家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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今回、今までで一番長いです。


地獄の獣

ディーノとバジルの絶体絶命を救ったのは骸に呼ばれたランチアだった。

 

そして今、ディーノ&バジル&ランチアVSリリス&スロウスの戦いが始まる。

 

「《千蛇列覇》!!!」

 

ランチアが巨大な鎖付き鉄球、《蛇鋼球》を振り回して、勢いをつけた状態で片手の掌底で飛ばした。しかも、

 

「くっ!!?」

 

「…………!!?」

 

リリスとスロウスはそれをかわそうとしたが、蛇鋼球に彫られたいくつもの蛇が、気流を生み出して、2人を引き寄せた。しかも、蛇鋼球には《雲》の炎を纏わせていた。

 

「それなら!!」

 

リリスは地面から鋼鉄のカバーを纏わせた巨大な植物の蔓を出した。

 

「………………」

 

スロウスはヒレから《怠惰の炎》を出して、蔓の後ろに炎の壁を作った。そして、蛇鋼球と蔓がぶつかった。

 

ガキキキキキンッ!!

 

ガキンッ!!

 

「嘘!!?」

 

蛇鋼球と鋼鉄のカバーを纏わせた蔓はぶつかって、火花が散った。しかし、均衡はすぐに崩れた。蛇鋼球は蔓を打ち破った。それにリリスは驚いた。

 

ギギギギギ…ギ…ギッ!!

 

次に、蛇鋼球は炎の壁とぶつかった。蛇鋼球は《怠惰の炎》により、威力が弱まった。

 

「くっ……………!!俺の覚悟をなめるな!!!」

 

ランチアがそう言うと、指に嵌めていたリングの炎が大きくなり、それに比例して、蛇鋼球に纏っていた炎も大きくなった。《雲》の増殖により威力が増した。そして、炎の壁も突き破れそうだった。

 

「…………!!」

 

スロウスは驚いた。リリスとスロウスの2人は《怠惰の炎》で気流が弱まった隙に側を離れた。

 

ギギギギギギギッ!!

 

ドカンッ!!

 

蛇鋼球は炎の壁を破った。

 

「…………まさか………、…………俺の………《怠惰の炎》の………壁を………破るとは…………」

 

スロウスはそう言った。

 

「そうね……」

 

リリスも驚いたらしく、そう言った。すると、

 

「俺たちを忘れるなよ!!スクーデリア!!」

 

「そうです!!アルフィン!!」

 

ディーノとバジルがそう、自分たちの匣アニマルに呼び掛けると………

 

「「匣間コンビネーションシステム!!!」」

 

そう言った。

 

《匣間コンビネーションシステム》、《雨イルカ(デルフィーノ・ディ・ピオッジャ)》にのみ、搭載されている他の匣アニマルとの連携ができるシステム。

 

アルフィンがヒレから《雨》の炎の刃が出てきて、それがスクーデリアの翼に纏った。

 

「「《太炎天雨翼(たいえんてんうよく)》!!!」」

 

《大空》と《雨》の炎が纏った翼でスクーデリアはリリスに攻撃しようとした。

 

「《色欲の輪舞曲(ルッスリオーソ・ロンド)》!!!」

 

リリスは植物と金属で構成された人形をいくつも出した。そして、人形たちは一斉にスクーデリアに向かった。

 

「ヒヒーン!!」

 

スクーデリアは先に人形たちを相手にした。翼で攻撃した。

 

ザシュッ!!!

 

スクーデリアは人形の1体を斬った。だが………

 

シュルルルルルルッ!!

 

「ヒヒーン!!?」

 

斬られた人形から蔓が伸びて、スクーデリアに絡まり、自らの体でスクーデリアを固定した。

 

「スクーデリア!!!」

 

ディーノは叫んだ。

 

「その人形たちは植物の柔軟さと金属の硬さの両方を兼ね備えているのよ♪」

 

リリスはそう説明した。そして………

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!

