家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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《闇夜》VS《傲慢》 後編

ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!

 

輝夜とルシフェルはガンブレードと分裂させたハルバードで激しい攻撃をしていた。どちらとも引けを取らない戦いだった。

 

ガキンッ!!!!

 

「ダークネス!!!楽しいな!!!まさか、お前とこんな傲慢抜きでの熱い戦いができるなんてな!!!」

 

「俺はやっぱり、戦いを楽しむっていうのはわからないがな!!!」

 

ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!ガキンッ!!!

 

短い会話を終えると2人は再び激しい攻撃を始めた。

 

(さて、ああ言ったものの、少々、まずい事態だな。ダークネスのガンブレードは遠近両用の武器だ。俺のハルバードもそうだが、炎の相性で分が悪い。特に遠距離はな)

 

激しい攻撃の中でルシフェルはそう考えていた。特に遠距離攻撃は先程のことで通用しないことがわかった。

 

(………ならば、こうするか。これもあまり長くは持たなさそうだがな………)

 

ルシフェルはそう思うと、ダークネスから離れた。すると…………

 

シュウゥゥゥ…………

 

その場でルシフェルは霧となって消えたのだ。

 

「チッ!幻術か」

 

それを見て、輝夜は舌打ちしながら呟いた。

 

「っ!!?」

 

すると、何かに気づいた輝夜がその場から離れた。

 

ドカンッ!!!ドカンッ!!!ドカンッ!!!ドカンッ!!!

 

輝夜が離れたところにいくつもの爆発が起きた。おそらく、ルシフェルの攻撃だろう。次々に輝夜に向けて、攻撃が飛んできた。しかも、ショートワープ程ではないがもの凄いスピードで移動しているのか、ご丁寧に様々な方向から攻撃が飛んでくる。おかげで輝夜はどこにルシフェルがいるのか判断しかねていた。

 

(《大空》が主の癖になかなか巧妙な幻術を使いやがって…………)

 

それを見て、輝夜はショートワープなどを使って逃げながら、そう思った。ルシフェルの幻術はリリス程ではないが、かなり精度の高いものだった。しかも、8年前よりもさらに上がっていたために輝夜は顔に出さなかったが驚いていた。

 

(だが、これも長くは続かないことは、あいつもわかっているはずだ。いったい、どうする気だ?)

 

事実、輝夜はそろそろルシフェルのパターンを掴み、ルシフェルの居場所がわかりそうだったのだ。だからこそ、輝夜は警戒した。すると、周りからの攻撃が治まってきた。

 

(何をする気だ?……………っ!!?上か!!)

 

そのことに、より警戒した輝夜は自分の頭上にもの凄い炎圧を感じて、上を見た。そこには、ルシフェルが大剣にしたハルバードを振りかぶっていた。そして、それは輝夜のすぐ近くまで来ていた。

 

「くらいやがれ!!《傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)》!!!」

 

ルシフェルはハルバードを輝夜に振るった。輝夜はショートワープでかわす暇は無く………………

 

ドカーーーーーーーンッ!!!!

 

大爆発が起きた。

 

 

 

 

「パパ!!!?」

 

それを見て、真っ先に叫んだのは明聖だった。今の攻撃の威力は並の人間では耐えられるものではないことはないのは見て、誰もがわかった。だからこそ、明聖は輝夜のことが心配だった。

 

「うわぁ。すごい威力……………」

 

「あら?そういえば、ベルゼブブもルシフェルのこれは初めて見たかしら?」

 

「うん。さすが、ロヴィーノ教団№1だね」

 

ベルゼブブとリリスはルシフェルの《傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)》について話していた。

 

「彼、無事でしょうか?」

 

「あれは、俺でもきついぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

「それなら、これで終わりかもしれませんね。ジャバウォックと比べるのもあれですが、ジャバウォックできついなら彼は難しいでしょう」

 

エンヴィーとジャバウォックは輝夜の様子について話していた。

 

「…………それは……どうかな……………」

 

「そうでござるな」

 

2人の会話を聞いていたスロウスと豪がそう言った。それが聞こえた周りの皆が2人を見て、どういうことだと聞いたが……………

 

「見ればわかるでござる」

 

豪はそう言って、擬似フィールドのほうを向いたので他の皆もそっちを向くと、豪とスロウス以外の全員が驚いた。

 

 

 

 

一方、擬似フィールドでは…………

 

「へぇ~」

 

ルシフェルが感心したように声を漏らした。ルシフェルはハルバードの先を見ていた。そこには…………

 

「グルルッ!!!」

 

