田中太郎:実は私、明日から池袋に住むことになりまして
セットン:へえ、おめでとうー。一人暮らし?
田中太郎:はい。池袋は今何が面白いですかね?
セットン:アバウトな質問だなあ(^_^;)
────甘楽さんが入室されました────
────あるくさんが入室されました────
あるく:ばんわー。一人暮らしおめでとー。
甘楽:今池袋っていったら『ダラーズ』ですよう
田中太郎:こんばんわー甘楽さん、そしてありがとうございますあるくさん
セットン:ばんわー『ダラーズ』って最近噂のチームの?
私は見たことないんですよね
甘楽:地下に潜ってるぽいですからねー
でもネットとかでも凄い噂になってますよ!
あるく:ダラーズなら見たことあるよー。
この前名乗ってるやつ見た
田中太郎:あるくさんと甘楽さん池袋詳しいんですね
甘楽:それほどでもないですよう!
あ、じゃじゃあ
昔からある都市伝説なんですけどー
あるく:あれ都市伝説に入るの?
セットン:あれは都市伝説でもなんでもないですよ
田中太郎:すいません、話が見えないのですが······
甘楽:あれー?田中太郎さん知らないんだー
田中太郎:??
黒バイクのことですようー
「······池袋を案内してほしい?」
入学式間近。というか、明日が入学式の日なのだが。
部屋を訪れたガヴリールがそんな事を言ってきた。
「はい、今までゴタゴタしてましたけど漸く落ち着いたので、良かったら案内してくれませんか?······1人だと迷ってしまいそうで······」
「ああ、気持ちは凄くわかる。」
いや、ホントになんであんなに出口も入り口も多いんだよ、新宿よりはマシだけど。
「まあ、暇だから別に構わんけど······明日の準備出来てるの?」
「あの······その······その為に案内してほしいというか······」
「なるほど、店の場所がわからんのか······いいよ、行こうか」
「ありがとうございます!」
こうして、ガヴリールは初めて池袋の町に本格的に関わることになった。
「ここが60階通りな。あと他にもサンシャイン通りってのもある。」
「······すごい人ですね······」
「······顔色悪いね?ひょっとして人混み苦手か?」
「······少々······。」
「んじゃ、今日は60階通り出て一人暮らしに便利な雑貨屋とかスーパーを案内してあげよう。」
「ありがとうござ」
グキュルルルルルル······
なにか盛大な音がガヴリールの方から聞こえた。
気になって時間を確認してみる。
丁度昼時だった。
「······とりあえず飯食べる?」
「······はい///」
ガヴリールは真っ赤な顔をしてボソリと呟いた。
可愛かった」
「ななな、何言ってるんですか!!///」
あ、やべ。声でちゃった。
「えーと······歩さん。ここって······寿司屋さんですよね?」
「うん。そうだよ?」
「······寿司屋なのに露西亜なんですか?」
「うん、店員さんが露西亜人だから露西亜寿司。」
いや、俺も最初はビックリしたよ?でももう慣れた。
「あの······その、私お金あまり無くて······」
「いいよ、これくらい奢るから······」
この程度なら痛くも痒くもねえしな。日頃色々やってたし。
「でも、まだ私助けられた時のお礼もしてないのに」
「いーいーのー。人の好意は素直に受け取りなさい。」
「で、でも」
「······なら俺が困ってた時に助けてくれりゃいいよ······それでいいだろ?」
「······歩さんがそう言うなら······」
ふむ、押しに弱いと見た。楽でいいや。
「という訳でサイモンにデニスさん久しぶり〜」
「オー、カノウ久ブリネー。」
「久しぶりだな······そっちのは彼女かい?」
「違いますよ、最近引っ越してきた隣人なんです今日は街の案内をしてました。」
ていうか、なんで隣にいる人=彼女という思考になるのだろうか。
「じゃあ、取り敢えず食べようか。好きなの頼んでいいよ?」
「あ、はい!」
こうしてそのまま昼食を満喫した。
······因みに財布の中から諭吉さんが1枚とんだ。
「······で、まあ一通り案内したわけだけど······どう?他に行ってみたいところってある?」
あれから数時間後、そろそろ夕方になる時間帯。
一通り池袋を紹介し終わってしまった。
「ありがとうございます······そうですね······あ、あの建物はなんでしょうか?」
そう言って彼女はあっちです。と指をさす。そこにあったのは────
「これが娯楽の一種アニメというものですか!」
「1階から最上階まで、全部アニメとマンガで埋め尽くされてるのがここだからねぇ。」
すごいですねー、と言いつつガヴリールはラノベコーナーに辿り着くと1冊持ってきた。
「これはなんなのでしょうか?」
······ああ、ラノベがわかんなかったのね。
「ライトノベルって言って······まあ、軽い気持ちで読める本って感じかな?」
「······と、言いますと?」
「普通の本にある、デカイ、重い、読むのに疲れる、読んでて疲れるっていう感じをとっぱらったような本のことだよ。人気が出るとアニメになる。」
まあ、こんなもんだろ。というか、どう説明しろと。
「お、はが〇いかぁ、懐かしいねぇ」
「ひゃうっ!?」
「あ、狩沢さんじゃないですか」
この人が居るってことは────
「因みに僕は〇鳩ちゃん派っス」
「遊馬崎さんはロリコンだった────だと?」
「ちょっ!?違いますよッ!?」
「え、えっと······どちら様で······?」
······紹介しなきゃいけねえかんじだね、これ。
「あー······知り合いの遊馬崎さんと狩沢さん。」
「ありくっち何その子!彼女!?」
「なっ······ち、ち違いますよ」
「そうっスよ!叶君はゆ〇〇フト「その話はやめようぜ遊馬崎さん?」すんませんっす(震え声)」
全く、おれはちゃんと法律守ってんだよ。
「俺と同じアパートの隣に引っ越してきた人ですよ。」
「天真=ガヴリール=ホワイトです!よ、宜しくお願いします!!」
その自己紹介を聞いた遊馬崎さんは首をかしげる。
「あ、あの私何か変なことを言ったでしょうか······?」
「······ペンネーム?」
「なんで女子高校生がペンネーム名乗るのよ。外人さんなんでしょ?本名でもおかしくないじゃない。」
「確かにそうっすね!!アレっスかね?アニメの天使とかに居そうな名前っすよね!!」
「ギクッ」
······ん?