 

「ヒ、ヒヒーン…………!!」

 

他の人形たちに持っていた剣で斬られた。

 

「スクーデリアーーーーッ!!!!」

 

ディーノは叫んだ。スクーデリアはそのまま、倒れた。そして、人形たちは今度はディーノとバジルに向かった。

 

「くっ!!」

 

「よくも、スクーデリアを!!!」

 

ディーノは鞭に《大空》の炎を纏わせて、何度も振るった。

 

「《(サルト・ヴォ)(ランテ・ヴェ)(ローチェ・コ)(メ・ルーチェ)》!!!」

 

ディーノは自分の技で人形たちを全て蹴散らした。スクーデリアの敵をとることができた。しかし、気を抜いている暇はなかった。

 

「「!!?」」

 

ディーノとバジルは後ろからスロウスが近づいていたことに気づき、すぐ離れた。

 

「いつの間に!!?」

 

「くそ!!ちょっと目を離した隙にすぐにいなくなるぜ!!!」

 

バジルとディーノは《怠惰の炎》で存在感を消されたスロウスに対してそう言った。

 

「あれ、なんとかならないの!?」

 

「………無理だよ。犬の嗅覚でも感知できないとなると………」

 

「ッ…………!!」

 

M・M、千種、犬もスロウスに対してそう説明した。

 

「バジル!!跳ね馬!!そこから、離れろ!!!《剛蛇列覇》!!!」

 

ランチアがディーノとバジルにそう言うと、蛇鋼球を両拳で押し出した。蛇鋼球はそのまま、スロウスにぶつかる。…………そう思われたが………………

 

スカッ………

 

『なっ!!?』

 

蛇鋼球はスロウスを通り抜けた。そこにいたスロウスは霧となって消えた。

 

「残念♪それは私の幻術よ♪本物は………」

 

「………ここだ………」

 

とリリスの言葉を遮って、本物のスロウスがランチアのすぐ後ろから爪で刺そうとしていた。

 

「くっ!!!?」

 

ガキンッ!!!

 

ランチアはすぐに振り向いて、蛇鋼球の鎖でスロウスの爪を防いだ。

 

「………ちっ…………」

 

スロウスは小さく舌打ちをした。そして、いったん離れようとした方が………

 

「逃がさないぞ!!!」

 

すぐに存在が消えるスロウスを逃がさないとランチアは鎖をスロウスの片手の手首に巻き付けた。

 

「なっ!?」

 

スロウスは驚いた。

 

「どうやら、驚く際にあげる声には間を開けないみたいだな、お前は………」

 

ランチアは割とどうでもいいことを言って、スロウスを逃がさないように鎖を握りしめた。

 

「バジル!!跳ね馬!!今だ!!!こいつをやれ!!!」

 

ランチアはバジルとディーノにそう言った。

 

「はい!!!」

 

「わかったぜ!!!」

 

バジルとディーノもチャンスだと思い、バジルはメタルエッジで、ディーノは鞭でランチアには当たらないように攻撃した。しかし、…………

 

バシッ!!

 

ドガッ!!

 

「ガハッ!!?」

 

スロウスは鎖で縛られていないもう片方の手の爪でディーノの鞭を防ぎ、メタルエッジに当たる前にバジルの腹を蹴り、飛ばされた。

 

「バジル、大丈夫か!!?」

 

ディーノはバジルを心配して叫んだ。

 

「………はい。大丈夫です!!」

 

バジルはそう返事した。

 

「なら、どんどん攻めろ!!!いつまで持つかわからない!!!」

 

とランチアが言った。すると、

 

ピョンッ

 

スロウスが縛られている手首を軸として跳んだ。いったい、どういうつもりなのかとランチアは考えたが、それは一瞬だった。なぜなら…………

 

グサッ!!

 

「!!?ガハッ!!!?」

 

『ランチア(殿)!!?』

 

スロウスが跳んだ真後ろから鋼鉄のカバーを纏わせた蔓が襲ってきたからだった。ランチアはすぐにかわそうとしたが、遅くて、致命傷は避けられたが横ッ腹から血が出ていた。その時に鎖が緩み、スロウスは脱出して、蔓を出したリリスのところまで下がった。

 

「ランチア殿!!!」

 

「大丈夫か!!?」

 

バジルとディーノがランチアに駆け寄ってきた。

 

「………ああ……、大丈夫だ………。ただのかすり傷だ。………それよりも、あの女、今、味方ごと殺そうとしてこなかったか?」

 

ランチアはそのことに疑問を持っていた。今のリリスの攻撃はスロウスが跳んでいなければ、ランチアと一緒に串刺しになっていたからだ。

 

「そういえば、ロヴィーノ教団には嫌な信条がありましたね………」

 

「信条だと?」

 

バジルの言葉にランチアは疑問に思った。

 

「どうやら、骸は重要なことしかお前に教えてなかったみたいだな……」

 

