家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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すみません。特にネタが思いつかなかったので、一気に8年後に飛びます。


リヴォルッツィオーネのとある日常

ダークネスがリヴォルッツィオーネに入って、8年が経った。その日からいろいろあった。ダークネスはルシフェルや多くのリヴォルッツィオーネに所属した子供たちとともに訓練に励んだ。格闘術や剣、銃などを使った戦闘の訓練はもちろん、リングや匣、戦術などの知識も教えられた。それだけじゃない。馬術やコンピュータなどの技術も教えられた。そのうち、バイクなどの乗り物の訓練もあるらしい。しかし、どれもとてもきつい訓練だったためにリヴォルッツィオーネをやめる子供たちも少なくはなかった。だが、ダークネスもルシフェルもそのつらい訓練を耐え抜いた。

 

「ハァ~~。やっと、今日の訓練、終わったぜ……………。早く、食堂に行って飯を食おうぜ」

 

「そうだな」

 

「グルッ………」

 

その日もまた、厳しい訓練を乗り越えたルシフェルとダークネスがそう話しながら、食堂に向かって廊下を歩いていた。ドレイクはダークネスの頭の上に乗っかっていた。ちなみに、この8年の間にドレイクは自由に体長3、4メートルの戦闘態勢の姿になれることが判明した。

 

「ダークネス!!ルシフェル!!」

 

すると、後ろから誰かに呼ばれて、2人は立ち止まって後ろに振り返るとそこには緑色の髪をした2人よりも年上の男が走ってきた。

 

「なんだ、()か」

 

その人物は後に《死の人形遣い(カダーヴェリコ・プパーロ)》と呼ばれることになる久与田豪だった。豪は6年前、つまりダークネスとルシフェルが入ってから2年後にリヴォルッツィオーネに入った。豪はリヴォルッツィオーネに入る前に自分の両親を殺した下級貴族を壊滅させたみたいだった。下級とはいえ貴族が壊滅したことに当時は大騒ぎだった。その大事件から数日経った日に豪がリヴォルッツィオーネに現れた。そして、その時に豪は『我輩が貴族を滅ぼしたでござる。どうか、我輩をここに入れてほしいででござる』と言った。事実確認のために豪自身から聞いた情報とリヴォルッツィオーネの情報網で手に入れた情報を照らし合わせてみると豪が犯人であるということが事実として認められた。そして、貴族たちと戦う覚悟を見せてもらったためにリヴォルッツィオーネの所属が認められたのだ。

 

「『なんだ』とはひどいでござるな~~」

 

ルシフェルの言葉に豪は苦笑いしながら、そう言った。3人と1匹はそのまま、食堂に向かって歩き出した。

 

「見て見て!!ダークネス君とルシフェル君よ!!」

 

「たった1人で貴族を壊滅させた豪さんもいるわ!!」

 

「この前の筆記試験で1位だったダークネスに戦闘で1位だったルシフェル、10歳で貴族を壊滅させたという実績を持っている豪。その3人がそろっているなんて~~!!」

 

そんな3人を見て、近くにいた女訓練兵たちが話していた。中には目がハートマークになっている者もいた。実はこの3人はリヴォルッツィオーネの女訓練兵たちの間では人気があった。3人とも、顔がよくて成績がいいために当然といえば当然かもしれない。そして、3人以外の男訓練兵たちは嫉妬の眼差しをしていた。

 

「毎度毎度、何なんだ?この視線は?」

 

「確かにな。なぜ俺たちにこんな視線が来るんだ?」

 

「ハァ~~…………。全く、おぬしらは……………」

 

「グルル…………」

 

しかし、ルシフェルとダークネスはこの状況に全く気づいていなかった。それを見た豪とドレイクは呆れながら、ため息をついた。

 

「おぬしらは本当にこういうことは鈍いでござるな……………。他のことには鋭いでござるのにね…………」

 

「「なんか言ったか?」」

 

「別に何でもないでござるよ。それよりも早く食堂に行くでござる」

 

豪は独り言を呟き、ダークネスとルシフェルはそれに尋ねたが豪は笑ってごまかした。2人は早く貴族を滅ぼしたいがために恋愛には興味がなかったのだ。まぁ、それは豪にも同じ事が言えるのだが…………。3人と1匹は周りの視線をスルーして、そのまま食堂へ向かった。

 

 

 

 

ダークネスたちは食堂につくとそれぞれ食べ物を持って椅子に座り食べ始めた。

 

「それにしても、いつになったら俺らは戦場に出られるんだ?」

 

食べ始めて、しばらく経つとルシフェルが口を開いた。それを聞いて、ダークネスと豪は一旦手を止めて、ルシフェルのほうを向いた。

 

「いきなりなんだ?」

 

「いや、さぁ。俺たちもここに入って8年経つじゃん?そろそろ戦場に出て、貴族たちを壊滅させたいなぁって」

 

