家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~ 作:R0
リリスの棘付き鞭を防いだのは、リリスの幻術に捕らわれていたはずの骸だった。骸は棘付き鞭を弾いた。そして、リリスも1回距離を取った。
「……む…骸……ちゃ……ん……?」
「ええ、そうですよ」
M・Mの質問に骸は答えた。
「その頭の房、間違いなく師匠ですねぇ~。幻術の類いではありません。しかも、房が生き生きとしています」
「お黙りなさい」
「あっ……」
フランの毒舌に骸はフランの被り物のリンゴに三叉槍を突き立てた。
「ふーん。自力で脱出できたんだ…」
リリスが骸に向かってそう言った。
「ええ、なかなか高度なものでした。おかげさまで僕でも時間がかかりました」
「もっと、早く来てくださいよ~。この変態パイナッポー!」
「お黙りなさい」
「あっ」
と再びフランは骸に突き立てられた。
「………さすがはエストラーネオファミリーを壊滅させた男ってかしら……。あなたは真の意味でトラウマを克服しているみたいね……。……あの2人がいつの間にか気絶して、幻術を受け付けないようにしたのもあなたの仕業ね」
リリスの視線の先には自傷行為を止めて気絶していた犬と千種がいた。
「クフフ、その通りです。僕はあの幻術から脱出したあと、まず先に2人を眠らせました」
そう言って、骸はM・Mに近づいて言った。
「遅れて申し訳ありません。あとは僕に任せてください」
「………うん……」
そう言って、M・Mは気を失った。骸は立ち上がってルシフェルとリリスのほうに向いた。
「………どうやら、思ったよりも手強いですね。僕も本気で行きますか。………舞え、《ムクロウ》」
骸は『ボンゴレギア 霧のイヤリングVer.X』から『
「
骸がそう言うとムクロウは三叉槍と合体して、先端に無数の刃がある錫杖に変わった。
「フラン。気を引き締めて行きなさい。………あの2人は強い……。下手すれば、イェーガー以上だと思いなさい………」
骸の言葉にフランは驚いた。
「……えっ……………?ししょ~、そんな大げさな~」
「大げさなんかではありません。あのリリスという人物はこの僕を短い時間とはいえ、強力な幻術に嵌めたのです。それから、あのルシフェルという人物はおそらく、リリスよりもはるかに強いと思われます」
骸の言葉でフランは恐怖のあまりに青リンゴになってしまった。
「《色欲の炎》……。とてつもなく恐ろしい炎です。その炎があれば《有幻覚》の弱点である『実体以上の力は出ない』というのが無くなるというわけです」
「ふふっ、察しがいいわね♪その通りよ♪私の有幻覚は実体以上の力を出すことができるわ」
「それにルシフェルにも僕たちの
「りょ……了解でーす」
骸とフランは虹の代理戦争でヴェルデが作った『幻術を実体化する装置』を手に嵌めた。
「フラン、君はサポートをお願いします」
「了解でーす」
「それなら、六道骸は俺がやる。リリス、お前がサポートしろ」
「はいはい、わかったよ……」
4人はそれぞれ構えた。そして、今、第2ラウンドが始まる。
ジャキンッ
骸の錫杖とルシフェルのハルバードが交わった。骸は右目の六の字を四に変えて、右目に《霧》の炎を灯して、戦闘能力向上の《修羅道》でルシフェルに向かった。
ジャキンッ、ジャキンッ、ジャキンッ、ジャキンッ
錫杖とハルバードが交差している中、
「はっ!!」
フランがリンゴ型の爆弾をルシフェルに投げつけた。しかし、
バシッ、バシッ、バシッ、バシッ、バシッ
ドカ、ドカ、ドカ、ドカ、ドカーン
リリスが地面から出した巨大な蔓の有幻覚で爆弾を全て弾いた。
ジャキンッ
「なかなか、やりますね」
「お前もな」
今度は骸は右目の字を一に変えて、ルシフェルの下から《地獄道》によって生まれた上にヴェルデの装置によって実体化した火柱がルシフェルを襲った。
ルシフェルはジャンプして空中で体勢を変えて頭が下に向くようにして、手甲から《雨》の炎を出して、ハルバードに炎を纏わせて回して、《雨》の炎の鎮静により火柱を抑えた。そして、
カチンッ
リリスの幻術により凍らせた。
そして、再び、
ジャキンッ
骸とルシフェルがぶつかった。何度かのぶつかり合いの内にルシフェルが急に首を横に傾けた。すると、
「!!?」
傾けたと同時にルシフェルの頭があった場所の後ろから棘付き鞭が襲ってきた。
ガンッ
棘付き鞭が骸の顔に当たる前にフランが鋼鉄のカバーで守った。骸は後ろに下がってリリスに言った。
「……教団ともあろうものが、まさか、
