家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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《闇夜》の本質

シュ~~~~~ッ……………

 

「ハァッ…………ハァッ…………ハァッ…………」

 

(ハイパー)死ぬ気モードを解いたツナが荒々しく息をついていた。そんなツナの視線の先には……………

 

「…………………」

 

(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》も完全に解けていて、髪の色が白から黒に戻っていたダークネスが気を失って仰向けに倒れていた。そのダークネスの付近には剣の破片と思われるものが散りばめられていた。

 

「………………」

 

ツナはそんなダークネスを難しい顔して見ていると……………

 

『10代目/ツナ(君)/沢田(殿)/ボス!!!』

 

後ろから仲間たちの自分を呼ぶ声が聞こえた。

 

「え?わぁ!!?」

 

それを聞いて振り返ると、結構近くまで来ていて、それによりツナは驚いた。

 

「ツナ、すごかったのな!!!」

 

「うむ!!極限によくやったぞ!!!!」

 

「お見事です、沢田殿!!!」

 

「あの《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》のダークネスを倒すなんて!!!」

 

「おまけに剣を壊して、ロヴィーノの復活をよく阻止したな。ツナ!!!」

 

山本、了平、バジル、炎真、ディーノがそれぞれツナにそう言った。ツナに近寄っていない人たちも笑っていた。中には仏頂面している者もいたが悪い雰囲気では無かった。……………ただ1人、ルシフェルはダークネスが負けたことか、剣が壊れたことのどちらかわからない、もしかしたら両方かもしれないが信じられないという顔をしていた。

 

「……………………」

 

そんな中、獄寺が黙ってうつむいていた。

 

「………あれ?…………獄寺君?」

 

こういうときに1番、ツナをたたえそうな獄寺が黙っていることに疑問を持ち、ツナが声をかけると……………

 

バッ!!!

 

「わ!!?どうしたの、獄寺君!!?」

 

急に獄寺が顔を上げた。それだけでも、かなり驚いたがそれよりも獄寺の顔に驚いた。

 

「10代目~~ッ…………!!!」

 

獄寺の顔が大量の涙で濡れていたのだ。

 

「どうしたのな、獄寺!!?」

 

「タコヘッド!!!?」

 

そんな獄寺に周りの皆も驚いていた。

 

「あ~。アホ寺、泣いているもんね~~。泣き虫だもんね~~~!!」

 

「うるせーーー!!!テメーだけには言われたくねぇ!!!……………仕方ねぇだろ。……………あの時にお亡くなりになられた10代目が今、こうして俺たちとお話しているんだからな…………」

 

『!!!?』

 

ランボに冷やかされた獄寺は怒鳴り返すと神妙な顔つきになると静かに言った。獄寺の言葉に山本たちはハッとした。ツナがダークネスに勝ったことと剣を壊したことで浮かれていて忘れていたが本来ならツナはここにいないはずだったのだ。

 

「…………そうだな」

 

「うむ!!!沢田!!!よく、戻ってきたぞ!!!!」

 

「わっ!!?」

 

山本が静かに獄寺に同意して、了平はツナの両肩をガシッと掴んだ。ツナはそれに驚いた。

 

「…………ボス…………戻ってきて……………嬉しい…………」

 

「僕もだよ…………ツナ君………」

 

「拙者もです……………」

 

クローム、炎真、バジルも涙を流しながらツナにそう言った。

 

「えっと…………俺、かなり迷惑かけた?」

 

「当然だぞ。ダメツナ」

 

ツナが自分の頬をかきながら、そう呟くとリボーンがツナに近づいてそう言った。

 

「オメーが1度死んだことでこいつらはショックで塞ぎ込んじまったんだぞ。おまけに他の連中と喧嘩を起こしそうになってこっちは大変だったんだぞ」

 

「あはは……………なんだか……………ごめん……………」

 

リボーンに言われて、ツナはばつが悪そうな顔をした。ツナ以外にも喧嘩をしそうだったメンバーも同じような顔をした。

 

「………………だが、まぁ……………」

 

リボーンはそう言うと口元が緩み………………

 

「……………よく戻ってきたな、おかえりだぞ。ツナ」

 

ツナにそう言った。

 

「!?……………うん……………ただいま!!」

 

ツナはそれに驚いたが、すぐに笑って皆に返事した。そして、ツナの言葉に皆、笑顔になった。すると……………

 

