突然の夏休み!!
因みに作者はゴールデンウィークが履修と学校の都合上十連休←
前回のオマケ
ガヴ「寄るなロリコン!!」
歩「落ち着けガヴリール!!ロリってのは二次元だから良いんだよ!!」
ガヴ「それはそれでムカつく!!」
歩「なんでさ」
「海に行きます!!」
「······勝手に行けば?」
期末テスト間近、つまりもうすぐ夏休み。
ヴィーネが突然海に行くと言い出した。
「海のしおりも作成済みっ!」
「テンション高いっすね」
まあ、俺が誘われることはないだろう、男子だしな。
「あ、歩も一緒に行きましょう!!」
解せぬ。
「よくもまあ、女子の集団に男を誘うなお前は!?」
「?別にいいじゃない······友達でしょ?」
「······そういう問題なの?」
「······それとも、私達と行くの······嫌だった?」
「そういう訳ではないけど、肩身狭いんだけど!?」
女子の集団に男子1人って本当に肩身狭いんだよね。
······今更感はあるけど。海はなぁ······。
「大丈夫よ、今更じゃない!!」
あ、それ言っちゃいます?
「じゃあ、歩も決定!!」
あれ?俺の意思は?
そして当日、埼玉県近くの海岸────
天気:雨
「「······帰ろっか!!」」
「なんで二人して晴れやかなのよっ!?」
「もともと乗り気じゃなかったし中止ならそれはそれで」
「この薄情天使!!」
「この雨じゃなぁ······もっとひどくなる前に帰りたい」
「この薄情人間!!このやり場のないイルカはどうすればいいのよ!?」
「「片付けろ」」
いや、天気はどうしようもないだろ。
この中で釣りする気は流石に起きないしなぁ
「ねえ!ちょっと空見て空!!」
「ん?······ラフィ、お前今どこに電話してたんだ?」
「ちょっと知り合いの方に······」
次の瞬間、突然雨が止んだ。それはもうかなり不自然に。
··················まさか
「「お前天界に手を回しただろ」」
「皆さんの想いが天に届いたんですよ」
「「リアルに届けるなよ!?」」
「さあ、のろま共!!早く行くわよ!!」
────もうなんでもありなんだなぁ······。
────と、言うわけで。
「「「海だー!!」」」
「じゃあ、楽しんでらー私今日はパラソルの影から出ないから」
いつの間にかパラソルを広げ、シートを引いたガヴはパソコンをいじり始めた。
「えー!?」
そして俺もこっそりと離脱
「歩さんどこへ行くんですかー?」
「······ちょっとそこまで釣りに行こうかと······」
くそう、ラフィに見つかった。
「ちょっ······アンタら正気!?」
「百歩譲って歩はまだ海に関係あるけど、ガヴはいつも通りじゃないの!!」
「ネットやってるほうが楽しいしー」
「釣りの方が楽しいしー」
「こ、この2人はっ······」
ある意味似たもの同士。基本やりたいこと以外は殆どやらない2人だから自然とこうなることが多いのである。
「てか暑いよマジで······日陰にいねえと死にそう······」
「だよなー······日に焼けるどころか溶けちまう」
「あ、ヴィーネ、飲み物買ってきてー俺ミネラル麦茶」
「私はアクエリで」
「アンタ達ねぇ······!!」
「でも熱中症とかを考えると買っておいた方がいいかもしれませんね。」
珍しくラフィがこちらの意見に賛同する。
現在の気温をケータイで見てみると······33度。
「······ぐぅ······ラフィの言うことも一理あるわね······でもせめて買いに行く人をジャンケンで決めましょうよ」
「んじゃやるか。」
「「「「「ジャーンケーンポン!!」」」」」
「────何でこうなったのかしら」
言い出しっぺの法則。なにかを決める時に決まって提案したやつがやらなきゃいけなくなる。そんな法則は見事適用された。
先程のジャンケンで物の見事に一人負けしたヴィーネは5人分の飲み物を買いに行くハメになったのである。
「はぁ······」
さて、そんな感じで1人で水着の女の子が歩いていたらどうなるか。
「なーなー、君暇なの?」
「俺たちと遊ばない?」
こうなるのは火を見るより明らかだった。
ナンパである。
この男2人に特別なことがあるとしたら、なにやら長い服を着ていることくらいだろうか。
「え、いや、私友達と来ているので······」
ヴィーネは断ろうとするが······
「別にいーじゃんよー」
腕を掴まれて無理やり連れてかれそうになる。
「やっ······離して!!」
しかし、悪魔の力を出してない今、素で解くことが出来ない。
「まあまあ、あっち行って俺たちといいことしようぜ?」
ここまで古典的な事を言うやつがほかにいるだろうか、 いやいないだろう。
連れていかれそうになったその時────
「······何これ、ヴィーネ、お前宇宙人だったの?」
