MOKOCCHIが行く遊戯王GX   作:交響魔人

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今回は残酷な描写があります、ご注意下さい。


湯けむり旅情!闇マリク登場?!

「ゆうちゃん、温泉に行かない?」

「突然どうしたの?もこっち」

「鮫島校長が、鍵の守護者をやっている生徒に温泉のチケットをくれた。どうする?」

「勿論行く!」

 

 

 

 

 

 デュエルアカデミアの温泉施設は、かなり立派だ。島唯一のレジャー施設でもあり、相当力を入れてある。

 泳げるほど深い風呂。水底は見えない程で、中には浮き輪を持って入っている者もいる。

 というより、泳げないと沈む。なお監視員は居ない。オーナーがアレだから仕方ない。

 

 

 

「すごいねぇ、ここ」

「……」

 

 珍しく呆けた表情で、ゆったりとしている親友。めったに見られない一面に微笑みつつゆうちゃんも楽しむ。

 このひと時は何物にも代えがたい、そんな気分すらしていると…

 

『…ているのか!』

「……」

『聞こえているのか!』

「…無粋だぞ、ここは女子風呂だ…いや、サイコショッカーに性別はあるのか?」

『阿呆な事を言って居ないで離れろ!巻き込まれるぞ!』

「巻き込まれ…ガバゴボォッ?!」

 

 突然、もこっちは何かに引っ張られ…何処かへと飛ばされていく…

 

 

 

「…ここ、は?」

 

 辺りを見渡すもこっち。本当に何もない。漆黒の闇がただ広がるだけの世界…。

 

 

「誰だ貴様」

 

 

 もこっちの前に、褐色の少年が立っている。

 

「…思い出した、バトルシティにて決闘王に敗れた、マリク・イシュタールの闇人格か」

「ほう?俺の事を知っているのか。」

「闇の世界に送り込まれたはずだが、ここが闇の世界か。」

「いかにも。俺は闇も好きだが、孤独も大好きでねぇ。ここは実に住み心地が良い」

「そうか…邪魔したな」

 

 そう告げて立ち去ろうとするもこっち。

 

「待てよ、どこへ逃げるつもりだぁ?」

「逃げる?誰が」

「お前だよ」

「勝手に入り込んだ事は済まない。だからここから速やかに立ち去ろうと」

「逃がさねぇよぉ!」

 

 そう言うとディスクを起動する。

 

「闇は飢えている。お前を闇への生贄にしてやるよぉ!フハハハハハ!」

「……」

 

 闇マリクを睨み付け、もこっちもディスクを起動する。

 

 

デュエル!

 

もこっち ライフ4000

手5 場 

闇マリク ライフ4000

手5 場 

 

 

「俺の先攻、ドロー!俺は手札のサンダー・ドラゴンを墓地に送り、効果発動!デッキから、サンダー・ドラゴンを二枚手札に加える。

さらに、融合を発動!手札のサンダー・ドラゴン二体を融合!双頭の雷龍を融合召喚!」

「…意外だな、融合を使うとは」

「ここには闇に飲まれた奴がたどり着くんでね。バトルシティの参加者だった奴が持っていたカードだが…さて誰だったかなぁ?」

「覚えて居ないのか」

「俺にとってはどうでもいい事だからな。俺はカードを伏せ、ターンエンドだ」

 

 

もこっち ライフ4000

手5 場 

闇マリク ライフ4000

手3 場 双頭の雷龍 伏せ1

 

 

「私のターン、ドロー!モンスターをセット、カードを伏せ、永続魔法、機甲部隊の最前線を発動!」

「?なんだそのカードは。機械族に関わるカードのようだが…」

「ターンエンド」

 

もこっち ライフ4000

手3 場 セットモンスター 機甲部隊の最前線 伏せ1

闇マリク ライフ4000

手3 場 双頭の雷龍 伏せ1

 

 

「俺のターン、ドロー!フン、バトルだ!行け、双頭の雷龍!奴のセットモンスターを破壊しろ!」

「セットしていた可変機獣ガンナー・ドラゴンは破壊されるが、罠発動!時の機械タイムマシーン!破壊されたガンナー・ドラゴンを再起動!

