「えー皆さんにはこれから来良学園の生徒として────」
······眠い。入学式ってクソ眠い。
いや、確かに昨日遅くまでチャットやってた俺の自業自得なんだけども。
······これホームルームで意識飛びそうだなぁ······。
入学式が終わり出席番号順に席に座る。
これからホームルームなのだが、正直起きていられる気がしない。
「はい、それじゃあ前の男子から自己紹介してくれー」
······なんでそんな面倒なことを······
「じゃあ、次。叶」
「叶歩です。宜しくお願いします。」
ただ簡素に自己紹介しただけでクラスのほぼ全体がザワつく。
まあ、そりゃそうか······中学時代に静雄さんとの大喧嘩で有名になっちまったからなぁ······。
何だっていうんだ本当に。
そんなことを考えながら、列の最後尾の席だったので何も考えずにただ寝た。
「起きてください歩さん!」
「······あー······HR終わった?」
「十分前に終わりましたよ!?」
まじか······どんだけ眠かったんだよ俺。
というか号令で起こされないあたり俺らしいと言えば俺らしいなぁ······。
見ろ、チラホラ残っているやつがめっちゃビビりながらこっちを見てるぞ?「あいつに話しかけるとか勇者なのかあの人」って感じで見てるぞ?
「あのねぇ、ガヴリール?学校で俺に話しかけるのはやめておいた方がいいよ?俺はこの辺でいい意味でも悪い意味でも有名だから······」
因みに、いい意味というのはマジ切れした静雄さんを止められるという意味で。悪い意味ってのは静雄さんと同じレベルで強い化け物として。
「······?それに私とどう関係が······?」
普通怖がるもんだけどな······
「······ガヴリール?その方は······?」
「なによ、ガヴリール。······知り合いなの?そのA級悪魔的行為をしていた奴と······!?」
「え?何?悪魔的行為?」
なんじゃそりゃ。中二病?
「······何、ガヴリールの友達?」
「えーと······友達?と友達の友達?······です?」
「何故疑問形なのさ······」
赤い髪の子は置いておくにしても黒髪(?)の娘は「え?私達友達······だよね······?」って感じでこっち見てるぞ?
「······えーと······ところで君たちは?」
「あ、月乃瀬=ヴィネット=エイプリルです!」
「将来の大悪魔!!胡桃沢=サタニキア=マクドゥエルよ!!」
······おう······
「大分中二病が進行しているようですね······?」
「中二病じゃないわyモゴゴゴー」
「黙りなさいサターニャ!!正体は隠さないと!!(小声)」
「モゴゴゴー!!モゴー!」
「······なんというか······個性的な友達だね?」
「あははは······」
にしても······マクドウェル······ねえ······。
「確かに名前だけは悪魔っぽいよな。マックスウェルからもじった様な名前だし。」
「あ、あはははははは······」
あ、でもコ〇エースには「下手したら物理とか科学関連の教科書で殴られたら消滅する」って書いてあったな。弱そう······。
「おっと、自己紹介がまだだったな······叶歩だ、よろしく。月乃瀬さんに胡桃沢さん?」
「ヴィーネでいいわよ。」
「私もサターニャでいいわよ?てかせめてサタニキアと呼べばいいのに」
「日本人だからなぁ······癖で」
「あ、この際だから私もガヴでいいですよ?」
「おう、楽でいいなガブ」
「あの、ガヴです。」
「発音しにくい!!」
「ええ······」
「なるほど、確かに言い難いな!!だが俺なら発音できるぜ!!」
「おうそうか······誰だお前!?」
誰だお前!!いつから居た!?
「酷くない!?初対面じゃないだろ!?」
ん?よく見たら見覚えがあるな······えーと確か······
「······誰だっけ??」
「紀田正臣だよ!!忘れたのか!?」
ああ、そうだそうだ。
「中学時代に独身の美人の先生にみんなの目の前で告白してふられた紀田正臣君じゃないか。」
「やめろおおおおおお!?あれは若気の至りってやつでええええええ!!」
いやー、中一のあの出来事が一番笑った。
まあ、「あの先生お前に気があるかもよ?」って煽って告白させたのは俺なんだけどね!