ダークネスの質問にルシフェルは苦笑いしながら答えた。

 

「まぁ、そろそろ()()が出るのではないでござるか?古兵の皆も数年前から戦っているでござるが……………」

 

「負けてはないが勝ててもいない…………って状態だからな…………」

 

「それで戦士がどんどん減っている…………。………確かに選抜で補充してもおかしくないな…………」

 

3人はお互いにそう話していた。『選抜』、それは訓練兵たちの中から上層部たちが優秀な戦士を選んで正式な戦士に任命されることである。それの時期は決まっておらず、いわば抜き打ちであった。しかし、訓練兵たちはそれが戦士不足の補充であることに気づいていた。だが、誰もそのことに不満はなかった。ここに所属する者は皆、貴族たちを倒そうという強い覚悟を持った者たちばかりだからだ。

 

「選ばれるとしたら、お前ら2人は間違いないだろうな」

 

すると、ダークネスがポツリと呟いた。

 

「なんでござるか?」

 

それが聞こえた豪がダークネスのほうに向いて尋ねた。ルシフェルも気になってダークネスのほうを向いていた。

 

「別に…………貴族たちを滅ぼしたという実績を持っている豪と戦闘の成績で主席であるルシフェルは選ばれるだろうなって、思っただけだ」

 

それに対して、ダークネスはあっけらかんと答えた。

 

「ふ~~ん。だけど、お前はどうなんだ?」

 

「俺か?」

 

「そうでござるよ。おぬしも筆記試験では毎回1位ではないでござるか」

 

「…………確かにそうだが、肝心の戦闘の成績が中の上だとな…………」

 

ルシフェルと豪に言われて、ダークネスは顔をしかめて答えた。このときのダークネスの戦闘センスは普通よりも少し上なぐらいで微妙なところだったのだ。実を言うと、ダークネスが模擬戦でルシフェルと豪に勝ったことが今のところ1度もないのだ。

 

「あぁ、確かに戦士になるのはまだ無理かな?お前の頭脳なら軍師になることはできそうだがな………」

 

ルシフェルの言うとおり、正式な兵士となるには戦闘の能力が高くなくてはいけないのだ。

 

「俺は軍師としてじゃなく、戦士として戦いたいんだ」

 

「まぁ、その気持ちはわかるでござる。我輩も誰かに指示するよりは自分で戦うことが好きでござるからな」

 

「でも意外だな。バトルマニアじゃないお前がそんなことを言うなんてな」

 

「……………別に、貴族を壊滅させたいって気持ちは変わらないが()()()についてもっと知りたいって思っただけだ」

 

「グルッ?」

 

ダークネスはそう言って、自分の右手の中指にはめられている黒いリングとテーブルに座っていたドレイクを見た。

 

「なるほど。確かにダークネスの炎はよくわからないものだからな」

 

「しかも、おぬしの両親は持っていなかった炎でござるか」

 

ダークネスの視線の先を見て、ルシフェルと豪は気づき、そう言った。ダークネスの炎に関して、最初はルシフェルやリヴォルッツィオーネの教官も含めた全員が驚いていた。ついでに言うと、ルシフェルが大空の七属性全ての炎を持っていることについても驚かれた。それで、見たことのない炎がために研究員がダークネスの炎を詳しく調べてみると、ダークネスの炎には他の炎と並行して使ってみると炎の力がさらにパワーアップするというダークネスに聞かれたとおりの結果だったがもう1つの対象物を燃やし尽くすという力は「燃やし尽くす」というよりは「無効となり無に帰している」みたいだった。そして、それ以外にも《炎の融合》という性質があることが判明した。しかし、これに関してはまだ詳しくはわからなかった。なぜなら、炎の融合の成功例はルシフェルの《大空》、《嵐》、《雨》、《雲》、《晴》、《雷》、《霧》の大空の七属性全てを融合して生まれた《傲慢の炎》と豪の《雷》と《大空》を融合して生まれた《強欲の炎》だけだった。それから2人はその炎の特訓に励んだ。

 

「ドレイクとそのリングがなぜ存在するのかも気になるでござるな」

 

続いて、豪がそう言った。それにダークネスとルシフェルもうなずいた。ダークネスのリングと匣アニマルのドレイクはダークネスの炎で使える物だった。だから、誰が、なぜ、どうやって、その2つを生み出したのかわからなかった。さらに、ダークネスの武器であるガンブレードも今の技術では作ることができない物だった。これには上層部も首を捻った。

 

「たしか、どれもお前がガキの頃に盗んだ物だったな?」

 

「あぁ」

 

ルシフェルの問いにダークネスはうなずいた。当時のダークネスは深く考えていなかったが、今考えるとおかしいことだった。その後、3人は食事を続けながら、話し合ったが答えは出なかった。

 

 

 

 

