家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

33 / 104
《大地》の誇りと覚悟

エンヴィーの《羅刹開匣》で紅葉とらうじを倒して、《グレイプニル》を外した正真正銘の全力で残りの5人を地に伏せさせた。

 

「ふん、これで終わりですね。《グレイプニル》を外した私には勝てませんよ。あなた方は、そこでロヴィーノが復活して、地球が滅びるところを見ていてください」

 

エンヴィーが倒れた炎真たちに背中を向けて、離れようとした。すると…………、

 

「…………ま、まだ……だ………!!」

 

「!?」

 

声がして、エンヴィーは後ろを振り返ると炎真が立ち上がっていた。よく見ると、炎真の傷は思っていたよりも浅かった。

 

「……なるほど、古里炎真、あなたは、私に切られる前に《大地》の炎の重力で後ろに引っ張られて、避けたのですね………。………他のメンバーも全員、意識があることから………、どうやら、似たような方法を使ったみたいですね………」

 

「くっ………」

 

「うっ………」

 

「ぐっ………」

 

「くっ………、え、炎真……」

 

エンヴィーの予測通りだった。炎真は切られる前に《大地》の炎の重力で後ろに引っ張って避けたのだ。そのために炎真は立つことができた。アーデルたちにも似た方法を使ったが4人の場合は少し遅かったらしく、意識はあるみたいだが、戦える状態ではなかった。

 

「しかし、鈴木アーデルハイトたちは、もう戦えそうにありませんね。残るは古里炎真、あなただけですよ?どうですか、降参しますか?」

 

とエンヴィーは先程、炎真が自分に聞いてきたことを聞き返した。

 

「ふざけるな!!僕は絶対、降参なんてしない!!!」

 

それに対して、炎真は怒鳴った。

 

「やれやれ………、わからない人ですね……。あなた1人だけで何ができるのですか?私に傷を負わせたのは、青葉紅葉、水野薫、SHITT・P!の3人であなた自身は重力を操って、私を足止めするだけでした。それで、私に勝てると本気で思いですか?」

 

エンヴィーに言われて、炎真は顔をしかめた。エンヴィーの言うとおり、この戦いで炎真は足止めしかしていなくて、攻撃に参加していない。………いや、この戦いだけではない。最初のルシフェルとの戦いも炎真は足止めしかしていなかった。ツナたちを救出しに行ったときも、ダークネスに一瞬で倒されて、何もできなかった。炎真はロヴィーノ教団相手にせいぜい、下っぱを倒したぐらいで《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》以上の相手にはサポートしかしていなかった。

 

「………だから、なんだ!!!そんなことは関係ない!!!僕はお前を倒す!!!倒さなければならないんだ!!!」

 

しかし、炎真は覚悟を灯した目でエンヴィーを睨み付けながら言った。

 

「…………古里炎真、いったい、何があなたを動かすのですか?」

 

エンヴィーにはわからなかった。炎真は傷こそは浅かったが使った炎はシモンファミリーの中で一番多かった。残っている炎もそう多くないだろう。炎真がエンヴィーに勝てる可能性は限りなく低い。それなのに、決して諦めなかった。何かが炎真を突き動かしているように見えた。炎真はエンヴィーの疑問に顔を俯かせながら言った。

 

「…………僕は、………僕たちはD(デイモン)・スペードに騙されて、ツナ君たちに酷いことをした…………」

 

炎真の言葉にアーデルたち6人も顔を俯かせた。

 

「でも、ツナ君たちはそんな僕たちを救ってくれた。ツナ君は僕のことを友達だって言ってくれた」

 

 

 

 

シモンファミリーの聖地

 

『………ツナ………ヨシ、………コロス………』

 

当時はまだ、ボンゴレへの復讐を持っていた炎真。それに加えて、仲間たちが誇りをかけた勝負で負けたことで復讐者(ヴィンディチェ)に連れていかれてしまったことにより、心が弱り、覚醒したシモンリングに食われて、壊れてしまった。

 

『炎真!!助けに来た!!』

 

それをツナが助けに来た。ツナの呼び掛けにより炎真は正気に戻った。しかし、先程の暴走で炎真自身がブラックホールになってしまった。炎真はツナたちに逃げるように言ったがツナは諦めず炎真を助けようとした。

 

『絶対に助ける!!俺の誇りにかけて!!』

 