「……………うっ!!?……………う…………」

 

ダークネスから呻き声が聞こえた。どうやら気がついたようだ。

 

「………………ダークネス」

 

「…………………………なんだ、沢田綱吉……………」

 

ダークネスが目を覚ましたことに気がついたツナはダークネスに近づいた。

 

「(よかった…………。違和感や嫌な感じが完全に無くなってる………。正気に戻ったんだ…………)えっと……………気分はどう?」

 

ツナは超直感でダークネスが正気に戻ったことを直感して、その後に戸惑いながら、ダークネスにそう聞いた。

 

「………………ハァ………」

 

「なんで!!?」

 

それを聞いたダークネスは呆れてため息をついた。そんなダークネスの態度に対してツナは驚き、ツッコんだ。

 

「…………ため息もつきたくなるさ。敵の…………しかも、お前を1度殺したやつの心配なんてするか?普通、お前の仲間みたいに俺に対して警戒するものだろ…………」

 

ダークネスは呆れながらツナにそう言った。そして、ダークネスの言うとおり、ツナのすぐ側には獄寺たちがそれぞれ自分たちの武器を持って、ダークネスを警戒していた。しかも、わずかに殺気を出しながら……………。

 

「あ~~~っ…………。でも、あれはロヴィーノに人格を操られていたからで、ダークネスの意思とは関係ないよね?もしかして、まだ自分は操られていない、お前の勘違いって言うつもり?」

 

「…………………いや、確かにお前の言うとおり、俺はロヴィーノに人格をいじられた。そして、それを周りに悟らせないように俺自身の口からは言えない状態にされた。地球を滅ぼすっていう気も無かった。……………だが、敢えて否定するなら、俺が王族や貴族、この世界を嫌い憎んでいるっていうのは本当だ。ロヴィーノはそんな俺の負の感情を助長させた。そして、それがこの地球を滅ぼすという計画に参加するはめになった」

 

ツナは頬をかきながら、そう言って、ダークネスに尋ねた。それに対してダークネスは途中で憎悪に満ちた目をしながらも答えた。しかし、それもすぐにやめてツナに尋ねた。

 

「……………まぁ、そういうわけだから、ロヴィーノに操られていたっていうのは俺にとっても言い訳にはならないし、お前にとっても俺を気遣う理由にはならないぞ」

 

そう尋ねてきたダークネスにツナは困ったような顔をして、ダークネスに答えた。

 

「えっと……………別にたいした理由は無いんだけど……………。敢えて言うなら、明聖のおかげで俺は生き返ったわけだし、それにその明聖に頼まれて約束したからね…………」

 

「!!?そうか…………。明聖…………」

 

ツナの理由を聞いて、ダークネスは一瞬驚いたがすぐに顔を無表情に戻して、自分の娘の名前を呟いた。

 

「……………明聖はいい子だね。短い時間しか話していないけどなんとなくわかったよ」

 

「……………あぁ。明聖はまさしく光だ。優しくていいやつだ。………………俺とは似ても似つかないぐらいな」

 

ツナの明聖に対する感想にダークネスは同意した。最後には自分を卑下する言葉を付け加えて……………。

 

「え?そうかな?俺はダークネスもいいやつだと思うんだけど……」

 

『は?』

 

ツナの言葉にダークネスだけでなく周りの皆も疑問に思った。

 

「ちょ、ちょっと、10代目!!なにを…………」

 

「落ち着け、獄寺」

 

獄寺がツナにどういうことか聞こうとしたがその前にリボーンに止められた。

 

「なに言っているんだ?俺は自分のことを極悪人だとは思っていても善人だとは1度も思ったことないぞ!」

 

「確かに操られていたとはいえ、お前たちがやろうとしたことはひどいと思うし許せない」

 

「ならば、なぜそんなことが言えるんだ!!!」

 

「明聖がお前の娘だからだ!!!」

 

「!!?」

 

叫んだダークネスに対してツナははっきりと答えた。

 

「…………明聖が俺の娘だから…………。あぁ…………そういうことか…………。あまり、こういうことは言いたくねぇが…………俺と明聖は…………」

 

「実の親子じゃないでしょ?明聖から聞いているよ」

 

「っ!!?」

 

ダークネスが言おうとしたことを悲痛な顔をしたツナに遮られて先に言われて閉口した。周りにいたメンバーも新たな事実に驚いたが口を挟めるような状況ではないことを察して黙った。

