家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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救援

ディーノ、バジル、犬はスロウスを、千種、M・M、フランはリリスを相手にすることになった。

 

 

 

 

「スクーデリア!!《天馬超翔(ペガソ・スーペル・サルト・ヴォランテ)》!!」

 

「ヒヒーン!!」

 

ディーノはスクーデリアにそう命じた。スクーデリアは《大空》の炎で形成された翼を生やして、スロウスを切り裂こうとした。

 

「………………」

 

ギギギギッ!!

 

スロウスは爪に《怠惰の炎》を纏わせて、スクーデリアの翼を押さえた。そして、その後、翼を飛び越えてかわした。

 

「ガーッ!!!」

 

そこを狙って、犬が同じように《晴》の炎を纏った爪で切り裂こうとした。

 

「……………」

 

ガシッ!!

 

ドンッ!!

 

「ガッ!!」

 

犬はスロウスに腕を掴まれて、蹴り飛ばされた。

 

「犬殿!?」

 

バジルが心配したが………

 

「人のこと、心配している場合じゃねえぴょん!!来るぴょん!!」

 

「ッ!!?」

 

ガキンッ!!

 

犬に言われて、いつの間にかスロウスが近づいていたのに気づき、メタルエッジでスロウスの爪を防いだ。

 

「バジル!!」

 

ディーノはすぐに鞭をスロウスに向けて振るった。

 

「………………」

 

スロウスは後ろに跳んで、ディーノの鞭をかわした。とりあえず、1度お互い、攻めるのを止めた。

 

「っつうか、なんで、あいつはずっと黙っているらぴょん!!?」

 

犬がずっと気になっていたことを言った。正直、ディーノとバジルも気になっていた。それに対してのスロウスの答えは、

 

「……………だって、……………戦闘中に……………しゃべるの…………怠いから………」

 

怠いからという理由だった。

 

「そんな理由かぴょん!!!」

 

「………本当に《怠惰の炎》の使用者にピッタリなやつだな…………」

 

「ハハハ………」

 

そんなスロウスに対して、犬はツッコミ、ディーノは呆れたようにそう言って、バジルは苦笑いしていた。

 

「…………だが、こいつ、思ったよりもできるな………」

 

しかし、ディーノが真剣な顔つきで言った。

 

「ええ、先程のディーノ殿の匣アニマルの技も犬殿の攻撃もうまく体を使っていました。見た目の雰囲気に似合わず、身体能力が高いと考えたほうがいいですね………」

 

それにバジルも冷静に分析していた。

 

「だから、なんなんらぴょん!!あいつをぶっ潰すらけらぴょん!!!」

 

そう、犬が言った。

 

「ああ、その通りだな!!!」

 

「ええ、彼らに地球を滅ぼされてはなりません!!!」

 

それに対して、ディーノとバジルがそう言った。

 

「………………マジで………怠くなってきた………」

 

そんな3人に対して、スロウスがウザそうに言った。

 

 

 

 

一方、千種、M・M、フランとリリスの戦いでは、

 

「ハッ!!」

 

リリスが巨大な蔓を3人にぶつけようとした。

 

「「「!!」」」

 

ドンッ!!

 

3人はそれをかわした。

 

「これは、どうですか~?」

 

フランが同じように巨大な蔓を出した。

 

「それなら、こっちもこれよ!!」

 

リリスはそれを自分の巨大な蔓で対抗した。

 

ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!

 

巨大な蔓同士のぶつかり合いが始まった。

 

「ふん!!」

 

千種がヘッジホッグから毒針をリリスに向かって放った。

 

「くっ!!」

 

パシッ!!パシッ!!パシッ!!パシッ!!

 

リリスはそれを棘付き鞭で全て弾いた。

 

「ハーッ!!」

 

M・Mが叫びながら、リリスにクラリネットをぶつけようとした。

 

「くっ!!」

 

リリスはそれをかわした。

 

「《限現幻獣(げんじゅう) 喰骸鴉(ががいあ)》!!」

 

フランはヴェルデの装置を使って、以前のルシフェルとリリスの戦いで骸と使った技を使った。1人でやっているために当時よりも攻撃力も防御力も落ちているがそれでも、高いほうだった。

 

「また、この技ね………。1度、私が防いだでしょ!!!」

 

リリスはそう言って、《色欲の炎》の有幻覚でリリスの周りに大量の茨を出して、それらを動かして、フランの《 喰骸烏(ががいあ)》を蹴散らした。

 

「同じ手なわけないじゃないですか~~」

 

「何ですって?」

 

フランの言葉にリリスが怪訝そうな顔をすると………

 

ドカンッ!!