そう言って、ディーノは教えた。以前、骸たちがルシフェルとリリスと戦ったときのことを。

 

 

 

 

あの時も、リリスはルシフェルごと骸を殺そうと棘付き鞭を振るったのだ。それに対して、骸が皮肉を込めて云うとルシフェルが言った。

 

『俺たち《ロヴィーノ教団》は『常に1人で戦うことを意識しろ。自分以外の周りは全て敵だと思え』を信条にしている。リリスたちのようなサポートができる奴はいるが、《ロヴィーノ教団》は1人で戦うことがほとんどだ。もし、今ので俺が殺されたとしても、それは俺の実力が足りなかっただけの話だ』

 

 

 

 

「本当に嫌な信条だな………」

 

とランチアは顔をしかめて言った。

 

「だから、何かしら?私たちは共通の目的のために協力しているのよ。そのためなら、自分の命を捨てる覚悟でね」

 

とリリスは何とも思わない顔で言った。

 

「本当にどうかしているぜ、こいつら………!!!」

 

「………今の言葉、沢田殿が聞いていたら、怒っていたでしょうね………!!!」

 

ディーノとバジルが怒りを込めて言った。

 

「…………リリス………」

 

「何かしら?スロウス………って、あなた!!!それって!!!」

 

スロウスに呼ばれて、リリスはそっちのほうを見ると、リリスは慌てた。スロウスの胸元の《(トゥリニセッテ)リング》に《怠惰の炎》を灯していて、スロウスの両腕のヒレには膨大な《怠惰の炎》が纏っていた。

 

「………怠い………。………早く………終わらせたい………。………だから………()()を………使う………」

 

「ちょ、ちょっと、待って!!それだと、私まで巻き添えくらうわよ!!?さすがに、あなたのそれをくらうのは嫌よ!!!」

 

「…………それなら…………とっとと…………下がれ………」

 

「わ、わかったわよ!!!」

 

そう言って、リリスは慌てて、翼を羽ばたいて飛んだ。

 

「いったい、なんだ?リリスの慌てっぷりは?」

 

「わかりません………。ただ………」

 

「嫌な予感がするな………」

 

3人はそれぞれ、そう言った。すると、スロウスはヒレに纏っていた《怠惰の炎》を思いっきり振るった。そしたら…………

 

ドバアァァァァァァァァァァァァッ!!!!

 

『!!!!??』

 

すると、纏っていた炎は海となって、ディーノたちに襲いかかった。

 

「なっ、マジかよ!!?」

 

「くっ!!?」

 

「アルフィン!!犬殿たちを安全な場所に!!!」

 

「キュイーーーーッ!!!!」

 

「キャッ!!?」

 

「うっ!!?」

 

「!!?」

 

ディーノとランチアは驚き、バジルはアルフィンに言って、犬、千種、M・M、そして、気絶しているフランの4人を連れて、飛んだ。

 

ドバアァァァァァァァァァァァァッ!!!

 

「「「くっ……!!!?」」」

 

ディーノたち3人はスロウスの引き起こした海にのみ込まれた。海はどういうわけか、入口より外には出ていかなくて、この空間全体にある程度の深さができた。

 

「跳ね馬!!バジル!!ランチア!!」

 

「ちょっ!!まずいぴょん!!」

 

「………………」

 

アルフィンに乗っていたM・M、犬、千種は焦っていた。

 

「………《怠惰の海(マルヴォレーレ・マーレ)》。まさか、これを出すなんてね…………。これは、()()()()()()()()()()()()()技なのよね~………」

 

とリリスは呟いた。

 

「………あれ、息できる?」

 

「えっ?ほんとです!!拙者たち息ができます!!!」

 

「どういうことだ?」

 

ディーノたちは海の中なのに息ができることに驚いた。ところが…………

 

「!!?体が………」

 

「う、動かない………!!?」

 

「こ、これは、………い、いったい………!!?」

 

なんと、ディーノたちは動かなくなっていた。

 

「いったい、どうなっているんらぴょん!!?」

 

犬がそう叫ぶと

 

「あの海は純度の高い《怠惰の炎》でできた海よ。窒息することはないけど、あれに少しでも触れたら、金縛りにあったかのように、動けなくなるわ」

 

リリスがそう説明した。しかし、まだ、終わりではないらしく、続けた。

 

「たった1人、()()()()()()()()()

 

『!!!?』

 

リリスの説明に全員、スロウスのほうを見た。スロウスは《怠惰の炎》の海に浮いていた。そして、次の瞬間、

 

シュンッ!!

