家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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最終決戦、前日

ロヴィーノの世界中への『地球の滅亡』の放送の後に元に戻ったテレビのニュースの速報によると、ロヴィーノが放った攻撃により6つの町が壊滅したようだ。それにより、死傷者も多数出たらしい。そして、その事実が余計に世界中を混乱に追い込んだ。世界中の軍事施設では『対ロヴィーノ』についての会議が開かれているらしい。ツナたちも急いで、会議を再開した。

 

「……………それでロヴィーノは確かにあの無人島にいるんだね?」

 

「はい。衛星写真で確認したところ、ぎりぎり日本の領海の外側にある島に未確認の無人島がありました。そして、そこには確かにロヴィーノがいました」

 

チェッカーフェイスの質問に尾道が報告した。

 

「未確認の無人島……………そのような場所にですか?」

 

「あんな目立つ場所にあんな大きな島があったら、僕の能力が無くても見つかりそうだけど?」

 

未確認の無人島について、ユニと白蘭がそう言った。確かにロヴィーノ教団が潜んでいた島もロヴィーノが封印されていた島も見つかりにくい場所にあった。それなのに、ロヴィーノがいた場所は本来、そこには島など無かったはずだった。

 

「………………さっきの地震はそういうことか」

 

「パパ?」

 

輝夜が何かに気がついたようだった。

 

「どういうことだ?」

 

「おそらく、あの島はロヴィーノが《山》の炎の地形操作の力で海底から土地を隆起させてできたものだろう。さっきの地震はその時の影響で起きたんだろう…………」

 

「そんなことが!!!?」

 

「オイラでもそんなことはできないよ!!!?」

 

輝夜の説明にアーデルとらうじが驚いて、声をあげた。他の皆も同様な反応だった。

 

「あいつは《闇》の炎を持っているんだ。それで俺と同じように《夜》を強化したり、《霧》、《砂漠》、《山》を強化したりしたから、あんなことができるようになったんだろ」

 

顔をしかめながらも輝夜は冷静に言った。色こそ違えど、同じ《闇》の炎を持っている身として、ロヴィーノがやったことについてわかったのだ。

 

「あいつの戦闘力も問題だけど、どうやってあいつに攻撃するのな!!!?あのルシフェルの攻撃でも傷1つ付かなかったのな!!!?」

 

すると、山本がそう言った。確かにルシフェルの《傲慢の一撃(コルポ・スペルビア)》でもロヴィーノは無傷だった。それどころか、攻撃を受けても平気な顔をしていた。

 

「あぁ。それなら、問題ない」

 

それに対して、輝夜が素っ気なく答えた。

 

「問題ない…………とは極限にどういうことだ!!!?」

 

「結局、その通りだ!!!!」

 

輝夜の言葉に了平と紅葉が噛み付いた。他のメンバーも何人かがどういうことだという風に怪訝な顔をしていた。それに輝夜が答えた。

 

「確かにあいつはサイキョウ(最強・最恐・最凶)だ。……………だが、たとえ、あいつがサイキョウ(最強・最恐・最凶)だったとしても無敵ではない」

 

「にゅにゅ!!もっと、わかりやすく言ってよ!!!」

 

輝夜の説明にじれったく感じたのか、ブルーベルがそう言った。それに対して、輝夜は呆れてため息をつきながら言った。

 

「他の奴も何人かは気づいているみたいだが…………要はあいつにも()()()()()ってことだ」

 

『!!!?』

 

輝夜の言葉に気づいていなかった者は驚いた。その弱点について聞こうとしたが、輝夜が話を変えた。

 

「まぁ、いろいろと話し合ったが、おそらく、多くの作戦を考えたとしても、あいつはほとんど破滅させるだろうな。チェッカーフェイス。お前のときもそうだろ?」

 

「……………あぁ、そうだね。こちらも、多くの作戦を考えて実行しても、騙し討ちを試しても、ロヴィーノはあざ笑いながらしながら、台無しにしたよ…………」

 

「……………つまり、あいつ相手にできることは限られるっていうわけだ」

 

チェッカーフェイスの話を聞き、予想通りと思った輝夜はそう言った。

 

「それじゃあ、オメーは何か思いついているわけか?」

 

それにリボーンが尋ねた。

 

