家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~ 作:R0
突如、現れたのは殺されたはずのツナだった。
「なんだ、ツナ生きているもんね。あいつ、嘘つきだもんね!!」
ランボがルシフェルに文句を言っていたが、ルシフェルも含めて、全員、それに対応している余裕はなかった。
「10代目………?」
「ツナ…………なのか?」
獄寺と山本も信じられないように言った。他の皆も獄寺たちと同様、信じられないという顔をしていた。
「あれからは幻術の気配がありませんね………」
「ミーも同じくですね~」
「僕もだよ…………」
「ってことは、やっぱり……………!!」
骸、フラン、マーモンが分析して結果を言い、その結果を聞いたクロームが目に涙をためて言った。
「………………お前はツナなのか?」
リボーンがそう聞いた。
「………あぁ。俺は、お前の生徒の沢田綱吉だ。リボーン」
『!!?』
皆はその声色を聞いて、ツナだと確信した。
「10代目……………」
「ツナ………………」
「んおーーーー!!!沢田ーーーー!!!!」
「ツナ君………………」
「沢田殿………………」
「やっぱり、君はおもしろいよ。小動物」
「…………っ!!…………っ!!」
「ハハッ。もう、君は凄すぎるよ♪」
喜ぶ者、泣き叫ぶ者、すすり泣く者、興味を持つ者、さまざまな反応だが、ツナが生き返ったことに雰囲気が良くなった。
~並盛中央病院~
そこでは、ロヴィーノ教団を拘束して、負傷者の手当てを行っていた。そして、そこの多目的ホールでは、何人かの人物が話していた。
「……………まさか、彼が生き返るとは…………」
チェッカーフェイスが信じられないように言った。
「私も信じられません…………。沢田さんはあの時に……………」
ユニがツナが死んだときのことを思い出しながら、そう言った。
「だが、謎にも沢田は生き返って、私たちのところに来た。そして、あいつらのところに向かった」
それをベルゼブブとの戦いから戻っていたヴェルデが言った。
「でも、大丈夫かな………。綱吉君、まだ寝かしておいたほうが良かったんじゃないかな?」
入江が心配そうに言った。
「…………私たちは信じて待つしかない」
それに、チェッカーフェイスが淡々と言った。
「そうですね………。私たちは信じていましょう。皆さんを、沢田さんを…………」
ユニが祈るように言った。彼らは無事に戻ってくることを願った。
~大空の間~
「…………なぜだ!!?なぜ、お前が生きているんだ!!!?お前はダークネスに左胸を貫かれて、心臓を握り潰されたはずだろうが!!!?」
皆の雰囲気が良くなっていく中、ルシフェルが叫んで聞いた。確かに、ツナがなぜ生き返ったのか、わからなかった。すると、ツナは微笑みながら言った。
「明聖のおかげだ」
「!!!?」
「明聖?………あの小娘の仕業だと!!?姿を見ないと思ったら、あいつ…………」
ツナの言葉にダークネスは驚き、ルシフェルは悪態をついた。
「明聖?誰だ、そいつは?」
すると、リボーンが当然の質問をした。他の皆も同じ気持ちだった。
「明聖はダークネスの娘だ」
それにツナは答えた。
『!!!?』
「ダークネスの娘だと!!?」
「あいつ、娘がいたのかよ!!?」
「でも、そのダークネス君の娘さんがいったい、どうやって君を蘇らせたの?綱吉君」
案の定、皆は驚き、白蘭が生き返った方法を聞いてきた。
「明聖の持っていた炎、この炎の力で俺は生き返ったんだ」
そう言うと、ツナは片手を胸ぐらいの位置にまで上げると………
ボウッ!!!