 

「!!?」

 

リリスの周りにあった茨が爆発した。

 

「うっ……………!!?」

 

茨の中心にいたリリスは爆風を受けた。そして、リリスの周りに粉塵が舞った。

 

(………そういうことね。さっきの鳥たちはこの状況を作るための陽動だったのね………)

 

リリスがそう分析していると、粉塵から人影が出てきた。それは、女の姿だった。

 

(M・Mね……。でも………)

 

リリスはそう考えると何も動かずにじっとした。すると、人影はリリスをすり抜けた。

 

「(これは幻術)本物はそこよ!!」

 

リリスはある場所に棘付き鞭を振るった。

 

ガキンッ!!

 

そこには、本物のM・Mがいた。M・Mはクラリネットで棘付き鞭を防いだ。

 

「チッ!!」

 

M・Mは舌打ちした。

 

「ふん!!」

 

そこを千種がヘッジホッグから毒針を飛ばした。

 

「くっ………!!」

 

リリスはそれをかわした。そして、1度3人から離れて、お互いに態勢を整えた。

 

「チッ!!やっぱり、強いわね!!」

 

「ミーたち、勝てるんでしょうかね~?」

 

「…………」

 

3人はそんな感じで話していた。

 

「でも、あれから、そんなに時間経っていないのに、随分強くなったわね。正直、こっちもてこずらせてもらっているわよ………」

 

リリスはそんな3人に対してそう言った。すると、

 

「………リリス……」

 

ディーノたちと戦っていたスロウスがリリスに近づいて声をかけた。

 

「スロウス?何かしら?」

 

「…………()()を………使うぞ………」

 

「!!?私もそうしようと思ったけど…………。まさか、あなたがそれを言うなんてね………。あれは、使った後、ものすごく怠くなるから嫌だって、あなた、いつも言っていたのにね………」

 

スロウスの言葉にリリスが驚きながら言った。

 

「…………別に………ただ………このまま…………長引かせるほうが………怠い…………。………それだけだ………」

 

「成る程ね………、あなたらしい理由ね。でも、確かに、あれを使ったほうがいいわね……」

 

スロウスの答えにリリスが納得すると、リリスは藍色と黒色が混ざった色した匣、スロウスは青と黒が混ざった色した匣を取り出した。

 

「いったい、なにする気なんだ、あいつら?」

 

「わかりません………、ただ………」

 

「ものすごく嫌な予感がしますね~」

 

「これ、やばくない?」

 

「めんどいことになりそう……」

 

「早く止めるらぴょん!!!」

 

ディーノたち6人はそれぞれ、そう言った。しかし………

 

ボウッ!!

 

ボウッ!!

 

遅かった。リリスは《(トゥリニセッテ)リング》から膨大な量の《色欲の炎》を灯して、スロウスは同じように膨大な量の《怠惰の炎》を灯した。そして、2人はそれぞれ、炎を匣に注入した。

 

バキッ!!

 

バキッ!!

 

注入した炎が膨大なために2人の匣が割れた。そして、匣の中身は………

 

グサッ!!

 

グサッ!!

 

『!!!?』

 

リリスには藍色の光が、スロウスには青色の光が自分の胸元に刺さった。そして、リリスとスロウスの2人の刺された胸元からそれぞれ藍色と青色の光に包まれた。

 

「くっ!!これは、まさか………」

 

「修羅開匣!!?」

 

ディーノとバジルがそう言ったが………

 

「残念だけど、違うわ♪ミルフィオーレの現代種や古代種よりも、さらに上のランクよ♪」

 

藍色の光に包まれたリリスが否定した。そして、光が晴れると、そこにいたのは………。

 

「うふふ♪」

 

「……………」

 

リリスは頭に山羊のような角、背中には黒い翼が生えていた。胸元には《霧》の《(トゥリニセッテ)リング》が埋まっていた。

 

「これは《天空霧バフォメット(バフォメット・ネッビア・ディ・チェーリ)》との《羅刹開匣》よ♪」

 