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!

 

「「「グアッ!!?」」」

 

スロウスが一瞬でディーノたち3人を爪で切った。

 

「な、なんらぴょん!!?」

 

「全く見えなかったわよ!!?」

 

「速い………」

 

犬たち3人も驚いた。

 

「彼のケートスはあの海の中でも、《怠惰の炎》を持つものとは思えないほどの速さで移動できるのよ。まぁ、あの海の中だと、どうしても、攻撃力が下がってしまうのが欠点だけどね………」

 

とリリスが言った。確かにリリスの言うとおり、ディーノたちはそんなに深い傷は負っていないみたいだ。

 

「でも、そんなことは関係ないわよ。スロウスはものすごく動けるのに対して、あの3人は動けない。動けないならかわすことも防御することもできないわ」

 

「「「!!!?」」」

 

リリスの言うとおりだった。そして、その言葉の通りに………

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!

 

「ぐっ…………!!!」

 

「がっ…………!!!」

 

「うっ…………!!!」

 

3人はスロウスにどんどん切られた。いくら、一つ一つの傷が浅くても、それを繰り返せば、大きな傷になってしまう。犬たちも何とか助けようとしたが、《怠惰の炎》の海に触れると動けなくなるためにできなかった。そして………

 

「…………もう、…………そろそろだな…………」

 

スロウスがそう言った。

 

「「「ハァッ………ハァッ………ハァッ………ハァッ………」」」

 

ディーノたちはボロボロだった。3人共、あと一撃で終わりそうだった。

 

「………これでおしまいだ…………」

 

そうスロウスが言って、ディーノたちに攻撃をしようとすると………

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ………!!!!

 

『!!?』

 

急に地震が起きた。全員、何事かと思った。すると…………

 

ビキッ!!!バキッ!!

 

『!!!??』

 

地面にヒビが入って、崩れた。地面が分列して、浮いていた。

 

ドバアァァァァァァァァァァァァーーーー

 

それにより、《怠惰の炎》の海は下に流れた。

 

「ハァッ………ハァッ………ハァッ………、動けるぞ!!」

 

「しかし、いったいこれはなんでしょうか?」

 

「ああ………」

 

ディーノたちも動けるようになって、そう話した。すると………

 

トンッ!!

 

「いや~~、間に合ってよかったですね~~~」

 

「「フラン(殿)!!?」」

 

いつの間にか、気を取り戻していたフランがアルフィンからディーノたちのそばに飛び降りた。

 

「これは、お前のしわざか!!?」

 

「そうで~す。あの海の中だと動けなくなるみたいですが、外側は自由に動けたので、ミーの幻術で海を無くしました~」

 

とフランは説明した。

 

「おい、フラン!!テメー、いつ気がついたんらぴょん!!!」

 

犬たちもアルフィンから降りてきた。

 

「え?そりゃ~、ついさっきですよ~~。いや~~、気がついたらびっくりしましたよ~~。一面、水浸しですし~~、跳ね馬たち、やられていましたし~~、知らない人がいるし~~」

 

そう言ってランチアを見た。

 

「ん?そういえば、あいさつがまだだったな。ランチアだ」

 

「あ、これはご丁寧にどうも、フランです」

 

とあいさつしていると………

 

「…………ねぇ」

 

近くの岩場に降りたリリスが声をかけてきた。

 

「はい。なんでしょうか~?」

 

「あなた、どうして、一気に幻術の腕が上がっているのかしら?」

 

とリリスがフランに聞いた。

 

「………どういうことだ…………?」

 

スロウスが質問の意味がわからず、リリスにそう聞いた。

 

「フランの幻術の精度がさっきよりもかなり上がっているのよ」

 

「………それは………急激に………成長した………というわけでは…………ないのか………?」

 

「それは普通ないわよ。術師は才能とかに左右されるけど、その人自身の幻術の精度を上げるには経験が必要なのよ。つまり、経験と成長は比例するのよ。だから、こんな短時間に精度がここまで上がることはあり得ないのよ………」

 

とリリスが言うと、フランのほうを見た。そして、フランは答えた。

 

「それは、ミーが一気に1()0()()()の経験を得たからで~す」

 

『はっ?』

 