「······で?何しに出てきたのお前は?」
「いやぁ······友人を池袋案内するついでにナンパしようかと思って頭数を揃えようかと?でもそしたらお前が美少女3人侍らせて喋ってるからこれは介入せざるおえないだろ!!!?」
「うわぁ······」
「うわぁ······」
「あ、はは······」
上からヴィーネ、サターニャ、ガヴの順である。
「あれ!?引かれてる!?なんで!?」
「当たり前じゃんか······何してるのさ紀田くん······」
さらにそこにいかにもいい人って感じの男子が来た。
「おお、帝人!!」
······もっとすげえ名前のヤツいた······
「りゅ、竜ヶ峰帝人っていいます!よ、よろしく!!」
「月乃瀬=ヴィネット=エイプリルよ、長いからヴィーネで構わないわ」
「胡桃沢=サタニキア=マクドウェルよ!!サターニャでいいわ!!」
「天真=ガヴリール=ホワイトです。ガヴでもガヴリールでもどちらでもいいですよ。」
「紀田正臣!!サインは1人1枚までな!!」
「叶歩だ。よろしく······なにこの凄い名前の軍団」
改めて自己紹介するととんでもない名前ばかりだった。外人(?)組はまだしも竜ヶ峰帝人のインパクトが半端ない。俺の名前も少々変わっているし······。
まあ、自己紹介は置いといて。現在、帝人とサターニャとヴィーネのためにさっきの6人で池袋散策である。
取り敢えず帝人が漫画を買いたいと言ったので俺達はアニ〇イトに来ていた。
「何ここすごいわね!!」
「上から下まで全部漫画と······何これ?ライトノベル······?」
「あ、これ面白いですよ?前に優しい方に勧められまして······」
そこで帝人は新刊コーナーにある漫画を手に取る。
「女の子の麻雀漫画かぁ······」
「この店の特典はステルスモモのミニ色紙とらの〇なでは風越女子のキャプテン、ちゃんと検討したっスか?」
「!?」
「私はコンプリートをオススメするわ」
「······遊馬崎さん、狩沢さん。多分こいつそこまでのレベルじゃないですよ?」
漫画を漁っていると遊馬崎さんと狩沢さんが帝人に絡んでいた。
「お、歩君!!紀田君も久しぶりー」
「何その制服高校生?おめでとー」
「どうもどうも」
「こいつ幼馴染みで今日から一緒の高校になったんすよ」
「りゅ、竜ヶ峰帝人っていいます」
「······ペンネーム?」
まあ、そうなるよね。
「なんで高校生がペンネーム名乗るのよ······あ、ラジオとか投稿の?」
「······一応本名です(年上にからかわれた······)」
帝人だし竜ってのもまたすげえんだよなぁ······
「うっそぉ本名!?かっこいー!!」
「右代宮家みたいっす!!」
うみ〇こかあ······俺ひ〇らしの方が好きなんだよなぁ······
「んで?そっちの2人は何者!?」
「月乃瀬=ヴィネット=エイプリルです、ヴィーネと呼んでください。」
「大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェルよ!!サターニャと呼んでもいいわ!!」
「悪魔!?」
「何この娘痛可愛い!!」
完全に中二病患者と思われてるね、サターニャ。
「なんかマックスウェルの悪魔みたいな名前っスね!!」
同じ事考えてたよこの人······。
「やーそれにしても今日もすごい荷物っすね」
「電撃文庫の新刊が出たもんで30冊くらい買ったんすよ」
「あ、やべ、買わなきゃ」
完全に忘れてたわ。
「はぁー······すごい品揃え感動したよー」
「まぁ、あそこが本店だしなぁ······そういや、ガヴは何を勧められたんだ?」
「あ、これです!!面白いですよ!!」
どれどれ············?