 

「…………あぁ、そうだ。俺と明聖は血の繋がりの無い赤の他人だ。親って言っても育ての親っていう話だけだ。……………だから、あいつがいいやつなのはあいつの実の親がいいやつらだったからだ…………」

 

「…………確かにそれもあるかもしれないけど、それだけじゃ無いよ!!お前が明聖を赤ん坊の頃から面倒を見ていたから明聖はいい子に育ったんだよ!!お前がいなかったら、明聖は今、生き続けることはできなかったんだよ!!」

 

ツナは仰向けになっていたダークネスの胸ぐらを掴んで自分のほうへ引っ張り、そう叫んだ。

 

「うっ……………。だが、俺は……………」

 

 

 

 

『パパなんて知らない!!!』

 

『明聖!!!?』

 

 

 

 

「俺は…………明聖を傷つけた…………。俺が悪人なばかりに……………」

 

ダークネスは何かを思い出したかのように悲痛な顔で呟いた。そんなダークネスにツナは声をかけた。

 

「……………明聖も後悔していたよ。『私、パパにひどいことを言っちゃった』って」

 

「え?」

 

ツナの言葉にダークネスは間抜けな声を出した。

 

「明聖はこうも言っていたよ。『パパと仲直りしたい。パパが私の本当のパパじゃなかったとしても、パパは私のたった1人の大切な家族だから』ってね」

 

「!!!?」

 

「…………まぁ。そういうわけだから。こんなに想われているのに悪いやつなんておかしいからね」

 

「………………」

 

明聖とツナが言った言葉にダークネスは信じられないと呆然していた。

 

「ふん。残念だったな、ダークネス。ツナはそういうやつだ」

 

すると、リボーンがダークネスに話しかけた。

 

「ツナのそういう人を見る目はツナの数少ないいいところだぞ。そのツナにいいやつって言われたなら、そういうことだろ。…………ハァ~~~………。それにしても1度死んでも、その甘ちゃんのままか………。こりゃ、もう2度と変わることはないな…………」

 

「なんだよ、リボーン…………」

 

リボーンはダークネスにそう言うと、今度は呆れたようにツナに言った。それに対して、ツナはリボーンに不満を言った。

 

「………………いい加減、離せ」

 

パシンッ

 

「あっ!?」

 

ドサッ!!

 

すると、ダークネスはまだ自分の胸ぐらを掴んでいたツナの手をはたいた。支えを失ったダークネスの体はそのまま、再び仰向けに倒れた。

 

「ちょ、ちょっと、大丈夫!!?()()()()()!!?」

 

ツナはいきなり倒れたダークネスを心配した。しかし、ダークネスはそんなツナを無視して言った。

 

「…………()()

 

「え?」

 

「…………《光城(こうじょう)輝夜(てるや)》。ダークネスはとっくの昔に捨てた名前だ。あいつらはそのことを知らないから、ずっとそう呼んでいただけだ。今の俺の名前は光城輝夜だ」

 

ダークネス、いや、輝夜はツナたちに改めて自己紹介をした。

 

「…………そうなんだ。それじゃあ、明聖に会いに行こうか、輝夜!!」

 

「…………いきなり、下の名前呼びかよ………」

 

「え!?だ、だって、光城じゃ、明聖とかぶるし…………」

 

輝夜に言われて、ツナはあたふたと言い訳を始めた。それを見た輝夜はため息をはきながら言った。

 

「……………まぁ、いい。それよりも……………どこまで、お人好しなんだよ、お前は………。明聖も………あの人たちも…………」

 

「あ………はは………」

 

輝夜は呆れながら、最後は誰にも聞こえないぐらい小さくそう言うと、ツナたちから顔を背けた。ツナはそれに対して苦笑いをしたが、その時に彼は見た。輝夜の目から一筋の涙が流れるのを……………。

 

 

 

 

「それじゃ、俺たちもそろそろ帰るか」

 

「そうっすね!!」

 

「だな♪」

 

輝夜との話も終わり、皆で並盛に帰ろうとした。

 

………………………………………………………

 

………………………………………

 

………………………

 

…………

 

その時だった。

 

 

 

 

ビキッ!!ビキビキッ!!!

 

 

 

 

剣が刺さっていた場所を中心に地面にヒビが入り始めた。


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