ラフィエルファンの皆さん────
待たせたな!!
あ、やめて!!石投げないで!?
下界、というのは非常に退屈だ。
最初こそ胸を踊らせる(比喩にあらず)くらいには楽しみにして喜んでいたが、いざ生活を始めてみると暇の極みである。楽しいことなんて何も無かった。
いや、東急ハンズ······だっただろうか?そこに人が大量に集まった時はなかなか面白いものが見れたが。
久々に同じような存在を見た────首を無くしていたようだが。
だけど、ただそれだけ。
(結局、退屈に逆戻りですねー······何か面白いことはないでしょうか······)
「ちょっと!やめなさいよ!いつもいつも私の大切なものを持っていって!」
そんなことを考えながら歩いていると曲がり角から声がする。
(なんでしょう?)
「はーなーせー!!」
そこには隣のクラスの悪魔────サターニャが犬と喧嘩していた。
····································
面白そう!!
「······とられた······犬に······メロンパン······」
「······え?また?」
「これで何回目だよ、お前の脳に学習機能は付いてないの?」
「犬ってメロンパン食べるの?」
「え?そこ?」
いや、パン食べる犬なんて聞いたことないんだけど?
ていうかコイツ本当に普段は残念だな······。
「今回は私のせいじゃないんだからっ!なんか変な奴にはめられて······」
「私のことですか?」
······いつの間に来てたんだこの女?
「ちょっ、なんでアンタがここにいるのよ!?」
「なんでと言われましても同じ学校の生徒ですので······隣のクラスですが······」
「······ん?てことは······紀田と同じクラスか?」
「あ······ああ、俺と同じクラスの人だな、うん。」
「お前いつからいた?」
「さっきからずっと居たわ!!」
「なんだ、ラフィエルじゃないか。」
「ガヴの同期か何か?」
「そう、同級生。」
ふーむ······なんだろう······なんか雰囲気が誰かに似ているような······。
「あ、歩。俺教室戻るわ!!じゃな!!」
「?おう。わかった。」
なんだ?······美人の域に入るヤツを目にして紀田の反応がおかしいな······いつもならいの一番にナンパしてるのに······。
「にしても、優しそうなひとじゃない」
「全然優しくない!!こんな奴野放しにしてるなんて天界どうかしてるっ!!」
「そこまで?」
「······あのー······一般の方の前で天界云々って宜しいのでしょうか?」
「あ、大体知ってるから大丈夫大丈夫。」
「てか歩って一般人か?逸般人の間違いだろ?」
「ガヴ、てめーどういう意味だ······!?」
酷いな、俺は人間だよ?
「······???」
「あー······この街を知らない顔してる······」
「まあ、歩のことは知らない人がいないレベルだものね······」
······あれ?俺の知名度そこまで高いの?
(んー······サターニャが言うほど変な人には見えないんだけどなぁ······いい子そうだし友達になりたいなぁ)
「あ、そういえば────来るときに犬がこんなものを持っていたのですが······」
······メロンパン?
「それ私のメロンパンっ!!!」
オメーのかよ!?