その手に嵌めているグローブから金色に輝く炎が灯り出した。
「なんだ!!!その炎は!!?」
「見たことのない炎だね」
リボーンたちは初めて見る炎にいろいろと言った。しかし、ダークネスとルシフェルは反応が違った。
「そいつは…………!!?」
「《光》の炎!!?」
「《光》の炎?」
ダークネスが言った炎の名前にリボーンたちは聞き返した。
「そう。明聖の持っていたこの《光》の炎の力のおかげだ」
「クフフ、父親のダークネスが《闇》の炎で娘が《光》の炎とは………、ずいぶん、おかしな話ですね」
「………………」
骸が感想を述べて、それに対してダークネスは黙っていた。
「それで《光》の炎も《闇》の炎と同じで複数の特性を持つんだ。それは、《闇》と同じ《強化》、《融合》、そして、《光》の炎だけが持つ《奇跡》だ」
「《奇跡》?」
ツナが言った《光》の炎の特性に想像つかなかった。
「……………光の炎の《奇跡》の力はどんなに邪悪な物でも浄化したり、不治の病や怪我を癒したり治したりする力を持つ。………………そして、運が良ければ死からの蘇生をも可能にする」
『!!?』
《光》の炎の説明をダークネスがして、その力に全員が驚いた。
「………よく知っているな。やっぱり、自分の娘の持つ炎だからか?」
「……………あぁ、そうだな。その炎の力は俺が
ツナの言葉にダークネスが肯定した。
「それよりも、その《光》の奇跡でお前は蘇ったというわけか」
「あぁ、そうだ。俺は明聖の炎の奇跡の力で新たな心臓を生み出されて、こうしてお前と向かい合っているんだ」
今度はダークネスの言葉にツナが肯定した。
「そして、この炎は唯一、《闇》の無効の影響を受けない」
「そうか。だから、あの鎧を着ているダークネスを殴り飛ばせたというわけか」
ツナの言葉にリボーンたちはダークネスを殴り飛ばせた理由がわかり、納得した。
~中山外科医院~
「ツナ君…………」
「大丈夫でしょうか……………」
京子とハルが心配そうに話していた。2人もツナが生き返ったところを見て喜んだが、現状を知ったツナがすぐに《ロヴィーノ》が封印されている島へ向かおうとしたのだ。京子たちは当然、止めようとしたが、ツナは頑なに自分の意志を曲げず、
(………………それにしても、あの子にこんな力があるなんてね)
そばで2人の話を聞いていたビアンキが椅子に座っていた明聖を見て、先程のことを思い出しながら、そう考えていた。
場面は明聖が自分の父親がダークネスだと言ったところだった。
「!!?ダークネスですって!!?」
「ダークネスって…………!!?」
「ツナさんを殺した…………!!?」
3人はそれを聞いて、先程と違い、明聖に警戒した。
「ダークネスの娘がいったい、何の用かしら?」
ビアンキが先頭に立って、明聖に聞いた。
「えっと…………、沢田綱吉さんに………」
明聖がそう言うと………
「ツナ君に………?」
「ツナさんの用って、何ですか!!?ツナさんはあなたのお父さんに!!?」
京子は声に怒りを込めて、ハルは叫んだ。
「ヒッ!!?」
明聖はそれに小さく悲鳴をあげた。
「………………」
すると、明聖は黙ってしまい、そのまま自分たち、いや、ツナに向かって歩き出した。
「!!?ちょっと待ちなさい!!!」
ビアンキが明聖を止めようと、手を伸ばすと……………
ピカ一ーーーッ!!!
「っ!!?」
「「キャッ!!?」」
明聖の服の中から眩しい光が出てきて、3人は急なことに驚き、目を瞑った。しばらく経つと光が治まり、3人は目を開けると明聖はツナが眠っているベッドのすぐ側まで移動していた。よく見ると、服に隠れて見えなかったが、明聖の首にはチェーンに通された金色の石が嵌まっているリングをぶら下げていた。
(今の光は死ぬ気の炎なの!!?この子も私たちの知らない炎を持っているの!!?)
ビアンキがそう考えていると………
「……………ごめんなさい」
明聖がそう呟くと、リングを自分の中指に嵌めた。
「…………お願い、成功して…………」
明聖が再びそう呟くと………
ボウッ!!!
リングから金色の炎が灯り出した。
「「「!!!?」」」
3人は見たことのない炎に驚いた。3人が驚いているのをよそに、明聖はその炎をツナの空いた左胸に向けた。すると……………
ボウッ!!!!