スロウスは全身に鱗があり、首もとにはえら、背中と腕にはヒレがついていた。胸元には《雨》の《(トゥリニセッテ)リング》が埋まっていた。

 

「……………《天空雨ケートス(ケートス・ピオッジャ・ディ・チェーリ)》との………《羅刹開匣》………」

 

とリリスとスロウスは自分の《羅刹開匣》の説明をした。

 

「《羅刹開匣》~~?」

 

「バフォメット………キリスト教で出てくる悪魔の名前………」

 

「対して、ケートスはギリシア神話に出てくる魚の名前だよな………」

 

「ちょっと、どういうことよ!!なんで、そんなものが出てくるのよ!!!」

 

「よくわからないぴょん!!!」

 

「……………」

 

6人はそれぞれ、そう話していた。しかし、そんな暇は無かった。

 

「うふふ♪呑気にお話をしている場合かしら?」

 

そう言うと、リリスは空中に《色欲の炎》で作った大量の剣を浮かばせた。もともと精度の高かった有幻覚が《羅刹開匣》を使用したことでより精密な完成度になっていた。

 

『なっ!!?』

 

ディーノたちはそれを見て驚いた。

 

「これでも、くらいなさい!!!」

 

リリスは大量の剣をディーノたちに放った。

 

「くっ………!!」

 

ディーノたちはそれをかわしていった。そして、それらを全てかわした。

 

「ハッ!!どうらぴょん!!全てかわしたぴょん!!!」

 

犬は強気でリリスに言った。しかし、彼らは忘れていた。

 

ザシュッ!!

 

「グハッ!!」

 

『犬(殿/センパイ)!!?』

 

スロウスの存在を………。犬はスロウスに爪で切られた。

 

「な………ぜ………!!?…………俺の嗅覚………でも……わからな………かった………ぴょん………!!?」

 

バタンッ!!

 

そう言って、犬は倒れた。意識はあったが、戦闘不能になった。

 

「…………《羅刹開匣》により………俺の………《怠惰の炎》も………上がったからだ………」

 

スロウスがそう説明した。

 

「くっ………!!」

 

犬が悔しそうに顔を歪めた。

 

「犬から離れろ!!」

 

千種がヘッジホッグから毒針をスロウスに向けて飛ばした。

 

「……………」

 

すると、スロウスはヒレに《怠惰の炎》を纏わせて振るい、《怠惰の炎》の壁を作った。毒針がその壁を通ると止まった。

 

「なっ!!?」

 

千種は驚いた。

 

「あの《怠惰の炎》でできた壁を通り抜けたことで止まったようにさせたのか!!」

 

「山本殿の《時雨之化》以上の静止能力です!!!」

 

ディーノとバジルがそう言った。

 

「私のこと忘れていないかしら?」

 

リリスがそう言うと……

 

ボコッ!!

 

ドカンッ!!

 

「ガハッ!!」

 

地中から蔓が絡まった鉄球が出てきて、千種の腹に当てた。千種はそのまま、飛ばされた。犬と同様、意識はあったが、もう戦えそうになかった。

 

「千種!!」

 

M・Mが心配して千種の名前を叫んだが…………

 

「………他人の………心配している………暇は………ないぞ……」

 

「!!?」

 

後ろからいつの間にか移動していたスロウスが…………

 

ザシュッ!!

 

「キャーーーーッ!!」

 

M・Mを爪で切った。M・Mはそのまま倒れた。先程の2人と同様、意識はあったが、戦えそうになかった。

 

「M・Mセンパイ!!」

 

「あなたもよ♪」

 

「!!?」

 

M・Mを呼んだフランにリリスが鋼鉄のカバーを纏わせた蔓でフランをぶっ飛ばした。

 

「ギャッ!!?」

 

ぶっ飛ばされたフランはそのまま壁にまで飛ばされて、

 

ドガンッ!!

