家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~   作:R0

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決戦目前

リボーンの叱咤により立ち上がった獄寺たち。

 

そして、ようやく皆が落ち着いたところでチェッカーフェイスが話し出した。

 

「皆が落ち着いたのはいいが、状況は最悪だ」

 

チェッカーフェイスの言葉にリボーンたちの顔はしかめたがその通りだった。

 

「《ロヴィーノ教団》は(トゥリニセッテ)の力を全て奪って、《ロヴィーノ》復活のための鍵を作り出した。そして、リボーン君たちの話だと、今日にはその鍵に(トゥリニセッテ)の力が馴染むらしい。もう、我々には時間が無い………」

 

『………………』

 

チェッカーフェイスの言う通りだった。リボーンたちは黙った。チェッカーフェイスは自分たちのやるべきことを言った。

 

「そこで、我々がやるべきことは、直接、《ロヴィーノ教団》とぶつかって、勝利をつかみとって、《ロヴィーノ》復活を阻止することだ!!」

 

これもまた、チェッカーフェイスの言う通りだった。

 

「だが、奴等はどこにいるのか、わかっているのか?私たちが囚われていたところからは既にいないと聞いているが?」

 

とヴェルデが聞いた。リボーンたちが囚われていた場所は白蘭の平行世界(パラレルワールド)を共有する能力を持ってしてもいまだに発見されていなかった無人島を《ロヴィーノ教団》が独自に改造していたものらしい。あの後、確認でもう一度行ってみたら、そこはもぬけの殻だった。

 

「それなら、問題ない」

 

「奴等の居場所がわかっているのか?」

 

「いや、残念ながら、それはわかっていない」

 

「それなら、どういうことだ、コラ?」

 

とコロネロが聞いた。他の皆もどういうことか気になった。

 

「彼らの目的は《ロヴィーノ》の復活だ。それなら、必ず彼らは《ロヴィーノ》が封印されているところに行くはずだ」

 

チェッカーフェイスの言葉に皆、納得した。

 

「それなら、どこに封印されているのですか」

 

風が当然の質問をした。それにチェッカーフェイスは答えた。

 

「北緯25度、西経70度にある島だよ」

 

チェッカーフェイスの言葉に知る者は驚いた。しかし、

 

「……ってどこなのな?」

 

「極限にわからん!!」

 

「結局、僕もだ!!」

 

と山本、了平、紅葉たち3馬鹿トリオがわかっていなかった。

 

「この………、脳筋ども……!!」

 

「紅葉………」

 

獄寺と炎真は呆れたように言った。

 

「《魔の三角地帯》、《バミューダトライアングル》って聞いたことあるか?」

 

とリボーンが聞いた。

 

「ウムッ、それなら、極限に聞いたことがあるぞ!!」

 

「結局、飛行機や船が行方不明になる場所だな!!」

 

「そこに、封印されているのか?」

 

「その通りだよ。《バミューダトライアングル》の中心にあるのさ」

 

とチェッカーフェイスが肯定した。

 

「でも、そこに島なんてあるの?」

 

バミューダが聞いた。

 

「ああ、《ロヴィーノ》が再び復活されるのを恐れて、島の存在を隠したのさ。さらに、その島には周りには見えないように結界も張っている。…………彼らはおそらくそれらを何とかしてしまうだろうがね………」

 

とチェッカーフェイスは浮かない顔をして言った。

 

「ということは、そこに入った飛行機や船が行方不明になるのも、その結界のせい?」

 

と白蘭が聞いた。すると、チェッカーフェイスはさっきよりも浮かない顔をして首を横に降った。

 

「いや、それは、《ロヴィーノ》の仕業だよ………」

 

「?しかし、あなたは《ロヴィーノ》は封印されていると言っていたけど?」

 

とアーデルが言った。他の皆もどういうことか、わからなかった。チェッカーフェイスは説明した。

 

「《ロヴィーノ》の力は全てを封印することができなかった。封印しきれず、溢れた力が島の周りを覆ったのさ。それが《バミューダトライアングル》ができた原因なのさ。そこに入った飛行機や船が行方不明になったのも《ロヴィーノ》の溢れた力がそれらを破滅に追い詰めたからなのさ」

