そこでエドが活躍し雑誌に取り上げられているシーンがあります。
開幕!デュエルワールドリーグ!
帰省する前日。もこっちは校長室に呼び出されていた。
「…何でしょうか、鮫島校長」
「呼び出してすみません、黒木さん。夏休みの間に、大会に参加する気はありませんか?」
「大会?」
「8月7日、海馬ドームにて朝10:00から海馬ドームでデュエルワールドリーグが行われます。世界中から1000人は集まる大会になるかと」
「…それに、参加して欲しいと?」
「実技も筆記も優れている貴女なら、参加すれば大きな経験になるかと思いますが」
「分かりました。参加させて頂きます」
「これが参加証だ。受け取り給え」
デュエルワールドリーグ、か。
帰省したもこっちは、ブレーカーを上げ、水道とガス元栓を開ける。
誰も居ない空虚な家。蛇口をひねり、温い水道水を飲む。
「……」
窓を開け、換気をしつつもこっちは新学期の授業に遅れないよう、勉強に励む。
夕刻になり、買い物に出かける。
豆腐、茄子、葱と豚肉のミンチ、麻婆豆腐の元と麻婆茄子の元を買い、米を買い込んで帰宅。
米を炊飯器で炊けるだけ炊き、一食分を茶碗に盛った後、残りは冷まして冷凍庫で保管する。
8月7日。もこっちは海馬ドームの参加者の中にいる。
1000人だという。随分と集めた物だ。
「それでは、これよりデュエルワールドリーグを開催いたします!」
指示された会場に向かう。相手はアメリカ人だ。
「やぁ。君が僕の対戦相手か。僕はトム。あの全米チャンプ、バンデットキースに勝った伝説の決闘者だ。サレンダーは受け付けるよ」
雑音を無視して、もこっちはディスクを起動する
「ねぇ、聞こえなかったの?」
「審判、対戦相手がデュエルディスクを起動しません。」
「なっ!」
審判がやってきて、トムに注意をする。
「…ムカツク、ぶっ潰してやる!」
「バンデットキースに勝った、そう言って居たけれど。」
もこっちの双眸が鋭くなる。
「トム、それは何年前?」
「?!」
「それ程の腕があるのに、未だにそんな昔の事を引っ張り出さないといけないの?」
図星だったようだ。キースに勝った。だがその後、トムは実績を作れなかった。
当たり前だ、ペガサス会長が与えた指示に従っただけな凡人。
才能など無いのに、祭り上げられてしまった人形。トムの顔が醜く歪む。
デュエル!
もこっち ライフ4000
手5 場
トム ライフ4000
手5 場
「私のターン、ドロー。魔法カード、デビルズサンクチュアリを発動。メタルデビルトークンを特殊召喚。メタルデビルトークンを生贄に、ブローバックドラゴンを召喚」
「?!は、ハハハっ!バンデットキースのファンデッキか!そんなデッキで僕に」
「永続魔法、エンジンチューナーを発動。場の機械族モンスターは攻撃表示となり、その攻撃力は守備力分アップする。
今のブローバックドラゴンの攻撃力は2900。ターンエンド」
もこっち ライフ4000
手3 場 ブローバックドラゴン エンジンチューナー
トム ライフ4000
手5 場
「僕のターン、ドロー!僕は魔法カード、デビルズサンクチュアリを二枚発動!そして二体のメタルデビルトークンを生贄に、
出でよ、トライホーンドラゴン!」
「攻撃力2850では、今のブローバックドラゴンは倒せない」
「フン。カードを二枚伏せ、ターンエンドだ」
もこっち ライフ4000
手3 場 ブローバックドラゴン エンジンチューナー
トム ライフ4000
手1 場 トライホーンドラゴン 伏せ2
「私のターン、ドロー。ブローバックドラゴンの効果発動」
「ライフを1000払い、永続罠、スキルドレイン!場のモンスター効果は無効になる!」ライフ4000から3000