そう言って、ツナは《XX(ダブルイクス) BURNER(バーナー)》で炎真を救いだした。そのあと、いろいろありながら、D(デイモン)・スペードを撃破した。

 

 

 

 

炎真がそう言うとエンヴィーはため息をつきながら言った。

 

「…………つまり、何ですか?あなたをここまで動かしているのは、あなた方の恩人である沢田綱吉を殺した復讐心ですか?それは、私にではなく、ダークネスに向けてほしいですね」

 

エンヴィーの言葉に対して、炎真は首を横に振って言った。

 

「いや、違う。………確かに、ツナ君が殺されたことに全く憎んでいないと言ったら、嘘になる。でも、その時に一番許せなかったのは僕自身だ!!」

 

「はっ?」

 

エンヴィーは炎真の言っていることがわからなかった。

 

「………僕はツナ君やスカルたちを助けにいこうとしたとき、こう思っていたんだ。『あの時の恩を返すことができる』ってね………」

 

炎真は辛そうな顔で言った。それを見てアーデルたちも似たような顔になった。人数制限が無かったら、アーデルたちも行くつもりだったからだ。

 

「………でも、僕たちは……僕はツナ君を死なせてしまった!!!救えなかった!!!助けに来たのに、ダークネスにあっさりとやられて、ツナ君1人に戦わせてしまった!!!」

 

炎真は悲痛な声で叫んだ。それを聞いて、アーデルたちも目を伏せたり、唇を噛みしめたりとしていた。しかし、エンヴィーには何も響かなかった。

 

「だから、何ですか?それは、あなた方が弱かっただけに過ぎません。所詮、弱者は全てを失ってしまうのですよ。強者のくだらない考えによってね………」

 

とエンヴィーは自分たちのことを棚に上げながらも何かを思い出すように言った。

 

「………そうだね。僕たちが弱かったから、ツナ君を死なせてしまった。それは、僕たちもわかっていたよ。だから、僕たちは絶望の底に堕ちたんだよ………」

 

「炎真…………」

 

そう言った炎真をアーデルが心配そうに見た。しかし、次の瞬間、炎真は顔をあげて言った。

 

「でも、僕たちはツナ君からこの地球の滅亡を阻止するように頼まれたんだ!!!僕たちはツナ君の想いを引き継いでいるんだ!!!」

 

そう、《ツナの想い》、これを引き継いだことで生まれた《覚悟》。そして、今の炎真の《誇り》である《ファミリーの皆と友達》。この2つが炎真を突き動かしているものだった。

 

「だから、僕は、なんとしてでも、お前を倒して、装置を破壊するんだ!!!僕たちの大切なものがあるこの地球をお前たちなんかに滅ぼさせてたまるか!!!」

 

炎真はエンヴィーに指を指しながら、力強く言った。それに反応したかのように額の炎も大きくなった。

 

「炎真……!」

 

「結局、その通りだ!!」

 

「ああ!!」

 

「うん!!」

 

「Yes ♪」

 

「まぁ、あの時は俺チンのせいでもあるしな~。ボンゴレには本当に迷惑かけたな~」

 

アーデルたち6人も倒れていながらもそう言った。

 

「………あなた方が何を言おうと勝手ですが、私たちの計画の邪魔はさせません!!!」

 

そう言って、エンヴィーは炎真に近づいた。

 

「はっ!!!」

 

炎真は《大地》の炎で大量の岩を持ち上げて、エンヴィーに投げつけた。

 

「こんなものが効くと思っているのですか!?」

 

エンヴィーは飛んできた岩を壊したり、かわしたり、した。すると、

 

「!!?(古里炎真がいない!!?)」

 

エンヴィーの視界から炎真の姿が消えたのだ。

 

「(どこにいったのですか?スンスン!!)そこですか!!!」

 

エンヴィーはフェンリルの嗅覚を使って、先程、炎真が投げた岩の1つを殴った。

 

ドガッ!!