「………………まぁな。………………だが、これも決して得策とは言えない。むしろ、愚策って言ってもいいほどだ」

 

「じゃあ、駄目じゃねぇか!!!!」

 

輝夜の言葉に獄寺が叫んだ。

 

「落ち着け。確かに愚策かもしれないが、他にまともな手もないんだ」

 

それに対して輝夜がそう言った。

 

「だからってな!!!………………って、なんでテメーが仕切ってんだ!!!!ロヴィーノに操られていたって言ってもな、テメーは10代目を―――」

 

「続けろ、輝夜」

 

獄寺が輝夜に怒鳴っているとリボーンが遮って、輝夜に続きを促した。

 

「な!!!?リボーンさん!!!!」

 

「落ち着け、獄寺。確かにこいつがやったことは許せねぇが今は状況が状況だ。それにこいつは俺たちよりもロヴィーノに近い場所にいたからロヴィーノの考えが誰よりもわかっているし、ロヴィーノが認めた《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》でもあるから戦闘力も申し分ないからな」

 

「………………わかりました」

 

「……………………」

 

リボーンの言葉により獄寺は渋々と引き下がった。そして輝夜の隣に座っていた明聖はリボーンたちの会話を聞いて、仕方ないとはいえ父親のことを悪く言われてふてくされていた。それに気づいた輝夜は苦笑しながら明聖の頭を撫でた。それにより明聖は幸せそうな顔をして機嫌を直した。明聖の機嫌が直るのを確認すると、輝夜は顔を引き締めて口を開いた。

 

「この作戦には1段階と2段階がある。うまくいけば、1段階目で決着がつく」

 

「それで、その作戦って……………?」

 

「それは――――」

 

ツナに聞かれて、輝夜はその作戦について説明した。その作戦に関して、反対する者もいたが、他にいい作戦も無かったためにその作戦を行うことになった。そして、そのあとは明日のために休憩をとるために解散になった。

 

 

 

 

作戦会議が終わって、ツナは病院の廊下を歩いていた。

 

「この地球はいったいどうなるんだ!!?」

 

「お、落ち着いてください!!」

 

「もう終わりなんだーーー!!!」

 

病室から患者と看護師がそう話しているのが聞こえた。その病室だけではなかった。他の病室からも罵倒や怯える声が聞こえた。

 

(………………皆、落ち着いていられないんだ。…………そりゃそうだよね。明日には地球が無くなるかもしれないんだから……………)

 

ツナはそう考えていると自分の腕が震えていることに気がついた。

 

(……………震えが止まらない。俺も怖いんだ…………。…………大丈夫なのかな?これに失敗したら……………)

 

ツナは震えを止めようと腕を抑えていたが止まらず、だんだんと悲観的に考えていた。すると…………

 

「ツナくん!!!」

 

誰かがツナを呼ぶ声がした。ツナはその声に振り替えると…………

 

「京子ちゃん!!!」

 

そこには、京子がいた。

 

「……………大変なことになったね」

 

「う、うん…………」

 

沈んだ表情でそう言う京子にツナはうなずくしかなかった。

 

「…………………」

 

「…………………(気まずい!!!)」

 

それっきり、お互いに黙ってしまい、気まずくなった。

 

「……………ねぇ、ツナくん。……………やっぱり、行っちゃうの?」

 

「え?」

 

すると、京子はツナにそう聞いた。ツナは一瞬、何のことかわからず、そんな返事しかできなかった。

 

「さっき、お兄ちゃんと会ったんだ……………。そしたらお兄ちゃん、こう言ったんだ。『大丈夫だ、京子!!!お兄ちゃんと沢田が極限に何とかしてみせるぞ!!!』って……………」

 

(お兄さん………………)

 

京子から聞かされた了平の行動にツナは心の中で苦笑いした。しかし、京子の顔色は晴れなかった。

 

「………………私はいやだよ」

 

「え?」

 

「…………お兄ちゃんたちのことも心配だけど、せっかく戻ってきてくれたのに…………また、危ないところに行くなんて……………。私もハルちゃんも本当は()()()も止めたかったのよ………………」

 

「京子ちゃん……………」

 