 

『!!!?』

 

リボーンたちは驚いた。《バミューダトライアングル》が《ロヴィーノ》の力の仕業だということに……、《ロヴィーノ》はそれほど恐ろしい邪神だということを……。

 

「《ロヴィーノ》の恐ろしいところはそこだけではない」

 

とチェッカーフェイスが言った。そして、《ロヴィーノ》の最も恐ろしいところを言った。

 

「あの邪神は、()()()()()()()1()()()()()()()()のさ」

 

『なっ!!!!??』

 

チェッカーフェイスの言葉に皆が驚いた。

 

「傷1つ付かなかっただと!!?」

 

「ああ、その通りだよ………。我々がどんなに攻撃しても平然と受け止めて、無傷でいたのさ。前にも言ったと思うが本当に封印できたのが奇跡だったのさ…………」

 

チェッカーフェイスが当時のことを思い出して、辛そうな顔をしていた。しかし、すぐに顔を引き締めて言った。

 

「だからこそ、我々は何としてでも復活を阻止しなければならない。《ロヴィーノ》の復活を許すことは、この世界だけではない。他の世界、いわゆる異世界をも滅ぼされてしまうということだ」

 

チェッカーフェイスの言葉に全員、顔を引き締めた。

 

その時だった。

 

ゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴッ

 

「うわっ!?」

 

「じ、地震!?」

 

「しかも、でかいぞ!?」

 

急に部屋全体を揺らす大地震が起きたのだ。しかし、その地震はすぐに治まった。

 

「………止まったか?」

 

「………みたいだな」

 

「それにしても、すごい揺れだね。もう、机とかメチャクチャだね」

 

白蘭の言う通り、部屋の惨状は酷かった。

 

「…………この地震。まさか!!尾道!!この地震はどれくらいの規模で起きたんだ」

 

「えっ?え~と。………!?チェッカーフェイス様!!この大地震、世界全体で起きたようです!!」

 

『!!!??』

 

尾道の言葉に皆、驚いた。

 

「世界全体でだと!?」

 

「いったい、どういうことだ!?」

 

皆が混乱しているとチェッカーフェイスが言った。

 

「おそらく……………、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()………」

 

『なっ!!!??』

 

「もう、始めたのか!?」

 

「遅かったの!?」

 

皆が絶望しかけたがチェッカーフェイスが否定した。

 

「いや、復活には《ロヴィーノ》が封印されている島にある祠に剣を突き立てる。その時に(トゥリニセッテ)の力が流れる。だが、すぐに《ロヴィーノ》が復活するわけではない。約12時間、剣を突き立てなければならないはずだ」

 

「つまり、12時間以内に剣を壊せば………」

 

「おそらく、復活を阻止することができるはずだ」

 

チェッカーフェイスの言葉にリボーンたちは自分たちのやるべきことがわかった。

 

「今、地震が起きたということは………」

 

「残り12時間をきっているってことか」

 

「そういうことだ。各自、急いで準備に取りかかってくれ!皆の準備ができ次第、攻めこむ!!」

 

チェッカーフェイスの言葉に全員、準備に取りかかった。

 

 

 

 

リボーンたちが決戦に向けて準備に取りかかったところで、とある場所では………。

 

「いよいよ、始まったぜーーーー!!!!」

 

「うるさいですね。しかし、その通りですね」

 

ジャバウォックとエンヴィーがそんな話をしていた。そう、ここは《神々至上サイキョウの邪神》、《ロヴィーノ》が封印されている島だった。ダークネスと《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》の7人、《ロヴィーノ教団》の構成員たちがいた。

 

()()()の言う通りだったな」

 

「ええ、そうね。嘘をつく理由が無いから信じてなかったわけじゃないけど………」

 

「剣を祠に突き立てたら、まさか、地球にこれ程の影響を与えるとは、さすがに驚いたでござる」

 

「………《ロヴィーノ》の………復活が…………近いって………ことだ………」

 

「そうだね。明日には全てが終わるんだね」

 

とルシフェル、リリス、豪、スロウス、ベルゼブブが言った。

 

