家庭教師ヒットマンREBORN! ~光と闇の奇跡~ 作:R0
新たな戦いの前兆
とある暗闇に2人の男がいた。
「こんなものなのか」
ひとりは黒い髪に黒いコート、黒いズボン、黒いネクタイ、そして黒い石がはまっている指輪、全体的に黒く、唯一血のように真っ赤なワイシャツを着ていて、その場に立っていた。
「ぐっ……!」
もうひとりは髪も服も全体的に血のように真っ赤な男……いや、本物の血で真っ赤になっていた男がその場に倒れていた。
血まみれの男は黒づくめの男に言った。
「まさか、ここまでの実力の持ち主だとは……。私が手も足も出ないなんて……」
「念のためにと、俺が出てきたのだが…。杞憂だったか…」
「くっ……!」
「まぁ、いい。計画に支障を来たさないからな」
「……いったい、君たちの目的はなんだ!!」
血まみれの男は黒づくめの男に睨み付けながら叫んだ。すると、黒づくめの男は冷めた表情で言った。
「俺たちの目的?まぁ、強いて言うなら復讐かな?」
「復讐だと……!?」
「そう。そのために必ず邪魔をしてくるだろうお前を先に潰しに来たっていうわけ。まぁ、これ以上詳しくは教えられないがな」
「くっ…、今更……何をするつもりだ……」
と血まみれの男が苦虫を噛み潰したような顔で呟いたとき
ピーッピーッ
「ん?悪い、同僚から連絡が来た。なんだ」
と男は通信機に出た。
『よう。俺だ』
「お前か。何の用だ?」
『いや、そっちの様子はどうだと思ってな』
「こっちの様子か?それなら……「うっ……!」……といった感じだ」
と血まみれの男のうめき声を通信機の向こうの男に聞かせた。
『ふうん。ちゃんと生かしているんだ』
「当然だ。もともと、そういう予定だっただろ。まぁ、四肢はもう使えないからさしづめ九割殺しといったところか」
『ハハッ!!半殺しよりもひどいなそれ!!まぁ、生きていてもう俺たちの邪魔できない状態なら何でもいいや。そいつはギャラリーとして必要だし、計画前に殺しておくやつはたった一人だけだからな』
「まぁな」
『それにしても、そいつを九割殺しまでにするとはさすが《人類至上サイキョウの人間》だな』
と通信機の向こうの男が言うと黒づくめの男は眉をひそめて嫌そうな顔で言い返した。
「そんなことはどうでもいい。それよりもお前らのほうはどうなんだ?」
『ああ。俺たちも計画の準備に取り掛かるぜ』
「なら、いい。あれらが無くてはそもそも話にならないからな」
『そうだな。そっちはこれからあの連中のところへ行くのだろ?』
「ああ。お前は確かあいつらと
『そこだけじゃないがまぁ確かに主にそこだな』
「そうか。ヘマするなよ」
『ハ!俺がそんなことするかよ』
「……いつも通りの傲慢ッぷりだな。まぁ、いい。じゃ、切るぞ」
『ああ』
ピッ
通信機を切ると黒づくめの男は血まみれの男に声をかけた。
「というわけで、俺はこれから行くところがあるのでな。どうする?俺を止めるか?その使い物にならなくなった四肢で?」
「くっ…」
そう、通信機での会話の中にもあったとおり血まみれの男の四肢は黒づくめの男に戦いで潰され使い物にならなくなっていたのだ。神経を潰され、痛みを感じないがもう二度と動くことはない。
「おまけに俺の《炎》で決定的だしな」
と男は言った。
「ふっ。確かに私ではもう無理だ。しかし、他のものがお前らを止めるはずさ」
「《地球最強の人間》であるお前ですら無理だったのにか?」
「ああ、そうだ」
「ふうん。まっ、確かに生かしておくと面倒なやつはいるが。お前、2つ勘違いしているぞ」
「勘違いだと?」
「そう。1つは別に殺しておきたいやつは最悪生きていても問題無い。そして、もう1つは……」
と男は間を空けるととんでもない事実を言った。
「俺はお前相手に一割程度しか出していないぞ」
「!!!」
男は驚愕した。
「そんな…馬鹿な……!?」
「まぁ、お前はそこで俺たちの計画を見ているといいさ」
そう言って、男は反対の方向へと向き直り別れの言葉を言った。
「じゃあな。
血まみれの男、チェッカーフェイスは立ち去っていく男を見ているだけしかできなかった。
その男の右手の中指にはめられていた指輪の黒い石は鈍く光っていた。
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