ありのまま起こったことを話すぜ!!ジュースを買いに行ったっきり戻らないヴィーネを迎えに行ったら、NA〇Aに連れ去られる宇宙人のようなポーズで不良に連行されかけてるヴィーネがいた。何を言ってるのかわからな以下略。
「なんだよ、お前。この娘の彼氏?」
「いいえ、友達です。」
······しかしまあ······特攻服······ねえ······
「お前らTo羅丸だっけ?お前らのシマは埼玉だろ?ここギリギリ埼玉じゃないよ?」
「県境すぐそこだからセーフだろ」
いや、確かにちょっと(バイク基準)走れば埼玉だけども。
「でもTo羅丸の総長って確か女好きだよな、いいのか、そんな無理矢理引っ張るような真似して······」
「······バレなきゃ犯罪じゃないんですよ······」
「うわぁ······」
「まあいい、この女に手を出されたくなかったら手え出すなよ!!今から絶対に手え出すなよ!!ボコボコに殴ってやる!!手え出したらこの女は無事じゃすまねえぞ!!」
······え?
「そんな事でいいの?」
「ちょ、やめときなさい、悪いことは言わないわ」
普通ならヒロインが逃げて!!とか何とか叫んで男の方がカッコつけるシーンが台無しである。ヒロインが敵に忠告するなんて初めて見た。
「何言ってんだァ?取り敢えず女の子といる時点でてめえはぶっ殺すって決めたんだ!!」
「「私怨丸出しかよ!?」」
「いいか?絶対に手え出すなよ?今からボコボコにしてやるぜぇ!!」
そして、俺の顔面に拳が当たって────
ベキッ!!
「お、お、俺の手がああああああああ!?」
「まあ、こうなるわね。」
当然の如く、相手の手の方が砕け散る。
「ひっ······な······」
もう1人、ヴィーネを捕まえていたやつはそのままヴィーネの手を離してしまった。
「あ······」
「······やけにあっさり脱出出来たわ········」
なんてロマンスの欠片もないシーンだろうか。
「さて······まだ俺のこと殴るの?殴るなら来いよ、受け止めてやる。」
「······っ!!ふざけんなてめええええ!!これならどうだああああああ!!」
そう言ってもう1人の方がどこから取り出したのか鉄で出来ている警棒のようなものでぶん殴ってくる。が
「俺の方が硬いわ、アホ。」
ゴンッ!!
と鈍い音がして警棒のようなものの方がへし折れる。
「う······嘘だろ······っ!!」
「······まだやるか?」
そう言って威圧する。
「すすすすす、すいませんでしたああああ!!」
しかし、恐怖したのだろうか、彼はダッシュで逃げてしまった。
「遅かったじゃない、ヴィネット、歩!!助けて!!」
「············何してんの?」
砂浜に帰ってきたらサターニャが埋まっていた。頭だけ出して。
「あ、歩さん、これからスイカ割りをするのですよ」
「スイカ?スイカなんて何処に······あっ…(察し)」
「ちょっ、歩!!助けなさいよ!!」
「いや、もう無理だ······だって······」
目線をサターニャに向ける、正確にはサターニャの後ろでバットを嬉嬉として構えているガヴリールの姿。
「いくらなんでもこの距離を詰めるのは無理。」
「え?何のはなギャン!?」
ゴッ、という鈍い音とサターニャの奇声が砂浜に響いた。
その後は、特に何事もなく
「俺にトス持ってこぉぉぉい!!」
「や、普通にやって?お願い。」
ビーチバレーをしたり
「ちょ、サターニャ!!なにしやがる!!」
「アッハッハッハッハッ!!似合ってるわよガヴリール!!そのマッチョボディ!!」
ガヴリールを埋めてイタズラしたり
「「············っつ────!!」」
「歩とサターニャ息ぴったりね······」
かき氷とかフランクフルト食べたり。
そんな、平和なひとときを過ごし、帰宅────
「おう、お前が今日うちのメンバーが迷惑かけちまったやつらか?」
できませんでした。
「······えーと······どちら様ですか?」
「あー······六条千景、To羅丸の総長やってるんだ、よろしくなお嬢ちゃん方?」
見た目は完全にチャラ男、ていうか言動もチャラ男。
細身で、イケメンの部類に入る様な顔立ち。カジュアルな服。
これで特攻服羽織ってなかったら良かったのに、と思うくらいだった。
「んでよー、メンバーが結構悲惨な目にあったって聞いたからさ?どんなことしたんだって殴りながら聞いたら無理矢理女の子を引っ張ろうとしたって言うから······まあ謝罪させに来たんだよ」
そう言って、六条千景はバイクの影から顔がボコボコに腫れている男達を首根っこ掴んでぶん投げる。
「······おい、お前ら。お前らが引っ張ったのはあの中の誰だ?」
2人は震える手でヴィーネを指差す、が。
バキィッ!!