『這い〇れ! ニャ〇子さん』
ああ······これは面白いよね。
「やあ、久しぶりだね紀田正臣君と······うげ······」
「あ、臨也さん。おひさー」
と、そんな感じで雑談をしていたら臨也さんと出会った。
「うげえ······君はシズちゃんよりは好きなんだけどあくまでシズちゃんよりマシって程度だからなぁ······あまり会いたく無かったんだよねぇ······」
「俺何か臨也さんにしましたっけ?」
「君だって駆け引きも理屈も通じない奴の1人だからね?青酸カリ盛ったのに下痢だけで済むとか頭おかしいよ?」
「やはりお前の仕業だったのか!?あの後三日三晩腹痛すぎて暫く何も出来なかったんだぞ!?葛根湯飲んでも治らねえし!!」
「だから何でそれで済むんだよ!?通常の人間が即死する量の二倍入れたんだぞ!?」
「······紀田くん、彼らは何を話しているの?」
「な、なんかとんでもない言葉聞こえなかった······?青酸カリとか······」
「······あまり深く気にしない方がいい······」
中学時代に歩と平和島静雄が喧嘩して以来、折原臨也はそれに絡むようになった。
平和島静雄と違って歩は話の通じる人間だったが結局化け物性能を目にしてから平和島静雄を殺す為の練習台に使っていた。
だが、彼は別の理由で駆け引きも理屈も通じなかった。
身体の頑丈さだけは平和島静雄よりも上だったのだ。
仕方なく、彼は物理で歩を殺すことを諦めた。
「この手だけは使いたくなかったが······」
折原臨也は平和島静雄を殺すにあたって毒を使うつもりはなかったから、歩にも使うつもりは無かった。
だが、中学時代の歩は結構荒れていた。普段は優しいのだが、折原臨也に何度も殺されかけた時についこう言ってしまった
「は?あんだけ俺のこと殺す殺す言っておいて諦めるとかwwwざっこwww」
と、まぁ、こんな感じで煽ったのである。
その結果臨也に毒物を使わせるまでになったのだが────────結果は先述の通り。まず睡眠薬から試したのだが、全く効かず、ヤケになって常人の致死量の倍の青酸カリを盛ったジュースを飲ませたが三日三晩の腹痛の症状が出ただけで特に命の危険とか何も無かった。
そして臨也は、考えるのをやめた────
「······そんな事があって、あいつらの仲はあんな感じだ。」
「······あの······失礼だけど歩さんて······人間?」
「······一応家族は常人だからな······身体的には」
「······悪魔より強いんじゃないの······?」
その後自己紹介をして、そのまま帰路についた。
因みにガヴとサターニャ、そしてヴィーネは歩が人間じゃないことを視野に入れつつ『取り敢えず正体は隠しておきましょう』という事になった。
────田中太郎さんが入室されました────
田中太郎:こんばんわー
セットン:ばんわー
あるく:おっすおっす
田中太郎:あの、オリハライザヤって人知ってます?
友達に近づかないほうがいいって
言われたんですけど
セットン:······田中太郎さんの友達って、その筋の人?
田中太郎:え?いえいえ 普通の奴ですけど······
セットン:そうですか。すみません。
折原臨也には関わらない方がいいよー
マジでやばいっす
あるく:あいつ遠目から見ても
頭おかしいって分かるからなぁ······
────甘楽さんが入室されました────
甘楽:こんばんわ☆そういえば田中太郎さんって
東京に来てるんですよね。オフで歓迎会でも
やりましょうよー
あるく:お、それいいね、カラオケとか行こうぜ
田中太郎:えー、そんなお構いなく
でもオフ会はやりたいですねぇ
甘楽:そうそう オフ会って言えば
自殺オフってあるじゃないですかぁ
田中太郎:あー、昔流行りましたね。ネットで
知り合って心中とか
でも最近はあまりニュースになりませんよね
セットン:未遂で終わっているのか、あるいは珍しく
なくなってニュースに出ないのかも
甘楽:まだ死体が見つかってないのかも☆
あるく:サイト消されることが多くなったからじゃね?
最近色々うるさいし
セットン:すみません 私用事ができたので
今日はこれで失礼しますねー
甘楽:お疲れ様でっス!
田中太郎:おやすみなさい
あるく:*-ω-)ノ" オヤスミー
────セットンさんが退出されました────
甘楽:でも本当に最近失踪事件多いみたいですよ
あるく:うわぁ、物騒だなぁ······
田中太郎:そんなニュースが?
甘楽:えーと、不法入国の外国人とか家出中の子とか
池袋から渋谷あたりで多いみたいですー
田中太郎:やっぱり東京って怖い······
黒バイクがさらっているとか······?
甘楽:『ダラーズ』の連中がとって食ってるって噂も
ありますよ
あるく:まさかの食用!?
「······ダラーズが人攫いねぇ······」
それはなさそうな気がする······でもまぁ······
「折角まともに喋ってくれる友人が出来たんだ。······できる限り守ってやるか······」
主人公をチートにしすぎた感がする?
大丈夫、弱点がちゃんとあるから!!←
次回はちゃんと静雄さんとのバトルだよ!!
······臨也さんがなんかキャラ崩壊したなぁ······
お気に入り登録が十人もいてビックリしました。
ありがとうございます。これからもちょくちょく更新するのでよろしくです。