家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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暴走《闇夜》

『ぐあぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!?』

 

10年後のツナの炎を受けたダークネスは苦しんだ。

 

ガラッ……………ガラッ……………ガラッ……………

 

何かが崩れる音が聞こえてきた。

 

「ダークネス!!!?」

 

ダークネスの身を案じて、ルシフェルが叫んだ。

 

「……………ハァ……………ハァ……………ハァ……………」

 

ツナの炎が治まると、そこにはドラゴンの姿から人間の姿に戻っていたダークネスが両手両膝を地面についていた。しかも、その姿はボロボロだった。《(アルマ)(トゥー)(ラ・ド)(ラゴー)(ネ・ネ)(ーロ・)(コルヴ)(ィーノ)》は額の鍬形の角、背中の翼、腰の尾、両手の手甲、両足のブーツ以外はがれ落ちていた。ダークネスは息を荒くつきながらツナを睨みつけていた。

 

スタッ……………

 

「……………もうそろそろか……………。この時代の皆と話したかったな……………」

 

ツナが地面に降りるとそう言った。すると………………

 

ボフンッ!!!

 

「うっ…………戻ってきたのか?」

 

10年後のツナがいた場所から急に煙がたち、それが晴れるとこの時代のツナがいた。

 

「あれ?ランボのときは10分だったのにツナのときは5分しか経っていないのな?」

 

「あいにく、10分の効果を持つ弾は1つしか用意できなかったんだぞ」

 

山本の疑問にリボーンが答えた。それにより、ルシフェルと戦った者たちは納得した。

 

「未来の俺がやったのか………………?」

 

この時代のツナは10年後のツナが自分が手も足も出なかったドラゴン化したダークネスを倒したことを信じられないと目を見開いていた。

 

「……………ハァ……………ハァ……………沢田……………綱吉……………!!」

 

ダークネスはフラフラになりながらも立ち上がって、ツナを睨みつけていた。

 

「……………まだやるのか?」

 

そんなダークネスを見てツナは哀れんだような目でダークネスを見た。

 

「当然だ……………!!俺は……………まだ負けたわけじゃない……………!!!」

 

ダークネスはそう言って腕を伸ばすと手に《闇夜》の炎が灯り出して、それは大剣の形になり、炎が弾くと先程、ドラゴン化する前に地面に刺していたガンブレ-ドを握っていた。どうやら、《闇夜》のショートワープで呼び出したようだ。

 

シュンッ!!!

 

すると、ダークネスはショートワープして、ツナの背後に回った。そして、そのままツナにガンブレードで攻撃しようとしていた。

 

ドガンッ!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

しかし、攻撃を与える前にツナが炎を纏わせたグローブでダークネスの腹を殴りつけた。それにより、ダークネスは吹き飛ばされた。

 

「……………まだ………だ……………」

 

ダークネスは再び立ち上がると……………

 

グサッ!!!

 

ガンブレ-ドを地面に突き刺した。

 

「《(マーレ・)(ディ・アル)(ベロ・ネ)(ーロ・コル)(ヴィーノ)》!!!」

 

「っ!!?」

 

ボゥッ!!!

 

ツナはとっさにグローブから炎を噴射して上空へ飛んだ。

 

グサグサグサグサグサグサッ!!!

 

すると、地面から無数の《闇夜》の炎の槍が飛び出した。ツナは炎の推進力でそれらを何とか全てかわした。

 

シュンッ!!!

 

すると、今度はダークネスが先読みして再びショートワープでツナの背後に回って、先程よりも早く攻撃しようとしていた。

 

「っ!!?」

 

ガキンッ!!!

 

ツナは振り返って、グローブで受け止めた。

 

「フン!!!」

 

ツナは受け止めた衝撃を利用して後ろへ移動した。そして、ダークネスがガンブレードを振り下ろした際にできた隙を狙って、前方へ直進して、炎を纏わせたグローブで攻撃した。

 

「ガハッ!!!?」

 

防御ができなかったダークネスは鳩尾を殴られて苦しんだ。《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》でも人体の急所である鳩尾はかなり効くみたいだ。

 

「……………フン!!!!」

 

しかし、そんな苦しみは関係無いと言わんばかりにすぐにダークネスはツナに蹴りをいれようとした。

 

シュンッ!!!

