デュラリールドロップアウト!?   作:タキオンのモルモット

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やっちまった(2回目)


最硬の男と未来の駄天使

 

叶歩が他の人間と違うと気づいたのは小学1年生の時だった。

 

集団で登下校する学校だった。歩もとうぜんその列に加わっていた。

 

とある日の事だった。その集団下校の列に居眠り運転で車が突っ込んできたのだ。

 

その時、叶歩は反射的に周りの人間を押し飛ばし自分だけが轢かれた。

 

その時叶歩は住宅の塀と車のサンドイッチにされたのだが、腕の骨折で済んでしまったという。

 

この事件以降彼の人生はネジ曲がるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、助けていただきありがとうございます!!」

 

医者から「もう帰ってもいい」と言われた後。当初の目的を果たそうとも思ったがよく良く考えたら人身事故のせいで電車止まってるはずだしどうでもいいや、と思い帰ろうとした時。突き飛ばされた被害者の女の子が呼び止めてお礼を言ってきた。

 

「あー······気にしなくていいよ?ご覧の通り俺はほぼ無傷だしな。」

 

「そ、そういう訳にはいきませんよ!下手したら死んでたかもしれないのに!!」

 

「死なない死なない、タンクローリーに潰されても死ななかった俺があの程度の速度の電車に轢かれたくらいで死ぬ訳がないじゃん。」

 

「タッ、タンクローリー!?」

 

「あ、言っておくけど俺はれっきとした人間だからね?」

 

「そ、そうなのですか······」

 

池袋には人外いるけどね。俺は人間だからね。

 

「んじゃ、俺この後色々用があるから。ま、お礼云々は気にしなくていいよ。本当に。んじゃ、また何処かで」

 

「えっ?ちょっ······」

 

少女の返答を聞かずに俺は走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、確かに俺はあの時「また何処かで」とは言ったよ。うん。だけどさぁ······

 

「ううっ······ここは何処なんでしょうか······」

 

まさか数時間でまた会うなんて思わなかったよ······。

 

 

「······つまり、下宿先のアパートが分からなくなってここで途方に暮れていたと。」

 

「はい······そうなんです。もう全くわからなくて······」

 

「いや、人に聞くとかそういう選択肢は無かったのかい?」

 

「さ、最初はそうしようかと思ったんですが······この辺人通りが少ないのか、居たとしてもお年寄りの方々とかだったので······」

 

うん。ついでに言うなら夜になるとたまにカツアゲしてるやつとかいるしね。

 

「とりあえず見せてみ?俺六年ここに住んでるから大体はわかるよ?」

 

「あ、はい!こ、ここなんですけど······」

 

ふむ、どれどれ··················

 

「······俺ん家と同じじゃねえか!?」

 

「えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう······中学を外国で卒業してこっちにきたと······はぁ、大したもんだなぁ······」

 

「あ、はい。そんな感じ······ですね。」

 

「······この辺の高校って言うと······来良学園くらいしかねえからひょっとしてそこ?」

 

「はい!もしかして······来良学園の生徒さんなんですか?」

 

「多分同い年だよ?俺も今年から通うんだ。」

 

「そうだったんですか!?」

 

年上だと思われていたようだ。

 

そんなに老けて見えるのだろうか。

 

「······ついたぞ、ここだ。」

 

見た目は結構ボロいがこれでもかなり優良物件である。2LDKなのでそこそこの広さもあるし、家賃も安い方である。

 

「ほへー······なかなかいい所ですね。······ところで······その······あれは?」

 

敢えて目を逸らしていたことを聞くんじゃないよ君······。

 

彼女の視線の先、そこには何処ぞの某音楽ソフトのキャラクターの描かれた痛車に何かブツブツ呟きながら洗車をしているオッサンがいた。そして言い難い事なのだが────

 

「······あれが、大家さんで俺の叔父さんだ。」

 

「そ、そうなのですか!?挨拶しないと······」

 

「あー······今はやめておいた方がいい。『洗車の邪魔すんじゃねえ!!』って逆ギレするから」

 

「え!?」

 

「いいかい?世の中にはね?車に興奮したり紙に書かれている架空の可愛い人物を本気で好きな人とかいるんだよ······」

 

「そ、そうなのですか······凄いんですね?」

 

「因みに、あれならまだまともな方だからな?」

 

「ええ!?」

 

うん、まだマトモだ。もっとおかしい人とか普通にいるから。

 

 

そのまま洗車作業が終わるまで約1時間。雑談していたら漸く終わったらしくこちらに気がついた。

 

「おう、歩。なんだ?お前ナンパでもしたのか?」

 

「違うわ、今日来る予定の入居者の人だよアホ」

 

「アホっ!?」

 

アホで十分だよ。うん。

 

「あ、天真=ガヴリール=ホワイトって言います。今日から宜しくお願いします。」

 

「大家の佐藤延伸だ。部屋は······歩の隣だな。」

 

「マジかよ······ああ、名乗ってなかったな、叶歩だ。歩で構わん。宜しく天真さん。」

 

「なら私のこともガヴリールで構いませんよ!宜しくお願いします!!」

 

 

 

こうして、一人の天使と一人の化け物が出会った。

 

因みにこの後、池袋で起きる様々な事件に二人は巻き込まれるのだが、それはまだ当分先の話である。

 

 

 

 

 





キリのいい所できったら短くなる不思議だね!!(白目)

次回:駄天への第1歩

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