フランの言葉にリリスとスロウスだけでなく、ディーノ、バジル、ランチアも意味がわからなかった。しかし、黒曜メンバーには心当たりがあった。

 

「10年の経験って………まさかぴょん!!?」

 

「フラン!!あなた、記憶を取り戻したの!!?」

 

犬とM・Mがそう言った。

 

「そうで~す。先程、頭をぶつけたときに、ミーがししょ~の元で修行していたことも、10年後にはヴァリアーに所属していたことも全て思い出しました~~。あ、ついでに犬センパイとM・Mセンパイの恥ずかしい過去、いや、未来も思い出しました」

 

「「そんなことは思い出さなくていい(ぴょん)!!!」」

 

「えっ?どういうことだ?」

 

フランたちの会話にディーノはついていけなかった。

 

「フランはチーズの角に頭をぶつけて、10年後の記憶を失っていたんだ………」

 

と千種が説明した。

 

「「「チーズの角に頭をぶつけて、記憶を失ったって………」」」

 

それに、ディーノ、バジル、リリスは呆然としていた。

 

「まぁ、とにかく、ミーはパワーアップしたというわけで~す」

 

とフランがそう言った。

 

「ふ、ふん。いくら、記憶を取り戻したからといって、あなたたちはボロボロなのよ!!私たちに勝てるのかしら?」

 

とリリスが言った。確かに、全員ボロボロだった。すると、フランが……

 

「そうですね~。さっきのミーは怖くて使いませんでしたが、今なら大丈夫な気がするのでししょ~と白蘭から預かったこれらを使いますか~~」

 

そう言って、ポケットから何かを取り出した。それらを見て、スロウスとリリスは驚いた。

 

「!!?」

 

「それは、まさか…………《ヘルリング》!!?しかも、5つも!!?」

 

フランが取り出したのは《(マロッキョ)リング》、《(アルマ)リング》、《残像骨(オッサ・インプレッショーネ)リング》、《(コルナ)リング》、《666(セーイ・セーイ・セーイ)リング》だった。ここに来る前に骸と白蘭から渡された物はこれらだったのだ。スロウスとリリスが驚いていると………

 

「いや、6つだ!!!」

 

と入口のほうから声がした。全員、そちらのほうへ向くと

 

「ロマーリオ!!?」

 

ロマーリオがいた。ディーノはそれに驚いた。

 

「なんで、お前がここにいるんだ!!?しかも、いつからいたんだ!!?」

 

「最初からだぜ、ボス!!!チェッカーフェイスから()()()を借りていてな」

 

とロマーリオが見せたのは《気配(セーニョ)リング》だった。

 

「マジかよ!!?そう言えば、お前、霧属性だったな………」

 

とディーノが言った。

 

「…………なるほどね。部下がいないと何もできない跳ね馬があそこまで動くことができたのはそういうことね」

 

とリリスは納得していた。

 

「まぁ、それよりも、ボウズ!!受けとれ!!!」

 

そう言ってロマーリオは《気配(セーニョ)リング》をフランに投げた。

 

「!!?そうはさせないわ!!!」

 

とリリスは蔓を出して、フランの手に渡るのを防ごうとした。しかし、

 

バシッ!!

 

ディーノが鞭で邪魔をした。

 

「くっ………跳ね馬!!」

 

リリスは悔しそうな顔をした。そして………

 

「は~い。しっかりと受け取りました~~。では、使っていきますか~~」

 

気配(セーニョ)リング》を受け取り、6つのヘルリングを自分の両手の人差し指、中指、薬指に嵌めた。

 

「見てくださ~い。これが地獄の獣、《地獄獣 六無夢()現限幻(げん)()》で~す」

 

そう言って、フランがヘルリングの力とヴェルデの装置を使って出したのは………

 

「「「グオォォォォォッ!!!!!」」」

 

巨大な、一見すれば地獄の門番、ケルベロスだが、ケルベロスの体には無数の目玉と角と触手があった。

 

「………………!!!??」

 

「な、何よ、これ…………!!!??」

 

スロウスとリリスは言葉が出なかった。

 

「スゲエぴょん…………!!!??」

 

「これが…………」

 

「ヘルリングを全て使った力………」

 

「………………」

 

「とてつもないな…………」

 

「すごすぎます……………」

 

ディーノたちも驚いていた。

 

「では、行ってくださ~い」

 

フランがそう言うと、ケルベロスはリリスに向かった。

 