ドレイクがいた。攻撃をくらう前に輝夜は匣からドレイクを呼び出したのだ。ドレイクの鱗には《闇夜》の炎が纏っており、それを防御として使うことで、ルシフェルの攻撃を防いだのだ。ルシフェルは1度離れた。ルシフェルが離れるのを見ると輝夜はドレイクを労った。そして、すぐにルシフェルに話しかけられた。

 

「まさか、ドレイクを使うとはな…………」

 

ドレイク(こいつ)を使ってはいけないっていうルールは無かった筈だが?」

 

「まぁ、そうだな。それはそうと久しぶりだな、ドレイク」

 

「グルルッ………」

 

ルシフェルは模擬戦の途中にも関わらず、ドレイクに挨拶して、ドレイクも返事した。

 

「悪いがここからはドレイクと一緒に戦わせてもらうぞ」

 

「あぁ、いいぜ。それなら、こっちも()()を使ってやるよ。もともと、この模擬戦はこれが目的だからな」

 

ルシフェルはそう言って、羅刹開匣の匣を取り出した。

 

「!?」

 

輝夜はそれを見て、警戒した。

 

「それじゃ、いくぞ!!!」

 

ボウッ!!!

 

ルシフェルはそう言うと、リングに《傲慢の炎》を灯して、匣の穴に注入した。

 

グサッ!!!

 

すると、中からオレンジ色の光が、ルシフェルの胸元に突き刺さった。突き刺さった胸元からオレンジ色の光が溢れて、ルシフェルを包んだ。

 

(いったい、何が起きるんだ!?)

 

輝夜はその光の眩しさに腕で目元を隠しながら、そう思った。すると、その光が晴れてきて、ルシフェルの姿に輝夜は驚いた。

 

「!!?…………何なんだ、その姿は?」

 

まるで、獣が合わさったような姿に輝夜は目を丸くした。ちなみに観客席にいた明聖も同様だった。

 

「ロヴィーノが持ってきた幻獣種のアニマルのサンプルを体に取り入れることでそいつらの力を人間の体で発揮できるものだ!俺の場合は《傲慢グリフォン(グリフォーネ・スペルビア)》。つまりはグリフォンの力を使えるというわけだ」

 

ルシフェルは輝夜にそう説明した。

 

「…………特徴はそれだけじゃないだろ?例えば、その胸元に埋まっているリングとかな」

 

「ふっ………。さすがだな。そうだ。このリングを直接、体に埋め込むことでリングの力を100%、効率よく使うことができる。これが羅刹開匣の主な特徴だ!!」

 

「羅刹開匣って言うのか………それ………」

 

何気に初めて聞いた名前に思わず、輝夜は呟いた。

 

「…………だが、油断はできないな」

 

「グルルッ…………」

 

輝夜の呟きに肯定するかのようにドレイクは唸り声をあげた。

 

「さてと、それじゃあ再開するか…………」

 

「………!?」

 

ガキンッ!!!!

 

ルシフェルの呟きが聞こえたのと同時に輝夜は防御の体勢をとるといつの間にか攻撃して来ていたルシフェルがいた。

 

「くっ!!?(なんてスピードとパワーだ!!?)」

 

輝夜は防御しながら、羅刹開匣の力に驚いた。

 

(へぇ~。これを防ぐか。他の連中なら、これで終わるんだがな)

 

それに対して、ルシフェルは輝夜のことを感心していた。

 

「チッ!!!」

 

輝夜は舌打ちするとショートワープを使って、その場から移動した。その際、ドレイクも一緒になって移動した。

 

「どこ行った?」

 

ルシフェルは輝夜たちを探すために、辺りを見渡していると…………

 

「!!?」

 

何かに察したルシフェルはその場から離れた。

 

ダダダダダダダダン!!!!

 

ボオオオオォ!!!!

 

すると、ルシフェルがいた場所に無数の炎の弾丸と《闇夜》の炎が降ってきた。飛んできたほうをルシフェルが見ると、ドレイクの背中に乗っていた輝夜がいた。

 

「そう来たか。………ならば、《傲慢の羽(ピゥーマ・スペルビア)》!!!」

 

ルシフェルは胸元のリングに《傲慢の炎》を灯すことで自身の翼に《傲慢の炎》を纏わせた。そして、その翼を羽ばたいて、大量の《傲慢の炎》を纏った羽を輝夜とドレイクに向けて放った。

 

「っ!!?ドレイク、かわせ!!!」

 

「グオォッ!!!」

 

それを見て、輝夜はドレイクに命じて、ドレイクはかわした。

 

「っ……《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》!!!」

 

ババババババンッ!!!!