京子の泣きそうな顔にツナはなんとも言えなかった。あの時というのは生き返ってすぐにロヴィーノ教団と戦いに行こうとした時のことだろう。あの時はロヴィーノに人格を変えられて操られている輝夜を助けてほしいという明聖の願いが響いてツナは生き返ってすぐに向かったわけだが、本当は京子もハルもこれ以上、危ない目に遭って欲しくなかったみたいだった。

 

「…………………京子ちゃん。ごめんね。それでも、俺は行かなくちゃいけないんだ」

 

「!?」

 

「このまま、何もしなかったら明日にはロヴィーノに地球が滅ぼされるんだ。それだけはなんとしてでも阻止しなくちゃならないんだ」

 

「…………………」

 

「それができるのは俺たちだけなんだ。だから、ごめん!!俺は戦いに行かなくちゃいけないんだ!!!」

 

「…………………やっぱり、行っちゃうのか………」

 

ツナの言葉に京子が諦めたように笑った。

 

「本当にごめんね?」

 

「ううん、いいよ。なんとなく、わかってたからね。………………でも、1つだけ約束して」

 

「ん?なに?」

 

「………………無事に帰ってきて」

 

「!!?………うん、約束するよ。必ず無事に帰ってくるよ」

 

ツナと京子はお互いに笑いながら約束した、必ず帰ってくると。

 

「……………え~~と、京子ちゃん?」

 

すると、ツナが困ったような顔をして京子に話しかけた。

 

「ん?なに?」

 

「その…………京子ちゃんに謝りたいことがあるんだ…………」

 

「謝りたいこと?」

 

「うん………実は………京子ちゃんからもらったお守りを…………落としちゃったみたいなんだ…………」

 

ツナは京子にリング争奪戦の大空戦が始まる前にもらったお守りを落としたみたいだ。

 

「最初に輝夜と戦ったときには確かに持っていたんだけど…………。さっき、確認してみたらどこにも無くて…………ごめん!!!」

 

ツナはそう言うと深く頭を下げた。

 

「ううん。別にいいよ。ツナくんが戻ってきてくれたんだから。お守りはまた作ってあげるからね♪」

 

「京子ちゃん……………ありがとう…………」

 

それに対して京子は笑って許して、ツナは礼を言った。

 

「あ、いた!!綱吉さん!!」

 

すると、明聖がツナたちに走って近づいてきた。

 

「あれ?明聖、どうしたの?」

 

ツナは明聖にこちらに来た理由を聞いた。

 

「うん。()()を渡しに来たの」

 

そう言って、明聖がポケットから取り出して、ツナに渡したものは魚が刺繍されたお守りだった。

 

「これは!?」

 

「ツナくんのお守り!?」

 

それを見て、ツナと京子は驚いた。先程、話していたお守りが今、こうして目の前にあるから当然かもしれない。

 

「見つかってよかったね、ツナくん」

 

「う、うん…………。でも、これ、どうしたの?」

 

京子に言われてツナはうなずいたが、なぜ明聖が持っているのか気になって聞いてみた。

 

「えっと、パパがこれを綱吉さんに渡してきてくれって頼まれたの」

 

「輝夜が?」

 

明聖の答えにツナはそう言った。

 

「(そういえば、いろいろあって忘れていたけど、輝夜と話があったんだ)明聖、輝夜のところに連れて行ってくれないかな?」

 

「うん、いいよ」

 

「ありがとう。それじゃあ、京子ちゃん、またね」

 

「うん、またね」

 

ツナは京子と別れて、明聖に案内してもらって、輝夜のところに向かった。

 

 

 

 

ツナと明聖は輝夜を軟禁している病室に向かった。見張りの人に頼んで2人は病室に入れてもらった。窓には鉄格子がはめられている病室にはベッドで寝そべっている輝夜がいた。

 

「ただいま、パパ!!」

 

「おかえり、明聖」

 

病室に入ると、明聖が輝夜に駆け寄った。輝夜は自分に近づいてくる明聖に微笑みながら起き上がり、明聖の頭をなでた。

 

「え~~と、輝夜、いいかな?」

 

それを見て、ツナが声をかけた。

 

「あぁ、構わない」

 

それに対して輝夜は無愛想な顔に戻して、そう言った。

 

「それじゃあ、これ、どうしたの?」

 

ツナはお守りを見せながら、そう尋ねた。

 

「あぁ、それか。拾った」

 

「え?拾った?」

 

素っ気なく答えた輝夜にツナは戸惑った。

 