 

しかし、ツナは超直感で察して後ろに飛んでかわした。

 

「《漆黒の咆哮(ルッギオ・ネーロ・コルヴィーノ)》!!!」

 

それを読んでいたのか、ダークネスはガンブレードを構えて、ツナに向かって極太の漆黒の炎のレーザーを放った。

 

スッ…………

 

ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!ボゥッ!!

 

ツナは両手の親指と人差し指で四角形を作った。そして、額の《光天》の炎はノッキングしていた。

 

「《死ぬ気の零地点突破・改》!!」

 

ツナはダークネスの炎を吸収して自分の力にしてパワーアップした。

 

「チッ!!!」

 

それを見たダークネスは舌打ちした。

 

「ナッツ!!!形態変化(カンビオ・フォルマ)!!!」

 

ツナは本人は知らないだろうが、10年後のツナと同じようにナッツとXグローブを合体させて、グローブの肘側に噴射口をつけた。

 

シュンッ!!!

 

今度はツナがパワーアップしたXグローブで《光天》の炎を噴射して、その推進力でダークネスの背後に一瞬で移動した。

 

「!!!?」

 

ダークネスはすぐに気づき、急いで防御しようといたが………………

 

ドカッ!!!

 

「ガッ!!!?」

 

先にツナの振り返りの勢いを利用した裏拳がダークネスの背中に直撃した。

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

そして、そのままダークネスは地面に激突した。

 

「よっしゃ!!!」

 

「あのばかでかいドラゴンのときにかなりの力を消耗したみたいだな」

 

「いけるぞ、コラ!!!」

 

仲間たちもダークネスを圧倒しているツナに喜んだ。

 

「………………ハァ………………ハァ………………ハァ………………」

 

しかし、ダークネスはそれでも立ち上がった。そして、ツナに攻撃をしようとガンブレードを構えたが…………………

 

スタッ……………

 

「!!!?」

 

いつの間にかツナが目の前に立っていた。

 

「……………すまない。明聖にたのまれたんだ。しばらく、寝ていてくれ」

 

ツナはダークネスだけに聞こえるように静かに言った。よく見るとツナの右手のグローブに炎が込められていた。そして、ツナは右手のグローブをダークネスに向けた。

 

「《X(イクス)カノン》!!!」

 

ツナは至近距離でグローブから今までで一番の《光天》の炎の弾丸を放った。

 

ドカンッ!!!!

 

「ガハッ!!!?」

 

ダークネスはそれをかわすことができず直撃して吹き飛ばされた。

 

ドサッ……………

 

ダークネスは吹き飛ばされるとそこから少し離れた場所に仰向けに倒れた。2人からかなり離れた場所ではツナの仲間たちの賞賛が聞こえた。

 

 

 

 

遠くで自分が戦っていた相手の仲間の声が聞こえた。その中には自分を倒すと豪語した同僚の声も混ざっていた気がした。

 

(………………俺は負けたのか………?)

 

だが、そんなことは関係無いと言わんばかりにダークネスは自分の状態を確認した。

 

(………………やばいな。まともに動けない)

 

ダークネスは指1本動けない体に自嘲した。

 

(……………まぁ、いいか。このまま、戦うのをやめても……………)

 

ダークネスがそう思って、気を失おうとした。

 

………………………………………………………

 

………………………………………

 

…………………………

 

……………

 

……

 

『それでいいのかい?』

 

すると、ダークネスの頭の中に男の声が聞こえてきた。それにより、ダークネスは完全に気を失うことができなかった。ツナたちは今のダークネスの状態に気づいていなかった。

 

(!!?お前か………。いったい、なんの用だ?)

