家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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8年 前編

ダークネスが去った後、アジェンテが壊滅したことを戦場に攻め込む前に報告をしたダークネスによって知ったロヴィーノ教団を含めた革命軍たちはグレム帝国とアルミダ帝国の戦場の跡地に行って、そこで20万人の兵士たちが全員殺されていたところを発見した。その中でも、アルミダ帝国の本拠地の中にあった女性のバラバラ死体が目を引いた。そして、そのことを知った革命軍たちはすぐにその二大国を攻めた。トップを失った2つの大国は成す術もなく壊滅した。

 

その際、ロヴィーノ教団は待機を命じたはずのダークネスの行方を捜したが、見つかったのは彼のコートだけだった。そして、そのまま彼は行方不明になった。

 

 

 

 

その日から約8年の年月が過ぎた。ロヴィーノ教団を含めた革命軍たちはその後、着実に貴族たちを倒していった。もう下級や中級の貴族では歯が立たないぐらいの存在となった。

 

そして、ここはロヴィーノ教団の会議室。そこには《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》と秘書がいた。彼らはそこで会議をしていた。

 

「ふむ。実に戦況はこちらが有利だな」

 

「8年前にグレム帝国とアルミダ帝国が墜ちた影響はでかかったな」

 

「あれらは有数の大国だからな」

 

「おかげでこちらの戦力も増えた」

 

「もちろん油断はできないが、もうそこらの貴族たちは敵ではないな」

 

「残っている中で我々が警戒するべきなのは《スペルラティーヴォ帝国》のみだな」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のメンバーはそう話し合っていた。《スペルラティーヴォ帝国》、それはグレム帝国とアルミダ帝国を超えるベネスタンテ星で1番の大国だった。そこにはグレム帝国とアルミダ帝国よりも実力を持っている貴族たちが多くいる。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》もさすがに今、攻めても無駄だということがわかっていた。

 

「むぅ…………」

 

そして、そんな中、《大空の大罪》が悩んでいた。

 

「どうしたのだ?」

 

それを見て、他のメンバーが声をかけた。

 

「いや、今後のことを考えて、少し思ったことがあったんだ」

 

「思ったことだと?」

 

《大空の大罪》の言葉に他のメンバーは首をかしげた。

 

「うむ。実はこの際だから我々は引退して《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の肩書きも若い者たちに譲ろうと思っているのさ」

 

『!!!?』

 

《大空の大罪》の言葉に他のメンバーや秘書も驚いた。しかし、《大空の大罪》は冷静に周りに説明した。

 

「よく考えてくれたまえ。君たちもわかっているはずだ。彼らの実力は我々を遥かに上回っていることを。そんな彼らを言い方は悪いが我々が上手く使いこなせると思うか?」

 

『………………』

 

《大空の大罪》の言葉に他のメンバーは閉口した。確かに彼の言う『彼ら』は自分たちよりも実力が上だと言うことを自覚していた。

 

「しかも、その中の3人は経験もある。今すぐにはまだ無理かもしれないが、我々が《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》としての教育を行って彼らが《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》になれば、きっとスペルラティーヴォ帝国を打ち倒すことができるだろう」

 

『………………』

 

《大空の大罪》の言葉に他のメンバーは考え込んだ。彼の言葉は利にかなっていると思ったからだ。

 

ボウッ!!!

 

『まぁ、確かに貴様の言う通りだね』

 

すると、急に白い炎が燃え上がってロヴィーノが声をかけてきた。

 

「毎回、急に出てくるな。ロヴィーノ」

 

「しかも、いつもどこから聞いているんだ?」

 

ロヴィーノの登場に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》と秘書は呆れていた。実はロヴィーノは毎回神出鬼没に出てくるのだ。これは構成員、全員が知っていることで新入り以外は慣れてしまったのだ。

 

『別にいいじゃないか。貴様らの邪魔をしているわけでもないんだからさ』

 

「まぁ。別に構わないが、それよりも君は私の意見に賛成するのかね?」

 