さらに機甲部隊の最前線の効果により、デッキから破壊された機械族と同じ属性で、攻撃力未満のモンスターを特殊召喚。リボルバードラゴンを特殊召喚!」

「ほぉう、そういう効果か。意外と使えるね」

「一ターンに一度だけだがな、さて、どうにかしないとリボルバードラゴンに雷龍を撃ち抜かれ、二体の攻撃で終わってしまうぞ?」

「ふっ、心配要らないぜぇ。俺はメインフェイズ2に入る!お前の場の二体の闇機械族を生贄に!溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムを特殊召喚!」

「?!」

 

 もこっちは檻に閉じ込められ、その檻は溶岩魔神に持ち上げられる。

 

「…相手のライフを0にするより、相手をいたぶるのが好きな決闘者と分析していたが…その分析は正しかったようだな」

「その余裕が何時まで持つか楽しみだよ、フハハハハ!ターンエンド!」

 

 

もこっち ライフ4000

手3 場 溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム 機甲部隊の最前線 

闇マリク ライフ4000

手3 場 双頭の雷龍 伏せ1

 

 

「私のターン、ドロー!」

「そぉらそぉら、ラヴァ・ゴーレムはスタンバイフェイズ事に1000ポイントのダメージを与える。さっさと何とかしないと」

「そうさせて貰おう、速攻魔法!エネミーコントローラー!場のラヴァ・ゴーレムを生贄に!双頭の雷龍のコントロールを得る!」

「?!躱しただと!」

 

 

 灼熱の身体を溶かしてダメージを与えようとするラヴァ・ゴーレムは、いつの間にか自分に何かが刺さっている事に気が付く。

 後ろを向き、コードを辿ると、エネミーコントローラーがあり、コマンドが入力される。上上下下左右左右BA…

 ラヴァ・ゴーレムは絶望的な表情を浮かべ、体は崩壊していく。灼熱の身体に触れ、檻が溶け始めるが、

 熱で緩んだ檻にもこっちは蹴りを入れてこじ開け、脱出する。

 

 

「ほぅ、サクリファイス・エスケープか。思ったよりやるな」

 

 アクロバティックな動きには一切触れず、タクティクスに一定の評価を下す闇マリク。

 この程度など造作も無いと言わんばかりである。

 

「さて、雷龍と他の下級モンスターでも召喚して攻撃し、通れば勝ちだが…場の雷龍を生贄に、人造人間サイコショッカーを召喚!」

「?!そいつは!糞ッ!」

 

 余裕がなくなる闇マリク。

 

「やはり罠か。拷問車輪か、メタルリフレクトスライムか判別できないが…バトル!サイコショッカーでダイレクトアタック!」

「ぐぉおおおお?!」ライフ4000から1600

 

 

 派手に吹っ飛び、転がる闇マリク。

 

「カードを一枚伏せ、ターンエンド」

 

 

 

もこっち ライフ4000

手1 場 サイコショッカー 機甲部隊の最前線 伏せ1

闇マリク ライフ1600

手3 場 伏せ1

 

 

 

「やってくれたな、俺のターン、ドロー!永続魔法、リビングデッドの呼び声を発動!」

「永続魔法…のリビングデッド?」

「コイツは墓地のアンデット族以外のモンスターを可能な限り特殊召喚する!蘇れ!溶岩魔神!三体のサンダー・ドラゴン!双頭の雷龍!

そしてこいつらは全てアンデットモンスターになる!」

 

 雷龍達が腐臭を放ちながら、地面からはい出て来る。

 皮膚が完全に再生していないため、神経はむき出しで気が狂うような激痛に苛まされている。

 

『グオオオオオ……!アアアギギギギギギギ!!痛イ……!体…痛イ…!』

 

 SANチェックモノの光景にもこっちは口元を思わず抑え、膝をつく。

 

「おいおい、何ビビってやがる。」

「…我ながら、細い神経だな…」

 

 立ち上がり、眼前の雷龍達を正視するもこっち。

 

 

「これで終わりだ。バトル!やれ!溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム!ゴーレム・ボルケーノ!」

 

 攻撃を開始するラヴァ・ゴーレムを見たもこっちは、その目がぐにゃりと崩れ、あらぬ方向を見ている事に気が付く。

 既に視界も無く、ただ、命令に従って溶岩を吹き付ける。

 

「ぐっ?!」ライフ4000から3400

「機甲部隊の最前線、だったな。ほらほら、そいつで呼び出しな。攻撃力2400未満の闇機械族をなぁ!フハハハ!」

「私がデッキから呼び出すのは…ニードルバンカーだ!」

「何?」

 

 攻撃力1700の闇機械族が威嚇する。

 

「おいおい、それじゃあ凌ぎようが」

「凌ぐ?このターンで何とかしないとマリク、私の勝ちだ」

「寝言は寝て言いなぁ、リビングデッドの呼び声は戦闘ダメージすら0にする。つまり…?!」

「気が付いたようだな。いくら戦闘ダメージを0に出来ても、ニードルバンカーは破壊したモンスターのレベル×500のダメージを与える。

レベル5のサンダー・ドラゴンを破壊した時点で、2500のダメージが発生する!」

「…バトル続行!双頭の雷龍で、ニードルバンカーを攻撃!」

 