 

「ギャッ!!?……………」

 

頭をぶつけたのか、先程の3人とは違い、気を失ってしまった。

 

「フラン殿!!?」

 

「くっ……!!」

 

バジルとディーノがそう言うと、

 

「「!!?」」

 

何かに気づいたのか離れた。そこには、スロウスがいた。

 

「…………かわしたか………」

 

ディーノとバジルは何とか気づいて、かわしたが

 

「くっ……」

 

「うっ……」

 

完全にかわすことはできず、2人共、スロウスの爪にかすってしまった。

 

「でも、これでおしまいよ♪」

 

そう言うリリスの周りには、また大量の剣を浮かばせていた。

 

「そんなもの、またかわすだけだ!!………なっ!!?」

 

「そうです!!………えっ!!?」

 

そう言って、かわそうとした2人だが動けなかった。

 

「何してるんらぴょん!!!」

 

「早くしないとあなたたち、串刺しになるわよ!!!」

 

事情を知らない犬とM・Mはそう言ったが、それでも2人は動けなかった。

 

「…………無駄だ………」

 

そんなときにスロウスが言った。

 

「………そいつらは………俺の………《怠惰の炎》を………かすってしまった………。…………それにより………短時間だけだが…………動けなくなる………」

 

『なっ!!?』

 

スロウスの言葉にディーノたちは驚いた。

 

「それはスロウスの《怠惰の時間(マルヴォレーレ・アッティモ)》という技なのよ♪」

 

リリスが補足説明をした。

 

「くそっ!!」

 

「体が動かない!!」

 

ディーノとバジルは何とか体を動かそうとしたができなかった。

 

「ヒヒーン!!」

 

「キュイキュイ!!」

 

スクーデリアとアルフィンが自分たちの主を助けようと近づいたが何もできなかった。

 

「あらあら、主人想いの匣アニマルなこと♪でも、まぁ、その技の時間切れになる前にいかせてもらうわよ♪」

 

リリスがそう言ってディーノとバジルと2人の匣アニマルに大量の剣を放った。

 

「「「跳ね馬!!!バジル!!!」」」

 

犬たちは2人に呼び掛けたが2人は動けなかった。このままでは、ディーノたちは串刺しになってしまう。

 

……………そんなときだった。

 

「《暴蛇烈覇》!!!」

 

ゴオォォォォォォォッ!!!

 

キンキンキンキンキンッ!!

 

『!!!??』

 

突然、横方向に飛んできた竜巻が大量の剣を全て弾いた。これには、ディーノたちはもちろん、リリスとスロウスも驚いた。

 

「いったい、なんなの!!!??」

 

リリスがそう叫んだ。竜巻が治まると、そこには、いくつものの蛇の形に彫られた鎖付き鉄球があった。

 

「これって、確か…………」

 

「まさか!!!?」

 

心当たりのあったディーノたちは自分たちが入ってきた入口を見た。すると、そこにいたのは…………

 

「どうやら、何とか、間に合ったみたいだな………」

 

顔に2本の切り傷があった長身の男だった。

 

「「ランチア(殿)!!!??」」

 

それは、かつて骸に操られてツナたちと敵対した北イタリア最強の男、ランチアだった。

 

「………ランチア………?……まさか、………そのような………男が………来るとはな…………」

 

スロウスも驚いたようだ。

 

「お前ら、大丈夫か?」

 

ランチアは串刺しにされそうになったディーノとバジルに近づいた。

 

「あ、ああ………。ちょうど、スロウスの炎の効果も切れたみたいだ………」

 

「しかし、ランチア殿、どうしてここに?」

 

バジルが当然の質問をした。

 

「ああ、骸に呼ばれたんだ」

 

「骸ちゃんに!!?」

 

「まじかぴょん!!?」

 

「………そういえば、あのとき………」

 

千種は別れる前の骸のあの言葉を思い出した。

 

 

『大丈夫です。さらに策はありますので』

 

 

「そうか、あれは、お前のことだったのか」

 

千種が言った骸の言葉にディーノがランチアが聞いた。

 

「おそらく、そうだろうな。骸から事情は全て聞いている。ロヴィーノ教団のことも、そいつらの目的も、《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》のことも、そして、()()()()のこともな…………」

 

『………………』

 

ランチアの最後の言葉にディーノたちは全員黙った。

 

「しかし、落ち込んでいる暇はない。ここからは、俺も助太刀する!!」

 

「はい!!」

 

「助かるぜ!!さすがにきつくなってきたからな」

 

そう言って、ランチア、バジル、ディーノの3人はリリスとスロウスのほうを見た。

 

「1人、増えたわね………」

 

「…………それでも…………俺たちのやることに変わりは無い………」

 

「そうね………」

 

リリスとスロウスはそう話しながら、ディーノたち3人のほうを見た。

 

今、戦いが再開する。




ランチア、登場!!

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