『まぁ、そうだね。はっきり、言わせてもらうが貴様らではスペルラティーヴォ帝国を打ち倒すことは無理だな。仮にもあれは世界最大の大国だからね』

 

『………………』

 

ロヴィーノの言葉に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》は顔をしかめたがロヴィーノは続けた。

 

『その点、あいつらなら可能性があるな。まぁ、貴様らも時間をかけたら可能性はあるがそうも言ってられないだろ?』

 

「……………確かになるべく早いほうがいいな」

 

「その意見に賛成しよう……」

 

『お?随分、話が早いじゃないか』

 

「ふん!無駄に意地を張っても無意味だからな!」

 

『ハハハ!貴族たち(あの連中)を反面教師として見習ったのか!』

 

「あぁ、そうだ」

 

ロヴィーノの言葉に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちは肯定して、これにより、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》は後継されることが決まった。

 

『それで誰に引き継がせるんだ?…………って言っても、ほとんど決まっているか』

 

「あぁ。リリアーナ君」

 

「はい」

 

《大空の大罪》の言葉に秘書、リリアーナが持っていたプリントを配った。配られたプリントを他のメンバーは見始めた。

 

「ふむ。予想はしていたがやはり彼らか」

 

「はい。そうです」

 

そう言って、リリアーナは説明を始めた。

 

「まずは《大空の大罪》候補のルシフェル。独自に改造したハルバードを使っての戦闘をします。彼は大空の七属性の全ての炎を持っていて、それらが《闇》の炎で融合した《傲慢の炎》を使うことができます。おそらく、このロヴィーノ教団で1番の戦士でしょう」

 

リリアーナはルシフェルのプロフィールを示しながら説明した。

 

「次に《雷の大罪》候補の久与田豪。彼は無数にあるワイヤーを使って攻撃したり、敵や戦闘用に改造した死体を操ったりするという戦闘方法を持っています。8年前の《死体の大地事件》の多くの死体も戦闘用に改造されています。そして、その戦闘方法から彼は《死の人形遣い(カダーヴェリコ・プパーロ)》と呼ばれるようになりました。また、彼は《雷》と《大空》が融合して生まれた《強欲の炎》を持っています」

 

次に豪のプロフィールを示しながら説明した。

 

「次は《雨の大罪》候補のスロウス。彼は普段はやる気がなく、覇気もありませんが、その覇気の無さを逆に利用して相手に気づかれずに一撃で仕留めるという暗殺に特化した人物です。戦闘能力も高く、《雨》と《大空》が融合して生まれた《怠惰の炎》もあります。その炎も彼の暗殺の能力を上げます」

 

次はスロウスのプロフィールを示しながら説明した。

 

「続いて、この方たちが《死体の大地事件》以降に入った有能なメンバーです」

 

そう言って、リリアーナは3()()のプロフィールを出した。

 

「まずは《嵐の大罪》候補のジャバウォック。ロヴィーノ教団の中でも、随一のパワーの持ち主です。《嵐》と《大空》が融合した《憤怒の炎》を組み合わせたら、並の防御では太刀打ちできません」

 

そう言って、リリアーナはジャバウォックのプロフィールを示しながら説明した。

 

「続いて、《晴の大罪》候補のエンヴィー。彼は戦闘の技術だけではなく医療の技術も優れており、医者でありながら前衛を任せることができます。しかも、《晴》と《大空》を融合した《嫉妬の炎》は後遺症の起きないドーピングも回復もできます」

 

次にエンヴィーのプロフィールを出しながら説明した。

 

「そして、最後に《霧の大罪》候補のリリス。彼女は他の5人と比べたら戦闘能力は劣りますが高く、何より幻術の腕はロヴィーノ教団で1番です。彼女の《霧》と《大空》を融合した《色欲の炎》の力でオリジナルと遜色ない有幻覚を作り出すことができます」

 

そして最後はリリスのプロフィールを示しながら説明した。

 

「以上、それぞれ性格に難がありますが6人が次の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》にふさわしいと思います」

 

「ふむ。確かにこの6人なら問題ないだろうな」

 

「だが、《雲の大罪》になり得るものはいないのか?」

 