 

そして、輝夜はルシフェルに対抗して、移動しながら無数の《闇夜》の炎の弾丸を放った。

 

バンッ!!!

 

ルシフェルは空へ飛んでかわした。

 

「ハッ!!!」

 

すると、ルシフェルは《傲慢の炎》を纏わせた羽だけではなく、大鎌にしたハルバードを振るって無数の炎の刃を放った。

 

「っ!!?」

 

あまりの量の多さに輝夜は驚いた。《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》では、無数の《傲慢の炎》の羽と刃を全て、かき消すことはできなかった。

 

「ドレイク!!!」

 

「グルッ!!!」

 

輝夜の意図を飲み込んだドレイクはそれらをかわすことに専念した。輝夜は振り落とされないように気をつけながら攻撃を続けた。それに対して、ルシフェルも輝夜の攻撃をかわしながら、攻撃を続けた。

 

 

 

 

「ルシフェルの羅刹開匣を相手にあそこまで粘るなんて…………!!!」

 

「さすがは《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》って、ところですか」

 

2人の戦いを見ながら、リリスとエンヴィーが感心したように呟いた。周りの皆も同様だった。リリアーナを通じて、団長の指示でロヴィーノ教団の研究員は必死にデータを取っていた。

 

「………だが………、………ダークネスが…………不利…………」

 

「確かにそうだぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

「2人の攻撃の量に歴然の差があるからね」

 

スロウス、ジャバウォック、ベルゼブブの3人がそれぞれ、そう話していた。輝夜は弾丸に対して、ルシフェルは羽と刃。ベルゼブブの言うとおり、数に歴然の差が生まれてしまう。しかも、輝夜はドレイクに乗っているために、不安定であるのに対して、ルシフェルは自分の翼で飛んでいるために動きに無駄がないのだ。

 

「……………………」

 

3人の会話を聞いて、明聖は輝夜をますます心配していた。先程、ドレイクの加勢で安心したが、ルシフェルの羅刹開匣の人間離れで再び心配になったのだ。

 

(パパ…………、ドレイク…………無事でいて…………)

 

明聖はそう願わざるを得なかった。

 

「しかし、ダークネスはなぜ、ショートワープでかわさないのでござろうか?」

 

2人の戦いを見て、豪がそう呟いた。

 

「どういうことかしら?」

 

「そのままの意味でござる。《闇夜》のショートワープを使えば、あれらをかわすことなど造作もないことでござるのに」

 

リリスの質問に豪がそう答えた。それを聞いた周りの皆も首をかしげた。確かに輝夜なら、ショートワープを使うことを思いついていない筈はないのに、それをしていないのは疑問だった。

 

ボウッ!!!!

 

『それは、ダークネスに考えがあるからさ』

 

すると、急に白い炎が燃え上がった。それはもちろん、ロヴィーノだった。

 

「「「「「「ロヴィーノ!!?」」」」」」

 

「!!?……………………」

 

周りの皆は驚いていた。その中で明聖だけは一瞬、驚きながらもすぐにロヴィーノを睨んでいた。ロヴィーノは当然、気づいていたがどこ吹く風と気にしていなかった。

 

「ロヴィーノ。ダークネスに考えがあるというのはどういうことでござるか?」

 

その場にいた全員を代表して、豪がロヴィーノに尋ねた。

 

『あぁ。それなら、説明するよりも見たほうがわかりやすいね』

 

しかし、ロヴィーノはそれに説明せずに、模擬戦を見るように言った。それを聞いて、全員、しかたなく疑似フィールドのほうを見た。

 

『(どうせ、この模擬戦はもうそこまで長引かないからね)』

 

ロヴィーノは誰にも悟られないようにそう考えた。

 

 

 

 

一方、輝夜とルシフェルはお互いに攻撃を続けていた。状況は輝夜のほうが不利だった。先程のスロウスたちの話の通りの展開だった。

 

「チッ………」

 

この状況に輝夜は顔をしかめていた。今のところ、上手くかわしていたが、それも時間の問題だった。

 

(もう、そろそろなんだが………)

 

輝夜はロヴィーノの言う考えについて考えていた。

 

ドカンッ!!!!

 

「グオォ!!?」

 

「っ!!?ドレイク!!?」

 

すると、ルシフェルの攻撃がドレイクに当たったみたいだ。輝夜はドレイクの身を心配したがそんな暇はなかった。

 

ドカンッ!!!ドカンッ!!!

