサイルの1つは片手で受け止めたらしいな………」

 

チェッカーフェイスとリボーンがその時の出来事を語った。ロヴィーノの常識外れの力に皆、畏怖していた。

 

「……………それでも、俺たちはやるしかないんだ」

 

そんな中、ツナがそう言った。その言葉は多目的ホールに響いた。

 

「10代目………」

 

「ツナ…………」

 

獄寺と山本がツナの言葉を聞いて、口からそうこぼした。

 

「このまま、放っておいたら、ロヴィーノに地球が滅ぼされるんだ!!!この星には人間も動物も含めて、多くの生物がいるんだ!!!それを破滅させるのが生きがいとか、そんな理由で滅ぼすなんて絶対に許せない!!!」

 

ツナはそう叫んだ。それを聞いて、周りの皆もいろいろ考えはあるみたいだが、『地球を滅ぼす訳にはいかない』という点で皆、同意していた。

 

「ふっ……。言うようになったじゃねぇか」

 

ツナの決意の言葉にリボーンは自分の生徒の成長ぶりに感心していた。

 

「綱吉さん、すごい………」

 

明聖はツナの言葉で皆の気が引き締まったことに驚いて感心していた。

 

「敵に回すと厄介だが、味方にすると頼もしい男だな」

 

輝夜も同様に感心していた。

 

「沢田綱吉君の言うとおりだ。我々がやらなければならない。今、ボンゴレ9代目が政府を通して、世界中の軍事施設にロヴィーノに攻め込むのにストップをかけている」

 

「9代目が…………」

 

「チッ!!!あのジジイ!!!」

 

チェッカーフェイスの言葉にツナとXANXUSが反応した。ツナはともかく、XANXUSはなぜか思いっきり舌打ちしていた。

 

「へぇ~~。さすがはボンゴレ9代目だね」

 

「ふむ。おかげで、我々が踏み込むことができるということだ。それでは、早速行くとしよう。バミューダ君」

 

「はいはい。わかったよ」

 

チェッカーフェイスの言葉にバミューダは諦めたように言いながら、《夜》の炎のワープホールを出した。

 

「よし、それでは行くとしよう」

 

チェッカーフェイスがそう言うと、皆、次々にワープホールをくぐり抜けって行った。

 

「…………沢田綱吉」

 

皆がワープホールをくぐり抜けている間、輝夜がツナに声をかけた。

 

「え。何、輝夜?」

 

「パパ、どうしたの?」

 

それに対して、ツナと明聖が質問した。ちなみに輝夜の武器とリングと匣は全て返してもらっている。

 

「俺が提案しておいてなんだが、お前に確認する。このまま行けば、仮にロヴィーノを何とかしても、お前に()()()()()()()()ぞ。まぁ、これは他の連中にも言えることだが、お前はそれでいいのか?」

 

「………………うん。地球が滅ぼされるかもしれないなら仕方ないよ。それにこの作戦以外になかったんだからね」

 

輝夜の質問にツナは苦笑いしながら答えた。

 

「…………お前、絶対損する性格だな」

 

「ハハハッ。そうかな……………」

 

「そうだよ。……………悪いな」

 

輝夜は最後に謝罪を入れて、ワープホールを通った。

 

「えっと…………、その…………私もごめんなさい!!」

 

それに続くように明聖がツナに謝って、同じようにワープホールを通った。

 

「……………いいんだ。誰かがやらなくちゃいけないんだ。俺はそれができる数少ない1人だから…………」

 

ツナは少し悲しそうな顔をしたが、すぐに顔をを引き締めて、ワープホールを通った。そして、全員が通ったことでワープホールは多目的ホールから消えた。

 

 

 

 

それから、少し時間が経って……………。

 

「……………来たか」

 

玉座に座っていたロヴィーノが気配を感じて、そう呟いた。ロヴィーノのいる島は周りが一際高い岩山に囲まれているために外敵が来たかどうか判断するには、今のように気配を察知するほかにない。ロヴィーノにとっては朝飯前のことだったみたいだが。ちなみにロヴィーノの周りにあった戦闘機の残骸は《闇》の炎で塵1つ残さず、燃やし尽くしていた。

 

「さてと、ここから全世界、生中継だな」

 

そう呟いたロヴィーノは楽しそうにしながら立ち上がって、世界中に向けて、報道した。

 

「全人類の皆さん!!!いよいよ、タイムリミットももうすぐ3時間となる!!!」

 

ロヴィーノは真正面を見ながら、腕を広げて、高らかにそう言った。

 

「知っている者もいると思うが、日本時間で表わすと明け方も各国から戦闘機やイージス艦などが来たが私は呆気なく撃退した。正直に言ってつまらなかったね」

 

ロヴィーノは本当につまらなそうに言った。これを見ている人たちは怒りで頭に血が上った。しかし、そんなことはお構いなく、ロヴィーノは続けた。

 

「しかし!!!やっと、私も少しは楽しませてくれる者たちが現れた!!!お前ら、人類にとっても最後の希望と言うべき存在がね!!!」

 

ロヴィーノの言葉に見ている人たちは全員が驚いた。そして、僅かな希望を抱いた。

 

「クククッ。まぁ、最終的には私が勝って、滅ぼすのだがね。…………さてと、それでは紹介しよう!!!」

 

ロヴィーノがそう言うと、浮かんでいる画面がある岩山に向けられた。その岩山の頂上には2人の人物がいた。

 

「私を倒せる資格を持っている人間!!!沢田綱吉とダークネスだ!!!」

 

その人物はツナと輝夜だった。2人はロヴィーノをにらみつけていた。地球の運命をかけた最終決戦が今、始まろうとしていた。


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