家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~ 作:R0
シュ~~ッ
「ガハッ…、ゴハッ……、ゴハッ…!!」
死ぬ気化が解けたツナは血を吐きながら、驚愕の顔でダークネスを見た。それは、リボーンや獄寺たちも同様だった。
「………テメーッ、何で……何で……左腕が…戻っているんだ!!?し、しかも、……そ、それ……は、……じゅ、10代……目の……」
獄寺がダークネスに聞いた。それは、他の皆も同じ気持ちだった。ダークネスの左腕はツナの《
「…………俺は沢田綱吉の
「…………そういうことか……」
バミューダが言った。
「君は《闇夜》の《夜》の炎の力で分裂させたんだね………?」
「ああ、その通りだ。お前ら、
ダークネスの言う通り、バミューダとイェーガーが虹の代理戦争で似たようなものを見せていた。
「あとは、斬り落とした腕は《闇夜》の炎で異空間に飛ばしていただけだ」
「異空間だと?」
「そんなものがあるのかよ!?」
「信じがたい話ですね……」
ヴェルデとスカル、風が言った。
「…………獄寺隼人、山本武、雲雀恭弥。お前ら、
「………ちっ……」
「………あれか…」
「……………………」
獄寺、山本、雲雀は
「………沢田綱吉が心臓を抉り取られたって言うのに生きているのも同じ理由か?ドカス」
XANXUSが聞いた。
「ああ、そうだ。心臓を抉り取る際に血管の切断面には《闇夜》の炎が纏っている。だから、沢田綱吉は生きている」
「それなら、なぜ僕の幻術が効かないのですか?」
今度は骸が聞いた。
「えっ……?どういうこと?」
炎真がわけわからず聞いた。
「沢田綱吉の心臓の有幻覚を作ろうにも拒絶されるんだよ……」
「私も急いでボスの心臓を作ろうとしているけど……、何故かできないの………」
マーモン、クロームがそう説明した。
「それは、《闇夜》の《闇》の炎の力だ。血管の全てが《闇夜》の炎で纏っている。それによりお前らの有幻覚は全て無効とされている」
ダークネスがそう説明した。
「そんな………!?」
「沢田綱吉を何とかしたいなら、俺から心臓を奪い返すことだな」
ダークネスがそう言うと……
ギュッ
心臓を握った。
「ガハッ!?」
「10代目!!」
「ツナ!!」
「沢田さん!!」
ツナが苦しみだし、獄寺たちは駆け寄った。
「おいっ、テメー今すぐやめろ!!」
γがそうダークネスに叫んだ。
「わかった」
ダークネスは意外にもあっさりと心臓を握るのをやめた。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ………」
ツナの息は荒かった。
「10代目………。おいっ!!10代目の心臓を返しやがれ!!!」
獄寺がダークネスに向かって睨み付けながらそう言った。他の皆も睨み付けながら言った。
「返すわけないじゃん」
それをルシフェルが言った。
「なっ!?ふざけんな!!それは10代目の心臓だぞ!!!」
「いや、そんなこと、わかってるから……。沢田綱吉はどっちみち、殺すつもりだしな」
『!!!??』
ルシフェルの言葉に皆、驚いた。そして、並盛総合病院での会議に参加した者には心当たりがあった。
チェッカーフェイスの話にあった、ダークネスとルシフェルの通信機での会話、その中にこんなのがあった。
『そいつはギャラリーとして必用だし、計画前に殺しておくやつはたった一人だけだからな』
ルシフェルがこう言っていたのだ。
「御主たちが、チェッカーフェイス殿との戦闘後での通信機で言っていた。殺しておきたい人物というのは………沢田殿のことだったのですか!?」
バジルがそう言うと、知らないメンバーは気になった。
「どういうことだ!?」
ラルが聞くと、
「どうやら、チェッカーフェイスがダークネスと戦って敗れたあとにルシフェルと通信機で話していたみたいなんだ、コラ。その会話の中に『計画前に殺しておくやつはたった1人だけだ』ってあったみたいなんだ、コラ」
「そして、それが綱吉君って言うことになるわけね………」