「…………お前ら、準備しとけ」

 

祠の近くにいたダークネスがこちらに近づいて言った。

 

「準備?いったい、何の?」

 

とリリスが聞き返した。

 

「連中がここに来るはずだ。奴等にはチェッカーフェイスがいる。ここの情報は聞いているはずだ」

 

「なるほど。確かに用心した方がいいですね」

 

「ああ、そして、お前らに渡す物がある」

 

「渡す物?」

 

「これだ」

 

そう言って、ダークネスは掌に持っていた物を差し出した。それに《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》全員が驚いた。

 

「それ、どうしたのでござるか?」

 

()()()の言うには、もう必要ないみたいだからな、こうする方が有効活用できるだとよ」

 

とダークネスが言った。

 

「………確かに………、……これは……使える………」

 

「こいつはいいなーーーー!!!!」

 

「ありがたく使わせてもらいましょう」

 

「僕も、僕も!」

 

「うふふ♪それなら、私も♪」

 

「《強欲の炎》の使い手である我輩がいただかないわけないでござる」

 

と6人はそれをそれぞれ取った。そして、ルシフェルが最後に取って

 

「これなら、()()()有効に活用できるな」

 

「ああ、そうだな」

 

「よし、それなら、ダークネス、お前は休め!!」

 

「………はっ?」

 

ルシフェルの言った言葉にダークネスは理解できなかった。

 

「どういうことだ?」

 

「そのままの意味さ。あいつらの相手は俺たちがするからお前は休めって」

 

「それはわかっている。なぜ、俺が休まなければいけないのかを聞いているんだ」

 

「あいつらの相手は俺たちで十分だからだ。お前からもらった()()と俺たちの()()があるからにはな、それに………」

 

とルシフェルは間を開けて言った。

 

「お前は沢田綱吉と戦っているんだ。俺たちにも獲物を寄越してもらってもいいだろ?」

 

「………………はぁ。勝手にしろ」

 

「おお♪そう、させてもらうわ♪」

 

ルシフェルがそう言うとダークネスはどこか行った。

 

「いや~、よかった、よかった。ダークネスがバトルマニアじゃなくて」

 

「彼って、どうしても勝ちたい理由、もしくはどうしても負けたくない理由、そのどちらかでもあるなら勝ちに行くけど、どちらも無かったら、別に負けてかまわないって言うほど、戦いに意欲的じゃないのよね」

 

「そのせいか、彼ってよく模擬戦でもわざと降参しますね」

 

「まぁ、今回は我輩たちがいるから、自分は必要ないと思ったのではないでござるか?」

 

「俺たちがあいつらをぶっ潰すだけだーーーー!!!!」

 

「うん。そうだね」

 

「………正直、………怠い………」

 

とスロウスの言葉に呆れて、ルシフェルが提案した。

 

「仕方がねえな……。それなら、こういう風にするか?」

 

そう言って、他のメンバーに説明した。

 

 

 

 

2時間後

 

再び、多目的ホールに集まった。その中にいた人物に山本とスクアーロが声をかけた。

 

「ん?おっ!幻騎士じゃん!!」

 

「ゔぉおおおおい!!テメー、いやがったのかーーーー!!!!」

 

ミルフィオーレファミリーの《霧》の6弔花の幻騎士だった。10年後の世界では自分が所属していたアリアやユニのジッリョネロファミリーを裏切り、白蘭に忠誠を誓っていたものの、その白蘭に裏切られ、桔梗に殺された。現代ではお互いに和解して、ミルフィオーレの一員として、ユニと白蘭に忠誠を誓っている。その時に、γたちといろいろと揉めたが………。

 

「…………山本武にスクアーロか」

 

幻騎士が2人の方へ向いて、そう言った。

 

「今回、幻騎士には対構成員の部隊の隊長をお願いしようと思っているんだ♪」

 

すると、白蘭が3人に近づいて言ってきた。

 

「対構成員?」

 

「そう♪山本君もスクアーロ君も僕たちを助ける際に彼らの構成員たちと戦ったでしょ?今回もおそらく、そんな感じになると思うからね」

 