トライホーンドラゴンに照準を合わせるも、ハ・デスから漏れたエネルギーでショートを起こし、ブローバックドラゴンは痺れて動けなくなる。
「メカ・ハンターを召喚」
メカ・ハンターが起動すると、ハ・デスから漏れたエネルギーと接触するも何ともない。
その様子を見てブローバックドラゴンが隣に照準を向け、メカ・ハンターは当惑する。
「バトル、ブローバックドラゴンでトライホーンドラゴンを攻撃」
「罠発動!ジャスティブレイク!場の通常モンスターが攻撃対象になった時、発動できる!場の攻撃表示の通常モンスター以外を全て破壊する!」
「チェーンして、速攻魔法エネミーコントローラー。場のブローバックドラゴンを生贄に、トライホーンドラゴンのコントロールを得る」
「なっ?!」
ジャスティブレイクが発動されるも、一体のモンスターも破壊されずに終わる
「二体でダイレクトアタック」
「うわぁああああああああ?!」ライフ0
「勝者、ミス・黒木。次の試合会場に向かって貰う」
踵を返し、もこっちは立ち去る。
会場に向かいつつ、もこっちは思考を巡らす。
この大会の参加人数は1024人。総試合数は1023戦。
11勝すれば優勝。
次の対戦相手も、アメリカ人だった。
「僕はリック。君が対戦相手かな?」
「…はい。またアメリカ人か…」
デュエル!
もこっち ライフ4000
手5 場
リック ライフ4000
手5 場
「僕の先攻、ドロー!よし、ルビードラゴンを召喚!そして永続魔法、凡骨の意地を発動!さらにカードを一枚伏せ、ターンエンド」
現れたのは攻撃力1600、レべル4の下級ドラゴン。
もこっち ライフ4000
手5 場
リック ライフ4000
手3 場 ルビードラゴン 凡骨の意地 伏せ1
「私のターン、ドロー。機械軍曹を召喚」
「攻撃力1600か」
「永続魔法、エンジンチューナーを発動。場の機械族モンスターはその守備力の半分、攻撃力がアップする」
「攻撃力1600から2500?!下級モンスターのステータスじゃあない!」
「バトル、機械軍曹でルビードラゴンを攻撃!」
「ぐっ?!」ライフ4000から3100
「カードを伏せ、ターンエンド」
もこっち ライフ4000
手3 場 機械軍曹 エンジンチューナー 伏せ1
リック ライフ3100
手3 場 凡骨の意地 伏せ1
「僕のターン、ドロー!暗黒の竜王、ドロー!デビルドラゴン、ドロー!エレキテルドラゴン、ドロー!フェアリードラゴン、ドロー!
レッサードラゴン、ドロー!洞窟に潜む竜、ドロー!エメラルドドラゴン、ドロー!ベビードラゴン、ドロー!神龍ラグナロク、ドロー!
砦を守る翼竜、ドロー!ハウンドドラゴン、ドロー!ここまでか」
手札3枚から14枚まで膨れ上がる手札。一体何を狙っているのかわからないもこっちでは無い。
大量のドラゴン族を手札に抱える事で、最大限の効果を発揮するモンスターが、一体だけ居る。
「いくぞ、スピリットドラゴンを召喚!バトルだ、スピリットドラゴンで機械軍曹を攻撃!」
「……」
もこっちは伏せカードに手を伸ばさない。勝ちを確信するリック
「よし、勝った!スピリットドラゴンの効果発動!手札の暗黒の竜王、デビルドラゴン、」
「この瞬間、天罰を発動。スピリットドラゴンの効果を無効にして破壊する」
「?!」
攻撃力3000ポイントアップしかけたスピリットドラゴンに、天罰が降り注ぐ。
雷に打たれて倒れ込むスピリットドラゴンは、鰻を連想させる。
「まさか天罰とは…ならばメインフェイズ2!フィールド魔法、フュージョンゲートを発動!
手札のエレキテルドラゴン、フェアリードラゴン、レッサードラゴン、洞窟に潜む竜、エメラルドドラゴンを除外してF・G・Dを融合召喚!