その指を六条千景は思いっきりへし折った。
「女の子に指さしてんじゃねえよおい。」
「「────っづああああああああ!!」」
指をへし折られて、絶叫をあげる2人。
······ダメだ、これ以上ガヴ達に見せちゃいけねえ。
「おい、えーと。六条千景って言ったか?女の子の前でそういうショッキングな事するのはどうかと思うんだが?」
「······それもそうか。んじゃ後で根性焼きでもしとくわ······すまないなぁ、見苦しいもん見せちまって。」
「あ、······いえ、気にしてないので······」
ガヴリールが答えると3人も苦笑いをする。
「いやいや、それじゃあ俺の気が済まない。どうだい?今度お茶でも」
「「「「さり気なくナンパしてきた!?」」」」
なるほど、女好きという噂は本当のようだ。
でも、多分それだけじゃない。
「······っと、まあそれは置いといて、だ。そこのお前名前は?」
「······叶歩。よろしく。」
「そうかそうか······なぁ、叶。お前、コイツらに手を出してないって本当か?」
「ああ、出してない。勝手にそっちが俺の事を殴って勝手に怪我しただけだ。ヴィーネという証人も居るが?」
そう言うと、六条千景はふむ、と考え込む。
「いやな?俺一応リーダーだしよぉ······やられっぱなしってのもダメなんだわ。こっちに非があるとはいえ、一方的になじられて終わりってのは、な?」
「────なるほど、つまり俺は、喧嘩を売られているのか?」
「────わかってるじゃん。それに殴っただけで逆に拳が砕けるってのも気になるしよ!!」
······なるほど、喧嘩したいだけですねわかります。
「つーわけで!!早速!!」
そして、六条千景は足を振り上げて強烈なかかと落としを俺の顔面に繰り出し────
踵からバキッ、と嫌な音が聞こえた。
「いっ────づうううう!?」
「······お前馬鹿なの?」
そんな言葉しか出ない。
メンバーが殴っただけで骨割れたという事実を聞いてなかったのだろうか?
「────っ、ただただ硬いだけかっ!!なんだお前!!身体鉄で出来てるのか!?」
「あー······なるほど。拳が砕ける原因は昔の不良よろし鉄板でも入れてたと思ってたの?」
「いや、殴った場所とかも聞いてたからその可能性は捨ててた。······ただ正直、なめてた。」
「これからは慢心捨てた方がいいよ?」
まあ、人伝に聞いたんじゃ完全に信じられないのも無理はないだろうけど。
「······で?どうするよ?まだ続ける?······出来れば9時までには帰りたいんだけど······」
「ん?安心しろ、時間はこれ以上取らせねえよ。次の攻撃でお前は倒すからな!!」
「「「「え!?」」」」
「······ほう······?」
俺に勝利宣言って······相当自信あるな?