 

ダークネスは突如聞こえた声に一瞬驚いたがすぐに平静を保たせて声の主に聞いた。

 

『別に?ただ、このまま戦うことをやめてもいいのかなって思っただけど』

 

(あいにくだな。お前にとってはまずい話だろうが、俺としてはどうでもよくなった)

 

声の主に対してダークネスは興味を無くしたって答えた。

 

『本当にいいのかい?』

 

(しつこいな…………。もういいって言っているだろ)

 

何度も聞いてくる声の主に対してダークネスは苛つきながら返した。

 

『でも、貴様はこの世界を憎んでいたはずだよね?()()()()()()()()()()()()()()()()?』

 

(ッ!!!?)

 

声の主の言葉にダークネスは内心、顔をしかめながら、動揺した。

 

『ハハッ♪やっぱり、その時の憎悪を忘れていないみたいだね♪』

 

ダークネスの様子に気づいた声の主は笑いながらダークネスに声をかけた。

 

『当然だな。光を失った貴様はこの世の中に絶望して、『死体の大地事件』を引き起こしたんだからな』

 

(………………)

 

『あの時の貴様は凄まじい鬼気を感じたからな』

 

(………………)

 

『だけど、今の貴様にはそのようなものを感じられないな』

 

(………………)

 

『ずっと、黙っているしね……………。いっそのこと、今の貴様の光である()()()()()()()()かな?』

 

(!!!?ふざけるな!!!!そんなこと絶対にさせるか!!!!)

 

声の主の言葉にダークネスは怒り、声の主に怒鳴った。

 

『ハハッ。そんなに怒るなよ。ちょっとした、冗談だよ。…………でも、以外だな。幼少の頃から冷酷で闇にふさわしい貴様が()()()()()()()()()()()()()()()()()にそこまで必死にになるなんてね』

 

(っ…………)

 

声の主の言葉によると、ダークネスと明聖は実の親子ではないみたいだ。それにより、ダークネスは言葉が詰まった。

 

『私には理解できないね。光と闇は相反するもの同士。決して、混ざらないもの同士。それなのに片方が片方を求めるなんてね』

 

(………………)

 

声の主の言葉にダークネスは再び黙った。

 

『まぁ、話がだいぶそれたね。ようは、貴様の大事なものを奪った世界への復讐はそんなものでいいのかって言いたいのさ』

 

声の主が声を低くして言った。声の主の言葉がダークネスの体に染み込んでいく。それは、相手の命を奪う毒のように。もしくは全てを呑み込む闇のように。

 

『貴様はこの世界を憎み嫌っていたはずだよね?そのことを忘れたことは一瞬たりとも無かったはずだよね?貴様にとってあれは最も大切なものだったんだからね』

 

 

 

 

『――、僕たちは君のことを――――――よ』

 

『あなたと私たちはもう――だからね』

 

 

 

 

(うっ…………)

 

声の主の言葉にダークネスはたじろいだ。何か思い出しているようにも見えた。

 

『ご先祖の身勝手な行動のせいでなぜ自分たちがこのような地獄を味わなければならないんだろうね?』

 

(うっ…………、うっ…………)

 

『素直になりなよ、自分の感情に。貴様は根っからの闇なんだ。しかも、光など一切ない闇夜なんだ。一般論の悪を行うべき存在なんだ』

 

(うっ…………、うっ…………、うっ…………)

 

声の主は徹底的にダークネスを潰しにかかった。ダークネスは嫌な記憶、トラウマを思い出したのか、反撃する余裕が無かった。そして、とどめにかかった。声の主は今までで一番、声を低くして言った。

 

『もう、全てを破滅に追い込みなよ。そうすれば、なにもかも台無しになって忘れるよ』

 

 

 

 

『…………僕たちは…………君を…………恨まないよ……………』

 

『…………だから…………自分を…………憎まないで…………――……』

 

 

 

 

(自分を憎むな?できねぇよ…………、そんなこと…………。だって…………俺は…………オレは……………オレハ……………。ウッ…………、ウッ…………、ウッ…………、ウアァァァァーーーーーーーー!!!!!!!)

