MOKOCCHIが行く遊戯王GX   作:交響魔人

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今回はMOKOCCHIの不幸な現状と、三沢君のデュエルです。


第二話!不幸なMOKOCCHI

 もこっちは無言で自宅に帰る。誰も居ない家。

 父は病死、母は新興宗教に嵌って蒸発。

 弟は親戚が引き取っていった。

 

「……」

 

 ネットは解約した。電気、ガス、水道が通っているだけ。

 そして、アカデミアに居る間は誰も住まない以上、冷蔵庫も空にしておかなければならない。

 残っている食材は一切合切使ってしまおう。

 

 100均で買っておいた回鍋肉の素を取り出す。調味料の類はほとんど残っていない。使いきった。

 デザートは昨晩のうちに作っておいた杏仁豆腐。電子レンジにレトルトご飯を入れ、セットする。

 

 米を炊いた方が安上がりだが、もうしばらく帰ってこないと決めた為、余らせるより使いきった方が良いと判断したのだ。

 心の中で、帰って来た奴に米粒一粒たりとも残す物か、という心境が無かったと言えば嘘になるが。

 

 一人で夕飯を済ませる。テレビもつけない。明日の朝は買って置いたコンビニのおにぎり、

 残った卵は二個。ピザトースト用に用意していたチーズも使いきってチーズオムレツで済ませよう。そう考えながらベッドに入った。

 

 

 翌日。

 朝食を済ませ、家中のコンセントから電源を引っこ抜き、コンロと水道の元栓を閉め、ブレーカーも落とす。これで月々にかかる電気代も大幅に抑えられるはずだ。

 戸締りを確認し。デュエルアカデミアに入る為に纏めて置いた荷物とありったけのお金を持って智子は家を出る。

 

 

 デュエルアカデミアの入学式。校長の話を聞き終えた後、真っ直ぐラーイエローの寮前に向かう。

 人目に晒されながら、ある人物を智子は待つ。すると寮長が出て来る。

 

「おや?君は受験番号1番の智子さんですね?ラーイエロー寮に何か用ですか?」

「樺山先生。受験番号2番の三沢さんを待っています」

「俺を?」

 

 振り返るとそこに三沢が立っていたため、そちらを向いて軽く微笑む

 

「入学したばかりだが、私とデュエルをしないか?」

「君と?」

「疲れているのであれば、日を改めてもいい。どうする?」

「いや、受けよう。デュエル!」

 

 編入組一位と二位、最も片方はクロノスを破っている実績もあるが、それでもラーイエローの主席に最も近い男として注目されている。

 見物人のほぼ全員が三沢の応援であり、完璧にアウェーな空気の中、もこっちは余裕たっぷりに立つ。

 

デュエル!

 

もこっち ライフ4000

手5 場 

三沢 ライフ4000

手5 場 

 

「先攻はどうぞ」

「では俺のターン、ドロー!俺はブラッドヴォルスを召喚!そして永続魔法を二枚発動!ツーマンセルバトルと絶対魔法禁止区域!

カードを一枚伏せ、ターンエンド。エンドフェイズ、ツーマンセルバトルにより手札のヂェミナイ・エルフを特殊召喚。ターンエンドだ!」

 

 三沢の場は、デュエルモンスターズでも下級アタッカーな二体。しかも絶対魔法禁止区域により、地割れ、地砕きといった除去魔法も受け付けない。

 伏せカードにも自信満々であり、迎え撃つ事も、攻め込むことも出来る布陣を敷いた。

 

もこっち ライフ4000

手5 場 

三沢 ライフ4000

手1 場 ブラッドヴォルス ヂェミナイ・エルフ ツーマンセルバトル 絶対魔法禁止区域 伏せ1

 

「私のターン、ドロー!魔法カード、デビルズサンクチュアリを発動。メタルデビルトークンを特殊召喚」

「む、狙いは生け贄召喚か?」

「敏いな、メタルデビルトークンを生贄に、人造人間サイコ・ショッカーを召喚!」

「なっ?!もう引き当てていたのか!」

「ツーマンセルバトルと絶対魔法禁止区域は通常モンスターサポート。そしてブラッドヴォルスやヂェミナイ・エルフはレベル4のアタッカー、

となればメインデッキの大半はレベル4の通常モンスターが大半のデッキだろうが、その中にこのサイコ・ショッカーを凌ぐモンスターは居ないはず」

「グッ…」

「これで罠は封じた。バトル、サイコ・ショッカーでブラッドヴォルスを攻撃。サイバーエナジーショック!」

「ぐううっ?!」ライフ4000から3500

 

