デュエルアカデミアの学園祭。
ブルー寮は喫茶店、ラーイエローは屋台。レッドはコスプレデュエル大会。
『少しいいか?』
「どうした、ショッカー?」
『三幻魔復活阻止、として協力している仲間が一人、この世界に来ている』
「情報交換か。精霊界側の動向も気になる。」
歩いていくと、死のマジック・ボックスが浮かんでいる。
「…これは。なるほど、サイコショッカー。協力者とやらはブラック・マジシャンか?」
『いかにも。お初にお目にかかる』
赤紫の衣装を纏い、褐色の肌に白色の髪、不敵な表情のブラック・マジシャンが現れる。
「…パンドラ、という決闘者を知っているか?」
『片時も忘れた事は無い』
即答され、もこっちは軽く肩をすくめる。
『さて、そちらはどうだ?こっちは人間側の駒は6つが倒れ、残るは一つ』
『拠点は潰した。後は残党狩りだ。トラゴエディアが後ろ盾でなくてよかった』
『当たり前だな、三幻魔が復活すれば奴自身が危ういのだからな…この件については共同戦線を敷けたのでは?』
『奴が何をしたのか知っていて、それを言うのか?』
『…そう、だな。』
かなり因縁のある相手が居るらしい。
話は終わったようで、こちらに向けられた視線にたいし、もこっちは告げる。
「…所で、折角この世界に来たのだ。今はお祭りで、外部の者も参加している。羽を伸ばしていったらどうだ?」
『遊んでいる場合では…いや、そうだな。折角来たのだから楽しんでいくか。』
「実体化に必要なエネルギーは用意しよう」
『これは…生まれる時代が違えば、神官団に入れただろうな…』
実体化したブラック・マジシャンを連れて、もこっちはレッド寮へ向かって歩く。
どうやら最初のデュエルが終わったらしい。
『…アイツは。また抜け出したのか。』
「知り合いか?」
金髪のブラック・マジシャン・ガールのコスプレをして居る女の子を見、もこっちは問う。
『知り合いの弟子だ。まぁ、黙っておくか。困るのはあいつ自身だからな』
レッド寮のステージ
「さぁ!次の対戦は…」
「丸藤、外部の人を連れて来た。枠は空いて居るか?」
「へ?外部の人?」
「こちらです、ミスター。」
悠然とステージに向かって歩くブラック・マジシャン。
その顔を見て、ブラック・マジシャン・ガールのコスプレをした女の子は驚く。
「おおっ?!ブラック・マジシャンのコスプレか!ってなんか違うな」
「あれはグールズのNo2、ブラック・マジシャン使いのパンドラが使って居たというブラック・マジシャンのコスプレだな。」
「遊戯さんと戦った、あの伝説の決闘者か!」
遊戯、の名前を聞いてわずかに顔をしかめるブラック・マジシャン。
『道案内、ありがとう。さて、少年。枠が空いているなら参加させて欲しいのだが』
「え、えっと、はい。枠は大丈夫ですけれど…」
『対戦相手は…XYZドラゴンキャノンか。』
「この格好で出来るか!」
『別の人にディスクを持ち、カードを引いて貰い、プレイングして貰えば出来るだろうに。
そうだな、道案内ついでに、デュエルの相手も頼めないか?』
「これはコスプレデュエル大会ですから…三沢、では無かった。アマゾネスペット虎!」
観客席をみて、もこっちはその名前を呼ぶ。
「?!俺か!」
「相手はブラック・マジシャンだが、デュエルの準備は出来ているか?」
「勿論だが…困ったな、相手がブラック・マジシャン使いなら光のデッキを使うべきだが…」
その言葉に、ブラック・マジシャンが反応する。
『待て、どういう事だ?複数のデッキを使うのか、彼は』
「はい。彼はコスプレに合ったデッキと、ミスターと相性の良いデッキのどちらを選べばいいか悩んでいるようで」
『ふむ。ミサワ、と言ったか。』
「は、はい!」
『その恰好で光属性のデッキ、というのはおかしいだろう。それとも君の地属性デッキは、ブラック・マジシャン相手では力不足なのか?』
「そんな事は無い!そうだ、悩むまでも無かった。では、動かざる事地の如し!地のデッキで相手をします!」
デュエル!