「あー······ガヴリールってなんとなく居そうだよね!」
「あ、あはははは······」
······まさか、ね。
「······んじゃ、そろそろ夜も遅いし帰ろうか······ガヴリール?どうしたの?なんか遊馬崎さんたちとあった辺りから調子悪い?」
「あ······いえ、ちょっと疲れてしまって······」
何とか誤魔化せただろうか······。
内心、ガヴリールは焦っていた。まさかいきなり自分の正体を言い当てる(本人達的には冗談のようなものだったが)人間がいるとは思わなかったのである。
(恐るべし······人間界······これからはもっと気をつけないと······)
「ガヴリール?本当に平気?」
「は、はい、大丈夫です。」
なんにせよ、もう帰るのだからいいのだが。
············R
「······?」
「どうしたの?」
「いえ······なにか聞こえませんか?」
············RRRRR
「······あーこれはこれは······ついてるな、ガヴリール。」
「······え?」
BRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR
目の前に突然現れたのは、圧倒的な「黒」。
一切の光すら通さないバイク、ライダースーツ。
馬の嘶きの様なエンジン音。
そしてなにより、自分と同じ、人外の気配。
「本当についてるなぁ······日本に来てわずか1週間だろ······?」
────こんな間近で都市伝説を見れるなんて、本当についてるよ?ガヴリール。
「あ、歩さん、ありがとうございました!」
「いやいや、気にすることはないよ、久々に人と歩くのは楽しかったしね。」
あの後。そのままスーパーに行って夜ご飯を買って帰ってきた。
にしても────
「ガヴリール本当に平気?主に料理。」
「だ、大丈夫です!多分!」
本当に大丈夫なのだろうか?野菜の善し悪しの見分け方とか見てるとすごく不安なんだがな。
「そ、それではまた明日。」
「入学式だもんな。折角だ、一緒に行こうぜ?」
「はい!では、おやすみなさい」
「おう、おやすみー」
一人になったガヴリールは考える。
あのバイクに乗った私達の同類、人外は何者なのだろうと。
「······悪魔でもなく、かと言って天使でもない······あれは一体······?」
田中太郎:聞いてください!今日見ましたよ例の黒バイク
セットン:それってもしかして夜の7時頃?
田中太郎:え!もしかしてセットンさんも?
あるく:俺も見たぜー?
田中太郎:本当ですか!?
うわっ、じゃあ
知らない内にすれ違ってたり
してたのかもしれませんね!
セットン:そうかも
────甘楽さんが入室されました────
甘楽:こんばんわ☆ログ見ました。
で、どうでした?例の黒バイク?
田中太郎:こんばんわ。本当に黒かったです!
何ていうか────
「······あー······クソねみぃ······入学式めんどくせえな······」
昨日夜遅くまでチャットやってたからマジで眠い。
「歩さーん?起きてますかー?」
······ああ、そういえば昨日ガヴリールと一緒に行く約束してたっけ······
「今行くよー······」
「······おはようガヴリール」
「おはようございます、歩さん。って、どうしたんですか?目の下のクマすごいですよ?」
「······そういうガヴリールこそ。どうしたの?そんな眠そうにして。」
昨日とは違い、髪の毛が若干整ってなくて、目の下に薄らとクマがみえる。
「あー······昨日遊馬崎さんたちに勧められたアニメ見てたら面白くてつい······」
······大体同じ理由かあ。
「ま、取り敢えず学校行こうぜ?」
「はいっ!」
こうして(まだ出てきていないけど)天使二人と悪魔二人、そして化け物が一人の高校生活が幕を開けたのだった。
ガヴリールのオタク度と駄天度?が原作以上に酷くなる予感!!
因みにチャットルームのあるくは歩君です。まんまだね
次回:最強vs最硬!!気が向いたらね!←
P.S.主人公歩君はオカン属性があります。