とコロネロが答えて、白蘭が言った。
「その通り♪沢田綱吉だけはこの儀式が終わったら殺すつもりだったのさ」
ルシフェルはあっさりと認めた。
「…………どう……して……、………俺…だけ…な…の……?」
ツナが途切れ途切れに聞いてきた。
「クフフ、確かに沢田綱吉だけを殺すというのは不自然ですね。他にも殺しておきたい人物とかはいなかったのですか?」
「そうだよ。リボーン君とか厄介だよ?」
「おいっ。バミューダ、さりげなく、俺を出すんじゃねぇ」
と他のメンバーもなぜ、ツナだけを殺すのかわからなかった。本当は真っ先にツナの心臓を取り返したかったがうかつに攻めるとツナの心臓に危害が及ぶためにできなかった。
「それは、沢田綱吉の本質にある」
とダークネスが言った。
「ツナの本質?」
山本が繰り返して聞いた。
「ああ、今まで沢田綱吉はいろいろな戦いを経験した。それら、全て言うなら、
『六道骸率いる黒曜との戦い』、
『XANXUS率いるヴァリアーとのリング争奪戦』、
『白蘭率いるミルフィオーレファミリーとの10年後の未来の戦い』、
『古里炎真率いるシモンファミリーとの誇りをかけた戦い』、
その後に起きた『
そして、『バミューダ率いる
ダークネスの言葉に骸、XANXUS、白蘭、炎真、バミューダの顔つきが変わった。そして、ダークネスは続けた。
「新しい戦いに入る度にお前らは敵だった沢田綱吉に協力している」
ダークネスの言葉に皆言いたいことがなんとなくわかってき始めた。
「リング争奪戦では六道骸、お前はクローム髑髏の体を借りて、沢田綱吉の《霧》の守護者としてマーモンに勝った」
「クフフ、あれはただ、そのほうが沢田綱吉との契約が行いやすいからですよ」
骸が何か言ったがダークネスはそれを無視して続けた。
「ミルフィオーレとの未来での戦いでは、XANXUS、お前は死闘を繰り広げた沢田綱吉に加担している」
「………フンッ、ドカスが。内部にどのような抗争があろうと外部のドカスによる攻撃を受けた非常時においてはボンゴレは常に1つ!……それだけの話だ」
XANXUSの言葉も無視してダークネスは続けた。
「白蘭、お前は水野薫に重傷を負わされた山本武を助けた。それが結果的に沢田綱吉の助けとなった」
「あれはただ、なんとなくだったんだけどね~」
「古里炎真、お前たちは沢田綱吉を含むボンゴレを憎んでいたにもかかわらず、
「ツナ君たちがいてくれたから今の僕があるんだ!!」
「バミューダ、お前はチェッカーフェイスに復讐したかったのに、最終的には沢田綱吉の案に乗った」
「あれでも、十分、チェッカーフェイスへの復讐になるからね」
白蘭、炎真、バミューダはダークネスの言葉にそう言い返した。
「何より、虹の代理戦争。ボンゴレ、黒曜、ヴァリアー、CEDEF、ミルフィオーレ、シモン、アルコバレーノ。沢田綱吉が協力を求めた結果、格上の相手だった
ダークネスは1度、間を空けて言った。
「お前らがなんと言おうと、結果的に沢田綱吉に加担しているのは事実だ。むしろ、無自覚の方が厄介だ」
ダークネスはまっすぐツナの方を見た。
「『全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する大空』とは言ったものだ……。沢田綱吉、お前は紛れもない《大空》だ」
とツナに向けて、はっきり言った。
「お前という存在がいるだけで、厄介なことになる。全員、一団となっているやつらと戦わなくてはならない。敵対するものとして望んでいない……」
とダークネスが再び間を空けると
「だから、お前を殺す!!」
ギューッ
そう言って、ツナの心臓を握り潰そうとした。
「ッーーーーーーーーーーーー!!!!??」
ツナの声にならない悲鳴が上がった。
『10代目/沢田/ボンゴレ/ツナ(君/さん/殿)!!!!??』
獄寺たちがツナの側に寄ろうとしたがツナは風穴があいた左胸を押さえて暴れまわった。これはヤバイと思ってリボーン以外はツナから離れてダークネスを止めようとした。
『やめろ(やめて)ーーーーーー!!!!!!』