「!!!??くっ……、《色欲の大輪舞曲(ルッスリオーソ・グランデ・ロンド)》!!!!」

 

リリスはケルベロスと同じくらいの大きさの先程と同じ植物と金属で構成された人形を出した。

 

「行きなさい!!!!」

 

人形はケルベロスに攻撃しようとしたが

 

シュン………

 

スカッ………

 

「なっ!!!??」

 

ケルベロスが消えた。それにより人形の攻撃も通り抜けた。

 

「ど、どこに行ったの!!!??」

 

リリスは慌てて探した。すると、フランが言った。

 

「どこって、お前のすぐ後ろにいるじゃないですか~~」

 

「えっ???」

 

フランに言われて、リリスが後ろを見ると…………

 

「「「グルルルルルルルッ……!!!」」」

 

ケルベロスがリリスのすぐ後ろでリリスを見て、唸っていた。

 

「ひ、ひぃっ!!!!」

 

リリスは恐怖のあまりに悲鳴が出た。

 

「「「グオォォォォォォッ!!!!」」」

 

ケルベロスが前足を上げて、リリスに向かってぶつけようとした。

 

「い、いや…………」

 

リリスは後退りしたが………

 

ドカンッ!!!!

 

ケルベロスの前足が当たった。

 

「キャアァァァァァァァーーーー!!!!」

 

リリスは吹っ飛ばされて、

 

ドカンッ!!!!

 

リリスの巨大な人形にぶつかり、人形と共に壁に衝突した。

 

バキンッ!!

 

リリスの胸元に埋まっていた《霧》の《(トゥリニセッテ)リング》が割れた。

 

「リリス!!!??」

 

スロウスは叫んだ。すると……………

 

シュルルルッ!!

 

「!!!??」

 

スロウスの両腕に何かが巻き付いた。

 

「へっ!!!捕まえたぜ!!!!」

 

「逃がさない………!!!!」

 

それはディーノの鞭と千種のヘッジホッグだった。

 

「フランばっかにいい格好はさせないよ!!!!」

 

「そうらぴょん!!!!」

 

「俺もやるぞ!!!!」

 

M・Mと《コングチャンネル》になっていた犬とロマーリオもディーノと千種を押さえて、スロウスを逃がさないようにした。しかも、それで終わらなかった。

 

グサッ!!!

 

「グッ…………!!!??」

 

スロウスは何かに背中を刺された。後ろを見るとそこには《雨》の炎を纏ったメタルエッジで刺したバジルがいた。

 

「………い、いつの間に………」

 

「ディーノ殿の《大空》と拙者の《雨》の即席の《怠惰の炎》です!!!!使える時間は短いですが、これでお主を捕まえることができました!!!!」

 

そう、バジルの《雨》の炎でスロウスは動けなくなったのだ。バジルはメタルエッジを引き抜いて、その場から離れて言った。

 

「今です!!!!ランチア殿!!!!」

 

「おお!!!!」

 

ランチアは蛇剛球を連続で殴り付けた。そして、最後に両手の掌底で飛ばした。

 

「《大紅蓮・暴蛇烈覇》!!!!」

 

飛ばされた蛇剛球は《暴蛇烈覇》よりも鋭い竜巻となってスロウスに真っ直ぐ飛んでいった。そして………

 

ドカンッ!!!!

 

「ガアァァァァァーーーー………!!!??」

 

スロウスは蛇剛球に直撃した。スロウスは鞭とヘッジホッグが外れて飛ばされた。

 

バキンッ!!

 

スロウスの胸元に埋まっていた《雨》の《(トゥリニセッテ)リング》が割れた。

 

 

 

 

…………………………

リリスとスロウスは元の姿に戻って、気を失っていた。フランとリリスの幻術も解けて、元の空間に戻った。

 

「やったぴょん!!!!」

 

「勝ったよ!!!!」

 

「早くシャワー浴びたい………」

 

「ふ~~、さすがにヘルリング6つ同時使用は疲れますよ~~」

 

「やったな、ボス」

 

「ああ!!」

 

「親方様、沢田殿、勝ちました」

 

「ふん…………」

 

 

 

 

黒曜&跳ね馬&バジルVS雨の大罪&霧の大罪

 

勝者、黒曜&跳ね馬&バジル




ランチアは雲属性、ロマーリオは霧属性ということにしました。

また、ヘルリングの名称は想像です。

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