家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》による《死体の大地事件》

「…………………………」

 

それから、一晩が経った。ダークネスはその間、しばらく涙を流し続けて、それが終わると、少し冷静になることができた。グレム帝国とアルミダ帝国の兵士の死体を集めて、自分の《闇》の炎で塵1つ残さず燃やし尽くして、処分した。その際、自分の炎がいつもと違って、周りに禍々しい黒い炎が追加されていることに気づいたが、とりあえず後回しにした。それにより、ダークネスの嫌う貴族(ゴミ)がなくなり、きれいになったとダークネスは思った。そのあとは聖輝と明夜、2人の遺体を綺麗に清めてから、この家の庭に埋葬して、簡易的な墓を作った。

 

「………………………」

 

今、ダークネスはぐっすり眠っている明聖を抱きかかえて、2人の墓の前に立っていた。ダークネスの目元は真っ赤に腫れていた。ちなみにドレイクはダークネスが泣いている間に炎が切れて、匣に戻っていた。

 

「………………………」

 

ダークネスは2人の墓の前でこれからどうするのか考えた。そして、その考えた結果は本人もあまりやりたくないものだった。

 

「………父さん、母さん。たぶん、これから俺がやることはあんたらにとって、望まないものかもしれない」

 

なぜなら、それは聖輝と明夜が望んでいないことをダークネスがわかっているから。

 

「俺はあいつらに復讐しようと思っている」

 

それは聖輝と明夜を殺したグレム帝国とアルミダ帝国への復讐だった。

 

「これが自己満足だってことはわかってる。…………でも、このまま、あいつらを放っておいたら、明聖に危険が及ぶことも事実なんだ………」

 

エレオノーラの話によると、ダークネスの身柄も目的の1つだった。しかし、ダークネスはその場にいた兵士たちを皆殺しにした。しかも、光城宅にいた兵士たちも皆殺しにした。それにより、グレム帝国とアルミダ帝国はいつまでも戻ってこない兵士たちに不振に思うだろう。そして、いつかは任務が失敗したと気づき、新たな兵士を送り込んでくるかもしれない。だから、早めに何とかしなければならないのだ。

 

「…………でも、俺は復讐の言い訳に明聖を守るために戦うとは言わない。もちろん、こいつを死ぬ気で守るっていうのは本気だが、今回ばかりは俺の自分勝手な我が儘にさせてくれ………。俺にはあんたらみたいな綺麗事を貫く勇気も覚悟もないんだ…………」

 

ダークネスは目を伏せながら、そう言った。

 

「……………これらは持っていくよ」

 

そう言って、ダークネスが取り出したものは前に撮った家族写真が入った写真たてと聖輝と明夜の形見である《光》のリングだった。

 

「…………それじゃあ、またな…………」

 

ダークネスはそう言って、2つの墓に背を向けて、離れていった。

 

 

 

 

ベネスタンテのとある場所、そこでは戦争が起きていた………………()()()()()()。それは革命軍に偽の情報を与えて騙すためにグレム帝国とアルミダ帝国の幻術師たちが作った巨大な幻術なのだ。本物の兵士たちはそれぞれの持ち場についていた。本格的に騙すためなのか、両軍10万人ずつ、装備も充実だった。

 

「ふん!これほどの用意でもしておけば、馬鹿な革命軍どもも騙されるだろう!」

 

その戦場の端にある建物の中で幻術師や持ち場についている兵士たちを抜いた残りの兵士たちの前でそう叫んだのはアルミダ帝国の国王、つまりエレオノーラの父親だった。

 

「アジェンテが壊滅したことで奴らに正確な情報が届くことはない。しかも、連中はアジェンテが壊滅したことを知らない!」

 

国王は高笑いしながら、そう言った。

 

「我々が戦争をしていると思えば奴らは、自軍の強化のためにこちらを警戒する可能性は低いだろう。よって今日が終わってから明日、革命軍に攻め混むぞ!!!」

 

『は!!!』

 

国王の言葉に兵士たちは敬礼した。どうやら、グレム帝国とアルミダ帝国の目的は両軍が戦争をしていると勘違いさせて、油断しているときに攻め混んで一気に倒そうという作戦のようだ。