 

 崩れ落ちる腐肉と、濁った汁がしたたり落ちる中、雷龍は大口を開け、咆哮を上げつつ雷撃を放とうとする。

 

 

「リバースカードオープン!月の書!場のモンスターを裏側守備表示に変更する!もういい、眠れ。双頭の雷龍よ」

 

 月の光が雷龍を照らす。何処までも慈悲深く、優しく。その光に照らされ、雷龍の口に集められていた雷撃が徐々に弱まり、消える。

 そのままカードの中に戻り、カードは裏側守備表示となる。

 

「ちぃっ…なら、サンダー・ドラゴンでニードルバンカーを攻撃!」

「?!自滅する気か!」

 

 腐肉と腐った汁をまき散らしながら、サンダー・ドラゴンの一体が咆哮を上げ、雷撃を放つ。

 その眼は濁り切り、放たれた雷撃は見当違いの方向へ飛んでいく。

 ニードルバンカーは正確無比な狙撃でサンダー・ドラゴンを撃ち抜き、破壊する。

 

「破壊されてもサンダー・ドラゴンは蘇る!」

 

 体のほとんどが吹き飛ぶが、ややあって再び再生が始まる。最も、皮膚は無く、神経はむき出しだ。

 

「ニードルバンカーの効果発動!2500のダメージを受けるがいい!」

「速攻魔法!痛恨の呪術!そのダメージはキサマが受ける。ククク」

「?!きゃああああああ?!」ライフ3400から900

 

 

 ふっ飛ばされ、地面を転がるもこっち。余りの衝撃に、意識が飛びそうになる。

 

「フハハハハ!このまま起き上がれなければ、俺の勝利!ターンエンドだ!」

 

 

 

もこっち ライフ900

手1 場 ニードルバンカー 機甲部隊の最前線 

闇マリク ライフ1600

手2 場 セットモンスター 溶岩魔神 サンダー・ドラゴン サンダー・ドラゴン サンダー・ドラゴン リビングデッドの呼び声 伏せ1

 

 

 

 …負ける、のか…私は、ヤミニ…ヒトリ……

 

 …ダ……ヤダ………イヤダいやだ嫌だ!

 

「?!ば、馬鹿な!ありえない!」

 

 生き延びたい、という本能は、気力と体力が底をついたもこっちの身体を突き動かす!

 

 

「…私のターン、ドロー!バトル!ニードルバンカーでサンダー・ドラゴンを攻撃!」

「永続罠、拷問車輪!これでニードルバンカーは攻撃出来ない!フハ」

「邪魔だ。速攻魔法、サイクロン!拷問車輪を破壊する!」

「なっ」

 

 笑い声を冷たく遮るもこっち。

 狙いを定めるニードルバンカーと、見当違いの方向に雷撃を放とうとするサンダー・ドラゴン。

 

「馬鹿な!この俺が!」

 

 ニードルバンカーがサンダー・ドラゴンを銃撃で破壊し、その残骸が闇マリクに迫る!

 

「ぐわぁあああああ?!」ライフ0

 

 派手に吹っ飛び、断末魔と共に消え失せる闇マリク。

 肩で息をするもこっち。既に体力と気力など一かけらも無い。

 ふと顔を上げる。

 

「…月の、光…?」

 

 月の書を発動した時の月が未だ残っている。

 訝しんでいると、その光が徐々に強まる。

 やがて、もこっちは意識を手放す。

 

 

 

 その後。デュエルアカデミアの施設にて

 

 

「うーん…?」

「もこっち?!気が付いたのね!」

「寝ていたのか?」

「疲れていたみたいだね、うなされていたよ、大丈夫?」

「…。」

 

 今のは、夢だったのか…?

 

「ごめん、ゆうちゃん。先に戻る」

「え?そう…大丈夫、カナ?」

 

 しばらく、肉は食べられないな。そう思いつつもこっちは自室へ戻る。




今日の最強カード。原作版リビングデッドの呼び声
敵に抹殺された自軍のモンスターを全てゾンビ化し蘇生する。「不死」の力を得ることであらゆる攻撃も通用しない。また対象となるカードはすべて「ゴーストカード」となる。

 破壊されると10%攻撃力アップみたいな効果があったようですが、テキストのどこにも「10%」と記されていないのでこの小説では削除しました。

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