家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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晴の大罪の全力

(トゥリニセッテ)リング》で《羅刹開匣》したエンヴィー。

 

「……なに……あれ?」

 

「結局、狼男ではないか!!!」

 

「彼、変身したよ!!!?」

 

「…………ヤバイのは、確かだな……」

 

「あぁ~、確かにこれはまずそうだな~……」

 

らうじ、紅葉、SHITT・P!、薫、ジュリーがそれぞれ、そう言った。

 

「この状態になった私にあなた方では、勝てませんよ」

 

エンヴィーが見た目に合わない口調で炎真たちにそう言った。確かに、今のエンヴィーからはとてつもないオーラが出ていた。

 

「………確かに、今のあなたはとても強そうだわ。でも、私たちが負けられないのに変わりはないわ」

 

「そうだよ!!僕たちはこんなところで負けられないんだ!!」

 

しかし、アーデルと炎真がエンヴィーに向かって、そう言った。

 

「うむ、結局、そうだな!!それに、どんな姿になっても、お前の《キラースポット》が見えているぞ!!」

 

そう言うと紅葉はエンヴィーに殴りかかろうと飛び出した。

 

「お前を結局、逃がさないぞ!!」

 

紅葉がそう言うと、自分とエンヴィーの周りを有刺鉄線で取り囲んだ。さらに、自分に《森》の炎の葉の竜巻を纏わせた。

 

「これで、どうだ!!!」

 

そして、紅葉はエンヴィーに殴ろうとした。

 

「ふん、そんなもの、当たりませんよ」

 

しかし、それをあっさりとエンヴィーはかわして、

 

ザシュッ!!

 

「ガッ………!!?」

 

《嫉妬の炎》が纏った爪で紅葉を切り裂いた。

 

『紅葉!!!?』

 

炎真たちはそんな紅葉を心配した。しかし、それで終わらなかった。

 

「グゥアァァァァーーーー!!!!?」

 

『!!!!?』

 

紅葉が目を押さえて苦しみ出した。いったい、何が起きたんだ、と炎真たちが思っていると

 

「…………確かに、《キラースポット》が見える目はとても厄介なものです。………ですが、膨大な量の情報を消費するために自分の目や脳に負担をかけて、オーバーヒートを起こします。それを防ぐために普通の人には全く見えないメガネをかけているぐらいですからね」

 

エンヴィーがそう説明した。

 

「でも、まだ時間があるはずよ!!!」

 

それをアーデルが反論した。そう、エンヴィーの言うとおり、紅葉は目を使うとオーバーヒートを起こしてしまうが、それが起きるまでの時間はあるはずだった。

 

「ええ、確かにそうですね。…………()()()()()()()()()()()ですが」

 

「どういうこと………?」

 

炎真がそう言ったが、心当たりがあった。

 

「まさか!!?」

 

 

 

 

ザシュッ!!

 

『ガッ………!!?』

 

 

 

 

「あの時に何かしたのか!!?」

 

「ええ、そのとおりです。あの時の私の爪には《嫉妬の炎》が纏っていました。それで切り裂いたことで、炎が青葉紅葉に流れて、彼の目に負担をかけたのです。理屈としては《嫉妬の暴発(スコッピオ・ジェローソ)》に似ていますね」

 

とエンヴィーが淡々と説明した。そして、

 

「もう、その状態ではあなたは戦えませんね」

 

ゲシッ!!

 

「ガッ………!!!?」

 

エンヴィーは紅葉を蹴り飛ばした。紅葉は自分が張った有刺鉄線を突き破り、そのまま………

 

ドガンッ!!

 

壁に激突した。

 

『紅葉!!!!?』

 

炎真たちは紅葉を心配した。その紅葉は意識はあったがオーバーヒートを起こした目と背中に刺さった、有刺鉄線により、もう戦えない状態だった。

 

「他人の心配している状態ではありませんよ」

 

そこを、エンヴィーが一瞬で近づいた。

 

「はっ!!」

 

ドガッ!!

 

「ガッ……!!?」

 

そして、エンヴィーがらうじを殴り飛ばした。

 

ドガンッ!!