そう、今のリリスの攻撃は一瞬でもルシフェルが首を横に傾けるのが遅れたら、棘付き鞭に貫かれていたのだ。しかし、攻撃をしたリリスも攻撃を受けそうになったルシフェルもなんでもないように答えた。
「別に、それがどうしたの?」
「俺たち《ロヴィーノ教団》は『常に1人で戦うことを意識しろ。自分以外の周りは全て敵だと思え』を信条にしている。リリスたちのようなサポートができる奴はいるが、《ロヴィーノ教団》は1人で戦うことがほとんどだ。もし、今ので俺が殺されたとしても、それは俺の実力が足りなかっただけの話だ」
「クフフ、僕が言うのも何ですがあなたがた、イカれていますね」
「本当にししょ~が言うのも何なんだって話ですねぇ~」
「お黙りなさい。それよりもおかしいですね」
「何がだ?」
「あなたがたは新興グループだったはずです。それなのに、まるで今までも活動していたのような言い方ですね」
そう、先程リリスはこう言っていたのだ。
『そりゃそうよ。
しかし、ルシフェルが言っていた言葉
『俺たち《ロヴィーノ教団》は『常に1人で戦うことを意識しろ。自分以外の周りは全て敵だと思え』を信条にしている。リリスたちのようなサポートができる奴はいるが、《ロヴィーノ教団》は1人で戦うことがほとんどだ』
確かに矛盾を感じる。しかし、2人はこう言った。
「ふふっ、さぁ?自分で考えてみたらどうかしら?一応、言っておくけど、私たちは嘘は言ってないわよ」
「今は、そんな場合じゃないだろ?」
骸の疑問に2人は答えなかった。
「クフフ、確かにそうですね。今は、戦闘中でしたね」
そう言うと骸は、
ダッ
走り出して、再び《修羅道》に入って攻撃した。しかし、先程と違って錫杖の刃を伸ばしたり、縮んだりしての無差別攻撃だった。どうやら、1人でルシフェルとリリスの2人を相手にするつもりだ。2人は骸の無茶苦茶な無差別攻撃をハルバードと棘付き鞭で捌いていた。それが続くと骸の隙を見つけたルシフェルがハルバードで斬りつけた。斬りつけられた骸は血を噴き出して倒れる…………筈だった。
「「!!?」」
斬りつけられた骸が霧となって消えたのだ。
「これは幻術!?」
「本物はどこだ!?」
2人は本物を探すとそこには
「どうやら、時間を稼ぐことに成功したようですねぇ~」
「ええ、そうですね」
大技の準備が完了していた骸とフランがいた。
「行きますよ、フラン」
「了解でーす」
「「《
2人は奥義を放った。クロームとの《
たくさんの鴉がルシフェルとリリスの周りを群がって襲って、そして………、
ドカーン
大爆発が起きた。これで終わったと2人は思った。しかし………、
ビュンッ
「「!!!?」」
粉塵が吹き飛んだ。そこにいたのは、
大量の有幻覚の茨に守られていたリリスと
斧の部分から《大空》の炎が伸びてまるで大鎌みたいになったハルバードを振り回していたルシフェルだった。
そんな2人の共通点はどちらも
「なっ!!?」
「そんな馬鹿な~~!!?」
2人は驚いていた。しかし、それで終わらなかった。
シュンッ
「「!!!?」」
2人の目の前にルシフェルが現れた。そして、そのまま………
ザシュッ、ザシュッ
「グハッ……!!?」
「ギャーーッス!!?」
2人を斬りつけた。
ドサッ、ドサッ
2人はそのまま倒れた。2人から血が流れていた。
「今度こそ、幻術をやったわけではないな」
「そのようね」
「ググッ………」
フランは気を失っていたが骸はまだ意識が残っていた。しかし、指1本動かすことさえ難しそうだった。
「さて、じゃあ、頂くとしますか」
「くっ……」
ルシフェルが
ピーッ、ピーッ
「ん?通信機が鳴っている」
ピッ
「よう、誰だ」
『ルシフェル、俺だ』
「おう、お前か。連絡を入れたということは
『ああ。今、終わった。これから、部下どもを呼んで運ぶところだが……、その前にお前らに並盛襲撃の許可を出そうと思ってな』
「それは助かるぜ。とりあえず、こっちも黒曜にいる六道骸から
『そうか』
「ああ、これから公園のベンチで寝てやがるスロウスを起こして並盛中学校へ向かうわ」
『わかった』
ピッ
ルシフェルと通信機の向こうの男の会話を聞いて骸は
(
と思った。しかし、骸がそう思っているのをよそにルシフェルとリリスは話し合っていた。
「さすがは彼ね」
「ああ、そうだな。それなら、俺たちは並盛に向かうぞ」
「そうね。それにスロウスを起こさなくちゃいけないし」
そう言って2人は骸たちに目もくれずに出ていった。そんな2人を骸は見ていることしかできなかった。
次回は新しい《大罪の7人》が登場します。