「あら、そうなんですか?ですがお名前が書いていないようですが······」
「パンに名前書く奴なんていないわよっ!!かえしなさいよ!!」
······んー······誰かに······誰かに似てるんだよ······
「そうですねー······では······
跪いて犬のように足を舐めたらお渡ししますよ」
「何いってんの!?」
「だって得意ではないですか······イ・ヌ・の・マ・ネ♡」
「得意じゃないわっ!!」
············なるほど······こりゃ紀田が逃げるわけだ。
「······コイツ······カタチは違うが臨也さんにそっくりだ······!!」
特に人で遊ぶのが得意なあたり······サターニャが乗せられやすいのもあるかもしれんが······。
「······こりゃ紀田が逃げるわけだ······」
本能的に苦手と感じているのか······あいつ色々すげえな
そして────
取り敢えずヴィーネは話しかけるのをやめた。
「なるほど、ここがサンシャインシティですか······すごい人混みですね······!!」
「まあ、ここは若者に人気のものが色々あるからな。」
放課後。俺はラフィエルに池袋を案内していた。
因みにサターニャは誘おうとしたら逃げ帰って、ヴィーネは今日の夕飯を買いにスーパーへ、ガヴはネトゲのイベントがあるからパスだそうだ。紀田や竜ヶ峰も誘おうとしたんだが、竜ヶ峰は園原と委員会。紀田は逃げた。
「······そういえば歩さん。」
「······どうした?ラフィエルさん?」
「あ、ラフィエルで構いませんよ?ラフィでもいいですし、敬語もいりません。」
「あっそう······じゃあラフィで。」
呼びやすいし。
「ふふふ、宜しくお願いしますね?」
「あー······うん。で?何かあったか?」
「先程、ヴィーネさんが申し上げていた『知らない人がいないレベル』とガヴちゃんの『逸般人』の件、あれどういう意味なのでしょうか······?」
「······あー······池袋にはな?絶対に敵に回しちゃいけないやつってのが居るんだ。」
「へぇ、そんなものが?」
「ああ······それは────」
丁度説明しようとした時
「いーーーざーーーやーーーああああああああああああああああああああ!!」
「全く、シズちゃんたかが服1枚ちょっと傷つけただけなのに怒りすぎでしょー。」
「るせえええ!!よくも幽から貰った服を!!ぶっ殺してやらあああああ!!」
静雄さんと臨也さんが喧嘩していた。
いつものように自動販売機が飛び交っている。
「············え?」
「······いいか?池袋には絶対敵に回しちゃいけない奴がいるんだが······あの2人がその筆頭だ。」
「······?なんですかそれ?そんなのあるんですか?」
「この街色々おかしいから······。」
改めて考えると色々中二臭いよなこれ。
「まあ、でも。真面目に敵対しちゃやばいからね?」
「は、はぁ······」
「そして、誠に遺憾であるが────」
と、そこまで言ったところで、思いっきり自動販売機がこっちに飛んでくる。
「────え?」
このまま行くとラフィに直撃するだろう。
だから俺は、ラフィの前に出た。
「────歩さん!!」
普通の人間ならば、潰されて終わりだろう。だが────
「誠に遺憾であるが、俺もその中の1人だ。」
自動販売機を額で受け止めた。
自動販売機は俺の頭に当たった瞬間無残に凹む。
「────────!?」
しかし、俺はビクともしない。
「と、まあ。こういう事だ。俺の事を知らない奴は池袋に居ない────というレベルで有名なんだよ、悪い意味でな。」
本当に悪い意味だ。どんな攻撃もほとんど通さない化け物のことを悪く言うなという方が難しいがな。
「··················」
「どうした?ボケーッとして、危険だから逃げるぞ?」
主に、静雄さんではなく臨也さんが。正しくは臨也さんとコイツがコンタクトを取ることが、だが。
あの人は人外嫌いだが、ラフィエルが影響を受けるかもしれん。
「ほれ、はよ起きろ。行くぞ?」
そう言って俺はラフィエルの手を取り、走り出した。
「······自らの身を犠牲に人······いや、天使を守るとは────随分優しい化け物さんですね?」
そう言って笑うラフィエルの笑顔は、なるほど、確かに天使のようだった。
取り敢えず
「犠牲にはならねえよ、痛くも痒くもねえんでな。」
照れ隠しにそう答えておこう。
······褒められ慣れてないから恥ずかしいな。
因みに後日────
「俺の名前は折原臨也、情報屋さ。よろしく!」
「あ、ラフィエルと申します。よろしくです。」
俺の努力は無駄になった。
混ぜるな危険。さて、ラフィはどうなることやら······
次回:クーラー死す!!
あと4日でアンケートも終わるので活動報告見てくださいね〜
ラフィ「てか、私の出番少なくないですか!?初登場なのに!?」
そんなもんじゃね(すっとぼけ)