リリアーナの説明に1人が訊いた。それに対して、リリアーナは困った顔をした。

 

「それが………《雲》を持つ構成員の中にも実力のあるものはいるのですが……彼らと同等のレベルとなると………」

 

「…………そうか」

 

リリアーナの言葉に《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》も困った顔をした。

 

『それなら問題ないよ。《雲の大罪》にふさわしい子はすぐに入って来るからね』

 

そんなときにロヴィーノがそう言った。

 

「すぐに入って来るだと………?」

 

『そうそう。まぁ、それはすぐにわかるとして、()の情報はないのかな?もうあれから8年経つけど』

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の1人が怪訝そうに聞いたのを軽く流して、リリアーナに訊いた。

 

「はい。ダークネスのことですね。…………残念ながら、いまだに………」

 

リリアーナはそう言った。8年前の《死体の大地事件》からダークネスが行方不明になって、いまだに見つかっていないのだ。ダークネスの炎はサンプルとしていくつか保管しているため、リリスたちの炎を融合することはできたがそれにも限りあるためにいち早く見つけたかったのだ。

 

『そうか。私も探しているけどなかなか、見つからないね』

 

「《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》と呼ばれた貴様がか?」

 

『そうだね。彼は《闇》の炎を上手く使っているよ。あ!でも、貴族に捕まったや寝返ったということはないから安心していいよ』

 

「そういう問題ではない!なぜ、あいつはうちを抜けたんだ!」

 

『それはやっぱり、《死体の大地事件》が原因じゃないかな?』

 

「!?」ピクッ

 

『あの事件はダークネスの怒りを買ったことで起きた事件だからね。貴様らにも前に教えたと思うけど、彼が消えた際に一緒に消えたものがある』

 

「…………《光》の炎という特別な炎を扱える赤子か」

 

『そう。おそらくだけど、彼はその赤ん坊を利用されないために一緒に消えたんだろうね。人間はつい力を求めてしまう生き物だからね』

 

『………………』

 

ロヴィーノの言葉に思うことがあったのかその場にいたメンバーは黙った。

 

『あ!でも、ダークネスに恨みがあるんじゃないのかな?なんたって、あの事件で家族を殺されたからね。しかも、妹はバラバラにされた状態でね。どうかな、()()()()()()()()()()()()?』

 

すると、ロヴィーノが思い出したようにリリアーナに向けて言った。実はリリアーナはアルミダ帝国の王族の生まれでエレオノーラとは実の姉妹だったのだ。貴族や王族の平民たちに対するやり方に納得ができず、家出して、当時はまだリヴォルッツィオーネに入ったのだ。最初は警戒されて、監視がつけられたりとほとんど軟禁状態だったが、しばらく経って貴族とはもう繋がっていないことがわかり、信頼を得ることができた。今では、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の秘書という仕事を得たのだ。このことはダークネスやルシフェルたちは知らないが、もちろんここにいる《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》は知っている。

 

「……………いえ。別に恨んでいません」

 

それに対して、リリアーナは淡々と返した。

 

『へぇ。家族が殺されたのにかい?』

 

「はい。酷い人と思われると思いますが、もう、あの人たちとは縁を切っています。私が失踪した際も彼らは私のことを気にかけなかったみたいですからね。ろくに探してこなかったのですから。だから、私も別に何とも思いません。彼らがあんな目にあったのは自業自得の因果応報というものです」

 

リリアーナはそう言うと、顔に笑みを浮かべた。

 

「今の私の居場所はここ、ロヴィーノ教団です。その敵になるものがいたら、私は全力で戦います。それとダークネスには彼らのやったことで私が彼らの代わりに殴られるのを覚悟で土下座して謝罪します。縁を切ったとはいえ、血の繋がりがありますし、私が貴族だった頃に止めていればこんなことにならなかったのですからね………」

 

リリアーナはだんだん沈んだ顔をしながら、そう言った。

 

『ふ~ん。まぁ、貴様がそう言うなら私からは何も言えないね』

 

ロヴィーノはもう自分には関係ないという風に言った。その後、彼らは今後について話し合った。

 


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