ブラマジ ライフ4000
手5 場
三沢 ライフ4000
手5 場
「俺の先攻、ドロー!俺は巨大ネズミを攻撃表示で召喚!さらにフィールド魔法、ガイアパワーを発動。
場の地属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップ!ターンエンドだ!」
ブラマジ ライフ4000
手5 場
三沢 ライフ4000
手4 場 巨大ネズミ ガイアパワー
『私のターン、ドロー!私はライフを半分払い、魔法カード、黒魔術のカーテンを発動!』ライフ4000から2000
「黒魔術のカーテン?!ブラック・マジシャンをデッキから呼び出す魔法カード!」
『現れろ!我が分身!ブラック・マジシャン!』
パンドラ版の褐色の肌に不敵な笑みを浮かべたブラック・マジシャンが現れ、三沢を睨み付け、杖を構える。
「ブラマジキター!ちょっと違うけれど」
『バトルだ、行け、ブラック・マジシャン!魔連弾!』
ブラック・マジシャンが消える。周りを見渡している巨大ネズミの後ろに現れ、魔法の弾を連射し、後ろから撃ち抜く!
悲鳴を上げて破壊される巨大ネズミ。
「ぐっ?!だが巨大ネズミの効果発動!現れろ、磁石の戦士γ!」ライフ4000から3400
磁石の戦士が現れ、ブラック・マジシャンと対峙する。
『磁石の戦士…カードを伏せ、ターンエンドだ』
ブラマジ ライフ2000
手4 場 ブラマジ 伏せ1
三沢 ライフ3400
手4 場 磁石の戦士γ ガイアパワー
「俺のターン、ドロー!よし!俺は手札の磁石の戦士α、βと場のγを生贄に、現れろ、磁石の戦士マグネット・バルキリオン!」
三沢の場に、磁石の戦士が分離し、そのパーツが合体して大型モンスターになる。
もこっちは目を凝らすが、構えている大剣が何処から出て来たのか不明だった。
「おーっと!アマゾネスペット虎!強力なモンスターを召喚したぞー!」
「攻撃力は3500。ブラマジでも敵わない」
「まだだ!俺は場のバルキリオンを生贄に、墓地よりα、β、γを特殊召喚!」
合体を解除して現れる三体の磁石の戦士達。
「そしてライフを800払い、早すぎた埋葬を発動!
蘇れ、バルキリオン!」ライフ3400から2600
「な、なんと―!一気に四体のモンスターが揃ったぞー!」
「攻撃力の合計は8100、勝負あったか」
「バトルだ!マグネット・バルキリオンでブラック・マジシャンを攻撃!」
巨大な剣に襲われ、ブラック・マジシャンは迎撃するも攻撃を凌げず、撃破される!
『…』ライフ2000から1000
「よし!行け、磁石の戦士β!」
『永続罠、正統なる血統。蘇れ、ブラック・マジシャン』
「?!バトルは中止。ターンエンドだ」
ブラマジ ライフ1000
手4 場 ブラマジ 正統なる血統
三沢 ライフ2600
手1 場 バルキリオン α β γ
『私のターン、ドロー!私はブラック・マジシャンを生贄に、このカードを特殊召喚する!
現れろ!黒魔導の執行官!』
「ブラック・エクスキューショナー?」
ブラック・マジシャンが変わっていく。
全体的に装飾が施され、持っている杖も邪悪な気配を漂わせる。
「おおっと?!ブラマジさん、ブラマジを生贄に新たなモンスターを召喚したぞー?!」
「何だ、あのモンスター…初めて見るぞ」
『行くぞ。魔法カード、竜破壊の証を発動。デッキ・墓地からバスター・ブレイダーを手札に加える』
次の瞬間、執行官の杖に魔力がともる
『黒魔導の執行官の効果発動。暗黒の呪縛!!』
「ぐううう?!」ライフ2600から1600
三沢の身体を黒い球体が覆い、電撃が浴びせられる!
『執行官の効果は、通常魔法が唱えられるたびに、相手に1000のダメージを与える。更に通常魔法、召喚師のスキルを発動。デッキからブラック・マジシャンを手札に加える』
「通常魔法、と言う事は…うわぁああああああ!」ライフ1600から600
『融合を発動。手札のバスター・ブレイダーとブラック・マジシャンを墓地に送り、現れろ、超魔導剣士ブラック・パラディン!』
現れたのは、パンドラ版ブラック・マジシャンがブラック・パラディンになった姿だ。
褐色の肌に不敵な笑みを浮かべ、剣を構える。
これはこれでアリだと思うもこっち。彼が弟子を取った場合、不敵な笑みを浮かべた褐色肌のブラマジガールになるのだろうか?
それはそれで見てみたいと思って居る前で、執行官の杖に魔力がともる!
『ブラック・エクスキューショナーの効果発動。1000ポイントのダメージを与える。カースド・ライトニングッ!』
「うわぁああああああ!」ライフ0
「しょ、勝者!ブラック・マジシャン!」
これが精霊界の重鎮の実力か。
まだ見ぬ強者がいる世界を想い、もこっちは冷徹に今の実力と相手の実力を比較する。