 

「ロヴィーノ教団とか言う愚か者共も明日で最期だ!!もう、下等な平民共に好きなようにさせてたまるか!!」

 

宝かにそう言うが国王の内心は自分の生活のためという自己中心的な考えだった。そして、それは兵士たちもグレム帝国側も同じ考えだった。

 

 

 

 

「ここか……………」

 

そんな幻術の戦争が行われている外れではダークネスがいた。ダークネスの側には明聖がいなかった。ここに来る前に離れた場所に置いてきたのだ。そこにはドレイクが一緒に一緒にいるので守ってくれるから問題ないだろう。

 

「…………すぐに終わらせてくる」

 

だが、ドレイクの炎の量のこともあるので早めに終わらせることにした。ダークネスはガンブレードを持って、()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

一方、ここはアルミダ帝国の幻術師たちが幻術を張っていた。……………そんなときだった。

 

ザシュッ!!!

 

「グアァァァァ!!!?」

 

『!!!?』

 

急に1番後ろにいる兵士の1人が悲鳴を上げた。周りにいた他の兵士たちがその兵士のほうへ向くと、そこには既に息のなく倒れている血塗れの兵士と刃に血がついたガンブレードを持って立っていたダークネスがいた。

 

「貴様!!何をしているんだ!!!」

 

「そのコートの胸の紋章………貴様、ロヴィーノ教団の者か!!?」

 

「なぜ、このことを知っているんだ!!!」

 

「そんなことはどうでもいい!!それよりもこいつを始末するぞ!!!」

 

『はっ!!!』

 

隊長と思われる兵士が他の兵士たちにそう言って、それぞれリングに炎を灯して、炎を纏わせた自分の武器を持って、ダークネスに攻撃を始めた。

 

「…………さっさと終わらせなければいけないんだ。…………《逆鱗乱舞》」

 

ダッ!!!

 

ダークネスがそう言うと、一気に前へ飛び出した。

 

バンッ!!!ゲシッ!!!バンッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!ゲシッ!!!ザシュッ!!!ドガッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!バンッ!!!ドガッ!!!

 

『ガッ!!!?』

 

『グアァァァァ!!!?』

 

撃つ、斬る、蹴る、殴る、そう言った行程をダークネスは兵士たちの間を通り抜ける一瞬で行った。聖輝と明夜というダークネスの逆鱗に触れてしまった兵士たちはダークネスに蹂躙されてしまった。その姿はまさしく荒々しく暴れるドラゴンそのものだった。そして、その場にいた兵士たちは全員倒れて、その大半はもう死んでいた。

 

「ぐっ………!!……急いで……報告を…………」

 

バンッ!!!

 

「ガッ!!!?」

 

まだ息のあった兵士の1人が報告しようとしたがその前にダークネスに撃ち殺された。

 

ババババババババババンッ!!!

 

『ガッ!!!?』

 

そして、ダークネスは他のまだ息のあった兵士たちに炎の弾丸を撃って止めをさした。

 

「…………次、行くか」

 

ダークネスは兵士たちの遺体に目もくれず、その場から一瞬で離れた。

 

 

 

 

「どういうことだ?」

 

一方、こちらはグレム帝国の幻術師たち。アルミダ帝国の幻術師たちと協力して作っていた幻術が歪み始めていた。

 

「アルミダ帝国は何やっているんだ!!!」

 

グレム帝国の兵士の1人がそう言った。よりリアルに見せるために完璧な幻術を張らなければいけないのだ。その負担がこちらに来るために、グレム帝国の兵士たちはアルミダ帝国に悪態ついたのだ。

 

「もう、三流芝居なんかやらなくていいぞ」

 

『!!!?』

 

すると、後ろから声が聞こえて、グレム帝国の兵士たちは驚き、後ろを振り返ると、ダークネスが地面にガンブレードを突き刺していた。

 

「貴様!!!そこで――――」

 

「お前の話を聞いている暇はないんだ。この試したい新技の実験台にさせてもらうぞ。《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》」

 

ダークネスに声をかけようとした兵士の言葉を遮って、ダークネスはガンブレードの引き金を引いた。

 

グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!