「カードを一枚伏せ、ターンエンドだ」

 

もこっち ライフ4000

手3 場 サイコ・ショッカー 伏せ1

三沢 ライフ3500

手1 場 ヂェミナイ・エルフ ツーマンセルバトル 絶対魔法禁止区域 伏せ1

 

「俺のターン、ドロー!よし、俺は甲虫装甲騎士を召喚!バトルだ、甲虫装甲騎士でサイコ・ショッカーを攻撃!」

「…速攻魔法によるコンバットトリック、絶対魔法禁止区域を入れてるなら突進では無く…収縮!」

「凄いな、だが見抜いた所で防げないはずだ!速攻魔法、収縮を発動!サイコ・ショッカーの攻撃力を半分にする!」

 

 サイコ・ショッカーがみるみるうちに小さくなっていき…

 手のひらサイズにまで小さくなる。

 

「…土産物屋で一つ700円で売られていそうね」ライフ4000から3300

「これで場は空いた!」

「空いた?それはどうかしら。」

「なっ?!」

 

 もこっちの後ろに巨大な機械が出現し、蒸気を立てながら中から何者かが飛び出してくる。それは…サイコ・ショッカー!

 

「罠発動、時の機械タイムマシーンを発動した。これによりサイコ・ショッカーは時を超えて再び戻って来た。」

「なっ?!ぐっ、俺はヂェミナイ・エルフを守備表示に変更してターンエンドだ」

 

もこっち ライフ3300

手3 場 サイコ・ショッカー 

三沢 ライフ3500

手0 場 ヂェミナイ・エルフ 甲虫装甲騎士 ツーマンセルバトル 絶対魔法禁止区域 伏せ1

 

「私のターン、ドロー!可変機獣ガンナー・ドラゴンを召喚。魔法カード、トランスターンを発動!場のガンナー・ドラゴンを生贄に、それよりレベルが1つ高い同属性かつ同じ種族の

モンスターをデッキから特殊召喚。デモニックモーターΩを特殊召喚!」

「攻撃力2800?!」

「バトル、デモニックモーターΩで甲虫装甲騎士を攻撃!モーターバイオレンスッ!」

「ぐっ?!」ライフ3500から2600

「さらにサイコ・ショッカーでヂェミナイ・エルフを攻撃!サイバーエナジーショック!」

「くっ!」

 

「ターンエンド。エンドフェイズにモーターΩの効果発動。モータートークンを特殊召喚。」

 

 強い。三沢が感じたのはその単語だけだった。

 これ以外にもデッキは存在する。だが、このデッキとて入学試験という重要な局面で用いるだけのスペックを秘めているのだ。

 

もこっち ライフ3300

手3 場 サイコ・ショッカー デモニックモーターΩ モータートークン

三沢 ライフ2600

手0 場 ツーマンセルバトル 絶対魔法禁止区域 伏せ1

 

 

「俺のターン、ドロー!ぐっ…永続魔法、凡骨の意地を発動してターンエンドだ」

 

 この瞬間、勝敗は決した。引きは悪く無かった。だが、それでも及ばなかった。

 

もこっち ライフ3300

手3 場 サイコ・ショッカー デモニックモーターΩ モータートークン

三沢 ライフ2600

手0 場 ツーマンセルバトル 絶対魔法禁止区域 凡骨の意地 伏せ1

 

 

「私のターン、ドロー。これで私の勝ちね、サイコ・ショッカー、デモニックモーターΩでダイレクトアタック!」

「うわぁあああああ?!」ライフ0

 

 

「…俺の負け、か」

「またデュエルしましょう。」

 

 

 そう告げるともこっちは颯爽と立ち去っていく。ざわめているラーイエロー生の中を素通りして。




三沢君の伏せカードはジャスティブレイクでした。

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