「で、でも、よく俺のだってわかったね」

 

「………………そりゃあ、お前の遺体から落ちた物だからな」

 

「え?」

 

「お前らが俺たちから逃げたときにそれが落ちたんだ。それを俺が拾った」

 

ツナの問いに輝夜がそう答えた。

 

「え?でも、そのときってまだロヴィーノに操られていたよね?」

 

「…………まぁ、そうだな。俺もなんで、あんなことをしたのかわからないな………」

 

「え!?自分のことなのに!!?」

 

ツナと輝夜がそう話していると………

 

「きっと、パパがロヴィーノの洗脳に負けていなかったんだよ!!」

 

明聖が大声で言った。

 

「あ!そういうことか!!」

 

「は?どういうことだ?」

 

明聖の言葉にツナは納得したが輝夜はわかっていなかった。

 

「えっと、だから、輝夜はロヴィーノの洗脳に負けていなかったから自分の意思で動くことができたってことで―――」

 

「それがどうしたんだ?俺は自分勝手でお人好しなんかじゃないんだぞ。お前のそれを拾った理由には―――」

 

「そんなことないよ!!!」

 

輝夜の言葉を遮って、明聖が叫んだ。

 

「パパは本当は優しいんだって私は知っているよ!!」

 

「明聖…………」

 

「だって、パパはずっと明聖のことを守ってくれたもん!!!」

 

「うん。俺もうまくは言えないけど、さっき言ったとおり、輝夜がいい奴だって信じているから!!」

 

「……………はぁっ。もう、それでいいよ」

 

ツナと明聖の言葉に輝夜はため息をつきながら諦めて言った。それにツナと明聖は笑っていた。

 

「えっと、それで輝夜は?俺に何か用があったね?」

 

ツナは笑っていた顔を困ったような顔にして、輝夜に聞いた。

 

「あぁ…………別に難しい話じゃない…………。謝罪と礼が言いたかっただけだ」

 

「謝罪と礼?」

 

「そうだ。……………お前を殺して、すまなかったな。……………それから、俺をロヴィーノの闇から解き放ってくれてありがとうな」

 

輝夜はそう言うと、顔をツナから背けた。だけど、わずかに顔が赤くなっていたのが見えた。それが見えたツナと明聖は再び微笑ましそうに笑った。

 

「別にいいよ。明聖のおかげでこうして生きているし、俺が助けたかったからね」

 

ツナは笑いながらそう言った。

 

「………………俺の用はそれだけだ。お前も明日のためにとっとと休め」

 

「え!?あ、う、うん…。じゃあ、明日、必ずロヴィーノの計画を阻止しよ!!」

 

輝夜は半ば、ツナを追い出すような言い方をしたが、輝夜の言い分も最もだったためにツナも一言、言って出て行った。

 

 

 

 

午後8時

 

それぞれが、それぞれの大切な人と一緒に最後かもしれない夜を過ごしていた。そして、輝夜と明聖は病室にいた。すると、明聖が何か気がついたのか、窓に駆け寄った。

 

「見て、パパ!!月が真っ赤だよ!!!」

 

明聖に言われて、輝夜も窓のほうによると確かに普段は薄い黄色の光を放つ月が赤く光っていた。

 

「……………これは、『皆既月食』っていうやつだな」

 

「かいきげっしょく?」

 

聞いたことのない言葉に明聖は首をかしげた。それに苦笑を浮かべながら輝夜は説明した。

 

「月はな、その星が光っているわけではなく、太陽の光が反射して、光っているように見えるんだ。それが地球の影に完全に隠れたら、ああなるんだ」

 

「へ~~。でも、どうして、赤色なの?影に隠れたら、真っ黒になって何も見えなくなるんじゃないの?」

 

「ん~~。そこからは光の波長とかで明聖にはまだ難しいから、とりあえず今はそうなるってことで覚えといてくれないか?」

 

「はーい」

 

輝夜の言葉に明聖は返事して、こんな状況にもかかわらず赤い月に夢中だった。そんな明聖を横目に輝夜は物思いにふけた。

 

(……………()()()のベネスタンテ星の月も赤かったな)




最終決戦に入る前に次回から、《闇夜の追憶編》という、輝夜たちベネスタンテ星の住人の過去を投稿します。

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