 

『ガハッ!!!?』

 

すると、地面に無数の漆黒の炎の槍が現れて、大半の兵士たちを串刺しにした。

 

「な、なんだ、この技は!!!?」

 

「いや、それよりも、この炎……まさか貴様は―――」

 

何とか避けて生き残った兵士たちはダークネスの技を見て驚いて、その中の1人が何か言おうとしたが…………

 

「言ったはずだ。話を聞いている暇はないと。《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》」

 

ババババババババババンッ!!!

 

ダークネスがまた兵士の言葉を遮って、ガンブレードから無数の漆黒の炎の弾丸を豪雨のように真横へと動揺して動けなかった兵士たちに降り注いだ。

 

『ガッ!!!?』

 

炎の弾丸は生き残っていた兵士たち全員を貫いた。

 

「………初めてにしてはこんなもんか。………まだ、よくわからねぇな、この炎は…………」

 

ダークネスは自分のリングに灯している2種類の漆黒の炎が混ざったような炎を見ながらそう言って、その場に大量にある死体をそのままにして、消えた。

 

 

 

 

ここは、仮の戦場のアルミダ帝国とは反対側にあるグレム帝国の本拠地。そこでは、既に地獄絵図と化していた。

 

「ガッ!!!?」

 

「ぐっ!!!?」

 

ダークネスがそこに移動してすぐに、攻撃を始めたのだ。《逆鱗乱舞》、《漆黒の雨(ピオッジャ・ネーロ・コルヴィーノ)》、《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》を使い分けて、ダークネスはグレム帝国の本拠地にいる兵士たちを攻めていた。

 

「くそっ!!!?何をしているんだ!!!!敵はたった1人だぞ!!!!」

 

「しかし、この男、何度も瞬間移動してきて、我々の不意をつかれます!!!!」

 

兵士たちは攻撃しても瞬間移動でかわされて、不意をついて攻撃してくるために手こずっていた。

 

「…………………」

 

兵士の1人の言葉を聞いて、ダークネスは何かを考えていた。

 

(いや、今はどうでもいい。それよりも………、やはり、さっきの幻術師たちと比べて多いな………)

 

ダークネスはすぐに考え事をやめて、今の状況を観察していた。先程の幻術師たちもものすごい人数だったが本拠地にはそんなのと比べ物にならないくらい多かった。さすがはベネスタンテ星で有数の大国だ。兵士の数が多いとダークネスにしては珍しく、大嫌いな貴族に感心していた。

 

(だからって、こんな奴ら(ゴミ)に負ける理由にはならないがな)

 

ダークネスはそう考えながら顔を引き締めて、周りにいる兵士たちを見た。

 

「《漆黒の竜巻(トルナード・ネーロ・コルヴィーノ)》」

 

ダークネスはその場で1回転しながら両手のガンブレードを振るった。

 

ブオォォォォォォッ!!!

 

すると、ダークネスを中心に巨大な漆黒の炎の竜巻が起きた。

 

『うわあぁぁぁぁぁーーーーっ!!!?』

 

ダークネスの周りにいた兵士たちはその竜巻に巻き込まれて、吹き飛ばされた。

 

「あいつらが待っているんだ。これ以上、俺の我が儘を長引かせるわけにはいかないんだ!!!」

 

竜巻が治まると脳内に自分の娘と相棒の姿を思い浮かべたダークネスがリングの炎を増大させながら、グレム帝国のまだ多く残っている兵士たちに向かって突撃した。

 

 

 

 

それから、十数分後。アルミダ帝国の本拠地では。

 

「うちとグレム帝国の幻術師たちが全滅しただと!!!?」

 

国王が兵士の報告を聞いて、驚愕していた。周りにいた他の兵士たちも信じられないという顔をしていた。

 

「は、はい。確認しに行ったら、この通り………」

 

その兵士も信じられないという顔をしながら、撮影した写真を国王に見せた。

 

「…………どうやら、事実みたいだな………。クソッ!!!ということはグレム帝国の救援要請の理由も真実か!!!」

 

国王は苛つきながら、そう言葉を吐いた。

 