 

らうじは紅葉と同様に壁まで飛ばされて激突した。

 

「らうじ!!!?」

 

らうじはこれも紅葉と同様、意識はあったがもう戦えない状態だった。しかも、エンヴィーはまだ、攻撃をしようとしていた。

 

「くっ………」

 

それに、ジュリーが幻術で鋼鉄の壁を作り出した。

 

ガキンッ!!

 

エンヴィーの攻撃は鋼鉄の壁によって防がれた。

 

「《ダイヤモンドキャッスル》!!」

 

続いて、アーデルが《氷河》の炎で死ぬ気の炎はおろか、どんな物理攻撃も効かない、あげくにはツナの《X(イクス) BURNER(バーナー)》をも防ぐ氷の城を自分たち5人を守るように作り出した。

 

「《無敵の防御壁(ムーロ・ディフェーザ・インヴィンチービレ)》!!」

 

アーデルはそう言った。

 

「だから、どうしたのですか?」

 

エンヴィーはそれに構わず、《ダイヤモンドキャッスル》を殴り続けた。

 

ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!

 

「くっ………!!?何て衝撃なの!!?《ダイヤモンドキャッスル》にここまでの衝撃を与えられるなんて…………!!?」

 

アーデルはそれに驚いた。

 

「なら………!!?《超重力BH(スーペル・グラヴィタ・ブラックホール)》!!!」

 

炎真はエンヴィーの後方にブラックホールを作り出した。

 

「ぐっ………!!?」

 

エンヴィーはブラックホールに引っ張られ、《ダイヤモンドキャッスル》から離れた。しかし、完全にブラックホールへ引きずり込むことができず、《ダイヤモンドキャッスル》からある程度離れた場所で踏みとどまった。

 

「よし!!アーデル、俺を出せ!!!」

 

「!!わかったわ!!!」

 

アーデルは言われた通りに薫を《ダイヤモンドキャッスル》から出した。《ダイヤモンドキャッスル》から出た薫は炎真のブラックホールの引力に引っ張られて、まっすぐ、エンヴィーに向かった。

 

「!!まさか!!?」

 

エンヴィーは薫が何をしようとしていたのかわかった。薫は槍に《川》の炎を纏わせていた。そのまま、エンヴィーに槍で突き刺そうとした。

 

「ぐっ!!?」

 

エンヴィーはブラックホールの引力で動けない体を動かして直撃は免れたが、横っ腹を槍でかすった。

 

「ほらよっと!!」

 

薫がそのまま、ブラックホールに吸い込まれないようにジュリーがクッションを作り、防いだ。さらに、巨大な植物の蔓を生み出して、薫を安全圏に運んだ。

 

「ふん、さらにこれよ♪」

 

SHITT・P!が《沼》の炎をエンヴィーに向かって照射した。

 

「グゥアァァッ!!!?」

 

それが、エンヴィーに当たり、さらにエンヴィーの手首と足首についていた鎖がついている枷にも当たり、解けた。

 

「やった♪」

 

「よし!!!」

 

「いいぞ!!!」

 

「ひゅ~、やるね~♪」

 

「このまま、行くよ!!!」

 

と炎真たちは言った。状況はこちらが優勢だ。

 

「………結局、………こちらが有利だ」

 

「………がんばれ、皆」

 

紅葉とらうじも自分たちが勝てると思った。

 

「……………ふふふふふ」

 

エンヴィーが小さくだが笑っていた。炎真たちは驚いた。今まで、エンヴィーが笑っているところを見たことが無かった。そして……………、

 

「ふふふふふ………、あーははははははははははーーーーー!!!!!!」

 

ブラックホールに引っ張られているにも関わらず、急にエンヴィーが大きな声で笑い出した。

 

「な、何なんだ、いったい?」

 

「なんで、彼は笑っているのよ………?」

 

薫とアーデルがそう言った。

 

「しとぴっちゃんの炎に当てられて、おかしくなっちゃった?」

 

「No~!!私の炎にそんな力はないよ!!!」

 

ジュリーとSHITT・P!がそんなことを言い合っていた。

 

「………でも、嫌な予感がする」

 

炎真はそんなエンヴィーに対して、そう言った。

 

「ははははははははははっ………、は~っ………、SHITT・P!………。いえ、あなたはこう呼ばなければ、反応しなかったですね………。しとぴっちゃん、あなたには感謝してますよ………」

 