「確かに、あいつら、そこらへんのカス共よりは腕が立っていたぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

山本とスクアーロは当時のことを思い出した。

 

「だから、その構成員たちを相手するのにはこちらもそれなりの手練れじゃなきゃダメなわけ。スクアーロ君、ヴァリアーからも多くの構成員が来ているんじゃない?」

 

「ああ、そう言えば、来てたぜえぇぇぇぇーーーー!!!!」

 

「僕たちミルフィオーレ、君たちボンゴレの構成員で《ロヴィーノ教団》の構成員の相手をするんだ」

 

「その隊長を幻騎士がするんだな」

 

「そういうことだ」

 

「向こうの構成員たちも相当の手練れだと思うけど……、一番ヤバイのは………」

 

「《大罪の7人(ペッカート・セッテ)》とダークネス………」

 

山本は自分たちが戦った相手のルシフェルと目の前でツナが戦った相手のダークネスを思い出した。《ロヴィーノ教団》のツートップ、それ以外にもそれに準じる幹部が6人もいる。山本がそう考えて俯くと何かに気づいた。

 

「あれ?白蘭、それって………」

 

「ん?あっ、これ?マーレリングだよ♪」

 

白蘭の指には《大空》のマーレリングがはまっていた。

 

「相手が相手だからね。ユニちゃんから許可貰っているよ♪」

 

「そうなのな」

 

「他のマーレリングも(リアル)6弔花とγ君が持っているよ」

 

白蘭に言われて山本とスクアーロは見てみると確かに6人の指にマーレリングがはまっていた。

 

「でも、(トゥリニセッテ)の力を奪われているからか、全力を出せないのよね~。山本君のVG(ボンゴレギア)もそうでしょ?」

 

白蘭に言われて、山本の顔が曇った。

 

「ああ、次郎と小次郎が戻ってきたのは嬉しいが……」

 

と言って黙った。

 

「ゔぉおおおおい!!何黙っているんだ!!そんなもん、奪い返せばいい話だろうがーーーー!!!!」

 

「スクアーロ………。ああ、そうなのな♪」

 

山本がやる気を取り戻した。

 

 

 

 

一方、こちらでは

 

「入江にスパナ、ジャンニーニじゃねぇか」

 

「テメーらもいたのか」

 

リボーンと獄寺が声をかけたのは10年後の世界ではミルフィオーレの《晴》の6弔花の入江正一。同じく、メカニックのスパナ。ボンゴレ専属の武器チューナーのジャンニーイチの息子、ジャンニーニ。

 

「やぁ、2人共」

 

「んっ」

 

「これはこれは、リボーンさんに獄寺さん」

 

3人も2人に気づいて挨拶した。

 

「僕らもメカニックとして、協力することになったんだ」

 

「地球が滅ぼされるなんて、ウチやだ」

 

と入江とスパナが言った。

 

「入江とスパナはともかく、ジャンニーニって大丈夫なのかよ………」

 

獄寺は以前、ジャンニーニにダイナマイトを改悪されたこと思い出した。

 

「ちょっ!!獄寺さん!!私も10年後の記憶を引き継いでいるのです!!大丈夫ですよ!!」

 

とジャンニーニが言った。すると、

 

「皆、いいかね?」

 

チェッカーフェイスが全員に声をかけた。

 

「いよいよ、島へと攻めこむ。まず、メンバーに関してだが、ヴェルデ君、ユニ、入江正一君、スパナ君、ジャンニーニ君、念のために護衛として太猿君、野猿君、バミューダ君以外の復讐者(ヴィンディチェ)にはこちら側にいてもらおうかな」

 

とチェッカーフェイスは言った。

 

「イェーガーたちはこっち側じゃねえのか?」

 

「今回、おそらく長期戦になると思われるから、イェーガー君たちにはきついね」

 

獄寺の質問にチェッカーフェイスが答えた。確かに自分で炎を生成することができないイェーガーたちにはきついことだ。

 

「そして、他のメンバーが……」

 

「島へ攻めこむメンバーってわけだな」

 

チェッカーフェイスの言葉にリボーンが続きを言った。

 

「いよいよだな」

 