「ロヴィーノ教団の黒い炎を扱う男…………ダークネスという男か………。身柄を確保するように命じたはずなのに失敗していたとは………!!!役立たずめ!!!」

 

国王は自分の部下の身を案じず、罵倒した。ダークネスを捕らえ損ねたことで自分たちの作戦が瓦解しているために怒り心頭だった。

 

「グレム帝国も何やっているんだ!!!たった1人の男に戦況を左右されるとは!!!…………だが、可能性は低いだろうがグレム帝国がやられるのはまずい。………すぐに、増援を送れ!!!」

 

国王は事態を冷静に考えて、兵士たちに命じた。兵士たちもそれを聞いて、行動しようとしたが………

 

「その必要はない」

 

1人の男の言葉に全員が止まった。

 

『!!!?』

 

その場にいた全員が声のした方向に向くと驚愕した。それは、グレム帝国の本拠地にいるはずのダークネスが扉の前に立っていた。そのダークネスの手にはなぜか、何かが入っている袋を持っていた。

 

「貴様!!!なぜ、ここにいるんだ!!!?」

 

国王は怒鳴った。グレム帝国の本拠地からアルミダ帝国の本拠地までかなり離れていた。さっきまで、ダークネスはグレム帝国の本拠地で暴れていたと聞いていた。それなのに、ここにいるのはおかしい。しかも、ここは本拠地の最深部。ここに来るまでも多くの兵士たちがいたはずだ。こんなに早くここまで来ることは不可能だった。

 

「俺がここにいることが信じられないか?それなら、()()を見せてやるよ」

 

ダークネスはそう言って、持っていた袋の中身を出した。中身はそのまま床に落ちて、少し転がって止まった。

 

『なっ!!!?』

 

国王たちは全員、驚愕した。なぜなら、それは()()()()()()()()()()だったからだ。グレム帝国の国王の顔は恐怖に彩られていた。国王が死んだことにより、グレム帝国は実質、壊滅したことになるだろう。国王たちはそれを見て、信じられないという顔をしていた。

 

「ついでにもうひとつ」

 

バンッ!!!

 

するとダークネスがそう言うと、後ろにあった扉を乱暴に蹴り破った。

 

『なっ!!!?』

 

扉の先を見た国王たちは再び、驚愕した。そこには、この部屋にはいない兵士たちの死体が転がっていたからだ。

 

「これで、納得できたか?」

 

ふてぶてしく、ダークネスは訊いてきた。国王たちはグレム帝国の国王と自軍の兵士たちの死体を見て、信じざるを得なかった。

 

「ここへ移動してきた方法に関してはノーコメントだ。そんな暇はないからな」

 

ダークネスはそう言うと、ガンブレードを構えた。

 

「くっ………!!!生死は問わん!!!こやつを何とかしろ!!!」

 

それを見て、ダークネスの危険性を感じたのか国王は兵士たちに命じた。兵士たちはそれを聞いて、武器に炎を纏わせて戦闘態勢に入った。

 

「《逆鱗乱舞》」

 

それを見たダークネスは飛び出した。

 

バンッ!!!ゲシッ!!!バンッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!ゲシッ!!!ザシュッ!!!ドガッ!!!ザシュッ!!!バンッ!!!バンッ!!!ドガッ!!!

 

『ガッ!!!?』

 

ダークネスはここでも、兵士たちの間を縫いながら兵士たちに様々な攻撃した。

 

「嘗めるな小僧が!!!」

 

「我々がその程度の攻撃でやられるものか!!!」

 

すると、ダークネスの攻撃を受けたはずの巨体の兵士2人が平気そうな顔をしながら、そう言った。

 

「これでもくらいやがれ!!!!」

 

「オォォォォーーーー!!!!」

 

そして2人はそれぞれ巨大なメイスを振りかぶって、ダークネスに強力な攻撃をした。

 

グサッ!!!

 

シュンッ!!!

 

『!!!?』

 

「「なっ!!!?」」

 

すると、攻撃が当たる前にダークネスは床にガンブレードを刺して消えた。それを見て、全員、特に巨体の兵士2人が驚いた。

 

「確かにお前らは頑丈そうだな。だが、これならどうだ?」

 

すると、2人の頭上付近からダークネスが現れた。そして…………

 

ゴキッ!!!ゴキッ!!!