さらにベビードラゴン、神龍ラグナロク、砦を守る翼竜、ハウンドドラゴン、サファイアドラゴンを除外し、F・G・Dを融合召喚!ターンエンドだ!」
もこっち ライフ4000
手2 場 機械軍曹 エンジンチューナー
リック ライフ3100
手0 場 F・G・D F・G・D 凡骨の意地 フュージョンゲート 伏せ1
「私のターン、ドロー。手札の沼地の魔神王の効果発動、手札から捨てて、デッキから融合を手札に加える。」
「融合を。だが機械軍曹を融合素材にする融合モンスターは存在しない!」
「魔法カード、オーバーロードフュージョン。墓地のリボルバードラゴンと沼地の魔神王を除外融合。
起動せよ、ガトリングドラゴン」
「?!そうか、天罰のコスト…」
破壊兵器が起動し、F・G・Dに照準を向ける。
F・G・Dもそちらに対し、威嚇の咆哮をあげる。
「効果発動!コイントス!」
表、表、表。
「?!三回表だって?!」
「よってF・G・D二体と機械軍曹を破壊!ガトリングドラゴンでダイレクトアタック!!」
一斉掃射を受けて、F・G・Dが粉砕される。そして流れ弾が機械軍曹に直撃し、
敵と味方の区別も出来ないのか!と言いたげな表情を浮かべて粉砕される。
エンジンチューナーにより、攻撃力が600アップしたガトリングドラゴンのダイレクトアタックが炸裂する
「…お見事」ライフ0
「そこまで。ミス・黒木。第三回戦へ」
一礼し、立ち去るもこっち。
三回戦の会場。
もこっちの相手は
「江戸川…思い出した、万丈目が言って居たノース校のトップ」
「あのデュエルは見ていたぜ。サンダーの仇、猶更負けられねぇ!」
デュエル!
もこっち ライフ4000
手5 場
江戸川 ライフ4000
手5 場
「俺の先攻、ドロー!ダブルコストンを召喚!さらに魔法カード、生け贄人形。場のモンスターを生贄に、
手札のモンスターを特殊召喚!来い、デビルゾア!」
「?!デビルゾア…」
「ほう、知っているようだな」
「真紅眼はあんなに派生があるのに、何故インダストリアルイリュージョン社は派生を作らないのか…」
「ペガサス会長はああ見えてケチって噂だからなぁ。俺はカードを二枚伏せ、ターンエンドだ」
本人が聞けば睨み付けてきそうなセリフをいう江戸川。
それに対し頷くもこっち。
もこっち ライフ4000
手5 場
江戸川 ライフ4000
手1 場 デビルゾア 伏せ2
「私のターン、ドロー!ドリラゴを召喚。このカードは、相手の場に攻撃力1600以上のモンスターしか存在しない場合、
ダイレクトアタックが出来る。ドリラゴでダイレクトアタック!」
「ぐっ、だが1600如き」
「速攻魔法、リミッター解除!」
「なっ?!ぐううううっ?!」ライフ4000から800
一気にダメージを受けるが、江戸川は不敵に笑う
「だが、これでエンドフェイズにそいつは破壊される」
「速攻魔法、エネミーコントローラー。場のドリラゴを生贄に、デビルゾアのコントロールを得る」
「?!これが…サンダーを倒した本校生代表の実力か」ライフ0
「そこまで。勝者、ミス・黒木。四回戦の会場へ向かいなさい」
踵を返し立ち去ろうとするもこっちに、声がかけられる
「黒木!勝てよ」
その言葉に足を止め、振り返りつつもこっちは告げる
「言われずとも」
キースに勝ってしまったトムという少年は、その後どうなったのでしょうか?
才能があるとは明言されておらず、一躍有名になってしまった。
あくまでも宣伝として使っただけで、闇のプレイヤーキラー曰く「ああ見えてケチ」と陰口を叩かれる当時のペガサスが目をかけるとは思えません。
デビルゾア君の強化はまだですか?ダークネスの世界に引きずり込まれて、その後アンデット化して……強化されない方が幸せなのかもしれません。