 

声の主によって壊されたダークネスの頭の中が真っ白に染まった。

 

 

 

 

「ウアァァァァーーーーーーー!!!!!!!」

 

『!!!?』

 

倒れたと思われていたダークネスが急に叫び、ツナやリボーンたち、ルシフェルが驚いた。

 

「な、なんだ?」

 

皆の気持ちを代表して獄寺が呟いた。

 

「……………」

 

それに答えるかのようにダークネスはフラフラと立ち上がった。

 

「!!!?まだ戦えるのかよ!!!?」

 

(いや、違う。何か様子がおかしい)

 

スカルの叫びにツナが内心否定してそう考えたときだった。

 

シュンッ!!!!

 

「!!!?ぐっ!!!?」

 

ドカーーーーーーンッ!!!!

 

『!!!?』

 

立ち上がったダークネスが一瞬でツナの懐に潜り込み、ツナにガンブレードを振るって攻撃した。攻撃されたツナは超直感で察してとっさに腕を交差して防御に回ったが均衡することもなく、吹き飛ばされた。そして、そのまま壁に激突した。

 

「くっ……………」

 

ツナは背中に来る痛みを我慢しながらダークネスを見た。

 

「……………」

 

ダークネスはまるで何かに取り憑かれたようにだらりとしながら立っていた。

 

「…………ス」

 

すると、ぼそりと何か呟いた。ツナたちは何を言ったのかしっかり聞こうとした。

 

「………壊ス、俺ハコノ世ノ全テヲ壊ス!!!」

 

『!!!?』

 

ダークネスがそう言うと、黒い髪が真っ白に染まって、黒い目が赤く光った。

 

「壊ス、壊ス、壊ス、壊ス、壊ス、壊ス!!!!」

 

ダークネスは壊れたかのように「壊ス」と連呼した。ツナたちはそれに戸惑った。しかし、これで終わりでは無かった。

 

「ウアァァァァーーーーーーー!!!!!!!」

 

ボオウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーー!!!!!

 

『!!!!?』

 

ダークネスが雄叫びを上げた途端、ダークネスの体から今まで使っていた漆黒の炎とは真逆の純白の炎が噴き出した。

 

「!!!!?また、俺たちの知らない炎か!!!!?」

 

それを見てラルがそう叫んだ。他の皆も同じ考えだった。しかし、数人は違った。

 

「いや………。この炎の感じはまさか………」

 

そのうちの1人だったリボーンがそう呟いた。そして、ツナがリボーンの言葉に続けるかのように言った。

 

「白い《闇》の炎?」

 

『!!!!?』

 

ツナの言葉にほとんどのものが驚いた。死ぬ気の炎は色によって区別されるものだった。それが色が違うのに同じ性質を持っていると言われたら誰でも驚くだろう。

 

「あの炎…………まさか!!!?」

 

ダークネスから噴き出した炎を見て、ルシフェルは何かに気づいたようだ。しかし、そんなルシフェルに他の皆は気づいていなかった。

 

「…………まぁ、あの炎がなんなのかは今はいいだろ」

 

リボーンはそう言うとツナのほうを向いた。

 

「今のあいつはある意味さっきのドラゴンよりもまずいぞ。あの炎のせいか知らねぇが、心が完全に壊れちまって暴走していやがる」

 

「……………」

 

リボーンの言うとおり、今のダークネスは凶暴性が増していて危ない状態だった。

 

「はっきり言って、正気に戻すのは困難だぞ。それでも、あいつを助けるって言うつもりか?」

 

「ああ」

 

リボーンの質問にツナは当然だと言わんばかりに短く即答した。それを聞いたリボーンはニヤリと笑った。

 

「それなら、とことんやってみせろ」

 

「ああ。俺は死ぬ気でダークネスを救ってみせる!!!」

 

ダークネスの白い《闇》の炎に対抗するかのようにグローブに純度の高い凄まじい《光天》の炎を纏わせて、ツナは力強く宣言した。




次回、決着!!!

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