 

そのまま思いっきり2人の側頭部を蹴った。それにより、2人の首が折れて、絶命した。

 

「嘘だろ!!!?」

 

「あの2人がやられただと!!!?」

 

「俺らの中でもかなりのパワーと頑丈さを持っているんだぞ!!!?」

 

それを見て、全員信じられないという顔をしていた。そして、その隙を見て、ダークネスは床に刺さっているガンブレードに移動した。

 

「《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》」

 

グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!グサッ!!!

 

『ガハッ!!!?』

 

床から大量な漆黒の炎の槍が現れて、驚いて隙を見せていた国王を含めた全員を串刺しにした。

 

 

 

 

炎の槍を納めて、ダークネスの目の前にはアルミダ帝国の国王や兵士たちの死体が転がっていた。

 

「…………呆気なかったな。いくら、俺がこの新しい炎に使()()()()()()()とはいえな………」

 

ダークネスは興味無さそうにたくさんの死体を眺めて呟いた。そして、この場から移動しようとした。

 

バンッ!!!

 

「!?」

 

すると、急に銃声が聞こえて、ダークネスに銃弾が飛んできた。ダークネスは一瞬、驚いたが冷静に体を少し動かせて、銃弾をかわした。

 

「……………お前か、()()()()()()

 

ダークネスが銃弾が飛んできたほうへ向くとそこには拳銃を構えて憤怒の顔に満ちていた長い髪を下ろしたエレオノーラがいた。

 

「よくも…………よくも…………父上を!!!」

 

バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!

 

エレオノーラがそう言うと、拳銃から銃弾を連続で撃った。

 

「……………………」

 

しかし、ダークネスは冷静に銃弾をかわしながら、エレオノーラに近づいた。

 

ガシッ!!!

 

「っ!!?」

 

カシャン………

 

ダークネスエレオノーラのすぐ側まで近づくと、彼女の両手首を片手で掴んで頭上に上げた。エレオノーラは掴まれた際の痛みで拳銃を落とした。そして、その拳銃はそのままダークネスが踏み壊した。

 

「この!!離しなさい!!!」

 

「復讐か?」

 

エレオノーラの言葉を遮って、ダークネスが話しかけた。今のエレオノーラの感情を見て、ダークネスは国王を殺した復讐だと直感した。

 

「っ………」

 

「別に復讐を否定する気はないさ。俺も今、やっているからな。ただ……………」

 

ダークネスがそう言葉を止めると……………

 

ギュッ!!!

 

「っ!!!?」

 

エレオノーラの両手首を掴んでいる右手に力を込めた。エレオノーラはさらなる痛みで顔を歪めた。しかし、そんなエレオノーラの様子を無視して、ダークネスは光のこもっていない目で睨み付けた。

 

「お前も俺の復讐の対象に入っていることわかってるのか?」

 

「!!!?」

 

「しかも、個人的にはお前が1番憎い。理由は言わなくてもわかるよな?」

 

「ひっ!!!?」

 

ダークネスの目と言葉により、エレオノーラは憤怒の顔から恐怖に満ちた顔になり、悲鳴を上げた。そして、それと同時にダークネスはエレオノーラの両手首を掴んでいる手と反対の手に持っている刃に黒い炎が纏っているガンブレードを振るった。

 

ザシュッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!ザシュッ!!!

 

ボトッ…………ボトッ…………ボトッ…………

 

「え?」

 

エレオノーラは自分の身に何が起きているのかわからなかった。エレオノーラはダークネスに頭部、四肢、胴体を3等分と文字通りの八つ裂きにされた。それにも関わらず、エレオノーラは()()()()()()()()()()()()()()

 

「ど、どういうこと!!!?何が起こっているの!!!?」

 

エレオノーラは周りに転がっている自分の体のパーツを見て訳がわからず混乱した。体の切断面には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……………………」

 

すると、ダークネスはエレオノーラの頭部を掴んで目線を自分に合わせた。

 