獄寺たちは叫んだ。
……………………………だが、遅かった。
グシャッ
「え?」
誰が言ったのかわからなかった。だけど、そんなことはどうでもよかった。とりあえず、嫌な音が聞こえたと思ったら静かになった。ダークネスの左手は着ているワイシャツと同じくらい真っ赤だった。下にはポツポツと滴り、真っ赤な水溜まりがあった。その中には何かの個体がいくつかあった。
「……お、おいっ……。10代目の心臓……は、どこに…やったんだ?」
獄寺が顔を青くし、声を震わして聞いた。他のメンバーも何人かは除いて、全員、顔を青くしていた。外れてほしい、そんな思いがあった。
「あ?お前ら見てなかったのか?今、ダークネスが握り潰したじゃねぇか」
しかし、ルシフェルの言葉で裏切られることになった。
「う、嘘……なのな……。そんなの……」
「ウ、ウム。……極限に……ありえんぞ……」
「そ、そんなの………信じられないよ……」
皆、信じることができなかった。
「それなら、沢田綱吉を見たらどうだ?」
とルシフェルが指を指して言った。獄寺たちはそっちの方へ向くとそこには………
ボルサリーノを目深に下げたリボーンと………
「じゅ、10代目………?」
「ツナ………?」
獄寺と山本がツナの名前を言った。しかし、ツナの返事はなかった………。
「ボス………?」
「ツナ君………?返事して………」
「沢田殿………?どうしたのですか………?」
「沢田さん………?皆さん、呼んでいますよ………?」
「沢田ーーーーーー!!極限に起きんかーーーーーー!!京子たちが待っているんだぞーーーーーー!!」
クロームとユニは目に涙をためて、炎真とバジルは茫然と了平は大声で叫んでツナに呼び掛けたが返事はなかった。
「いくら、呼んだって無駄だって。沢田綱吉は
ルシフェルが残酷な現実をつきつけた。
「……う……そ……だ……。……嘘……だ……。……嘘だ……。……嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だーーーーーー!!!!」
獄寺が叫んだ。一部を除いたメンバーも顔を青くして、現実を受け入れることができなかった。パニック状態になっているものもいた。
(っ………。これはマズイ。………彼の言う通り沢田綱吉君は彼らにとって、中心とも言える人物だったか………。でも、このままじゃ、全滅を迎えてしまう………。………しかたない)
とバミューダが思うと
ゴォォォォッ
キューーーン
『!!?』
巨大なワープホールを作り出し、自分やツナの遺体を含めた味方全員を吸い込み脱出した。ダークネスとルシフェルは吸い込まれないようにと剣を守りながら耐えた。
………………………
その場に残ったのはダークネスとルシフェルだけだった。剣は吸い込まれずにすんだようだ。
「………逃げたか」
ルシフェルがそうつぶやいた。
「………あれだけ、時間が経っているんだ。炎も回復しているはずだ。それに、沢田綱吉との戦闘で結界が壊れたからな。ワープホールを使うことができたんだ」
ダークネスが淡々と答えた。
「おまけに、大半のメンバーがパニックを起こしてまともな状態じゃなかったからな………。バミューダのあの判断は正しかったな。………何気に、抜け殻となった
とルシフェルは何も残っていない台座を見て言った。そう、バミューダは味方と一緒に
「それにしても、沢田綱吉強かったな………。
「ああ……」
「やっぱり、あいつは殺しておいて正解だったな」
「……そうだな」
「……どうしたんだ?」
「何がだ?」
「いや、お前、何だか上の空だぞ」
「そっか?お前の気のせいだろ」
「………まぁ、いいか。それよりも、この剣が完全に馴染むのは2日後だから、《ロヴィーノ》復活はその次の日の3日後になるな」
「ああ、それまでは待つしかない」
「それじゃ、俺は部屋に戻るかな」
そう言って、ルシフェルは出ていった。その場に残っていたダークネスはしばらくの間、何かをするわけでもなく居続けた。そして、ツナが死んだ場所に近づくとそこで
この世界から《大空》が消えた。