 

岩が崩れるとその物陰には炎真が隠れていた。その炎真はエンヴィーに殴ろうと構えていた。

 

「…………わかっていたよ。お前なら、僕の居場所をすぐに特定することができるってことぐらいね!!!《大地の拳(プーニョ・デッラ・テラ)》!!!」

 

そう言って、炎真はエンヴィーに殴った。

 

「ガハッ!!!」

 

殴られたエンヴィーは飛ばされた。

 

「よしっ!!!」

 

「いいぞ!!!」

 

アーデルたちも称賛をあげた。炎真はただ殴ったわけではない。自分の拳に《大地》の炎を纏わせていた。殴ったときに炎の重力がエンヴィーにかかるように。これにより、炎真の拳には重力の重さが加わったのだ。

 

「くっ………。なかなか、やりますね………。ですが、こちらも負けてはいられません!!!」

 

そう言って、エンヴィーは立ち上がり、どこからともなく、大量の《嫉妬の炎》が纏ったメスを取り出して、炎真に投げつけた。

 

「《嫉妬の暴発(スコッピオ・ジェローソ)》!!!」

 

強化された肉体で投げられたメスはものすごいスピードで炎真に向かった。

 

「くっ………!!!?」

 

炎真は重力を操って、反らすことは難しいと思い、空中へと飛んでかわした。炎真を素通りしたメスはそのまま、壁に向かって、………、

 

ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!ドカンッ!!

 

大量の爆発が起きた。

 

「ッ………!!(あのメスに当たったら、まずい!!)」

 

炎真はそう思いながら、次の技を使った。

 

「《大地の重力(グラヴィタ・デッラ・テラ)》!!!」

 

炎真は再び球状の《大地》の炎を出して、エンヴィーを宙に浮かせた。そして、そこを狙って………

 

「はっ!!!」

 

炎真は先程の岩をエンヴィーの周り360度に配置して、一気にエンヴィーに向かって集中攻撃した。

 

「ぐっ!!がっ!!ごっ!!がっ!!」

 

エンヴィーはその岩に当たり、岩に固められた。そこには1つの岩でできた星ができた。しかし………、

 

ガシッ!!ゲシッ!!ゲシッ!!ガシッ!!ドカンッ!!!

 

エンヴィーは力ずくでそこから脱出した。エンヴィーはまた、メスを球状の《大地》の炎に投げつけた。

 

ドカンッ!!!

 

そして、それは再び爆発した。エンヴィーは、脱出した際に弾けとんだ岩に乗って、飛び移って、炎真に近づいた。

 

「!?」

 

炎真はそれに気づいて、すぐに離れようとしたが、

 

シュンッ!!

 

一瞬で炎真のすぐ近くまで移動してきた。しかも、エンヴィーは炎真を殴る体勢に入っていた。

 

「これでも、くらいなさい!!!」

 

「!!?《大地の拳(プーニョ・デッラ・テラ)》!!!」

 

炎真も重力の重さを乗せた拳でエンヴィーに対抗した。

 

ガキンッ!!

 

2人の拳がぶつかり合った。

 

「ぐぅあっ!!!」

 

「わあっ!!!」

 

ドカンッ!!!

 

2人はお互いに後ろの壁にぶつかった。

 

『炎真!!?』

 

アーデルたちは炎真のことを心配した。

 

ガララッ……

 

2人は立ち上がった。そして、お互いに向き合って…………

 

「「はっ!!!」」

 

2人は同時に、飛び出した。

 

ドン!!ガン!!ドン!!ガン!!ドン!!ドン!!ガン!!ガン!!ドン!!ドン!!ドン!!ガン!!

 

2人はお互いに片方が殴ろうとしてはかわしたり、捌いたりして、もう片方が殴ろうとしては、同じようにかわしたり、捌いたりしていた。そんな中、炎真は不思議に思った。

 

(なんだか…………、エンヴィーの攻撃が単調になってきている?それに、何か焦っている気がするような?)

 

炎真の言うとおり、エンヴィーは攻撃が単調になり、何かに焦っていた。それにより、炎真はなんとかエンヴィーに食いつくことができたのだ。

 

(…………まさか!!?)

 

炎真が何か思いついたのと同時に、2人は1度、攻防の応酬を終わらせて、離れた。

 

「はぁっ………、はぁっ………、はぁっ………、はぁっ………」

 

「ゼェッ………、ゼェッ………、ゼェッ………、ゼェッ………」

 

2人共、息が荒かった。そして、炎真が口を開いた。

 

「はぁっ………、………エンヴィー。もしかして、お前は………、()()()()()んじゃないの?」

 

「!!?」

 

炎真の言葉にエンヴィーは驚いた。

 

「限界?」

 

「結局、どういうことだ!?」

 

「What's?」

 

「あいつの《嫉妬の炎》のドーピングによる肉体強化は確か…………」

 