笑うのをやめたエンヴィーがSHITT・P!に向かってそう言った。

 

「What's?感謝?」

 

SHITT・P!が不思議そうに言った。炎真たちも何の事か、わからなかった。

 

「ええ、あなたが《沼》の炎で溶かした鎖付き枷、これが何かわかりますか?」

 

エンヴィーがそう聞いてきた。しかし、SHITT・P!も炎真たちもわからなかった。ただ、アーデルは心当たりがあったのか答えた。

 

「あなた、自分が《(フェン)(リル)(・デル)(・セ)(レーノ)(・ディ)(・チェ)(ーリ)》と《羅刹開匣》したって言っていたわね………。もしかして、《グレイプニル》?」

 

アーデルがそう言うと炎真が聞いた。

 

「《グレイプニル》?」

 

「北欧神話でフェンリルを捕らえるのに使われた足枷のことよ」

 

そうアーデルが説明した。

 

「ええ。これは、《グレイプニル》と呼ばれるものです」

 

それに、エンヴィーが肯定した。

 

「でも、だから、どうしたのかな~?それが、外れたからって、そちらさんの状況が変わるのかな?今、絶賛、ブラックホールに吸い込まれてかけているというのにさ~」

 

そう、ジュリーが言った。

 

「変わりますよ、この通りにね!!!」

 

エンヴィーがそう言うと、《嫉妬の炎》を纏わせた爪を地面にぶつけた。すると、ブラックホールへのほうへと衝撃が飛び、ブラックホールをかき消した。

 

『なっ!!?』

 

これには、全員が驚いて、目を見開いた。

 

「ははは、《グレイプニル》が外れたことで私の体には今まで抑えていた《嫉妬の炎》が巡り、さらに肉体を強化することができるのですよ!!!!これで私は本当の意味での全力を出せます!!!!」

 

エンヴィーがそう説明した。どうやら、《グレイプニル》はそれを抑える枷のようだった。

 

「それでは、行きますよ!!!」

 

そう言うとエンヴィーは………

 

シュンッ!!

 

「ガッ!!」

 

一瞬で薫に近づいて、蹴り飛ばした。薫はそのまま、

 

ドガンッ!!

 

壁に激突した。

 

『薫!!!?』

 

皆は薫を心配したがそんな場合ではなかった。エンヴィーがこちらへと向かってきた。急いで、アーデルが《ダイヤモンドキャッスル》を構えた。そして、エンヴィーが《ダイヤモンドキャッスル》を殴った。すると…………、

 

バキッ!!ピキピキピキピキピキピキピキッ!!

 

エンヴィーが殴ったところから《ダイヤモンドキャッスル》に大量のヒビが入った。

 

「そんな!!?《ダイヤモンドキャッスル》にヒビをいれるなんて!!?」

 

アーデルは驚いた。無理もない。衝撃に弱い内側からではなく、衝撃に強い外側に一撃入れて大量のヒビをいれたからだ。雲雀との誇りをかけた戦いでも、雲雀は外側からではなく、内側に仕込んだ球針体を増殖させて、アーデルの《ダイヤモンドキャッスル》を壊したのだ。

 

バキンッ!!!

 

そして、エンヴィーは《ダイヤモンドキャッスル》を壊した。

 

「今更だけど、医者が格闘術を使って1人で戦うとか無しだろ!!!?」

 

ジュリーが本当に今更なことを言いながら、エンヴィーの周りを鋼鉄の壁で覆った。しかし……………、

 

ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!ガキンッ!!

 

ドッカンッ!!!

 

僅か十数秒で鋼鉄の壁を壊した。

 

「嘘だろ!!!?」

 

ジュリーは驚いた。他の3人もそうだ。しかし、エンヴィーはそこを狙って…………、

 

ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!

 

「きゃっ!!?」

 

「ガッ!!?」

 

「No~~~~!!?」

 

「くっ………!!?」

 

アーデル、ジュリー、SHITT・P!、そして、炎真を爪で切り裂いた。

 

「アーデル!!?ジュリー!!?」

 

「しとぴっちゃん!!?炎真!!?」

 

紅葉とらうじが4人を心配したが……………、

 

バタッ!!バタッ!!バタッ!!バタッ!!

 

4人はその場で倒れた。


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