「あいにく、俺は性格が悪いからな。お前は楽には死なせねぇ。それと、これは俺の炎の力だ」

 

「あなたの炎の力ですって!!!?嘘よ!!!こんなわけわからない力、聞いたことないわ!!!」

 

「お前に俺の炎の何を知っているんだ?………………って言いたいところだが、俺も知らなかったな。この力は数時間前に生まれたものだからな」

 

「え…………?」

 

ダークネスの言葉にエレオノーラはどういうことだと思った。

 

父さんと母さん(あの人たち)が死んだことで俺は絶望して、俺の体に新たな炎の波動が生まれた。名付けるなら《夜》の炎って言ったところか。この炎の性質は《空間操作》。それで瞬間移動やお前をそんな姿にすることができるようになったのさ」

 

ダークネスは淡々と説明した。

 

「そんなことが…………」

 

「皮肉だな、お互いに………」

 

エレオノーラは信じられないという顔をして、ダークネスは冷めた笑みを浮かべた。

 

「話はここまでだな。もう言い飽きたが俺は早く帰らなくてはいけないからな」

 

そう言うと、ダークネスはエレオノーラの頭部を床に置いた。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!!!!私をどうするつもりよ!!!?」

 

エレオノーラは慌てて、そう言った。今の自分の体はバラバラにされて、抵抗ができない状態だった。

 

「別に何もしないが?」

 

「え?」

 

ダークネスの言葉にエレオノーラは間抜けな声が出た。

 

「確かに楽に死なせないって俺は言ったが、これ以上お前に武器を向けるつもりはない。あぁ、でも、その前に…………」

 

ダークネスがそう言うと、ポケットからハンカチを取り出した。

 

「舌を噛んで自殺されるのはつまらないからな」

 

ダークネスはそのハンカチを猿轡として、エレオノーラの口に結んだ。それにより、エレオノーラは言葉を発することができず、より惨めな姿になった。

 

「んーーーー!!!?んーーー!!!」

 

「その炎もいつかは効果が切れる。その時が来るまで、死への恐怖を味わっておくことだな」

 

「!!!?」

 

「先に効果が切れて死ぬか、他の革命軍に見つかって殺されるか、どっちだろうな?」

 

「んーーーー!!!んーーーー!!!!」

 

「まぁ、これ以上は興味ないからな。俺は帰る」

 

「んーーーー!!!!んーーーー!!!!」

 

ダークネスはそう言うと、エレオノーラに背を向けた。エレオノーラは必死に助けを乞いていた。だが、ダークネスにそんな望みは届かず、ダークネスは消えた。

 

「んーーーー!!!!んーーーー!!!!んーーーーーーーー!!!!!!!」

 

その場に残ったのは体がバラバラになって、このあとの結末に絶望した顔で涙を流して喚くエレオノーラとその周りに転がっているおびただしい数の死体だった。

 

そして、二大国の兵士たち20万人が殺された事件はそこら中に死体が転がっていることから後に《死体の大地事件》と呼ばれるようになった。

 

 

 

 

「ドレイク。今、戻った」

 

「グルル……」

 

ダークネスは明聖とドレイクのもとに戻った。

 

「お疲れ様だな。ゆっくり休め」

 

「グルル…………」

 

ダークネスはドレイクを労い、匣に戻した。

 

「キャハハ!」

 

「…………ただいま、明聖」

 

ダークネスに気づいた明聖は嬉しそうにした。それを見て、ダークネスは明聖を抱きかかえた。ちなみに返り血はダークネスの炎でそれのみを燃やして落とした。

 

「…………それなら、行こうか」

 

ダークネスは明聖をかかえたまま、ロヴィーノ教団の制服であるコートを()()()、その場から消えた。そして、ダークネスは行方不明として扱われた。

 

 

 

 

『あの小娘の影響のせいで中途半端な絶望にも関わらず、《夜》の炎が生まれたことにも驚いたけど、それを短時間で使いこなしたことに驚いたね。それにあの連中を相手に1人で1時間以内に終わらせるなんて、彼を《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》と呼んでもいいかもしれないね。あいつの今後の行動は気になるけど、放って置いても問題はなさそうだね』


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