「《大空》の調和で後遺症とか起きないんじゃなかったよね?」

 

「おかしくね?」

 

アーデルたちはどういうことかわからなかった。

 

「………さっきまでの《羅刹開匣》だったら、そうだったかもしれない………。でも、《グレイプニル》を外した状態は《大空》の調和でどうにかすることができないんじゃないのかな?」

 

『なっ………!!?』

 

「くっ………」

 

炎真の言葉にアーデルたちは驚き、エンヴィーは苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「《グレイプニル》はそれを抑える役割もあったんだ」

 

「まるで、紅葉のメガネみたいだな~」

 

炎真の言葉にジュリーがそう言った。

 

「………………ええ、確かにその通りです」

 

エンヴィーはそれを認めた。

 

「確かに、今の私は限界が近く、もう時間がありません。………しかし、時間をかけてはいられないのはあなたもですよね?古里炎真」

 

「っ!!」

 

今度は炎真が驚く番だった。

 

「あなたに残っている炎も残り僅かのはずです」

 

エンヴィーがそう言うと………

 

「………うん、そうだよ。僕の炎もほとんど残っていない」

 

炎真もそれを認めた。

 

「ということは、実質………」

 

「これが、最後のぶつかり合いだよ………」

 

2人はそう言うとお互いに構えた。アーデルたちも黙って見守った。2人はしばらく、向き合っていた。そして…………

 

ダッ!!

 

2人は同時に飛び出した。炎真は《大地》の炎を、エンヴィーは《嫉妬の炎》を拳に纏っていた。2人が近づいて、先に殴ったのは……………

 

「ガッ………!!!?」

 

『炎真!!!?』

 

エンヴィーだった。エンヴィーは炎真の腹に殴ったのだった。アーデルたちは炎真のことを心配して、叫んだ。

 

「どういうことですか?」

 

しかし、エンヴィーは疑問に思った。エンヴィーは炎真を殴り飛ばすつもりだったのに、炎真は飛ばされなかった。

 

「!!!?」

 

その疑問はすぐに解決した。エンヴィーと炎真の間に炎の重力があった。炎真はそれに引っ張られて離れなかった。

 

「……………確かに、……僕の炎は………残りが少ない………。………でも………」

 

そう言うと、炎真は答えた。

 

「皆の炎がある!!!!」

 

炎真はそう言うと、

 

「アーデル!!!!紅葉!!!!らうじ!!!!薫!!!!しとぴっちゃん!!!!ジュリー!!!!皆の炎を貸してくれ!!!!」

 

アーデルたち6人にそう言った。

 

「炎真!?」

 

「結局、何がなんだかわからないが」

 

「わかった!!!」

 

「俺たちの炎を使ってくれ!!!」

 

「OK♪」

 

「持ってけ、ドロボー!!っ的な♪」

 

そう言って、アーデルは《氷河》、紅葉は《森》、らうじは《山》、薫は《川》、SHITT・P!は《沼》、ジュリーは《砂漠》の炎を炎真に向けて放った。6つの炎は炎真の《大地》の炎の重力により、炎真の拳に纏った。

 

「なっ!!?」

 

「くらえ、エンヴィー!!!!これが、僕の誇りと覚悟の力だ!!!!」

 

そう言って、炎真は大地の七属性の炎を纏った拳をエンヴィーの胸元、《晴》の《(トゥリニセッテ)リング》にぶつけた。

 

「《大地の一撃(コルポ・デッラ・テラ)》!!!!」

 

ガンッ!!!

 

「ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!??」

 

エンヴィーは悲鳴をあげた。

 

バキンッ!!

 

《晴》の《(トゥリニセッテ)リング》が割れた。

 

「オオォォォォォーーーー!!!!!」

 

そして、炎真はエンヴィーを殴り飛ばした。

 

ヒューッ………

 

ドカンッ!!

 

エンヴィーは壁に激突して、気を失った。それと同時にエンヴィーは元の姿に戻った。

 

「炎真…………!!」

 

「結局、やったぞ!!!!」

 

「すごいよ、炎真!!!!」

 

「うむ………」

 

「Wao!!!!」

 

「ハハッ、すっげ♪」

 

アーデルたちは炎真を讃えた。

 

「…………ツナ君、やったよ」

 

炎真はシモンリングを見ながら言った。

 

 

 

 

シモンファミリーVS晴の大罪

 

勝者、シモンファミリー


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。