「行くぞ!!お前の攻略法は思いついた!!」
────約二年前。
『新羅、一つ聞きたいことがあるんだが』
「ん?どうしたんだい?僕に質問してくるなんて珍しいじゃないか。何?薬関係?それとも録画のやり方?」
『どれも違う、歩君と静雄の喧嘩の事だ。』
この日、静雄と歩は出会って初めて喧嘩した。
原因はキノコとタケノコ、どっちがいいかで。
某お菓子では無く、ご飯の話だが。
「え?あれ喧嘩だったの?じゃれあいじゃなくて?あの2人が本気で戦ったら町一つ潰れてるような気がするんだけど?」
茶化してるわけじゃない、割と本気で言っている。そんな口調。よく見ると冷や汗を流している。
セルティもある意味納得した。確かに、それを想像すると、じゃれあいに思えてくる。まあ、喧嘩した理由が理由なだけあって。ガチ喧嘩ではないだろうというのは想像ついていたが。
静雄も歩も大した外傷は無く、と言うか外傷があったのは静雄だけでそれもただのアザ程度である。
だがしかし、それが不自然だ。
『歩君って、静雄を倒す程強かったのか?』
そこだ。そこがわからない。
叶歩の特異性は“硬さ”だ。平和島静雄の様に“強さ”ではない。
いやまあ、硬いから殴られてもただじゃ済まないから普通の人間よりは、はるかに強いのだが。それでも例えばの話、平和島静雄みたいに道路標識やガードレールを引っこ抜ける様な力があるわけじゃない。
だから、パワーがある訳では無い叶歩が平和島静雄に勝つには防御に徹するとか、高い所から攻撃とか、工夫を凝らすしかない。だが、今回の喧嘩は室内だったため、そんな工夫は凝らせない。よって、叶歩が平和島静雄を倒すのには防御に徹する必要がある。
なのに今回、外傷は平和島静雄にしかなく、叶歩にはない。
叶歩が更に硬くなったのか、それとも叶歩は本当は強かったのか。
と、いうことを考えていたのだが────
「?今日勝ったのは静雄君だよ?」
『······は?』
そもそも叶歩が勝った、という前提が間違っていると岸谷新羅はそう告げた。
「あのね、セルティ。男子のじゃれあいレベルの喧嘩っていうのはね?基本とある技を頻繁に使うんだよ。そしてそれは歩君を殺せる唯一の手段かもしれない。」
そうそれは────
「これだああああああ!!」
そう叫ぶと、六条千景は後ろに回り込み、足で叶歩の腕を固定し、腕で首を絞めにかかった。
「「「「なっ······!?」」」」
「······俺の弱点に気づくとはなかなかやるな······っ!!」
「技とかは好きじゃねえが、こうでもしねえと勝てねえからな!!」
首を絞める。扼殺。それが叶歩の攻略法。
叶歩だって人間だ、息ができなくなれば死ぬ。
だが、しかしそれは────
『······ん?でも、その方法で殺せるなら臨也に殺されてるよな、歩君。』
「······あー······それはね?」
「歩君だよ?静雄君並みのパワーじゃないと絞めることすら出来ないさ。」
「褒めてやるよ、俺の弱点を見破ったのは、な!!」
「んなっ!?」
全く、手応えがない。
平然と息をする事が出来る。
「だけど、俺の首絞めるならパワー不足だ!!俺の首絞めたきゃ、静雄さん並みのパワー持ってから来るんだな!!」
そしてそのまま、叶歩は拘束を力ずくで無理矢理突破した。
無理矢理外された六条千景は数メートル吹っ飛び、地面に着地する。
「首絞めるのもダメなのかよ······」
「万策尽きた?」
「まさか!!まだ策はある!!」
六条千景はダッシュでこちらへ向かってくる。
狙うは、下。つまり
「男なら共通の弱点!!そう!!金的じゃあああ!!」
バキィッ!!
「────いってえええええええええ!?嘘だろお前!?」
「······いや、これに関してはしょうがない。グラ〇プ〇ー刃〇読んで金玉中に仕舞う技があったからやってみたら出来たんだよ。」
これに関しちゃ、趣味の域でちょっと極めた。まあ、色々役に立ったんだよね。
「んで、今度こそ万策尽きた?」
「────完敗だ、クソッタレ······」
項垂れる六条千景に近づく。
そしてそのまま拳を顔面にめり込ませた。
「いやー、お前ら先に帰っても良かったのに。」
「そういう訳にもいかないわよ······」
「そうそう、おぶってもらわなきゃいけないしな」
「その理由はどうなのよアンタ······」
「面白いものも見れたので······ふふふ♪」
······はたして面白かったのだろうか、あれは。
「にしても疲れたー······もう明日から筋肉痛だろこれ······」
「貧弱ね!私なんてまだまだ遊べるわよ!」
「だけど、ガヴも来てよかったでしょ?」
ヴィーネがそう言うと、ガヴは少し照れくさそうに
「······まあ、それなりに······ね」
と、そういうのだった。
────因みに帰り道。
「······え?お前ら全員寝るの?もう着くよ?まじで?」
このあと、頑張って四人全員ガヴリールの家に運んで寝かせておいた。
いやー······いろんな妄想が止まらなくてここまで時間かかった(震え声)
俺ガイルと人間シリーズのクロスで“零崎八識の人間観察”とかBLEACHの自己満作品とかFate/Grand Orderと伝説シリーズのクロスで“番外特異点 隔絶魔境四国”とかFateシリーズの何かとダカーポで初音島聖杯戦争譚とか
うん、ジョジョとこっち頑張りますね(震え声)
次回、漸く3day standoff alley