その一方、リヴォルッツィオーネ本部の会議室では中年の男7人が囲むように座っており、その傍らで秘書と思われる女性が立っていた。男7人は皆立派な黒いコートを着ていた。そして、その女性は8年前にダークネスがリヴォルッツィオーネに入る際に担当した女性だった。

 

「それでは、これから《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》での会議を開こうと思う」

 

上座に座っていた男が口を開いた。その言葉に他の6人もうなずいた。これは革命軍、リヴォルッツィオーネのボスと最高幹部、通称、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》で行われる会議だった。そして上座に座っている男こそがリヴォルッツィオーネのボス、《大空の大罪》と呼ばれる男だった。

 

「これからの戦いのために戦士を補充するために選抜を行う。今回の議題はそれの人選についてだ。君!」

 

「はい」

 

男がそう言うと傍らにいた女性が持っていたホッチキスで留められていた紙の束を配った。その紙には1枚1枚違う人物の写真とプロフィールがあった。その中にはダークネス、ルシフェル、豪のもあった。どうやら、訓練兵のプロフィールみたいだった。

 

「やはり、ルシフェルは確実なのではないか?」

 

「戦闘の成績が主席のあの男か…」

 

「以前、私も訓練兵たちの訓練の様子を見に行ったがあの動きは素晴らしかった!」

 

「状況判断も筆記試験での成績も悪くない」

 

「大空の七属性全ての炎にそれら全ての性質を持つ《傲慢の炎》を扱えるという点でもなかなかの人材だ」

 

「もう、この男は確実だな」

 

《大空の大罪》以外の《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》がルシフェルのことを推していた。そして《大空の大罪》も手を顎に当てて、うなずいた。

 

「ふむ。確かにこの男ならその内、私の代わりに《大空の大罪》を引き継いでくれるのにも申し分ないだろう。……………よし!!まずはこの男を採用しよう!!」

 

これにより、ルシフェルが正式な兵士に加入されることが決まった。それを聞いて女性はメモに書き込んだ。その後も豪が選ばれたり、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》で厳正な審査が行われた。彼らも無意味に同士を減らしたくないのだ。そして、審査は進み、終わりも近づいた。

 

「最後の1人か………」

 

「この男か………」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の7人は1枚の訓練兵のプロフィールを見ていた。

 

「名前はダークネス…」

 

「筆記試験では毎回主席を取っている男…」

 

「しかし、戦闘の成績では中の上か………」

 

「軍師としては申し分ないが………」

 

「今は必要ではないな………」

 

「それならば不採用か?」

 

6人がそれぞれそう言った後《大空の大罪》のほうを向いた。

 

「…………確かに今まで通りだったら、不採用だが………。この男は、得体の知れないところが多い」

 

《大空の大罪》の言葉に他の6人もうなずいた。

 

「確かにこの男は今まで見たことのない炎を扱う」

 

「しかも、その炎は未知が多い」

 

「ルシフェルの《傲慢の炎》に久与田豪の《強欲の炎》を生み出すきっかけとなった炎」

 

「それだけじゃない。あの男のリングと匣、武器も不明な点が多い」

 

大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちはいろいろと話した。《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》たちもダークネスの存在が気になるみたいだ。

 

「おい。君から見て、この男はどう思うんだ?」

 

その内の1人が女性に意見を求めた。

 

「私ですか?」

 

「あぁ、そうだ。何でもいい。もともと、この男の炎の研究を薦めたのは君なのだからな」

 

「それでは、僭越ながら……。私は8年前にこの少年と面談をしました。その時の第一印象なのですが……………実を言うと怖かったのです」

 

そう言った女性はポーカーフェイスを保っていたが一筋の冷や汗が流れていた。

 

「怖かった………だと?」

 

「はい。その資料にも書かれていますが彼は両親に虐待されて、貴族に売られそうになりました。そしてそれを防ぐために実の両親を殺害。それから、数時間後に我が軍に所属するために来ました」

 

「ふむ。確かにそう書いているな。それで何が言いたい?」

 

「はい。この写真や今の彼だと多少落ち着いているみたいですが、当時の彼の目には一切の光がこもっていませんでした」

 

「光が?」

 

「はい。自分でも曖昧な表現だというのは承知ですが彼には私たちでは計り知れない闇を持っていると思うのです」

 

「まぁ、両親に虐待されていたとなると、別におかしな話ではないがな………」

 

「ここにはそれに似た境遇の者はいくらでもいる。我々もその内の1人だ。何を怖がる必要がある?」

 

「それが………………すみません。私の言い方に間違いがありました。彼はまるで…………」

 

女性は少し迷った態度を取ったが覚悟を決めて答えた。

 

()()()()()だと思いました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なかなか、おもしろい考えだね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性の言葉に感想を答えるかのように突如、謎の声が会議室に響き渡った。




この後、すぐに最新話を出します。

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