「「「!!!?」」」
ツナの体が金色の炎に包まれた。3人は驚いたが炎から嫌な感じは無かった。むしろ、どこか安心感があり、癒される感じがあった。しばらく経つと炎が治まった。
「うっ……………!!?」
すると、明聖がフラフラとなりながら、その場に倒れた。
「!!?」
「大丈夫ですか!!?」
急なことに驚き、つい先程まで警戒していたにも関わらず、京子とハルは明聖に駆け寄った。
「…………っ………」
「「「!!?」」」
すると、ベッドのほうから聞き覚えのある、しかし、2度と聞くことがないであるはずの声に3人は驚き、ベッドのほうを見た。
「…………っ…………ここは………?」
ツナが目を覚まして、そう呟いた。
「…………良かった…………成功した………」
それに対して、明聖も小さく呟いた。
(…………とりあえず、この子はツナの恩人だとしても、ダークネスの娘と言うことで様子見ね。それにこの子が言っていたダークネスのことも気になるしね。それが本当なら、とんでもないことだからね………)
ビアンキは明聖を見ながら心の中でそう思った。
(隼人…………、リボーン…………、それからツナ…………。どうか無事に戻ってきて………)
そして、皆の無事を願った。それは京子とハルも同じだった。
~大空の間~
「…………だが、なぜ、その《光》の炎をオメーは使えてんだ?ツナ」
リボーンがツナのグローブに灯っている《光》の炎を見ながら、そう尋ねた。
「明聖に《光》の炎で蘇生してもらったことで体質変化が起きて、俺の中に《光》の波動が流れるようになったんだ」
「なるほどな。ありえる話だ」
「確かにそうだね」
中途半端な呪いで《雲》と《霧》の波動が流れるようになったラルと死の絶望から《夜》の炎を生み出したバミューダが納得した。
「そして、これが俺の《大空》の炎と《光》の炎が融合して生まれた《光天》の炎だ!!」
そう言うと、ツナはグローブの《光》の炎を額と同じオレンジと金色が混ざった色した炎を灯した。どうやら、これが《光天》の炎らしい。ダークネスの《闇夜》の炎とは真逆のイメージをさせる炎だった。
『!!?』
全員、その炎に安心感と優しさを感じた。
「…………しかし、お前もずいぶん、ふざけたやつだな」
すると、突然ルシフェルがツナに向かって言った。
「あ?テメー!!!10代目にふざけてるとはなんだ!!!」
それに対して、獄寺がルシフェルに文句を言った。
「そのままの意味だ。お前らから聞いた話だと沢田綱吉に地球の運命とやらを任されたみたいだが………。沢田綱吉は生き返った途端にこの死地に来やがった。お前らを信用していなかったんじゃねぇのか?」
「なっ!!?ふざけんな!!!」
「ツナがそんなことを思っているわけないのな!!!」
ルシフェルの嫌味な言葉に獄寺と山本が言い返した。
「それなら、病み上がりならぬ死に上がりな状態でなぜ来たんだ?」
ルシフェルはツナに向かって、そう尋ねた。
「…………確かに、俺は生き返って、ビアンキから皆がロヴィーノ教団と戦いに行ったことを聞いて、自分だけベッドで寝てるなんてできなかった。…………でも、それは皆を信じていなかったわけじゃない!!!現に皆はお前を含めた《
「…………チッ」
「それに俺がここに来た理由は地球滅亡の阻止だけじゃない…………」
ツナがそう言うとダークネスに向いて言った。
「ダークネス!!お前を
『はっ?』
ツナの言葉に全員が疑問に感じた。
「ツナ君、何言ってんの!!?」
「そうだぜ、ツナ!!!」
「そのドカスはテメーを殺したやつだぞ………」
「ハハッ…………。さすがに理解できないかな………」
炎真、ディーノ、XANXUS、白蘭がそれぞれ、そう言った。確かに自分を殺した人物を助けるとは理解できない。いくら、その人物の娘が命の恩人だとしてもだ。
「明聖から聞いた。お前は本当はこんなことするつもりなんて無かったんだろ?初めてお前に会ったときに違和感を感じたが、お前は
ツナが周りの皆の言葉に構わずダークネスに向かってそう言った。しかし、再び気になる言葉があった。
「ロヴィーノに人格を操作された?」
「ロヴィーノって、封印されているんだろ、コラ」
「それをどうやって操作されたって言うんだあぁぁぁぁーーーー!!!!」
スカル、コロネロ、スクアーロがそれぞれ、そう言った。
「……………いや、ロヴィーノは完全には封印していなくて、魂の状態でロヴィーノ教団に協力しているみたいなんだ」
とツナがそう言うと…………
「あぁ、その通りだ!!!」
ルシフェルが肯定した。
「ロヴィーノは魂の状態で存在している!!!だが、あいつは魂の状態でも、スゲェ力を持っている!!!復活の方法を教えてくれたのも、俺たちの《羅刹開匣》とダークネスの《
『!!!?』
ルシフェルの言葉に全員が驚いた。ロヴィーノが完全に封印されているわけではないこともそうだが、魂の状態でそこまでのことができることに驚いた。
「だが、ダークネスの人格が操作されているっていうのは、信じられないな。長いこと、そいつと一緒にいるがそんな様子は見受けられなかったぜ」
「ルシフェルの言うとおりだ。俺はロヴィーノに人格を操作されてなんかいない。お前と明聖の勘違いだ」
しかし、ルシフェルとダークネスがツナの言葉を否定した。
「…………他人に認識されないようにされていると思われるが、今、どれだけ言っても通じなさそうだな」
ツナがそう言うと、《光天》の炎がより燃え出した。
『お願い!!パパを助けて!!』
ツナはあの後、明聖に泣きながらお願いされたことを思い出した。
「明聖にも頼まれたからな………。俺はお前を死ぬ気で助ける!!!」
今、《大空》から進化した《光天》と《闇夜》の最後の戦いが始まる。