 

「グオォォーー!!!?」

 

「ぐっ!!!?」

 

1度当たったことで次々に他の攻撃も当たるようになった。それにより、背中に乗っていた輝夜はバランスが崩れた。

 

「今だ!!!」

 

そのタイミングを狙って、ルシフェルが斬りかかった。

 

「!!!?」

 

輝夜はそれに気づいたが手遅れで……………

 

ザシュッ!!!!

 

ハルバードで斬られた。

 

「パパ!!!?」

 

それを見て、観客席で明聖が叫んだ。

 

「ふっ…………」

 

ルシフェルは自分が勝ったと思い、笑みを浮かべた。しかし………………

 

シュウゥゥゥ…………

 

斬られた輝夜は霞となって消えたのだ。

 

「なっ!!?」

 

そのことに当然、ルシフェルは驚いた。観客席にいたメンバーも同様だった。ただ1人、ロヴィーノだけは予想していたかのような態度だった。

 

「いったい何が………っ!!?」

 

ルシフェルが考えようとした矢先に後ろから殺気を感じて、ルシフェルは振り替えった。そこには、輝夜がいた。空中にいたが、おそらく、ショートワープで移動したのだろうとルシフェルは思った。その輝夜はガンブレードで攻撃しようとしていた。

 

「くっ…………はっ!!!」

 

それよりも先にルシフェルがハルバードで輝夜を斬りつけた。

 

シュウゥゥゥ…………

 

しかし、斬りつけられた輝夜はまた霞となって消えたのだ。

 

「なっ!!?どういう――――ガッ!!?」

 

ドカーーーーーンッ!!!!

 

ルシフェルが驚いている隙にドレイクが自分の尾でルシフェルを叩きつけた。叩きつけられたルシフェルはそのまま、地面に激突した。

 

「グ、グオォ………」

 

しかし、ドレイクも受けたダメージによる限界があったみたいで地面に落ちた。これ以上の戦闘は見込めなさそうだった。

 

「くそ!!!いったい、何なん……なっ!!!?」

 

しかし、たいしたダメージは入っていないみたいでルシフェルすぐに起き上がった。だが、起き上がってすぐに見た光景にルシフェルは驚愕した。そこには、()()()()()()()輝夜がルシフェルに向かって攻撃しようと近づいて来ていたのだ。

 

「くっ!!!」

 

ルシフェルは何が起きているかわからなかったが、すぐに対応するために動いた。

 

 

 

 

「どうなってやがんだあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

2人の戦いを見て、ジャバウォックが叫んだ。今、ルシフェルは何十人にも増えた輝夜を1人ずつ片付けているが、そのどれもが霞となって消えるのだ。その現象にこの場のほとんどが疑問に思っていた。

 

「リリス、あれはいったい、なんでしょうか?」

 

そこでエンヴィーがリリスに尋ねた。

 

「少なくとも、幻術ではないわね。もともと、彼は《霧》も《砂漠》も持っていないみたいしね」

 

リリスはそれを見て、幻術である可能性を否定した。しかし、リリスもそれ以上はわからなかった。

 

『あれは単純にショートワープを使って生まれた残像さ』

 

すると、ロヴィーノがあっさりと今起きている現象の答えを言った。

 

「残像でござるか!!?」

 

「そんなことができるなんて!!?」

 

その答えに全員が驚いた。

 

「だけど、残像を残す程って相当なスピードだよ?」

 

「…………しかも………、あれほど…鮮明に…………」

 

「それをショートワープでできるのでしょうか?」

 

しかし、そのことに疑問を持つ者たちはロヴィーノに尋ねた。

 

『それは《死ぬ気の到達点》を使っているからさ』

 

『!!!?』

 

ロヴィーノの答えに全員が驚いた。だが、同時に疑問があった。ベネスタンテ星の住人は全員が生粋の地球人だった。《死ぬ気の到達点》を身につけている者はほとんどいなかったが、それについては当然知っていた。しかし、今の輝夜からは《死ぬ気の到達点》特有の全身から噴き出す死ぬ気の炎がなかった。その疑問を察したのかロヴィーノが答えた。

 

『ダークネスは《死ぬ気の到達点》で噴き出される炎を体に馴染ませていたのさ。噴き出す炎は派手だけどはっきり言って無駄だからね。それにより身体能力とかも通常の何倍も上がり鮮明な残像が残ることが可能になるのさ。そうするために攻撃は仕方ないがなるべく無駄な炎の消費をあいつは減らしていたのさ』

 

ロヴィーノの説明に全員が驚きながらも納得した。

 

『さて、私の説明を聞くよりも2人の戦いに注目しようか。もうそろそろ決着がつくだろうしね』

 

ロヴィーノの言葉に全員が戦いに注目した。

 

 

 

 

一方でルシフェルも今の現象を理解していた。

 

(要はさっき俺がやったこととほとんど同じだっていうことのはずだろ)

 

ルシフェルは次々来る輝夜の分身を蹴散らしながら、そう考えていた。

 

(だが……………それにしても厄介すぎる!!!)