「ああ、10代目の想いは無駄にしねえ」

 

「極限にやるぞーーーー!!!!」

 

「ボス………」

 

「クフフ………」

 

「………………」

 

守護者たちはこんな感じだった。

 

「太猿、野猿、姫を守れよ」

 

「おお!!」

 

「任せてくれよ!γ兄貴!!」

 

γの言葉に太猿と野猿が答えた。

 

「γ、白蘭、皆さん、気をつけてください……」

 

ユニが皆にそう言った。

 

「大丈夫だよ、ユニちゃん♪」

 

それを白蘭が代表する形で答えた。

 

「それでは、バミューダ君、頼むよ」

 

「………わかったよ」

 

チェッカーフェイスの頼みにバミューダは渋々と《夜》の炎のワープホールを作った。これをくぐり抜けたら、目的地に着く。

 

「よし、それじゃ、オメーら、行くぞ!!」

 

『オオーッ/うん/はい!!!』

 

リボーンたちは全員、ワープホールをくぐり抜けた。

 

 

 

 

リボーンたちがワープホールをくぐり抜けたのとほぼ同時刻、中山外科医院のある部屋

 

『………………』

 

ものすごく、静かだった。そこにいたのは京子、ハル、ビアンキ、そして、……………ツナの遺体だった。ツナはまるで寝ているかのようだった。京子とハルは目を真っ赤に腫らしていた。

 

「ツナ君…………」

 

「ツナさん…………」

 

リボーンにはツナと話すとは言ったものの来てから、ずっと泣きっぱなしだった。

 

「………………(リボーンや隼人たちは今頃、攻めにいった頃合いでしょうね)」

 

ビアンキは2人のことはもちろん、リボーンたちのことも心配していた。

 

「………ナッツちゃんにももう会えないですね………」

 

ハルがツナの遺体の傍にある《ボンゴレギア 大空のリングVer.X》を見てポツリと言った。

 

「………パパンや9代目が炎を灯せばまた、会えるわよ」

 

ビアンキが励まそうと言ったが

 

「……………でも、ナッツ君も相棒のツナ君に会えないってことですよね」

 

「………………」

 

京子の言葉にビアンキは黙った。どうやって、2人を励まそうかとビアンキが考えていたときだった。

 

ガララッ

 

『!!?』

 

自分たちしかいない廃病院の病室の扉が開いたのだ。ビアンキは2人を守るようにして警戒した。中に入ってきたのは………

 

「えっと………、ごめんなさい……」

 

セミロング位の長さの茶髪をしたフゥ太と同じ位の年の少女だった。少女の首には何かぶら下げているみたいだが、服の中に隠れて見えなかった。ビアンキはそれを見て警戒を解いた。京子とハルも涙を拭いて少女に話しかけた。

 

「君、どうしたの?」

 

「ここには、ハルたち以外誰もいませんよ?」

 

「え、えっと………」

 

少女は京子とハルに聞かれて困っていた。

 

「あなた、名前は?」

 

ビアンキに名前を聞かれた。

 

光城(こうじょう)明聖(あみ)………」

 

少女、明聖は自分の名前を言った。

 

「明聖ちゃんね?」

 

「う、うん…………」

 

「ここには、どうしたの?」

 

「え、えっと………」

 

そう言ってまた明聖は困ったような顔をした。

 

「迷子かな?」

 

「うーん。どうでしょうか?えっと、お父さんかお母さんは?」

 

ハルがそう聞くと

 

「えっと、パパが………」

 

明聖はそう答えた。

 

「パパンがいるのね。パパンの名前は?」

 

今度はビアンキが父親の名前を聞いた。

 

「えっと…………、パパのお名前は……お姉ちゃんたちも………知っていると思う」

 

と明聖が言って、京子たち3人は顔を見合わせた。

 

「ハルたちも知っているですか?」

 

「うーん。でも、光城って言う苗字の人、聞かないよね?」

 

「私もよ。………ごめんなさい。あなたのパパンの名前教えてくれないかしら?」

 

ビアンキに言われて、明聖は何か迷っていたけど、意を決したように自分の父親の名前を言った。

 

「……………ダークネス」


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