 

ルシフェルは仮面で隠れているが顔を思いっきりしかめた。

 

『(ルシフェルは自分と同じことをしている筈なのに、自分以上に厄介だと思っているだろうな。それは当然だ。この作戦で最も重要なのは、冷静な状況判断だからな。ずっと筆記で主席を取っていて軍師向きだったダークネスのほうが有効に活用できる)』

 

そんなルシフェルを見て、ロヴィーノはそう思っていた。そして、今の状況は輝夜の数も残り3人だった。その3人も息切れしているように見えた。《死ぬ気の到達点》での炎の使いすぎが来たようだ。

 

「ハァ………ハァ………ハァ………」

 

「ハァ………ハァ………ハァ………」

 

「ハァ………ハァ………ハァ………」

 

(分身ももう3人が限界か………。ならば、その中の1人が本物。こういう分身は減らしてもすぐに増えるから一気に畳み掛ける!!!!)

 

ルシフェルも最後の踏ん張りだと気を引き締めて、その3人に向かった。

 

「まず1人!!!」

 

ザシュッ!!!!

 

ルシフェルは3人の内の1人に斬りつけた。

 

シュウゥゥゥ…………

 

その1人は霞となって消えた。

 

「はずれか!!!」

 

そう叫ぶルシフェルの後ろからもう1人の輝夜が攻撃をしようとしていた。

 

「くらえ!!!」

 

「っ!!!?させるか!!!!」

 

ルシフェルはハルバードを分裂させて柄の部分で輝夜を突き刺した。

 

シュウゥゥゥ…………

 

しかし、その輝夜も霞となって消えた。

 

(これも外れ…………ならば残りは1人!!!それで終わりだ!!!!)

 

ルシフェルはそう考えるとハルバードの先のほうを持っていた手を離して、爪から膨大な《傲慢の炎》が灯り、5本の巨大な刃になった。

 

「(片手だと威力は半減だが、今回はそれで十分だ!!!)《傲慢の爪刃(ラーマ・ウンギア・スペルビア)》!!!!」

 

ルシフェルは巨大な炎の刃となった爪を地面にぶつけた。すると、5本の巨大な炎の刃は地面を抉り、輝夜に向かった。

 

「!!!?」

 

ドカーーーーーンッ!!!!

 

そして、直撃した。輝夜の体は吹っ飛んだ。

 

「よし!!!!…………なっ!!!?」

 

それを見て喜んだルシフェルだが、すぐに驚愕することになった。なぜなら…………

 

シュウゥゥゥ…………

 

最後の1人も霞となって消えたのだ。

 

「あれも偽物!!!?ってことは、本体は!!!?」

 

ルシフェルがそう叫ぶと…………

 

シュンッ!!!!

 

「ここだ」

 

輝夜が目の前に現れた。本当は分身は4人、作っていたのだ。その残りの最後の1人はずっと岩陰に隠れていたのだ。ルシフェルも長い時間の羅刹開匣は初めてなので疲労がたまって、集中力を欠いてしまって、気づかなかったのだ。そして、分身を作ることをやめた輝夜は右手のガンブレードに炎を集中させて、ルシフェルに突きを入れた。

 

「《龍の角(コルナ・ディ・ドラゴーネ)》!!!!」

 

ガキンッ!!!!

 

ガンブレードの刃はルシフェルの胸元のリングに防がれた。ルシフェルはそれに安堵したが………

 

「まだだ!!!!」

 

輝夜はそう叫ぶと、ガンブレードの引き金を引いた。

 

「なっ!!!?」

 

ルシフェルは驚いたが至近距離のためにかわすことはできず…………

 

ドカンッ!!!!

 

爆発した。

 

「ガハッ!!!?」

 

ルシフェルは吹き飛ばされて、そのまま倒れた。

 

バキンッ!!!!

 

ルシフェルの胸元のリングも割れた。

 

「ハァ…………ハァ…………ハァ…………」

 

輝夜は荒く息をつきながらも、その場に立っていた。勝負がついた。




次回でこの章も終わりの予定です。

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